星と幼子の物語〜未来少女、混沌の街に挑まんとす〜 作:chee
「それじゃあまず、この鎧の鍵穴を探すところからね」
「分かった。どうすればいい」
ミーティアスさんは既にリフィルと戦い始めている。こっちの邪魔にならないように常にリフィルの反対側の位置取りを維持し続けているのは流石と言う他ない。
「『
鎧の中をエネルギーが駆け巡る。エネルギーは一点を目指して集まり、唐突に滞る。なるほど、ここのつまりからエネルギーを引き出せばいい訳だ。
「オッケー。じゃあ、ちょっと集中させてね」
おじ様は何も言わない。それが信頼されているのか期待されていないのかは分からない。でもおじ様のために力が使える。それだけでとても嬉しかった。
「...ふぅぅ」
エネルギーの淀みを散らしながら鍵穴に意識を集中させる。かなり強引に固められているが少しずつ淀みが薄くなってきた。
「『強制壊錠』!!!」
これは私の持論なのだが、万物は
おじ様の鎧が弾け飛ぶ。
「...よくやった。ガキンチョ」
戦っている二人を見据える。ヒーローでも随一のスピードを誇るミーティアスさんと『
「おじ様、頑張ってね。これが終わったらまたシチュー作ってあげるから」
「...任せておけ」
おじ様は一言そう言って戦場へと駆け出す。
「オラァ!!俺様も混ぜやがれ!!!」
「クッッ......面倒くせぇなぁ!!」
私はあの戦いには混ざれない。きっと足を引っ張ったしまうから。情けない。悔しい。もっと強かったら良かったのに。外から見ているだけで悔しさがこみ上げてくる。
「そんな顔しないでいいんだよ、ロックピッカーちゃん。君は君の役割を十分に果たしたんだ。決して君は弱くなんかないよ」
私のそばまで退避してきたミーティアスさんが声をかけてくる。その傷だらけの体を見ると、私の弱さを痛感させられるようだ。
「いいかい?僕たちは勝つ。君のおかげで勝つんだ。だからそんな泣きそうになってないで君が力を託した
「でも...私は...」
「いいんだよ。戦闘は僕らの領分なんだ。あとは任せなよ」
「......はい...お願いします」
「あぁ」
最後に私の頭を撫でて洗浄に戻る。おじ様も、ミーティアスさんも、私よりはるかに強くて、大きくて、かっこいい。
「私もいつか、あんなヒーローになろう」
そんな決意を胸に戦場に目をやると、機械じかけの悪魔が、蒼色の流星が、緋色の凶星が、光り輝いていた。
「お待たせ!!プリズンブレイカー!!リフィル!!」
「待ってねぇよクソミーティアス!!まぁいい、そろそろ決めるぞ!!」
「てめぇら......揃いも揃って調子に乗りやがってぇぇぇ!!!!」
流石はプリズンブレイカー。そのスピードは三人の中でも頭一つ抜けていて、リフィルとミーティアスさんすらも困惑してしまっている。
「オラァ!!遅ぇぞてめぇら!!」
「僕は、まだまだだぁ!!」
「フッざけんなぁ!!」
リフィルの射撃を躱しながら接近するおじ様とミーティアスさん。その攻撃もリフィルは避けて、再び射撃を再開する。その超スピードの攻防の中、おじ様が急に立ち止まり
「お前らぁ!!
「何言ってんだてめぇ!?!?」
再びリフィルに急接近したおじ様の一撃に合わせてリフィルは身をよじる。しかし、おじ様は突き出した手を引かずにそのまま掴みかかり、リフィルを
「んなッ!!」
それに合わせておじ様も飛び上がり、
「まだまだ続くぞぉ!!」
そのまま空中での跳躍を繰り返して連撃を加える。殴ること20連撃。地面が近づいてくる。
「『
「負けて......たまるかぁ!!!!!!!」
それはきっとリフィルにとっても限界を超えての反応。最後の意地。その脳天を狙う踵落としを受け止める。仕留めきれてない!!
「いや、てめぇは負ける。だってそうだろう?いつだって最後に勝つのは...
リフィルの背中越しに見えたおじ様の笑み。その奥で
「『ミーティア・ストライク』!!!!!」
その蒼白の光はまるで本当に空から降ってきた大きな星のようで、本当に綺麗だ。思わず見とれてしまう。そしてその悪を滅ぼさんとする流星は空を駆け、着弾する。
そして光の中から現れたのは、決めポーズをとっているらしいミーティアスさんと、ギリギリのところで回避していたおじ様と、地に伏して動かないリフィルだった。
「...勝っ...たの?」
「あぁ。勝ったよ」
......勝ったんだ。
なんだか実感がわかない。それでも安堵からか笑みがこぼれてしまう。
「おいミーティアス。てめぇ最後俺様ごと狙っただろうが」
「まぁ狙ってはいないよ。まぁ巻き添えになってくれても全然良かったけどね」
「てめぇ......」
「ていうかカースドプリズン、君の最後のセリフは何なんだい?“いつだって最後に勝つのはヒーロー”って、君はヒーローじゃないだろうに」
「フン。うるせぇよ」
どこか恥ずかしそうにしているおじ様かわいい。でもミーティアスさんも分かってからかっているのだろう。
「おじ様は今日は完全にヒーローだったもんね。まぁ私にとってはいつでもヒーローだけど」
「ほっとけ」
そう言い捨てたおじ様は、いつもとどこか違って見えて、それがなんだかとても嬉しく感じた。