星と幼子の物語〜未来少女、混沌の街に挑まんとす〜   作:chee

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13話

「おじ様〜もうすぐできるからね〜」

 

「おう」

 

今、私はおじ様の家で約束のシチュー作りをしている。

 

「はぁー。私幸せ」

 

「そりゃ良かったな」

 

うーんおじ様がそっけない反応しか返してくれない。でもおじ様のために料理をしているこの状況が幸せすぎるので十分だ。今はこの幸せを存分に堪能しよう。

 

「今日のメニューは私特製のグレイビーソースハンバーグに私特製のポテトサラダ、私特製のクリームシチュー!!」

 

「...無駄に張り切りやがって」

 

おじ様が食べるんだから無駄じゃないもん。もう少し労ってくれてもいいのに。

 

「お前俺様の嫁にでもなったつもりか?100年早ぇぞ」

 

「嫁だなんてそんな!!むしろ......娘??」

 

やっぱり自分でもこっちのほうがなんかしっくりくる。そうだ。いいじゃん。おじ様の娘ポジ。

 

「こんなガキいらねぇ」

 

「そんなこと言わないでよ傷つくなぁ」

 

出来上がった料理を運ぶ。なんかこの行動はむしろ嫁っぽいな。嫁も悪くないかも。

 

「余計なこと考えてんじゃねぇぞ」

 

「はぁい」

 

ありゃ、バレてるじゃん。

 

「冷めないうちの食べてね」

 

「...おう」

 

「いただきます」

 

おじ様が何も言わずに食べ始めたので私も食べ始める。うん。我ながらなかなかの出来だ。

 

「どう?美味しい?」

 

「あぁ」

 

素直に褒めるなんて珍しい。そんなに気に入ったのだろうか。

 

「ふふっ」

 

「...なんだよ気持ちわりぃ」

 

「なんでもないよ」

 

...神様、この街の場合は全能存在ギャラクセウスが神様って事にになるのかな?まぁいいや。神様、どうかこの幸せな時間を、いつまでも私に堪能させてください。私は今、とても幸せです。

 

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結論から言うと、私は未来へは帰れなかった。

 

あれから意識を戻さないリフィルは今は病院でサンダルフォンさんが面倒を見ているらしい。リフィルの拠点だったスタジアムや、他にリフィルが使用していたと思われる施設も全て調べたが、時間移動に関するデータは全てが破壊されて修復不可能な状態だった。修復を試みた技術者もいたようだが、それは未来の技術の産物。当然であるが、不可能だったようだ。

 

結果としてこの時代に残れる事になったわけだけど、やっぱり未来に置いてきた人たちの事を思うと寂しい。まぁこの時代に来たのだって元はと言えば私の独断先行が原因だったのだから自業自得と言ってしまえばそれまでだが。

 

結局この時代に来て仕事もない私はミーティアスさんやサンダルフォンさんの紹介で正式にこの時代でのヒーロー活動を始めた。とは言っても基本的には雑用やアシストばかり。戦闘能力も低いわけではないのだが、この時代のヒーローたちには遠く及ばないので、今はミーティアスさんの訓練を毎日受けている。未来の技術に頼り切っての戦闘をしていた私だったが、自分自身の能力の向上が感じられて来る。最近ではヴィランと戦うことこそないものの小さな事件の解決程度なら任せてくれる事も増えてきた。ミーティアスさんたちに混じって実戦をこなす日もそう遠くはないだろう。

 

その後私は病院暮らしをついにやめ、一人暮らしを始めてみた。ちなみにおじ様の家まで徒歩一分。最近はたまにおじ様の家にご飯を作りに行っているくらいだ。...まぁヒーロー活動をしながらヴィランの家に通うって言うのも変な話だが。

 

ちなみにミーティアスさんよれば最近おじ様による街の被害が極端に減ったらしい。その根本原因が私にあるのかは分からないが、ミーティアスさんは私のおかげだと言っている。全然そんなことないと思うけどなぁ。

 

そういえば、ミーティアスさんがこの間お酒を持っておじ様をとてもフレンドリーに訪ねたらしい。まぁ当然追い出されたようだが。この二人もいつか和解できる日が来るのだろうか。ミーティアスさんには二人の仲を取り持ってほしいと言われているが、当分は無理だろうと答えるととても悲しそうな顔をしていた。

 

まぁそんなこんなで私はこの時代を満喫しているのだった。

 

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今日も訓練を終えて帰路につく。最近はなんだかミーティアスさんも少しずつ厳しくなっている気がする。正直体がキツい。

 

「ふぅ。疲れた日はやっぱりこれだよね」

 

左手に提げた袋に入った大量のアイス(栗きんとん味)の中から一本を取り出して頬張る。うん。相変わらず美味しい。

 

「今日のメニューは何にしようかな...」

 

冷蔵庫の中身に思いを馳せる。今日は鶏肉が余ってたっけ。なら照り焼きチキンだな。これは最強の鶏肉料理。異論は認めない。途中でスーパーに寄り、足りない材料を買い足していく。

 

「2940円になりぁす」

 

「はい」

 

うぅ。厳しい。最近お金セーブしているのになかなかに厳しいな。もう少し余裕があると思ってたのになんでこんなに厳しいんだろう......アイスじゃん。アイス買い過ぎなだけじゃん。でもこれはやめられないので仕方がない。アルバイトでも探そうかなぁ、でもやっぱりサンダルフォンさんに言われたとおり着実にヒーロー活動を続けて昇給を待ったほうがいいのかな。これからどんどん忙しくなるだろうしなぁ。

 

「ありゃぁとぉござぃあしたぁ」

 

スーパーを後にした私は帰宅して調理の準備を始める。せっかくお肉たくさんあるしこれはおじ様におすそわけかな。そうと決まればたくさん作ろう。

 

「♪〜♪〜」

 

思わず鼻唄が漏れる。最近はおじ様のために料理をしている時間が至福の時間だ。料理の腕もどんどん上がっている気がする。

 

楽しい時間もあっという間に過ぎてしまうもので、もう完成してしまった。早速おじ様の家に持っていこう。

 

「ほんとおじ様の家が近いって便利だよね」

 

冷めないように容器に移しておじ様の家に行く。

 

「お邪魔しまーす。おじ様いるー?」

 

返事はない。今日も留守だろうか。

 

「もう......あ、ふふっ」

 

中に入るとおじ様が居眠りをしていた。鎧で隠れて寝顔こそ見えないがその雰囲気が既に可愛らしい。鎧のせいでその見た目は全く可愛らしくないが。

 

おじ様を起こさないように料理を準備していく。部屋の中にだんだんといい匂いが立ち込めてきてなんだかお腹が空いてくる。

 

「なんだこの匂い......お前か」

 

「あ、おじ様おはよう。でももう夜だから全然早くないよね」

 

「フン。ほっとけ」

 

「じゃあ早速で悪いけど、食べようか。私お腹空いた」

 

「......あぁ」

 

「「いただきます」」

 

私の幸せな日常はこうして続いていくのだった。

 

 

おわり

 





ここまで読んでいただきありがとうございました。

思えば、シャンフロ人気投票以来テンションが上がって書き始めたこの小説、執筆経験もなく、ノウハウも全く知らない状態から始まったこの小説、なんとかこの形に落ち着きました。

今後の執筆予定は未定ですが、また酷い出来の小説が出来上がっても読んでいただけると幸いです。

最後になりますが、本当にありがとうございました。

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