先々の事はわかりませんが、原作からかなり離れ独自ルートになると思われます。それに伴い、キャラが酷い扱いないし、性格が変わっている事も、流れによっては死んでしまうかもしれません。そういったことが許せる方のみご覧くださいませ。
2月もそろそろ終えようとし迎えるは3月、本格的な春の訪れを迎えようとしている最中、一人の男がこれぞ昭和と言わんばかりのボロアパートの扉を開け、外を伺うように顔だけを出した。
未だ吐く息が白く、どうやらまだまだ寒いと実感したようで再び扉は閉まり先程はジャージだけだったのが、今度は半纏を肩から羽織、裸足に突っかけという何ともファッション誌に真っ向から喧嘩を売り兼ねない様相で外に出て来た。
端から見ると何とも冴えない姿ではあるが、当の本人は至って気にせずにそのまま自分の部屋がある2階から、今時あまり見なくなった外付けの錆びて赤銅色になった階段をカツンカツンと音を立てながら降りていった。
目的のこちらも錆びてどことなく疲れた感じの集合ポストの前に立ち【203 神宮純一】と書かれた札が貼ってあるポストをまるで古の武将が戦を目の当たりにしたような厳めしい顔をし
「ええい、ままよ!」
そう呟くとポストに手を突っ込んだ。
中からお目当ての物を取り出そうとするが二つ入っており、一枚目は何とも扇情的な女性の裸体、肝心な部分が★で隠されており、電話番号であろう数字の羅列と文言がケバケバしく書かれてたいた。
俗にいうピンクチラシである。
しばし、男こと純一はそのチラシをじっと見つめふとニヘラと顔を歪めたが今回の目的はそちらではないので、集合ポストのもてなさそうな住人の部屋番号が書いてある場所におもむろに突っ込んでおいた。
肝心の目的のほうは事務的な茶封筒には受け取り手の所には「新宮純一」、届け出先は「戸田物産」と機械的な文字で書かれてあり、若干というかかなりの薄さに純一は嫌な予感がし、躊躇せざる得なかった。
だが、ここで読まずに終わる訳にもいかず、フーッと一呼吸吐くと意を決してその場で開封した。
中には一枚だけの紙切れが三つ折りにされており、純一の顔には絶望の陰が刺してはいたが、最後の結城を振り絞り震える手で三つ折りになった紙切れを開いた。
そこには無機質な恐らくプリンターから吐き出されたであろう文字
【此度の我が社の面接を……】
から始まる文章で、その文字を一文字づつ丁寧に目で追っていくと早かったなんと、二行目には
【残念ながら……】
一番見たくない文字が登場してしまった。
つまり、これは純一に対し「てめーなんかいらねーよ」という言葉を丁寧にしただけの【不採用通知】ということである。
純一はそれより先に書かれた文章を見ることもなく、紙切れをもった手は力なく下に降りてしまい、どんよりとした鈍色の空を見上げ憎々しげな眼差しを向け最後の抵抗として叫んだ。
「もう、殺せよ!神様、俺の事が嫌いなんだろう!?もう殺してくれよ!」
正に魂の絶叫というセリフを吐いた上で、その場でしゃがみ込み顔を伏せるように地面の一点を見つめていた。
蛇足ではあるが、もし神様が本当にいたら
「お前それ完全自業自得じゃん、八つ当たりも大概にしろバカ」
っと罵ったことだろう。
間の悪い事に、偶々通りかかった幼子を連れた若い女性がびっくりして純一の方を立ち止まり見ていたが
「ママァ、アレなぁに?」
舌っ足らずな口調にも関わらず結構大きい声で幼子が質問してしまい
「シッ!見るんじゃありません!」
慌てて幼子を叱り手を引っ張り連れて行こうとした時、うつむいていた純一が顔をあげてしまい、子連れのママさんと目が合ってしまった。
「さ、さむいですね」
純一は誤魔化すようにそう言い放つと返答も待たずそそくさと階段を一段飛ばしで昇りドタドタと大きな足音を立てながら部屋に逃げ込んだ。
部屋に入るとエアコンが効いているおかげか外から戻ってきた純一には暑いくらいに感じられたが、自分の将来を考えると寒々しい限りでしかなかった。
今年23歳になろうかという純一は現在某私立大学の四回生、平々凡々な県立高校を卒業し、周りがほとんど大学に行くというからなんとなくの流れで大学受験、当然の事ながら全滅そして進退窮まった所に父親が渋々浪人を勧めてくれ予備校へ、真面目に勉学に励めばいいものを通学がなくなった途端、朝起きるのも馬鹿馬鹿しくなり夜遅くまで部屋でこっそりとゲームや漫画三昧、親は夜遅くまで勉強としていると思い起さずに出勤し、まさか予備校をさぼって寝続けているとは思わず完全に自堕落な生活を送っていた純一、ふと気が付けばあれよあれよというまに一年が経ち再び受験シーズンになっていた。
当然最後に受けた模試判定の結果は散々であったがマズイと気が付いたら時既に遅し、とりあえず受ける大学を選定する段階において定員割れ、新設校などをメインに受けるも、受かったのは地方の新設校勿論名前等知ってる人などいない。
そう、それが現在彼が籍を置いている大学なのだ。
親に泣きつきなんとか入学はしたものの、憧れの一人暮らしに完全に舞い上がってしまい、今まで手を出せなかったネットゲームに手を出してしまったのが運の尽き、気が付けば最終学年の前期も終わってしまい、残すは後期のみ。
挙句の果てに足りない単位を何とか補おうと四苦八苦授業を組んでみればほぼ毎日大学に朝から晩まで行かなければいけない始末だったが就職活動のほうは今更感もあるが絶望的であった。
見兼ねた教授たちが若干授業を緩和してくれ、合間を縫ってなんとか面接まで漕ぎつけるも・・。
そして、そろそろ3月。卒業は何とか出来そうになったが、さすがに両親からも3月一杯で仕送りは打ち切ると宣言されてしまい、就職出来ないから家に帰るという手段も封じられ、最後の希望であった結果も……。
茫然自失のまま玄関で立ち尽くす純一の思考は
もっと早く就職活動を……
大学に入ってネットゲームしていなければ……
浪人のときにもっと勉強していれば……
高校のときに……
中学生のときに……
どんどん過去に戻っていき最後に幼稚園の年少さんまで行った所でこうしていてもなにも始まらないとふと部屋を見渡した。
生活感溢れる1LDKの部屋は漫画とゲーム、DVDが散らばっており更には、カップラーメンのカップだの空いたペットボトルだのまで散乱していた。
そして、壁には某アニメの女の子が描かれたポスター、四年間近く過ごした彼の楽園は今の彼にとって色彩を失い酷く虚しい空間に見えてしまった。
机の上のモニターには先ほどまでやっていたネットゲームのログイン画面、普段だったら気を取り直してログインするところであったが今の彼はプレイする気にはなれず、力なく覚束ない足取りのままパイプベッドの上に敷かれた万年床に体を横たえ、そのまま全ての現実から逃げだすようにふっと目を瞑り夢の中へと旅立って行った。
【PiPiPiPi…】
携帯の着信音で目を覚ますと、すっかり窓から見える空は陽が完全に落ちていて真っ暗になっており、枕元においてある時計は19時30分になろうとした。
通話のボタンを気怠そうに押し、耳に電話を近づけるとよく聞きなれた大学の数少ない友人の声が飛び込んできた。
「もっしも~し、純ちゃん?飲み会はじまってるけどどうしたのさぁ」
すっかり忘れていたが、大学で仲の良い友人四人、むしろそれ以外とほぼ交流すら持っていなかったが…四人のうち三人の卒業と一人の留年祝いで飲み会をする約束をそれどころではなかった純一はすっかり忘れていた。
友人の声の合間合間に賑やかな声が漏れ伝わってきて少し純一を苛立たせたが、気を取り直して
「あ、ごめん。すぐ行くから先やってて」
そう返事をして電話を切った。
頭を切り替えてジャージを脱ぎ、床に散らばった中からジーパンとパーカーをチョイスし一応臭いを嗅いでみてたぶん大丈夫だろうと思うが消臭剤をシュッシュと吹き付けて着た後に靴下も探し出して一応臭い嗅いでみたところ絶望しか感じなかった為諦め、コートを羽織り財布の中身を確認したところ若干というかかなり不安な金額しか残っていなかったが、万が一は友人に借りれば良いと楽観的に思考を切り替えて諸事情により裸足のままスニーカーを履き玄関の扉を開けた。
外に出ると肌寒さを感じつつも扉に鍵をかけるために鍵束を出し、一応部屋の電気の消し忘れはないか確認しつつ鍵穴に鍵を差し込み
【ガチャリ】
二度と開くことの無い扉の施錠を……。
一応10話近くまで書き溜めてはいるのですが未だに原作キャラが出てきません。
原作開始まで何話必要なんだろう・・・