プロローグ
5月、既に桜も散り夏に向けての準備も始まり始める季節。紫色の髪をした一人の少女が町の中を走っていた。既に時刻は十時過ぎ、普段なら学校の始まっている時間にも関わらず私服を来た少女。焦っている表情からして恐らく遅刻だろう。
ここ順王町は人口約1000万人の町。都心から少し離れているものの近くにはショッピングモールや商店街、大きめの運動公園等もありあまり生活には不便しない。それどころか町の中にはなぜ置かれているか分からないお地蔵さんもあり、何人もの考古学者がひっきりなしに町を訪れている。そんな順王町にある中学校、順王中は全寮制の学校、学校からバスで二駅程離れた所にある学生寮から全ての生徒が通っている。先ほどの少女もこの学校の生徒、だが制服を着ていないということは転送生だろう。そんな彼女は……
「転校初日から遅刻した上にカードキー忘れて通報……お前はバカか!!」
「ごめんなさい~」
職員室でこっぴどく叱られていた。順王中は生徒一人一人にカードキーが渡される。そのカードキーは部屋のカギや学校への入場許可書などの色々な役割を持っている。その少女─舞崎友紀は、遅刻した上にそのカードキーを忘れ不審者として通報されていた。
「まぁまぁ荒北先生。初日ですから大目に見て上げたら……」
「山泉先生は甘いんですよ!」
友紀に説教する少し不良っぽい先生─荒北藤五郎をなだめるまったりした若い先生─山泉由夏。二人とも説教の事で少し話し合いを始める。その二人の会話を見て何かに気づいた友紀。
「もしかして荒北先生……山泉先生の事……」
「う、うるさい!!」
誤魔化すように怒鳴り散らす荒北。説教から逃げ出そうとしたものの失敗。更に説教が厳しくなってしまった。
二時間後……
「さてと……説教はここまでにして……改めて俺は荒北藤五郎。生徒指導兼お前が入る一年C組の担任だ」
「げっ」
「なんで嫌そうな顔なんだよ……まぁいい学年順位システムは知っているか?」
学年順位システム。順王中にあるシステムで学業と部活の成績を元に皆に付けられる順位の事だ。順位が高いほど学校生活で色々な優待を受けられる。一年生は入学当初のテストでその順位を付けられるのだが友紀は転校生であるため最下位スタートとなる。
「まぁ、この学校の説明はこんな感じだな……ところで部活はどうするんだ?学年順位を上げるなら部活の成績も重要になってくるが」
「部活は勿論決まってます!!サッカー部……無いなら創設希望です!!」
堂々と宣言する友紀。一瞬何かを言いたげな表情を浮かべる荒北。だがすぐに真剣な表情に戻し入れ一枚の紙を手渡す。
「内にサッカー部はないからな……これは部活の新設届け。ここに顧問の名前と三人の部員の名前を書いて生徒会に提出すれば部活として認定される」
「分かりました!!」
意気揚々に飛び出す友紀。その後ろ姿を見ながら山泉が荒北に問いかける。
「荒北先生言わなくていいんですか?この学校で新設の部活には人は集まらないこと」
「あんなまっすぐな目をされたら言えませんよ……」
そう言って机に置かれた一枚の写真を見る荒北。
「……まるであの時のお前だな雅人……」
募集キャラは次回から少しずつ出していきます。