まさかの急展開・・・タイトルが指す、翔太の覚悟とは?
それでは、どうぞ!
テスト2日前・・・
なんとか五月と和解した風太郎と翔太。五月も合流し、中間テストへと向けた勉強会が行われていた。五月との和解後、風太郎から、二乃にクビの件がバレたことを謝られた翔太だった・・・今はできることをするべきだと伝え、残りの4人だけでもなんとか赤点回避を狙うべく、奮闘していた・・・だが、翔太には、もう一つ気がかりなことがあった。
(ボムメモリの使用者・・・一体、どこに行ったんだ?)
そう・・・先日、取り逃がしたボム・ドーパントのことだった。あれから、数日・・・一向に奴の居場所が分からないのだ。一応、情報屋に頼み、網は張っているのだが・・・どうやら上手く隠れているらしく、一向にいい情報が入ってこない。フィリップの検索も芳しくない状態だった。まぁ、ボム・ドーパントによる事件も起きていないようなので、それは不幸中の幸いとも言えるのだが・・・
「よし、今日はここまでだ」
風太郎の一言で、勉強会は終了した。五つ子たち(もちろん二乃は除く)は背伸びをし、疲れ切った表情をしていた。風太郎は何かを考え込んでいた。
「悪い、先に帰るな」
一刻も早く、ボム・ドーパントの行方を追うために、翔太は手早く荷物を片付け、図書室を後にした。
「あっ、佐桐君・・・!」
「・・・行っちゃったね」
「もう・・・!」
一花の言葉に五月は思わず、頬を膨らませながら、翔太が去って行った方向を見ていたのだった。
その夜・・・
(佐桐君・・・今日はどうしたでしょうか?)
夜食を買いにコンビニに出かけていた五月は、様子がおかしかった翔太のことを考えていた。テストまであと二日・・・余計なことを考えるべきではないと、五月も頭の中では分かっていた。だが・・・
(どうしてでしょう・・・彼のことを考えてしまうのは・・・)
今日の勉強会の時も、気が付けば、五月の視線は翔太の方を向いていた。自分でも分からない感情が五月の中を巡っていた。
「・・・あっ!」
そんなことを考えながら、歩いていたせいか・・・人とぶつかりそうになり、五月は慌てて避けた。男もぶつからないように避けた。
「す、すみません・・・!」
「・・・ちっ!」
「っ・・・・・!?」
男から舌打ちされ、速足でその場を去ろうとした五月だったが・・・
「おい、待てよ・・・壌ちゃん!」
「・・・・・な、なんですか?」
男に呼び止められ、五月はおびえながら、振り返った。
「・・・ぶつかりそうになっておいて、それだけかよ?」
「す、すみません・・・!で、ですが・・・!?」
「・・・ああ。大丈夫、大丈夫・・・金を払えとかそういうのじゃないから・・・お嬢ちゃんには、俺の遊びに付き合ってもらうだけだから・・・!」
そう言って、男がポケットから取り出したのは・・・
『Bom』
ボムメモリを起動し、顎に浮かんだコネクターにメモリを挿入した。
「ゲへへ・・・さぁ、ゲームの始めようか・・・お嬢ちゃん!」
「っ・・・!?」
鈍い音と共に、男は人の姿から異形な姿・・・ボム・ドーパントへと姿を変えた。その姿を見た、五月は一目散に逃げだした。
必死で逃げた五月が逃げ込んだのは、廃墟のビルだった。パニック寸前だった五月が身を隠すために入ったのだが・・・どうやら悪手だったようだ。
「お~い、お嬢ちゃん・・・かくれんぼかい?」
「・・・・・!?」
ボム・ドーパントの声が聞こえ、五月は必死に息を殺し、体を更に小さくした。
「見つからないな・・・お兄さん、気が短い方だから・・・出てこないなら・・・」
ドゴン!!!
「!?!?!?」
「・・・建物ごと爆破しちゃうかもよ・・・?」
近くで爆発が起き、五月は思わず叫びそうになった自分の口を必死に抑えた。
(・・・助けて・・・誰か・・・!?)
体が震え、呼吸も上手くできなくなっていた五月は、必死に祈った。
(助けて・・・・・助けて・・・・・!!!)
その時、五月の頭に浮かんだのは・・・夏祭りの時の光景だった。
(・・・・・佐桐君!)
五月が、翔太の名前を頭に浮かべた時だった。
「よう・・・探したぜ・・・小金井雅夫」
「・・・ああん?なんだ、お前?」
(えっ・・・!?)
五月にとって、聞き覚えのある声・・・翔太の声が聞こえ、柱から顔を出すと・・・
隣の部屋でボム・ドーパントと対峙する翔太の姿がそこにあった。
「ったく、コソコソしやがって・・・探し出すのに苦労したぜ」
「・・・・・はぁ・・・こっちはゲームの真っ最中なんだよ・・・邪魔すんなよ」
「悪いが・・・あんたの邪魔をするのが、俺の仕事でな・・・」
そう言って、翔太が懐からダブルドライバーを取り出した時だった。
ガタッ!
「「っ!?」」
物音がし、翔太とドーパントは音がした方を向いた・・・音の発生源は五月だった。柱の一部が、脆くなっていたのか、崩れ落ちたのだ。
「い、五月!?」
「ゲへへ!見ぃつけた!それじゃ・・・」
「っ・・・!?」
ボム・ドーパントの動作に気付いた翔太は、すぐさま五月に駆け寄った。
「五月!!」
「・・・えっ?」
「・・・死んじゃえよ」
翔太は五月を抱き抱え、ボム・ドーパントが放った小型爆弾から五月を庇った。爆風により、吹き飛ばされるが、翔太、五月ともに大きな怪我はなかった・・・だが、五月の安全を優先したために・・・
(っ・・・!?ダブルドライバーが・・・!)
庇った弾みで、ダブルドライバーが吹き飛ばされてしまったのだ。どうやら、穴が開いていた部分から、下層に落ちてしまったようだ。
「・・・くそっ・・・」
「さ、佐桐君・・・!」
座り込んでしまった五月を背後に庇い、翔太はこの状況をどう打破すべきか、考えていた。翔太一人であれば、まだなんとかできるが・・・
「五月・・・俺が合図したら、逃げろ」
「えっ・・・・・!?」
「・・・俺があいつを足止めする・・・その間に・・・!」
「そ、それが・・・足が・・・!?」
「っ!?」
さっきの爆発で、足を痛めてしまったようで、五月の右足には出血の痕跡があった。
「ゲへへ・・・さぁ、ゲームセットと行こうか?」
ボム・ドーパントがじわりじわりと距離を詰めてきていた。
(どうする・・・!?どうすれば・・・・・・!?)
必死に頭を働かせる翔太・・・その時、
『翔太・・・覚えておけ。男が背中を見せていいのは、信頼できる仲間に背中を預ける時と・・・その背中に守る物がある時だ』
「っ・・・!」
翔太の頭をよぎったのは、子供の頃・・・自分のあこがれであった父親の言葉だった。その言葉に、翔太の覚悟も決まった。
「五月・・・お前、口は堅い方か?」
「えっ・・・?こ、こんな時に、何を・・・!?」
「いいから!・・・・・秘密、守れるか?」
「は、はい・・・・・!」
「・・・・・お前には悪いが・・・墓まで持って行ってもらうぜ?」
そう言って、翔太は不敵に笑い・・・立ち上がった。
「オイオイ・・・お前さん。もしかして、ナイト気取りかい?」
「そうかもな・・・だが、今の俺は探偵だ。こいつは俺の依頼人・・・俺の命に懸けても守らなくちゃいけないんだよ」
「・・・・・生意気だな・・・このガキィ!」
翔太の言葉が気に入らなかったボム・ドーパントは興奮し、怒鳴った。翔太はその様子を冷静に睨み返し、そのまま右指を三本立てた。
「・・・なんのつもりだ?」
「俺の罪は三つ。一つ、俺の未熟さでお前を取り逃がしたこと・・・二つ、この危機的状況に五月を巻き込んだこと・・・三つ、これから、五月に秘密を抱えさせること・・・」
「な、なにを・・・っ!?」
ボム・ドーパントの言葉が途中で止まった。翔太の発する雰囲気が急に変わったからだ。
(な、なんだこいつ・・・!?ほ、本当に・・・ただの子どもなのか?!)
「・・・さぁ、俺は俺の罪を数えたぞ・・・・・お前の罪を数えろ・・・!」
そう言って、翔太は懐からダブルドライバーによく似た、スロットが一つしかないドライバー・・・ロストドライバーを取り出し、腰に装着する。
『Joker!』
ジョーカーメモリを起動させ、ロストドライバーに差し込み、右腕を顔の前に持っていき、変身ポーズを取る。
「・・・・・変身!」
そのまま、左手でドライバーを開く。
『Joker!』
ドライバーが発するガイアウィスパーと共に、翔太の姿が変わる。
「さ、佐桐・・・君・・・?」
「お、お前・・・この前の・・・!?」
赤い大きな目に、額のWの文字を模した銀色のアンテナ・・・ダブルによく似ていたが、その姿には違った点があった。ダブルと違い、黒一色であること・・・ダブルのソウルサイドとボディサイドを分け隔てるセントラルパーテーションも、真っ黒なブラックアウトパーテーションへと変わっていた。
「俺の名前は、仮面ライダー、ジョーカー・・・!」
そう名乗り、ジョーカーはボム・ドーパントへと殴りかかった。
いきなりの攻撃に、ボム・ドーパントは対応できず、ジョーカーのパンチを立て続けに食らう。
「おらおらおら!」
「ぐっ!ごはぁ!?」
次々とジョーカーの攻撃がボム・ドーパントにヒットしていく。ボム・ドーパントも反撃するが、それを避け、次々と一撃を加えていく。ジョーカー自体はダブルの半分の能力しかないが、これまで多くの死闘を潜り抜けてきた翔太の経験とセンスがそれを補っていた。それに加え・・・
「おらぁ!」
「ごっ・・・!?こ、こいつ・・・この前よりも強い!?」
迷いを振り切った翔太の感情に比例し、ジョーカーメモリが性能の限界を超えた力を発揮していた。ジョーカーの全身から闘気が溢れ出し、一撃一撃がボム・ドーパントに確かなダメージを与えていった。
「このぉ!これでも、食らいやがれ!」
「っ・・・!?あ、ぶねぇなぁ!」
一度、距離を取ったボム・ドーパントは小型爆弾で反撃に出た。それを転がり、回避するジョーカー。だが、距離は離れてしまい、ボム・ドーパントは更に小型爆弾を繰り出し、ジョーカーを近づけまいとしていた。
「野郎・・・!遠距離がお前だけの得意分野だと思うなよ!」
そう言って、ドライバーを閉じ、
『Trigger!』
トリガーメモリを起動し、ドライバーに差し込み、開く。
『Trigger!』
すると、ジョーカーの両腕が青く変わり、その手にトリガーマグナムが出現した。
「こいつでどうだ!」
ドン!ドン!ドン!
小型爆弾をトリガーマグナムで打ち落とし、そのまま一気に接近するジョーカー。
そのまま、空いている手でメタルメモリを起動する。
『Metal!』
「こ、このぉ・・・!」
小型爆弾を次々と打ち落とされ、躍起になったボム・ドーパントが爆発を起こそうと大きく振りかぶった時だった。
『Metal!』
「・・・おらぁ!」
「・・・・・ごへぇ!?」
素早くメモリをチェンジし、武装をチェンジする。上半身(首以外)が銀に変わったジョーカーはドーパントの振りかぶりを躱し、メタルシャフトを撃ち込み、その体を吹き飛ばす。
「ぐ・・・ぐぉ・・・くそがぁ・・・!?」
『Joker!』
再び、メモリをジョーカーに戻し、黒一色に戻ったジョーカー。
「・・・さぁ、決めるぜ?」
そのまま、ジョーカーメモリをドライバーから抜き、マキシマムスロットに挿入する。
『Joker! Maximum Drive!』
「・・・ライダーパンチ・・・!」
ドライバーからエネルギーが高まる音が鳴り響き、ジョーカーが右手に力を込める。
「来るな・・・!来るなぁ!?」
錯乱したボム・ドーパントが腕からミサイルを乱射する。爆風の中をジョーカーは駆け抜け、
「おらぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ジャンピングパンチを繰り出す。その一撃はドーパントの頬を打ち抜き、後方へと吹き飛ばす。ボム・ドーパントにマキシマムドライブのエネルギーが駆け巡り・・・
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
その体が爆発を起こし、ドーパントから人間の姿に戻った。メモリが金井の体から抜け落ち、壊れた。
「・・・・・ゲーム感覚で、メモリに手を出しやがって・・・塀の中で頭冷やすんだな」
声に怒気を含んだ翔太は後遺症でその場から動けない金井にそう言い、ため息を吐いた。
「・・・さ、佐桐、君・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ドライバーからメモリを抜き元に戻った翔太は、呆然とする五月に、どう説明するべきと考えながら、彼女の方を見るのだった。
次回 仮面ライダーW
『Wの継承/テストの結果は・・・?』
これで決まりだ!
ジョーカー登場&正体バレ回でした。
ちなみに、ジョーカーメモリの、使用者の感情に対して、力を増減する特性は『風都探偵』の解説通りです。
また、ジョーカーがメタルメモリ、トリガーメモリを使用したのは、本作オリジナルの『フォルムシステム』によるものです。
どのメモリともそれなりの相互性を持つジョーカーメモリの特性を生かし、ジョーカー以外のボディサイドのメモリの特性を一部付与する、ジョーカー版のメモリチェンジになります。
考案者はフィリップで、希少な能力のジョーカーメモリ、そして最も適合率が高い翔太だからこそ使用可能なシステムであり、仮面ライダーサイクロンでは使用不可、という設定になってます。
中間テスト編はまだ少し続きますが、章は変わり、次回は本作の『ビキンズナイト』編に入ります。
翔太の正体を知った五月・・・そんな五月に、翔太が語るのは、『ビキンズナイト』と呼ぶ、相棒と数奇な運命との出会いの話だった。
というあらすじになってます。
ダブルサイドのお話で、これまで語れていなかった過去が次々と出てきます。楽しみにお待ち頂ければと思います。
ちなみに、タイトルの「T」は『テスト』のTです。
1番安直なタイトルになったな、と思ったりしてます。
次回更新 29日0時予定