中間テストの結末はいかに・・・?
それでは、どうぞ!
第15話 「Wの継承/テストの結果は・・・?」
「うん・・・・・?ここは・・・?」
翔太が目を覚ました時、そこは普段見慣れた自宅の家ではなかった。
(・・・そうか。そういえば、テスト前日とのことで、中野家に泊まり込みで勉強を教えに来て・・・そのまま泊ったんだったな)
昨日の出来事を思い出し、自分が今いる場所が中野家のマンションであることを思い出した翔太は周りを見回していた。起きたのは翔太一人で、風太郎や五つ子たちはまだ眠っていた。
(まぁ、無理もないか・・・昨日、遅くまで頑張ってたからな)
時計を見ると、まだ6時を過ぎた辺りだった。昨日は夜中の3時までやっていたことを考えると、しょうがない話だと思い、翔太は静かに寝床から立ち上がった。
(・・・誰が朝食を作っているかは知らんが・・・朝食の準備くらいはしておいてやるか・・・)
そう考え、冷蔵庫化を物色する翔太。材料をチョイスしながら、昨日の、泊まり込みの勉強になった経緯を思い出していた。
昨日・・・翔太と風太郎、五つ子が廊下で話をしていた。
「はぁ!?今日も泊まり込みで勉強するの!?」
廊下で二乃の絶叫が響いた。
「この間したばっかりよ!?」
「明日が試験なんだ!効率度外視で一夜漬けだ!」
「・・・・・まぁ、最後の足掻きというか・・・そうするしかないんだよな」
二乃の反論に、必死な風太郎が力説し返していた。その隣で翔太が苦笑いを浮かべていた。
「五月、あんたも何か言いなさいよ!!」
自身の不利を悟った二乃は五月に援護を求めたのだったが・・・
「今日くらい、いいじゃないですか」
「「「「「え・・・?」」」」」
まさかの一言に、風太郎と(五月を除く)五つ子の声が重なった。しかし、翔太だけは・・・
(・・・・・約束ですよ・・・!)
五月の視線から、その思いを受け取っていた。
(・・・テストが終わったら、話すって約束しちまったもんな)
卵を溶き、スクランブルエッグの準備を進める翔太は昨日のことから、先日・・・五月を助けたことを思い返していた。
「・・・さ、佐桐、君・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
変身を解いた翔太は何も言わず、五月のことをじっと見つめていた。そして、
「・・・・・悪かったな、五月・・・巻き込んじまって」
「・・・い、いえ・・・さ、さっきのは、一体・・・・・貴方は・・・?」
「・・・・・悪いが、その質問に答えてやるには時間が足りなさそうだ・・・だから・・・」
探偵姿の翔太は帽子をかぶり直し、五月の目の前に歩み寄った。
「・・・テストが終わったら、全て話す・・・・・だから、今はテストに集中してくれないか?」
「・・・・・で、ですが・・・!?」
「・・・まぁ、確かにそれで集中しろ、って言うのは無理な話だな・・・だから、ここで課題だ・・・・・もし今度のテストで、俺の期待を上回る点数を取れたら・・・全部話してやる・・・酷い点数だったら、何も教えない、って言うのはどうだ?」
「・・・なぁ!?」
「どうだ?少しはやる気が出たか・・・?」
「・・・・・いいでしょう・・・その賭け、乗りましょう!」
あえて翔太の挑発に乗った五月は強気に答えた。
(・・・と、煽ったのは良かったが・・・その後、フィリップに大目玉食らったしな・・・)
卵をフライパンから皿に移し、焼きあがったトーストを大皿に乗せていく。レタスを洗い、盛り付けていく中で、フィリップのお説教を思い出し、翔太は遠い目をしていた。
なんとか相棒を説得・・・もとい、謝り続け、五月に全てを説明することに関して、承諾を得たのだった。
(・・・その前に、今日のテストか・・・さてさて、どうなることやら)
そう思い、翔太は料理をダイニングテーブルに運んでいくのだった。
・・・その後、全く目覚めない風太郎たちに業を煮やし、翔太が叩き起こすことになったのは余談である。
「えーと・・・家綱、綱吉、家宣・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「み、三玖・・・!教科書ばかり見てたら、転ぶわよ!?」
「ねぇ、フータロー君、この式は・・・?」
「この式はベクトルで使うもので、問題で使うとしたら・・・」
登校しながら、最後の確認を行う五つ子と上杉。そこから少し離れた後ろに、翔太と五月が歩いていた。五月は生物の単語カードとにらめっこしていた。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
それを邪魔しまいと、声を掛けずに黙って並走する翔太。二人に会話はなかった。
そのまま、学校に着き、それぞれがクラスに向かおうとした時だった。
「佐桐君・・・!」
「うん・・・?」
五月に呼び止められ、教室への歩みを止めた翔太。
「・・・・・約束、覚えてますよね?」
「・・・ああ。だから、全力でいい点数を取ってこい」
「・・・・・・・・・」
「・・・どうした?」
気まずい表情をした五月に、翔太は怪訝そうに尋ねた。
「・・・・・クビのこと・・・お父さんから聞きました」
「・・・聞いたのか」
「・・・はい・・・・・」
「・・・それで、罪悪感を覚えたのなら、死ぬ気で赤点回避してこい」
「えっ・・・?」
翔太の言葉に、思わず声を上げてしまった五月を、翔太は優しい目で見つめ返していた。
「俺も上杉もそうしてくれることが、一番助かるからな」
「・・・・・分かりました」
そう言って、五月は風太郎を追いかけて行った。
「・・・頑張れよ」
去っていく五月の背中を見送り、翔太も自分の教室へと向かうのであった。
そして、迎えたテスト・・・
社会・・・
(・・・難しい問題ばっか・・・でも、歴史なら分かる)
得意分野の問題に三玖の問題を生めるスピードが上がる。
(フータローより良い点を取ったら、どんな顔するかな・・・?)
そんな期待を胸に、どんどんと回答を埋めていく三玖。
国語・・・
「・・・う~~~~ん・・・!」
テストを前に、腕を組み、四葉は考え込んでいた。すると、
(・・・思い出した!五択問題は四番目の確立が高いっと)
・・・物凄く不安を感じさせる回答の仕方であった・・・
英語・・・
(討論・・・討論・・・わかんないや、次・・・)
分からない問題を飛ばし、次の問題に移ろうとする二乃だったが、
『「でぱと」と覚えるんだ』
(勝手に教えてくるんじゃないわよ)
先日の風太郎の言葉を思い出し、恨めしく思いながらも、単語を書き込んでいく。
数学・・・
(終わった~・・・こんなもんかな・・・・・お休みー)
分かるところだけ埋め、残り時間を睡眠に回そうとした一花だったが・・・
(・・・・・・・・式の見直しくらいしてもいいかな・・・?)
そう思い直し、解答用紙を見直し始めた。
理科・・・
(・・・ここまでしてもらったんです・・・絶対に応えてみせます!)
気合の入った五月は得意の生物の問題を読みながら、今朝の翔太の言葉を思い出していた。
『それで、罪悪感を覚えたのなら、死ぬ気で赤点回避してこい』
(あなたたちをクビになんて・・・絶対にさせません!)
一層気合を入れ、問題を解き始めた。
そして・・・昼休みを挟み、行われたテストは終わりを向かえようとしていた。理科のテストの回答を埋め、翔太は見直しを行いながら、
(あいつら・・・大丈夫だっただろうか?)
いつも通り、それなりの点数を取れたことを確信しながら、翔太は五つ子たちの心配をしていた。そして、テストが終わり、解答用紙が回収されていく。
「やぁ!佐桐君!どうだった、テストは!」
「・・・相変わらずテンション高いな、武田」
ハイテンションの武田の声に、眉を顰めながら、翔太は返事をした。
「・・・まぁまぁといったところかな。社会の問題に、激ムズの問題があったのには、頭を悩ませたな」
「・・・ああ。あの問題は僕も全くだったよ」
そう言って、武田とテストの答え合わせを行う翔太だった。
そして、時間は流れ・・・一週間後。
「よぉ。集まってもらって悪かったな」
中間テストの返却が行われた今日・・・風太郎の招集に、翔太と五つ子たちは図書室に集まっていた。テストが終わった後のせいか、今日の図書室の利用者はゼロに近かった。タイミング良く、受け持ちの先生もいないようだった。そんな中、風太郎が本題を切り出した。
「どうしたの?改まっちゃって」
「水臭いですよ」
「中間試験の報告」
一花と四葉の言葉に、三玖が続く。それを二乃が黙って見つめていた。
「間違えたところ、また教えてね」
「・・・ああ。ともかくまずは・・・・・答案用紙を見せてくれ」
三玖のお願いに応えながら、風太郎が解答用紙の提出を求めた。
「はーい!私は・・・」
長女ということでか、まず一花が結果を教えようとした時、
「見せたくありません」
五月の拒絶の言葉がそれを遮った。
「テストの結果なんて・・・他人に教えるものではありません!個人情報です!断固「五月」っ・・・!?」
頑固拒否する五月の言葉を、翔太の優しい声で遮った。
「・・・俺も、上杉も覚悟はできてる・・・お前の気持ちは嬉しいが、結果を見せてくれないか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
翔太の言葉に、五月も諦めたようで、テスト結果を提出した。それに続き、他の姉妹たちも結果を提出した。その結果は・・・まぁ、散々なものだった。
「ふぅ・・・やっぱりこうなったか」
「・・・短期間とはいえ、あれだけ勉強したのに、30点も取ってくれないとは・・・」
「まぁ、全科目が赤点でないだけ、マシだと考えるべき・・・なのか・・・?」
「・・・はぁ、改めてこいつらの頭の悪さを実感して、落ち込みそうだわ・・・」
「うるさいわね」
翔太と風太郎の酷評に、二乃が半眼でツッコミを入れた、
「まぁ、あんたたちが言う様に、合格した教科が全員違うなんて、私たちらしいけどね」
「あ、そうかも」
「それに、最初の五人で100点に比べたら・・・」
「ああ、確かに成長してる」
五つ子たちの成長を認め、そう語る風太郎。
「三玖・・・今回の難易度で68点は大したもんだ・・・偏りはあるがな。今度は、姉妹にも教えられる箇所は自信を持って、教えてやってくれ」
「えっ?」
「四葉・・・イージーミスが目立つぞ、もったいない。焦らず、慎重にな」
「了解です!」
「一花。お前は一つの問題に拘らなさすぎだ。最後まで諦めんなよ」
「はーい」
「二乃・・・結局、最後まで言うことを聞かなかったな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「きっと俺は他のバイトで今までの様に来られなくなる・・・俺がいなくても、油断すんなよ」
「ふん・・・」
それぞれに言葉をかけていく風太郎。その様子がどこか変だと感じ取った三玖は、
「フ、フータロー・・・他のバイトって、どういうこと?来られないって・・・なんでそういうこと言うの?・・・私・・・」
「・・・三玖。今は聞きましょう」
動揺する三玖を宥め、五月が話を促した。
「五月・・・・・お前は本当にバカ不器用だな!」
「・・・なっ!?」
「一問に時間かけすぎて、最後まで解けてねぇじゃねぇか」
「・・・反省点ではあります・・・」
「自分で理解してるならいい・・・次から気を付けろよ」
「・・・でも、貴方たちは・・・」
五月がそれを言おうとした時、
『プルルル!』
電話が鳴った。その画面を見た五月は、
「父です」
そう言って、風太郎にスマホを差し出した。覚悟を決めた風太郎はスマホを手に取った。
「上杉です」
『・・・ああ。五月君と一緒にいたのか。個々に聞いていこうと思ったが、君の口から結果を聞こうか・・・嘘は分かるからね?』
「つきませんよ」
風太郎が会話していくのを、翔太と五つ子は静かに見守っていた。
「ただ・・・次からこいつらには、もっと良い家庭教師をつけてやってください」
『・・・ということは?』
「・・・・・・・・試験の結果は・・・」
風太郎が結果を告げようとした時だった・・・その言葉が続くことはなかった。
「・・・え?」
「に、二乃・・・!?」
二乃が風太郎からスマホを奪ったのだ。その行動に、翔太も思わず目を丸くした。
「パパ?二乃だけど・・・一つ聞いていい?なんでこんな条件出したの?」
『僕にも娘を預ける親としての責任がある。高校生の上杉君がそれに見合うか、計らせてもらっただけだよ・・・彼が君たちに相応しいのか』
「・・・私たちの為ってことね。ありがとう、パパ・・・」
二乃とマルオの会話を翔太たちは静かに聞いていた。
「でも、相応しいかなんて、数字だけじゃわからないわ」
『それが一番の判断基準だ』
「・・・あっそ・・じゃあ教えてあげる」
二乃はそう言って、他の姉妹たちを見ながら、
「私たち・・・五人で五科目全ての赤点を回避したわ」
「!?」
(・・・なるほどな)
二乃のまさかの発言に、風太郎は驚き、翔太も一瞬ポカンとしてしまうも、二乃の言葉の意味を理解し、すぐに正気に戻った。
『・・・・・本当かい?』
「嘘じゃないわ」
『二乃君が言うのなら、間違いはないんだろうね。これからも上杉君と励むといい』
ピッ!
面倒くさそうに電話を切った二乃。そこで、正気に戻った風太郎が尋ねた。
「に、二乃・・・今のは・・・?」
「考えたな・・・確かに、5人でそれぞれ五科目をクリアしてるな」
「さ、佐桐・・・?」
「上杉、簡単なことだ。二乃は英語、一花は数学、四葉は国語、三玖は社会、五月は理科・・・その科目はそれぞれ30点以上だ」
「・・・5人で5科目クリア・・・嘘はついてないわ」
「・・・そんなのありかよ」
翔太と二乃の説明に、風太郎は思わず頭を抱えてしまった。
「結果的にパパを騙すことになったわ。でも、多分二度と通用しない・・・・・
次は実現させなさい」
「・・・・・やってやるよ」
二乃の言葉に顔を上げた風太郎はそう答えた。
「ちょっと、今のなんの話~?」
「私、いつの間にか五科目合格してたんですか!?」
姉妹たちが安堵する中で、三玖に五月が話しかけていた。
「三玖・・・」
「・・・五月?」
「安心してください・・・」
そう言って、風太郎と翔太を見ながら、
「彼らとは、もう少し長い付き合いになりそうです」
「・・・・・うん」
一安心する三玖の傍で、五月は翔太のことを見ていたのだった。
「じゃあ、このまま復習しちゃいましょー!」
「え?普通に嫌だけど・・・」
「逃げないの」
四葉の提案に、露骨に嫌そうな顔をした二乃を一花が引き留める。そんな姿を見た風太郎と翔太は頷きあって、
「四葉の言う通り・・・試験が返却された後の勉強が一番大切だろうな」
「だが、別にそれは、直後でなくともいいだろう・・・?」
風太郎の言葉に、翔太が同意する。そのまま、気まずい表情で風太郎が言葉を続けた。
「ご褒美・・・だっけ?・・・パフェとか、言ってたろ?」
「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
風太郎のまさかの言葉に、五つ子たちが一瞬呆然とし、一斉に吹き出した。
「な、なぜ笑う・・・!!」
「フータロー君がパフェって・・・」
「超絶似合わないわ」
「・・・お前ら、せっかく上杉が気を遣ってんだから、笑ってやるなよ・・・実は、とてつもなく美味いパフェを出す店を知ってんだ。良かったら・・・全員で行かないか?」
困惑する風太郎や笑う五つ子に、翔太は自身が知ってる店を提案した。それを聞いた五月は・・・
「いいですね・・・・それじゃ、私は特盛で!」
「・・・そ、そんなのあるの?」
五月の宣言に、財布の心配をした風太郎は冷や汗を流した。
「・・・・俺も出してやるから。心配するな」
「さ、佐桐ぃぃぃ・・・!!!」
流石に、風太郎一人に出させるのは忍びないと思い、翔太がそう提案すると、物凄い声で風太郎が感謝するのだった。
「さぁ、さぁ!それじゃ、佐桐さんが知ってる場所へ行きましょー!」
「・・・早く案内しなさいよ、佐桐」
「どんな所だろうね・・・?」
「抹茶・・・あるかな?」
「そう言えば、上杉君と佐桐君は何点だったのですが?」
「う、うわっ!やめろ、見るなぁ!?」
「・・・全部100点かよ」
「あー、めっちゃ恥ずかしい!!」
「・・・・・その流れ、気に入っているのですか?」
そんな会話をしながら、7人は翔太の知る喫茶店へと向かうのだった。
(・・・・・やっぱり駄目だったのでしょうか)
パフェ(特盛)を食べ終え、風太郎と翔太が会計を済ませている間に、姉妹たちと共に外で待っていた五月は、そんなことを考えていた。
「美味しかったね!風都パフェ!」
「・・・うん。抹茶とチョコの絶妙なバランス・・・美味だった」
四葉と三玖が感想を交換していた。
「・・・ここの料理、かなりレベルが高いわね」
「二乃がそこまで言うなんて・・・よっぽどなんだね」
二乃が感心を抱いた様子に、一花が驚いていた。
そして、会計を終えた風太郎と翔太が出てきた。
「・・・パフェって、高いんだな・・・」
「俺は、お前の財布の中身にびっくりだよ・・・ほとんど俺が払ったもんだろうが」
落胆する風太郎に、翔太は横目で睨みながら、文句を言った。そんな翔太を五月はずっと見ていた。そのまま、一同は解散となり、翔太と風太郎、五つ子たちはそこで別れることになった。
(やっぱり、駄目でしたか・・・・・っ!?)
翔太との約束が守れなかったのだと、五月が落胆しようとした時だった。五月のスマホが振動した。スマホを開くと、そこには・・・
『今日の8時・・・さっきの喫茶店で待つ』
「・・・・・・・・・・!」
翔太からのメールが届いていた。思わず、五月は振り返り、別れた翔太の背中を見たのだった。
次回 仮面ライダーW
『Wの継承/相棒との出会い』
所々に風都ネタを突っ込む本作。
本章では、風都に関してのお話も触れます。
次回にどうぞ。