本年もよろしくお願い致します。
・・・一発目から季節外れネタで、しかもバトルパートって・・・
それではどうぞ!
第18話 「Fの林間旅行/探偵の仕事」
「林間学校♩林間学校♬」
そんな歌を歌いながら、四葉は図書室へと向かっていた。彼女のテンションが上がっているのは、歌の内容通り、学校の一大イベント・・・林間学校が近づいてきていたからだ。
「上杉さん!もうすぐ林間学校ですよ!」
そんなテンションの高い四葉を出迎えたのは、
「四葉」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
ピエロのマスクを被った人物だった。まさかピエロに名前を呼ばれるとは思ってもみなかった四葉は驚きの声を上げた。言っておくが、ここは図書室だ。苦々しい全員の視線が集中した。
もちろん、マスクを被った人物の正体は・・・
「俺だ」
「上杉さん!」
風太郎だった。その横にいた翔太は、二人のやりとりに肩の力が抜けていた。すると、
カポ
「誰―ッ!?」
「俺だ」
「良かった~」
カポ
「助けて!!」
カ・・・
「図書室では、静かにせんかい!」
パシン!パシン!
永遠に終わらなさそうな漫才に、そろそろ司書さんの注意が入りそうだと思った翔太は佐桐家伝統のツッコミスリッパで二人に注意を入れた。冷静になった二人は「すみません」と謝罪し、静かになった。翔太はやれやれといった表情でため息を吐きながら、スリッパをしまった。
・・・どこからか取り出し、どこにしまっているのか・・・翔太曰く・・・
(それは秘密。それがハードボイルド、さ・・・)
とのこと。ちなみにフィリップのコメントは「正気かい・・・?」の一言だったりする。
三玖も合流したところで、話は風太郎の仮装の話に移った。
「その金髪のカツラ、絶妙に似合ってますよ!こんなに仮想道具持ってきて、どうしたんですか?」
「肝試しの実行委員になったんだって」
「肝試しって、林間学校の?」
「人間嫌いの上杉にしては、珍しいな・・・どういう風の吹き回しだ?」
三玖の言葉に、四葉と翔太が珍しそうに風太郎に尋ねた。すると、
「やりたくてやってるわけじゃない。ウチの組、肝試しを担当してたらしいんだが・・・」
「いや、クラスの担当、把握してなかったのかよ・・・」
風太郎の言葉に、翔太が呆れながら、ツッコミを入れた。それを無視し、風太郎が続けた。
「クラスの奴ら、俺が自習している隙にめんどうな役を押し付けてやがった」
「自業自得だろう」「自業自得」「お気の毒に・・・」
「だからな・・・とびっきり怖がらせて、この恨み晴らしてやる
・・・忘れられない夜にしてやるぜ」
「ノリノリだね」
珍しくテンションの高い風太郎に、三玖が突っ込んだ。その様子に翔太も思わず、苦笑いしていた。
「そういえば・・・五月は手伝ってくれなかったのか?」
「ああ、手伝ってくれなかった」
「えー!一人にやらせるなんて、酷いです!ちょっと1組に抗議してきます!」
翔太の疑問に風太郎は冷静に答え、四葉が抗議の声を上げたが、
「やめとけ。佐桐や三玖の言う通りだ。俺の自業自得だ。それに、林間学校自体がどうでもいいしな」
「むぅ・・・」
風太郎の冷めた反応に四葉は頬を膨らませた。その時だった・・・
「では、林間学校が楽しみになる話をしましょう」
そう言って、四葉が林間学校にまつわる伝説・・・結びの伝説を話し始めた。
それは最終日のキャンプファイヤーのダンスで、フィナーレの瞬間に踊っていたペアは
結ばれる・・・そういうものだった、のだが・・・
「非現実的だ。くだらないな」
「うん」
「冷めてる!現代っ子!」
と風太郎たちが騒いでいる横で、翔太がげんなりしていた。なぜなら、
「翔太!結びの伝説というものを知っているかい!なんでも、君の学校の伝説の一つらしいじゃないか!検索によれば、この儀式を行ったカップルのほぼ100%が生涯を一緒にしたとある!これは、実に興味深い結果だよ!そもそも、日本の離婚率というのは・・・(以下略)・・・ゾクゾクするね!ぜひ僕も林間学校に連れて行ってくれ!」
(・・・その話、嫌という程、聞いてんだよな・・・フィリップから。
説得するのに、5時間もかかったし、寝不足だし・・・しかも・・・)
連れてけコールのフィリップを、「駄目だ!」「いや、行きたい!」の、押し問答の上、なんとか宥めたことを思い返しながら、翔太は今、抱えている一つの案件のことが頭をよぎっていた。
「なんで好きな人と付き合うんだろ」
「「「え?」」」
話を中途半端にしか聞いてなかった翔太は、三玖の疑問に、風太郎、四葉と共に驚きの声を上げた。すると、
「その人のことが、好きで好きで堪らないからだよ」
いつの間にか、一花が合流し、三玖の疑問に答えていた。その目は何かを悟っていた。
「三玖も心当たりがあるんじゃない?」
「ないよ」
一花の言葉に、顔を少し赤くしてから否定する三玖。そんな一花に、風太郎が文句を述べた。
「一花!もう始めるぞ」
「えーっと、何が始まるのかー?」
そう言って、一花は苦笑いしながら、後退った。
「でも、今日も撮影が入ってるんだ。もう行かなきゃ」
「お、おい!」
「今は何より、お仕事優先!寂しい思いさせてごめんね」
「寂しくなんかねーよ」「頑張って」「一花、ファイト!」「おう、いってらー」
一花にエールを送る翔太たち。その時、翔太のスタッグフォンにメールが届いた。
その内容を見た、翔太は・・・
「あー、悪い、上杉・・・俺も急用で、今日の家庭教師は休むわ!」
「えっ!?お、おい・・・佐桐!」
風太郎の制止を振り切り、翔太は颯爽と図書室を後にした。一花と三玖が何かのやり取りをしているようだったが、今の翔太には、やらなければならないことができたのだ。
「フィリップ、俺だ」
メールの主・・・相棒のフィリップに電話をかける翔太。その顔は、普通の高校生ではなく、
探偵としての顔に変わっていた。
夜の港・・・コンテナが並ぶ倉庫街の一角で、探偵姿の翔太は影から倉庫の様子を窺っていた。
すると、翔太の元に、偵察に出していたバットショットが帰ってきた。
「おう、お疲れさん」
バットショットから疑似メモリを抜き、自動撮影された画像を確認した。そして、
「相棒の予想とウォッチャマンの情報通りか・・・さて、行くとするか」
帽子をかぶり直し、翔太は倉庫の一つへと近づいていった。『16』と書かれた倉庫の前に着いた翔太は、通用口用の扉を開いた。そこには・・・
「っ・・・!?」
「よう・・・葉隠兵斗だな?」
スーツ姿に、アタッシュケースを持った男は翔太の登場に酷く驚いた。翔太は男に向かって、身元を確認するためにそう尋ねた。
「っ!?っ!?」
「悪いが、あんたが待っているお客さんはいつまで経っても来ないぜ?ガイアメモリの密売人さん・・・あれは、俺が流したデマだからな」
「!?!?!?」
何が起こっているのか、分かっていない葉隠に、翔太がそう告げた。そう、男はガイアメモリの密売を行うバイヤーだったのだ。その事実を掴んだ翔太は、情報屋の一人であるウォッチャッマンに依頼し、『今日、メモリを購入したい』という、嘘情報を流したのだ。
「な、なんで・・・お前は、誰だよ!?」
「俺は探偵だ・・・あんたの恋人・・・鈴倉穂波から依頼を受けて、ここに来た。
あんたを止めてほしい・・・そういう依頼を受けてな」
「・・・・・!?」
翔太がここにいる理由・・・それは数日前に喫茶店『ウィンドウ・シティ』で受けた依頼が原因だった。葉隠の恋人・・・鈴倉穂波は思いつめた表情で、こう言った。
「私の恋人を止めてください」
鈴倉によれば、葉隠には莫大な借金があり、その返済に困っていたのだという。
しかし、ある時、返済の目途が立ったと、言って、姿を消してしまったのだという。
その数日前に、怪しい男とやり取りをしていたのを見て、嫌な予感を感じたというのだ。
ガイアメモリ関連の可能性もあると判断した、翔太はフィリップと共に調査をしていたのだ・・・結果は、見ての通り、真っ黒だったのだが・・・
「ほ、穂波が・・・?」
「ああ。あんただって、本当は分かってんだろう?それが、人の領分を超えちゃいけない物だってことは?」
「っ・・・!?」
翔太の冷静な言葉に、男はアタッシュケースを強く握りしめたが、動揺している所をみると、
翔太の言葉の意味が分かっているようだ。そのまま、翔太は右手を差し出し、説得を続けた。
「ほら、そんな物騒なもんはこっちに寄こしな?あんたがそいつに手を出しちまった理由も分からないわけじゃない・・・だが、愛してる人を心配してまで、手を出す価値・・・そんなもんにはねーぜ?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「これ以上、手を染めるじゃない・・・今なら、まだ間に合う。それを俺に「う、うるさい!!!」っ・・・!?」
だが、男は逆上し、ケースから一本のガイアメモリを取り出した。その様子に、翔太は慌てて制止をかけた。
「よ、寄せ!そいつは・・・!?」
「うるさい!うるさい!お前みたいなガキに、僕の・・・僕の何が分かる!これがないと・・・!?穂波を・・・彼女にまで、迷惑を掛けてしまうんだ!?だから・・・!」
「っ・・・!止めろぉ!?」
翔太が慌てて駆け寄り、無理矢理メモリを奪おうとするが・・・一足遅かった。
『Hound』
『猟犬』の記憶のメモリを腕に差し込んだ葉隠は、ハウンド・ドーパントに変貌した。変貌した際のオーラに吹き飛ばされ、自分が間に合わなかったことを後悔しながら舌打ちをした翔太は、ダブルドライバーを取り出した。
「結局こうなるのかよ・・・・・フィリップ!」
『Joker!』
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
『Cyclone!』
「『変身』」
『Cyclone! Joker!』
素早くメモリを差し込み、変身した翔太がダブルへと姿を変えた。
『やれやれ・・・説得なんてせず、強引に奪うこともできただろう?』
「・・・それでも、最後まで賭けてみたかったんだよ」
フィリップの諫言に翔太は答える。それを止められなかった自分の罪を悔やみながら・・・
「なんだよ、お、お前・・・なんなんだよ!?」
『・・・まぁ、こうなってしまってはしょうがない。行くよ、翔太』
「ああ」
「『さぁ、お前の罪を数えろ!』」
ドーパントとなった葉隠は完全に錯乱していた。それを止めるため、ダブルは決め台詞を言い、ハウンド・ドーパントへ一気に近づいた。そのまま、風を纏った蹴りを放ったが、
「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「おっと・・・!素早いな・・・」
ダブルの蹴りを躱したハウンド・ドーパントは、壁に張り付き、そのままダブルに飛び掛かった。その攻撃をダブルも躱し、廻し蹴りを放つも、サイクロンジョーカーのスピードを上回る速さで、ハウンドは縦横無尽に動き回った。
野生の本能のままに動くハウンド・ドーパントに、ダブルは攻撃を当てれずに思わず言葉が漏れた。
『翔太、ここは・・・』
「ああ・・・こいつだろう?」
フィリップの意図を読み取った翔太は、ルナメモリとトリガーメモリを取り出した。
『Luna!』『Triger!』
『Luna! Triger!』
そのまま、メモリを切り替え、メモリチェンジを完了する。トリガーマグナムを構え、ハウンド・ドーパントに向かって、引き金を引く。
「ぐるるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
トリガーマグナムから放たれた数発の弾丸を、ハウンド・ドーパントは躱した。そして、反撃だと言わんばかりに、ダブルの後ろを取ったハウンド・ドーパントの凶爪がダブルを・・・
ズキャン!ズキャン!
「がぁぁ!?!?」
襲うことはなかった。躱したはずの弾丸がその軌道を捻じ曲げ、横からハウンド・ドーパントを吹き飛ばした。
「おっと、曲がる弾丸を喰らうのは初めてだったか?まだまだ弾はいっぱいあるから、腹いっぱい味わいな!」
再び高速移動を始めたハウンド・ドーパント・・・だが、ルナトリガーの変幻自在の弾丸は、その動きを完全に捉え、確実なダメージを与えていく。そのダメージについに、ハウンド・ドーパントが動きを止めた。
『観念したようだね・・・』
「ああ、さっさとメモリブレイクだ」
そう言って、ダブルはドライバーからトリガーメモリを抜き、トリガーマグナムに装填する。
『Triger! Maximum Drive!』
トリガーマグナムにエネルギーが充填されるのを待つダブル。照準をハウンド・ドーパントに向けた時だった。
「ま、負けられないぃ!!負けるわけには・・・穂波のためにも・・・うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「っ・・・まさか!?」
『・・・暴走だ!』
理性が戻った葉隠の意志に呼応したハウンドメモリがその力を暴走させた。
ダブルが驚く中、ハウンド・ドーパントは巨大化したのだ。
「くっ!フィリップ!」
『・・・っ!ああ!』
「『トリガーフル「GRUUUUUUUUUUUUUUU!!!」ぐはぁ!?」
マキシマムドライブを放とうとしたダブルの身体を、ハウンド・ドーパントの巨大な前足での薙ぎ払いが襲った。その一撃に、肺の空気が抜け、ダブルは倉庫の外まで吹き飛ばされた。
さらに、トリガーマグナムまで吹き飛ばされてしまった。
「っ・・・最悪だな」
『翔太、危ない!?』
「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
「うぉ!?」
ダメージからなんとか体勢を立て直したダブル・・・だが、追撃の踏みつけ攻撃に、慌てて攻撃を回避する。
「どうする!ヒートメタルとハードタービュラーの合体攻撃で倒すか!?」
『いや、ここは倉庫街だ。あの巨体に火気を使えば、爆発による暴発の危険がある』
「・・・くそっ!いや、待てよ・・・フィリップ、これで行こう!」
『・・・なるほど・・・巨体にはそれ相応の武器を、というわけか』
翔太の考えを理解したフィリップの賛同を得たダブルは、クラッシャーメモリを取り出した。
『Crusher!』
「ああ!猛獣のしつけといこうぜ!」
そう言って、ダブルはクラッシャーメモリを差し込み、ドライバーを開く。
『Luna! Crusher!』
金と黒赤のボデイの姿・・・ルナクラッシャーへと姿を変えたダブルはクラッシャースレッジを頭上で振り回し、ルナメモリの力を発動させる。そのダブルの様子に危険を感じたハウンド・ドーパントはその巨体を生かした突進を掛けた。が、
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ルナメモリの幻想の力を解放した、クラッシャースレッジは普段の数倍の大きさ・・・巨体となったハウンド・ドーパントを上回る大きさになったそれを横払いし、その巨体を逆に吹き飛ばした。
「っ!?やっぱり、ルナメモリだと力不足か!あんまり何度も振り回せるもんじゃねーな」
『それならば、次の一撃で勝負を決めよう』
「ああ・・・技名は・・・・・『クラッシャーファンタズマ』、でどうだ?」
『分かった』
巨大化したクラッシャースレッジの重さに、腕に大きな負担がかかったダブルは次の一撃で勝負を決めることにした。
『Crusher! Maximum Drive!』
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ダブルがクラッシャーメモリを装填し、更にクラッシャースレッジを巨大化させ、そのまま、振り落とす!
「『クラッシャーファンタズマ!!!』」
巨大化したクラッシャースレッジに、身動き一つ取れず潰されたハウンド・ドーパントはメモリブレイクにより、大爆発を起こした。元の大きさに戻ったクラッシャースレッジを肩に抱えたダブル。その視線の先には・・・
「うう、ああぁ・・・」
「メモリブレイク・・・成功だな」
メモリを破壊できたことを確認した翔太は変身を解いた。だが、その目には悲しみの色が映っていた。
『どうかしたのかい、翔太?』
「さっきのメモリの暴走の時・・・この人、穂波さんの名前を呼んでたんだ」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』
「この人の恋人を思う純粋な思いは本物だった・・・それすら、あんな悲しいことに変えちまう・・・俺は許せないんだよ。ガイアメモリをこの人に教えた奴も・・・この人がこうなる前に止められなかった俺自身、をな・・・」
『・・・今は、僕たちにできることをやろう』
相棒の怒りがドライバーを通して、理解できるフィリップは、今できることをやるべきだと告げた。その言葉に、冷静になった翔太は、警察と救急車に連絡を入れた。そして・・・
「こいつは、俺たちが責任を持って破壊する。あんたは・・・罪を償ってやり直しなよ。
穂波さんが・・・あんたを待ってるぜ?」
倉庫の壁に葉隠をもたれかかせ、風邪を引かないように、翔太は自身の上着を被せた。
ケースを回収し、翔太はその場を後にしたのだった。
「はぁ、明日から林間学校か・・・バスの中で寝れるかな」
『翔太・・・やっぱり僕も付いて行って・・・』
「駄目だ」(帰ったら、フィリップの説得か・・・)
ドライバーを介して、諦めの悪いフィリップの言葉を聞いた瞬・・・、今日、寝ることを
諦めた翔太は、暴走する相棒をなんと説得するべきかと頭を悩ませながら、ハードボイルダーで夜中の街を駆けるのだった。
次回 仮面ライダーダブル
『Fの林間学校/フィリップの失敗』
これで決まりだ!
というわけで、林間学校編序章&Wサイドの一場面でした。
次回から林間学校編、本格始動です。
次回更新 11日0時予定