仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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・・・おかしいな。ここでこんなに文字数割く予定じゃなかったのに・・・

まさかの1万3千字・・・五月と二乃の描写にこだわりすぎた!?

そんなことを書き上がった後、思ったお話です。
それではどうぞ!


第20話 「Fの林間旅行/五月の思惑」

森を進むフィリップと二乃。先ほどと違い、決まずい空気は無くなり、二人は森の出口を目指しながら、五月を探していた。その時、二乃が話し掛けた。

 

「ねぇ、フィリップ君。あなたは明日もここにいるの?」

「ああ。その予定だけど・・・」

「私たちの学校・・・明日の夜、キャンプファイヤーがあるんだ」

「・・・・・ほう」

 

二乃の話を初めて聞くかのような反応をするフィリップ。その話を聞き続けた。

 

「その時やるフォークダンスに伝説があって、フィナーレの瞬間に手を繋いでいたペアは結ばれるらしいの」

「・・・へぇ、興味深いね」

「結構、大雑把な伝説だから、手を繋いでいるだけでも叶うって話もあったりしてね」

(・・・それは初耳だな)

「人目を気にする人たちは脇でこっそりそうやってるみたい・・・ほんと、大袈裟よね。子供じみてるわ・・・」

 

そう言う二乃の歩みが止まったことに気付いたフィリップは彼女の方を振り返った。そこには・・・

 

「フィリップ君・・・私と踊ってくれませんか?」

「!!!」

 

月光をバックに、スカートの裾を持ち上げ、顔を真っ赤にしながら、誘いの言葉を掛ける二乃がいた。その光景に、思わずフィリップは息を呑んだ。

 

「待ってるから・・・」

「・・・っ!?そ、それは・・・」

 

フィリップが何かを言おうとした時だった。

 

「ま、まだですか!?佐桐君・・・!」

「頼むから静かにしててくれ、五月。もう少ししたらルートに戻るから」

「っ・・・(マズイ!?)」「今の声って・・・!?」

 

突如聞こえてきた男女の声に、フィリップと二乃はそれぞれ違った反応を示した。二乃が声に気を取られている間に、フィリップはその場を離脱した。

今、自分が見つかれば・・・お説教ではすまなくなる・・・そう判断したのだ。夜の森を活かし、フィリップは静かに・・・素早く姿を消したのだった。

 

「佐桐!?それに、五月!!」

「うん、二乃?」「あっ・・・に~の~!」

 

二乃に呼ばれ、声がした方向から・・・翔太と五月が姿を現した。五月に至っては、ようやく二乃と再会できたことから、今にも泣きだしそうになっていたが・・・問題はそこではなかった。

 

「あ、あんた・・・佐桐!何やってんのよ!?」

「あー・・・やっぱり怒るよな、お前」

「当たり前よ!!!」

 

二乃が翔太に叫んだ理由。それは、翔太と五月の体勢にあった。そう・・・翔太が五月をおんぶしたまま現れたのだ。二乃が怒る理由を察していた翔太は気まずい表情で、目を反らした。

 

「これには、事情があってな・・・」

「事情・・・?」

「実はな・・・」

 

そう言って、翔太はどうして自分たちがこうなっているのか、説明を始めた。

 

 

 

「五月!二乃!どこだ!」

 

二人を追いかけ、声を張り上げる翔太。崖の方へと進むことを危惧した翔太は、二人を探すことに必死になっていた。すると・・・

 

『うあぁぁぁ』

「っ・・・な、なんだ、今の声・・・!?」

 

不気味な声に思わず翔太の動きが止まった。周囲を警戒し、翔太は身を伏せた。

 

(な、なんだ、今の!?まるで、地獄の底から聞こえてきたような声・・・まさか、出たのか!?)

 

そんなことを思いながら、翔太は軽くパニックになりかけていた・・・そう、彼はハードボイルドに憧れているが、お化け・亡霊といったオカルト分野が苦手なのだ。いくら仮面ライダーとして戦っているとはいえ、彼も高校生・・・苦手なものは苦手なのだ。

 

ちなみに、オカルト系のドーパントや妖怪の類は大丈夫らしい・・・実体があれば、倒せるから怖くないらしい。

 

そのため、お化け屋敷も案外大丈夫らしい・・・と、虚勢を張った時に、フィリップに『物凄く怖い!誰もが絶叫する!』という噂のお化け屋敷に連れて行かされた時には、蒼い顔をしながらなんとか突破したのは別のお話だ。

 

そんな彼の事情はさておき・・・周囲を警戒した翔太は声の発生源へと耳を澄ませた。

 

『ああぁぁぁ』

「っ・・・ど、どこからだよ・・・?」

『うあぁぁぁ』

「・・・うん?待てよ、この声・・・」

「うわぁぁぁぁ・・・!」

「・・・まさか!?」

 

うめき声・・・声の正体に気付いた翔太はその場から飛び出した。自分の耳が間違っていないことを信じて、森を駆け抜けた先には・・・

 

「っ・・・五月!」

「ふぇぇ・・・・・さ、佐桐君?」

 

翔太の掛け声に、五月が振り向いた。その姿を確認した途端、五月は地面へと座り込んでしまった。翔太も、五月が無事だったことに安堵して、ホッとしたのだった。

 

 

「・・・ったく、心配かけさせやがって」

「す、すみません・・・って、元はと言えば、あなたたちのせいでしょう!」

「そ、それを言われるとな・・・悪い」

 

五月の反論に何も言い返せなくなってしまった翔太は思わず目を反らした。このままだと、自分が不利だと悟った翔太は、

 

「そんなことよりも、早く戻るぞ?上杉たちも心配してる。それに、二乃も探さないといけないからな」

「は、はい・・・あれ・・・?」

「・・・今度はどうした?」

「た、立てません・・・」

「えっ・・・?」

「こ、腰が・・・抜けてしまったみたいです・・・」

「・・・・・マジか」

 

五月の言葉に、翔太は天を仰いだ。どうやら、翔太と会えたことで、五月はほっとしてしまったのが原因のようだ。すると、翔太は五月の傍にしゃがみ、

 

「ほら・・・」

「・・・えっ?」

「・・・なに呆けた顔してんだ・・・負ぶってやるから、早くしろ」

「・・・な、なに言ってるですか!?」

 

まさかの翔太の提案に、五月は思わず叫んでいた。いきなり至近距離で大声を出され、思わず顔をしかめる翔太。

 

「い、いきなり何を言ってるんですか!?ハレンチですよ!?」

「どこがだ!?腰を抜かしてるから、おぶっていくだけだ!」

「だ、大丈夫ですよ!ちょっと休めば・・・!」

「アホ!この寒さでお前の腰が治るのを待ってたら、風邪引くわ!」

「だ、誰がアホですか!?」

 

夫婦漫才を続ける二人・・・このまま続くのかと思った漫才は翔太の言葉で終わりを向かえた。

 

「別に、お前になんかするわけじゃねーよ・・・その、お前が腰を抜かしたのは俺のせいでもあるわけだし・・・このまま風邪を引かれても悪いと思ったからだよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

翔太の言葉に、思わず五月は目を丸くしていた。普段とは違う、翔太の素顔が見えた瞬間だった。

 

「と、ともかく・・・ほら、早く負ぶされ・・・文句なら、後で嫌という程聞いてやるから」

「・・・・・分かりました」

 

そう言って、五月は翔太の背中に体を預けた。そのまま、翔太は五月の太ももの下で手を組み、立ち上がった。

 

「(意外に軽いな・・・)それじゃ、行くぞ?」

「(・・・思っていたよりも、大きな背中ですね)よ、よろしくお願いします!」

 

互いにそんなことを思いながら、二人は森の中を進み始め、二乃と合流したのだった。

 

 

 

「・・・というわけだ」

「ふ~ん・・・それ本当でしょうね?」

 

説明を終えた翔太を、二乃は疑いのまなざしで見ていた。それを五月が慌てて、フォローした。

 

「ほ、本当ですよ、二乃!佐桐君は無実です!」

「・・・・・五月がそう言うのなら、信じるわ」

「・・・ほっ・・・(姉妹の言葉なら、信じるのかよ)」

 

疑いのまなざしから解放された翔太はホッと一息を吐いて、話を二乃へと移した。

 

「それに、二乃も無事で良かったよ。もし崖の方に行ってたらと思って、ヒヤヒヤしてたからな」

「・・・え、ええ。」

「・・・?何かあったのか?」

「べ、別に・・・!ちょっとした・・・あれ?」

「どうした・・・?」

「な、なんでもないわ・・・!(フィリップ君が・・・いない)」

 

翔太の質問に、そう答えながら、先程までいたフィリップの姿を探す二乃。だが、翔太に出くわすことを避けたフィリップはもう既に遠くへと離れてしまっていた。そのことに、ようやく気が付いた二乃は残念そうに肩を落とした。だが、

 

(けど・・・来てくるわよね。きっと・・・!)

 

先程の出来事を思い出し、二乃は顔を赤くしていた。場所の約束をしていなかったが・・・明日ここに来れば、また会えるかもしれないと思い、二乃は機嫌を取り戻した。

 

「ほら!さっさと戻るわよ!五月も!いつまで佐桐におんぶしてもらってるつもりよ!」

 

いつもの様子に戻った二乃はそう言って、二人が離れるように注意するのだった。

 

 

 

「えへへ・・・」

「なぁ、二乃の奴・・・なんであんなご機嫌なんだ?」

「さぁな・・・何かいいことでもあったんじゃないか?」

 

無事に(?)肝試しを終えた翔太たちは宿舎に戻ってきていた。風太郎と翔太が話しているのが、エントランスで二乃が満面の笑みを浮かべながら、窓の外を見ている姿についてだ。珍しく機嫌の良い二乃の様子に、風太郎は訝しみ、翔太はお手上げだという感じでそう返していた・・・彼の相棒が原因だとは知らずに・・・

 

「そういえば、佐桐は明日のキャンプファイヤーどうするんだ?」

「・・・どういうことだ?」

「いや・・・その・・・踊る相手とかいるのかと思ってな」

「あ~・・・そのことか・・・」

 

風太郎の言いたいことが分かった翔太は、風太郎に耳打ちするように答えた。

 

「相手はいない・・・みんなが躍るのを見ていようかと思ってる」

「えっ?そうなのか?・・・誘ってくれた相手とかいなかったのか?」

「い、いたんはいたんだが・・・どうにもそういうのが苦手でな」

「・・・へぇ。意外だな」

「ア、アハハ・・・(本当は、フィリップの実験台にされるのが嫌だから、断ってたとは言えないよな)」

 

翔太の嘘を信じた風太郎に乾いた笑いを浮かべながら、本当の理由を思い返していた翔太だった。

 

「・・・何か相談できるかと思ったんだが・・・(ボソ)」

「・・・?上杉?」

「い、いや!なんでもない!あっ、悪い。ちょっと席外すわ・・・一花!」

 

そう言って、風太郎は一花と傍にいた三玖に話しかけに行った。

 

(それにしても、初日・・・いや、二日目か・・・どっちでもいいや。疲れたな・・・今日は早く寝るとするか)

 

そう思い、背伸びしてから部屋に戻ろうとした時だった。

 

「なぁ、佐桐・・・」

「うおぉ!う、上杉・・・!」

 

意外に早く帰ってきた風太郎に翔太は思わず驚いてしまった。どうしたのかと思い、首を傾げていると、

 

「俺って・・・そんなに好感度低いかな?」

「・・・はぁ?」

 

深刻そうな風太郎が放った一言に、翔太は思わず素っとんきょんな声を上げるのであった。

 

 

 

「上杉たちが戻ってない?」

「はい・・・」「うん・・・」

 

(連日の)疲れから、早めに寝床に就いていた翔太は五月からの電話で目を覚まし、エントランスへと来ていた。なんでも、風太郎と一花がまだ帰ってきていないらしく、翔太が何かを知らないかと尋ねてきたらしい。

 

最初は寝ているところを起こされ、機嫌が悪かった翔太だったが、状況を聞き、意識を切り替え、記憶を辿っていた。

 

「・・・俺と別れる時、四葉に話しかけてたぞ?確か、キャンプファイヤーの準備の手伝いを申し出てたな」

「・・・でも、四葉はもう戻ってきてる」

「どういうことでしょうか?一花もキャンプファイヤーの係ですが、一緒に戻って来てないのは・・・」

 

三玖と五月の言葉を聞いた翔太は、ここにいても埒が明かないと思い、行動することにした。

 

「とりあえず、行ってみるか・・・」

「えっ・・・?」「行く?どこにですか?」

「そのキャンプファイヤー係が仕事をしていた場所だよ」

 

そう言って、翔太は鍵を借りに事務室へと向かい、五月と三玖も付いていくのであった。

 

 

 

「ううう・・・寒いですね」

「・・・ここにはいないみたい」

「そうなると、丸木を置いてあった倉庫の方か」

 

キャンプファイヤーの会場に人の姿がないことを確認した翔太たちは倉庫へと移動することにした。道中、話はそのキャンプファイヤーのことになった。

 

「そういえば・・・ショータは誰かと踊るの?」

「うん・・・?みんな、その話好きだな・・・俺は誰とも踊らないよ」

「えっ・・・!そうなんですか?」

 

三玖の質問に答えた翔太の言葉に五月が驚きの声を上げた。その驚きように、翔太自身も驚きながら、話を続けた。

 

「ああ。まぁ、特定の誰かと、なんて考えたことなかったしな・・・それに、そういうのちょっと苦手だしな・・・」

「・・・・・意外。ショータはそういうの気にしないかと思ってた」

「・・・俺を買いかぶりすぎだぞ、三玖・・・それにしても、本当に寒いな」

「・・・?どうしかした、五月?」

「な、なんでもありません・・・!」

 

翔太の意外な一面に驚きながら、どこか様子がおかしい五月を心配する三玖。一方の五月は・・・

 

(い、意外です・・・佐桐君、そういうの嫌いだったんでしょうか・・・?それなら、誘わない方が・・・)

 

そう考え、ふと考えが止まった。

 

(あれ・・・?どうして、私、佐桐君のことを誘おうなんて・・・さっき誰とも踊らないっていう話を聞いて、つい・・・私・・・・・)

 

そう思い、五月は前を歩く翔太の背中を見ていた。すると、思い出したのは、肝試しでの出来事だった。

 

(大きくて・・・温かい背中でしたね)

 

そんなことを思い出していると、

 

「五月・・・五月・・・!」

「・・・!み、三玖・・・!」

「ぼぉーとして・・・どうかした?」

「な、なんでもありません!」

 

姉に心配され、そう返す五月の顔が真っ赤であることに、その場にいる者は誰も気が付いていなかった。

 

 

 

そして、3人はようやく倉庫へと辿り着いた。その時、おかしなことに気付いた。

 

「ここか・・・うん?」

「なにか・・・鳴ってる?」

 

三玖の言う通り、倉庫の中から警報が鳴り響いていた。倉庫に近づくと・・・

 

「不味い!誰か来る前に逃げるぞ!」

「う、うん!」

「・・・はぁ。全く、心配かけさせやがって・・・」

 

中から探していた風太郎と一花の声が聞こえ、ため息を吐いた翔太はポケットから、鍵を取り出した。大方、閉じ込められてしまって、出られなくなってしまったのだろう。そう思い、翔太が鍵を開けると・・・

 

「と、扉が・・・!」「た、助かっ・・・!」

 

風太郎と一花の言葉が続くことはなかった・・・なぜなら、五月と三玖の目が絶対零度の温度で二人を見ていたからだ・・・無理もない。二人はずぶ濡れで、風太郎が一花に乗りかかっているかのような体勢だったからだ。

 

「あー・・・一応、俺は言い訳を聞いてやるぞ?」

 

とりあえず、二人にも弁解の余地を与えるべきだと判断した翔太は、そう言う事しかできなかったのであった。

 

(ふわぁぁぁ・・・結局、睡眠時間削られたな・・・)

 

三日目の朝・・・日課のランニングをするため、翔太は宿舎の周りを走っていた。昨日の出来事は当然教師たちの耳にも入り、風太郎たちはお説教、翔太も代表して、事情を聞かれていたのだ。一応、五月と三玖にも翔太から風太郎に関してのフォローを入れておいたのだが、二人は半信半疑といった形で完全に納得はしていないようだった。

 

(今日はスキーに、夜はキャンプファイヤーか・・・・・フィリップにその話をしっかり聞かせてやるためにも、しっかり見とかないとな)

 

ここにはいない相棒のことを思いながら、翔太は日課のランニングを続けるのだった。

 

 

 

「さぁ!滑り倒しますよー!」

「元気だな、四葉」

「寒いし、寝かせてくれないか・・・というか、俺滑れないし」

 

そして、場所はスキー会場・・・四葉の掛け声に翔太と風太郎はそんなリアクションを取っていた。どうして翔太が二人と行動を共にしているかというと・・・

 

「あっ、佐桐さん!良かったら、一緒に滑りませんか!」

 

と、風太郎を伴った(というよりも、ほぼ強制的に連れてきた)四葉に誘われ、一緒に同伴することにしたのだ・・・もっとも、翔太が同伴したのは、別の理由からだが・・・

 

「上杉・・・本当に大丈夫か?」

「・・・気にすんな、佐桐。このくらいなら、問題ねーよ」

「・・・・・分かった」

 

そう・・・翔太が二人についてきたのは風太郎に理由があった。四葉に連れられ、ロッジの更衣室に来た翔太は風太郎と共に男性用更衣室に入った。その時だった・・・風太郎の異常に気が付いたのは・・・

 

「・・・上杉・・・お前、大丈夫か?」

「えっ・・・?な、何がだ・・・?」

「・・・おでこ、貸せ」

「ちょ、なにを・・・!?」

 

顔が赤く、息遣いが荒い風太郎のおでこに手をやる翔太。抵抗する風太郎だが、現役仮面ライダーの翔太に、体力なし、さらに体調を崩している風太郎が敵うはずもなく、熱を測られてしまう。

 

「っ・・・お前、熱が・・・!?」

「・・・ハハハ、バレたか」

「笑ってる場合か!?早く医務室に「待ってくれ!」!?」

 

風太郎の大きな声に翔太は思わず止まってしまった。風太郎の目は死んでなかった。

 

「待ってくれ、佐桐。頼む・・・せめて、この林間学校が終わるまでは・・・」

「・・・・上杉」

「・・・頼む」

 

その目に翔太は風太郎の覚悟を感じた。思わず、ため息を吐き、

 

「分かった・・・理由は聞かないでおいてやる。その代わり、これ以上は無理だと判断したら、引きずってでも連れて帰るからな!」

「わ、悪いな・・・」

「はぁ・・・まったく、無茶をいう依頼人だぜ」

 

・・・ということがあり、翔太は風太郎の見張りで二人に付き添っていたのだった。

 

「あはは、三玖、大丈夫?」

「派手に転んだな・・・平気か?」

「・・・・・・・・うん、大丈夫」

(・・・・・今のところは、大丈夫そうだな)

 

三玖も合流し、スキーを楽しんでいる風太郎たち。息が荒いのが気がかりだが、今のところは大丈夫そうな風太郎に翔太も少し安堵していた。そのまま、翔太・四葉の指導の下、風太郎たちにスキーを教えることになった。

 

「よっと、おとっと・・・」

「そうだ、その調子だ。八の字を意識しながらな?」

「あ、ああ・・・ハハハ。結構、楽しいな」

 

三玖を四葉が、風太郎を翔太がコーチしていた。まだぎこちない動きだったが、少しずつコツを掴んできた風太郎・・・すると、

 

「わー、ぎこちないなー」

「「!!!」」

 

声のした方向を二人が向くと、

「寒いね~」

「本当に誰だ!」

「一花だよ」

 

声の主、一花は風太郎の問いかけにマスクを外しながら、名乗った。体調を崩したと、四葉から聞いていた風太郎と翔太は、一花の登場に驚いていた。

 

「体調は良くなったのか?」

「ゴホッ!ゴホッ!まだ万全じゃないけど、心配しないで」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

風太郎の心配に咳をしながら答える一花・・・だが、翔太は一花のことをなぜか睨んでいた。

 

「あれ、どうしたの、翔太君?もしかして、お姉さんのスノウウェアに見とれちゃった?」

「・・・いや、なんでもないさ。体調が悪いって聞いてたからな。ちょっと心配だっただけさ」

「そっか・・・ゴメンね、心配かけて。あっ、そうだ。五月ちゃんなんだけど、顔を合わせづらいから、一人で滑ってるってさ」

「そうか・・・・・」

 

一花の言葉に、看病をしていた五月の行方を聞いた風太郎は気まずそうな顔でそう答えた。一方の翔太は先程の表情からいつもの表情へと戻っていた。

 

「一花―!この二人、私の言う事、全然覚えてくれない!?」

「それは俺がいつもお前に思ってることだよ」

 

四葉の悲鳴に風太郎が容赦なく返した。それを聞いた一花は・・・

 

「じゃあ、楽しく覚えようよ」

 

そう言って、翔太たちを置き去りに、

 

「追いかけっこ。上手な四葉が鬼ね!」

「お、おい!」「ちょ、ちょっと待て!」

「はーい!」

 

あっという間にゲレンデを下って行ってしまった。

 

(お、おいおい・・・マジかよ)

 

いきなりの展開に翔太が苦笑いしている横で・・・・

 

(待てよ・・・!これは昨日しっかり話せなかった三玖に弁解できるチャンスだ!)

「・・・よし・・・!」

「う、上杉!?ちょっと待て・・・!」

 

五つ子への好感度が低いことを気にしていた風太郎に焦りが出た。そう、これチャンスがだと思い、三玖を追いかけ始めた。それを慌てて、翔太が追いかけた。

 

出だしが遅れた翔太だったが、なんとか風太郎の背中を捉えていた。すると、一花が風太郎に何かを話しかけていた。それを見た翔太は、二人に追いつこうとスピードを上げた。

 

「上杉!急に飛び出すな!お前、初心者だろう!」

「さ、佐桐・・・教えてくれ・・・」

「・・・えっ?」

「・・・これ、どうやって止まるんだ!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

接近し、風太郎に注意する翔太・・・だが、風太郎からまさかの言葉に、翔太だけでなく、並走してした一花も言葉を失った。そして、その反応の遅れが命取りになってしまった。

 

「うう、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?」

「う、上杉!?」「上杉君!?」

 

翔太と一花の叫びもむなしく、風太郎は物凄いスピードで坂を下っていたのだった。

 

「ア、アハハ・・・フータロー君、行っちゃったね?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

一花の言葉に何も答えず、翔太は風太郎の後を追うべく、スピードを上げようとした。

 

「・・・無視?お姉さん、泣いちゃうよ?これでも、メンタルは「いい加減にしろよ」っ!?」

 

珍しく怒気の孕んだ翔太の言葉に一花の言葉が止まった。

 

「・・・何を考えてるのか知らないし、聞くつもりないが・・・もし、上杉を困惑させたいのが目的なら・・・いくらお前でも、俺は許さないぞ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

翔太の言葉から意味を察した一花は思わず黙り込んだ。翔太自身も、一花・・・彼女に何か考えがあってのことだと思い、さっきも、この場でも追及は特にしないつもりだったが・・・もし、風太郎に対しての悪意を持っての行動であったのなら、話は別だった。

 

無言の一花を置き去りに翔太は風太郎の後を追ったのだった。

 

 

 

(上杉・・・どこにいる!?)

 

翔太はゲレンデを下ったが、風太郎の姿はどこにもなかった。風太郎を探し、方々を探したのだが、どこにも姿が見えなかった。もしかしたら、ゲレンデの途中で、何かあったのかと思い、もう一度、ゲレンデを下ったのだが、風太郎の姿はどこにもなかったのだった。

 

(くそっ・・・あんな身体で無茶してなきゃいいが・・・!)

 

いつもの風太郎であれば、翔太がここまで心配・・・まぁ、もやしっ子の風太郎だから、心配したかもしれないが、風邪で体調を崩している風太郎がこれ以上悪化しないように見張る約束をしていたのに、依頼人を見失った翔太は思わず歯ぎしりしていた。その時だった・・・

 

『♬♩♬』

「っ・・・上杉!・・・もしもし・・・上杉、お前、今どこに!?」

『佐桐、力を貸してくれ!』

「っ・・・!」

 

電話越しに聞こえてきた風太郎の声に、ただ事ではないと悟った翔太は風太郎の話に耳を傾けた。

 

 

 

「遭難・・・?」

「ああ。いくら広いゲレンデとは言え、6人がこれだけ動き回って、会わないのは不自然だ」

 

風太郎がマップを広げ、状況を説明していた。それを一花たちが聞いている一方で、五月が遭難しているかもしれない、という事態になっていることを聞いた翔太は柱にもたれかかりながら静観していた。その表情は珍しく険しいものになっていた。

 

「五月はスキーに行くって、言ってんだよね?」

「え・・・うん・・・もしかしたら、上級コースにいるじゃない?」

「そこは私も行ったけど、いなかったわ」

 

三玖の言葉に応えながら、一花が述べた推測を二乃が否定した。

 

「ちょうど、入れ違ったのかも、私、見に行ってみるよ」

「・・・!あっ、ここまだ見てないかも」

「「「「えっ?」」」」

 

一花がもう一度、上級コースに探しに行こうとした時、四葉が指さした場所を翔太以外のメンバーが見た。そこは、

 

「えっと、最初に先生が言ってたよね・・・」

「まだ整備されていないルートで危険だから、立ち入り禁止って・・・」

 

その言葉に全員が焦り出す。

 

「本当にいないか、コテージに見に行く」

「私は先生に言ってくるよ!」

「ちょっと待って!もう少し、捜してみようよ」

「なんでよ。場合によっては、レスキューも必要になるのかもしれないのよ」

 

動き出そうとする姉妹たちを一花が制止するも、二乃が反論する。だが、一花も諦めずになんとか場を鎮めようとしていた。

 

「えっと・・・五月ちゃんもあんまり大事に「いい加減にしろ!」っ!?」

 

だが、そんな一花の言葉は、場を静観していた翔太により遮られた。その表情と声には確かな怒りが籠っていた。

 

「ここまで事態が大きくなっているんだ!まだそんなことを言ってるつもりか!?」

「・・・・・っ!」

「こいつと同じ考えなのは癪だけど・・・佐桐の言う通りよ。五月の命がかかってんの!気楽になんていられないわ」

「・・・・・ごめんね」

 

翔太と二乃にそう言われ、一花は思わず目を反らしながら、謝罪した・・・だが、翔太と二乃の言いたいことは、同じように聞こえたが、その意味は全く異なっていた。

 

「・・・っ!お前、まだ続けるつもりなのか!?いい加減にしろよ!」

「さ、佐桐さん!どうしたんですか・・・お、落ち着いてください!」

 

苛立ちを隠せない翔太に、翔太の考えが分かっていない四葉が、翔太が一方的に一花に苛立ちをぶつけていると思い、仲裁に入った。その横で風太郎が熱に苦しみながら、頭を働かせていた。

 

「どこだ・・・どこにいる、五月(だめだ、熱で頭が・・・考えがまとまらない・・・・・あと少しなんだ・・・!)」

「フ、フータロー・・・もう休んだ方がいいよ!」

(フータロー・・・フータロー・・・?待てよ、確か・・・今日どこかで・・・)

『上杉君』

「・・・!(そうか、そういうことか・・・!五月は・・・!)」

 

その事実に気付いた風太郎は、動き出そうとして・・・ついに限界を超えてしまった。

 

ガクッ・・・ガシッ!

「さ、佐桐・・・?」

「ここまでだ・・・あとは俺に任せろ」

 

その場で崩れ落ちそうになった風太郎の体を抱きしめ、翔太はそう告げた。それを聞いた風太郎は・・・

 

「佐桐・・・五月は・・・・・(ボソボソボソ)」

「っ・・・!お前、気付いて・・・?」

「・・・悪い、頼むわ・・・」

「・・・ああ」

「う、上杉さん!?」「フータロー!?」

「三玖、四葉・・・上杉を先生の所に連れて行ってくれないか?二乃、二人に付いていてくれ・・・二乃の方が、落ち着いて先生に説明できるだろう?」

「だ、だけど・・・五月は・・・!?」

「安心しろ・・・五月の行方は見当がついた」

「本当!?」「えっ・・・?」「本当ですか!?」

「ああ・・・だから、これから五月を迎えに行ってくる・・・お前にはこっちに付いてきてもらうぞ・・・・・一花」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そう言って、翔太は一花へと声を掛けた。その言葉に一花は何も答えることができなかった。

 

 

 

「さて・・・それで?・・・どうしてこんなことをしたんだ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ゲレンデのリフトに乗りながら、翔太は一花へと尋ねていたが、一花はだんまりを続けていた。その様子に、翔太はため息を吐いた。

 

「おい・・・あそこを見てみろ」

「えっ・・・?」

「あそこだ・・・あれ、もしかして五月じゃないのか?ほら、今、下を滑ってる、赤いジャケットの女子だよ」

「・・・そうかな?あの子は、違うんじゃない・・・?」

「そうだろうな・・・あの赤いジャケットを着てる人・・・どう見ても男だからな」

「っ!?」

「そもそも、五月は遭難なんてしてない・・・なぜなら、」

 

翔太の言葉に、一花は・・・いや、彼女は完全に言葉を失った。そのまま翔太は彼女のフードに手を掛け、

 

「・・・本物の五月は・・・ずっと一花のふりをして、俺たちの近くにいたからな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「お前は目が悪いから、眼鏡がないと、こんな吹雪じゃ男女の見分けすらつかなくなると思ったよ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「さぁ、聞かせろ。どうしてこんな大事になるまで黙ってたんだ?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

翔太の声には、まだ怒気があったが、先程までのものではなく、呆れと疑問が混じっていた。リフトが振動しながら登っていく中で、ようやく五月が口を開いた。

 

「・・・いつから、気が付いていたんですか?」

「違和感を持ったのは、一花のフリをして、初めて会った時だ・・・確信を持ったのは、お前が、上杉のことを『上杉君』と呼んだ時だ」

「あっ・・・」

「一花は、上杉のことを名前と君付けで呼んでる。上杉もそのことに気が付いて、俺にそれを伝えてくれたよ。俺や上杉だって、そのくらい気が付く・・・そのくらいはお前たちのことを知ってるさ」

 

そう告げる翔太の言葉に、五月は俯き、ズボンを強く握りしめていた。

 

「すみま・・・せんでした・・・私、確かめたくって・・・」

「・・・確かめる・・・?何をだ?」

「私・・・昨日、見てしまったんです・・・その、一花が上杉君にキスをしようとしているところを見てしまいまして・・・」

「・・・ほう」

「まだ3か月で・・・そんな関係になるなんて、思ってもみませんでした。でも、男女の仲になるに至って、私は彼のことを何も知りません・・・知らなさすぎる・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「男の人は・・・もっと見極めて、選ばないといけないんです・・・」

「・・・・・・それで、今回の計画を思いついたわけか?」

「・・・・・・・はい」

 

五月の独白を翔太は静かに聞き続けていた。全てを語り終えた五月に、翔太は・・・

 

「この不器用馬鹿・・・」

ペチン!

「きゃぁ!」

 

その額にデコピンを喰らわしていた。いきなりのデコピンに五月から可愛い悲鳴が上がった。

 

「な、なにをするんですか!?」

「そんなことのためにここまでやらかしたのと、爪が甘すぎる馬鹿の頭にデコピンを喰らわせたんだよ」

「なぁ・・・だ、誰が馬鹿ですか!」

「お前だ、お前!人が散々忠告したのに、ここまで状況を悪化させたお前に言ってるんだ!」

「・・・・・っ!」

 

翔太の言葉に、何も返すことができない五月は言葉を詰まらせた。

 

「ったく・・・まぁ、上杉も上杉だがな。無理をするなって散々言ったのに、あんなになるまでお前を探してたんだ・・・お前だって、そこんところはよく理解してるだろう?」

「は、はい・・・それは、分かってます」

「・・・・・さっきの言葉・・・お前も何か抱えてんだろうが・・・それを人にぶつけるときにはもっと考えろ。行動によっては、それは誰かを傷つける凶器にだって、なり得るんだ」

「・・・・・す、すみません・・・軽率でした」

「・・・いや、俺もお前に謝らないといけないしな・・・」

「えっ・・・?」

 

翔太の言葉に、思わず五月は顔を上げた。翔太を見ると、気まずい表情で目を反らしていた。

 

「俺も・・・お前がこんなことをしている理由を知らずに、何度か怒鳴っちまったし・・・その、悪かったな」

「・・・・・・・い、いえ」

「・・・実はな、さっきの言葉には続きがあるんだ」

「・・・続き、ですか?」

「ああ・・・行動や言葉は、時には人を傷つける凶器になる・・・だが、それを上手く使えば、誰かを助けるツールとしても使える・・・言動も道具も使い方は変わらない。変えられるのは使用者の心次第、ってな」

 

誇らしげに語る翔太の言葉に、五月はその言葉に心当たりがあった。

 

「その言葉って・・・」

「ああ、父さんの言葉だ・・・戻ったら、上杉や二乃たちにちゃんと謝れよ?それが、今のお前にできる、正しい使い方じゃないのか?」

「・・・・・は、い・・・!ごめん、なさい・・・・ごめんなさい!!!」

「・・・俺以外、誰も聞いちゃいねーから・・・好きなだけ泣けよ」

「・・・さ、さぎ、り、君・・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

翔太の言葉に、限界にきた五月はついに泣き出してしまった。その鳴き声を翔太は静かに受け止めていた。

 

(結局、泣かしちまったか・・・最後の言葉は余計だったかな?)

 

翔太が憧れる父・・・壮吉なら、もっとうまくやったのだろうかと思っていたが、今の自分には、五月にこれ以上、負の感情を貯めてほしくないと思い、そう言葉を掛けたのだった。五月が泣き止むまで、翔太はリフトに揺られながら、静かに待つのであった。

 

 

 

次回 仮面ライダーW 

 

『Fの修学旅行/結びの伝説』

これで決まりだ!

 

 




・・・実は今回3話構成だったんですが、このお話が長くなり、4話構成になったりしてます。

ということで、次回で林間学校編もクライマックスです。

次回更新 31日0時予定
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