新章『Nのさよなら』編スタートです。
オリキャラのマスターにちょっと触れたり、
風都イレギュラーズがどんどん出てきたりします。
それではどうぞ!
第24話 「Nのさよなら/クイーンとエリザベス」
(結局、バイヤーからガイアメモリを購入した人物『Q』の正体は分からずじまいで、幾ばくか時間が経ってしまった。それでも大きな事件が起きてないのは幸いとも言えるのかもしれない。それまで何件かメモリ関連の事件もあったが、どれも量産型メモリでの事件であり、『Q』に関連するものではなかった)
放課後・・・廊下を歩きながら、翔太は最近起きた出来事を整理していた。未だ『Q』の正体は分からずじまいであった。そして、それにも関わらず、翔太が気にするイベントがもう間もなくスタートしようとしていた。そんなことを考えていると、廊下で風太郎に遭遇した。
「おっ、上杉」
「・・・佐桐」
「・・・来ちまったな、あの期間が・・・」
「ああ・・・明日から期末試験のテスト週間だ!」
(・・・そうなんだよな。明日から期末テスト期間なんだよな・・・『Q』のこともあるし、その上・・・まだフィリップが本調子じゃないんだよな)
次々と重なる出来事に思わず、気持ちが重くなる翔太。肩や頭まで重くなったのは気のせいだと思いたいほどだった。そして、風太郎はというと・・・
(初めての期末テストは平均20点。そして、中間テストで平均26点。この伸び率を考えると・・・何事もなければギリいける!そう!何事もなければ!)
内心冷や汗を流しながらも、中間テストのリベンジ戦に燃えていた。互いに色々と背負う中、二人は五つ子たちを勉強会に誘おうと・・・
「すみません!今日は陸上部の皆さんのお手伝いがあるんです!」
と、ジャージ姿の四葉には両手を合わせて謝られ、
「試験勉強は明日からでしょ?今日くらいは映画観に行かせなさいよ」
と、二乃・五月(五月はホラー映画ということで渋っていたが・・・)には断られ・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ま、まぁ・・・明日からが本番だからさ?まだノーカン、何事もないって」
「い、一花の言う通りだぞ?明日からは本気を出してくれるさ(・・・多分)」
「元気出して、フータロー。明日は大丈夫だよ」
図書室で沈んだ表情の風太郎に、フォローの声を掛ける一花、翔太、三玖。流石の翔太も絶対とは言えない・・・という本心だけは心の内に秘めたのだった。
「だといいが・・仕方ない、今日は各自自習にするか」
「そっか・・・」
(・・・まぁ、しょうがないか。うん・・・?)
風太郎と三玖が一花に映画のチケットを押し付けられているのを眺めながら、手持無沙汰になってしまった翔太はスタッグフォンに届いたメールに気付いたのだった。
五つ子たちのマンションへと向かう風太郎に断りを入れてから、翔太は喫茶店『ウィンドウ・シティ』を訪れていた。
「待たせたな」
マスターに挨拶してから、翔太はもう既に来ていたメールの送り主たちに声を掛けた。
「もう・・・遅いよ、翔ちゃん!」
「というか、まだまだガキだね、翔太?」
「・・・・・タメ口でいいといったのはお前らだろう。クイーン、エリザベス」
翔太に呼ばれ、振り返ったのは今どきのギャルメイクが特徴的な女性二人組だった。
ロングヘア―の女性がクイーン、髪をシュシュで纏めたポニーテール姿の女性がエリザベス・・・そう、彼女たちはダブルの協力者である風都イレギュラーズの一員だ。
「というか、マスター!また腕上げた?」
「そうそう!この紅茶とシフォンケーキの組み合わせ、マジ最高なんだけど!」
「・・・・・誉め言葉どうも」
ハイテンションの二人の誉め言葉を冷静に受け止めるマスター。実は彼こそが風都イレギュラーズの総括であり、『風都の鷹』と呼ばれる凄腕の情報屋なのだが・・・その話はまた今度にしよう。
翔太は自分を呼び出した二人に本題を切り出した。
「それで・・・どうだった?何か分かったか?」
「う~ん・・・流石に『Q』ってだけじゃ、情報が少なすぎるよ・・・」
「そうだね・・・学校関係ってことで、後輩とか知り合いの情報網を片っ端から当たってみたけど・・・」
「・・・・・当たりはなしか」
「一つだけ、もしかしたらみたいなのがあったよ!」
「・・・あったのかよ!?」
エリザベスの言葉に、翔太は驚き立ち上がった。そう、フィリップが不調の中、『Q』が学校関係者かもしれないと思い、翔太は二人に情報収集を依頼していたのだ。
クイーン&エリザベス・・・彼女らは現役女子大生であり、今、注目を集めるアイドルユニットでもある。その圧倒的なカリスマ力での情報収集はかなりのもので、今回のような学校関係、芸能界などの面での情報は彼女たちに頼るのが一番だったのだ。
「もう。座りなよ、翔ちゃん?」
「だから子供なんだよ?」
「・・・・・はいはい。いいから、その情報を早く教えてくれ」
子供扱い(実際に年下だから当たり前なのだが・・・)され、辟易しながらも情報を尋ねる翔太。そんな様子の翔太に「「かわいくなーい」」と定番の台詞を述べながら、二人は話し始めた。
「実はね・・・その『Q』って、もしかしたらQ値のことなのかもしれないよ?」
「Q値?なんじゃそりゃ?」
「私も大学で友達から聞いたんだけど、電子工学で共振・・・?だったかな、その値を表すものらしいんだけど・・・最近こんな手紙が届いたっていう後輩がいたんだ」
クイーンとエリザベスの説明を受け、その手紙を広げる翔太。そこには、
『裏の女帝である汝に雷の制裁が訪れるであろう Q』
「・・・これ以外にはなにもなかったのか?」
「うん。その娘も気味が悪くなって、先月、私に相談してきたんだ。翔太に相談するまでもないと思ってたんだけど・・・『Q』って聞いて、もしかしたらと思ってね?」
「・・・・・その娘の大学はどこなんだ?」
「すぐ近くだよ。ここから電車で2駅の学校」
同一人物の仕業だと、翔太は思った。手口が古田の時と酷似していたからだ。だが、ガイアメモリは置かれていないことが引っかかっていた。
「そもそも、どうしてその・・・Q値、だったか?・・・それが関連してくるんだ?」
「手紙にあった、『復讐の雷』って文字。独特な表現だよね?もしかしたら、日常生活でそれに関連するもので雷って文字を使ったんじゃないのかなって?」
「私たちも作詞を依頼する時、作詞家の人に普段使ってるフレーズが出ちゃうことがあるって話を聞いたことがあったからさ」
「・・・いつものフレーズ・・・待てよ・・・!」
二人の話にもしかしたらと思い、翔太は古田から受け取った件の手紙を見直した。
『汝に塔による裁きの雷を授けよう Q』
「クイーン、エリザベス・・・どうやらその線が濃厚みたいだぜ?」
「「・・・マジ!?」」
翔太の言葉に喜びを表す二人のテンションは更に上がったのだった。
「・・・あー、フィリップ。大丈夫か?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
二人と別れ、秘密のガレージにいるフィリップを訪れた翔太。そろりとドアからガレージを覗くと黙り込んだフィリップがいた。
「・・・翔太?ああ、すまない・・・大丈夫だ」
「そ、そうか・・・もう検索は終了したのか?」
「・・・フハハハハハハハ!」
翔太の質問にいきなり高笑いを始めたフィリップ。いきなりの相棒の行動に、流石の翔太もポカンとしてしまった。
「・・・翔太。今、僕は最高にテンションが上がってるよ!」
「・・・お、おう」
「これほどまでに検索の仕様があるものは初めてだよ!『地球の本棚』のありとあらゆる該当する情報を閲覧したが・・・今の僕の状態に当てはまる情報はまったくといってなかったんだよ!」
「・・・・・(あー・・・これ、寝てなさ過ぎて一周回って、バカテンションになってんな)」
「だから、翔太!僕はこれからパソコンでの検索に入りたいと思う!もし急用ならば、今の内に済ませてくれないかい!」
いつもの知識欲が良くない方向に大暴走していると理解した翔太は額に手を当てた。頼みごとが終われば、速攻で寝かせるべきだと決めた翔太は、とっとと本題に入ることにした。
「クイーンたちからの情報だ・・・『Q』に関して分かったことがある」
「・・・・・ほう。それは興味深いね」
興味を惹かれたフィリップは翔太の話に耳を傾け始めた。『Q』の意味が電子工学のQ値ではないか、手紙に書かれている『雷』の文字など
「・・・つまり、犯人は電子工学に関係があり、学校などに頻繁に立ち寄っている人物という可能性があるわけか・・・」
「・・・ああ。それを考慮した場合・・・可能性は一つだ。おそらく犯人は・・・セキュリティ関連の人間だ」
「・・・なるほどね。個人情報、だね?」
「ああ」
翔太の推理を理解したフィリップはホワイトボードへと情報を書き込み始めた。
「その手紙の一件や古田のことを考えた場合、犯人はどうやって彼らの情報を知ったのか、という疑問が浮かぶ」
「ああ。だが電子工学に関連しているとすれば、学校関係者で該当する職業は・・・監視カメラやインターネットセキュリティなどを担当する職種の人間だ」
「君の言う通りだろうね。それにこの付近であれば、同じセキュリティ会社に委託をしている可能性も高いだろうね」
「ああ。どうだ・・・?これで、犯人の目星はつきそうか?」
「・・・・・分からない。だが。検索をしてみる価値はあるだろうね」
「・・・それじゃ、『地球の本棚』に入ってくれるか?」
「了解した」
翔太の言葉にフィリップは検索を開始した。
「・・・検索を始めよう。特定したいのは、『Q』の正体、もしくは購入したメモリの詳細。キーワードは、『雷』『学校』『セキュリティ』」
フィリップがキーワードを述べていくが・・・
「・・・参ったね。本がなかなか減らないね」
『・・・それじゃ、キーワードに『Q値』を加えてみてくれ』
「・・・・・駄目だ。あまり本が減らない」
翔太の提案に、キーワードを追加するも本が減らず、困惑するフィリップ。
「何かを見落としている・・・それともキーワードが足りない・・・?」
『・・・見逃し?』
これ以上は検索してもしょうがないと感じたフィリップは『地球の本棚』から意識を現実世界へと戻した。
「すまない、翔太。うまくキーワードが組み合わない」
「・・・『Q』の意味が違うのか?」
「・・・・・その可能性が高いね。他のキーワードと違い、そのキーワードだけ本がほとんど変動しなかった」
「・・・・・やっぱり『Q』の意味か、ガイアメモリの名前が分からないと駄目か」
フィリップの分析に翔太は、以前入手したガイアメモリのリストを見ていた。
「どうしてリストにメモリの頭文字しか載せないのかね?」
「情報秘匿としては当然だと思うけどね」
そう言うフィリップは・・・リストの『Sold out』と書かれたガイアメモリの頭文字をホワイトボードに書いた。『P』は林間学校で倒したパペティア・ドーパントのものだ。そして、Qが購入したもう一つのメモリは・・・
「『H』のメモリ・・・一体、何のメモリなんだろうな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
翔太の疑問の声に、フィリップは首を振って答えることしかできなかった。
「悪かったな。疲れてるところ」
「気にしないでくれ。Wのことは最優先事項だろう?」
「・・・そう、だな」
「それじゃ、僕はネット検索に・・・!」
「その前に・・・いい加減に睡眠を取りやがれ、この検索バカ!?」
今から検索を開始しようとするフィリップにツッコミを入れた翔太。この後、2時間に及ぶ押し問答の上、フィリップを寝かせることに成功した翔太だった。
次回 仮面ライダーW
『Nのさよなら/姉妹喧嘩』
これで決まりだ!
まずはクイーン&エリザベスの登場回でした。
中盤まで風都イレギュラーズがまぁまぁの頻度で登場しますので、ご期待頂ければと思います。