仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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フィリップが二乃のフラグを回収してしまったため、翔太と風太郎の会話回です。

前話・今話共に次章のフラグ回にもなります。

それではどうぞ!


第27話 「Nのさよなら/絶望の中で・・・」

五月が佐桐家で一晩を過ごした翌日・・・

 

(俺と一緒に家に帰って来た五月は、フィリップからの謝罪を受けた。事情を知らなかったフィリップも今回のことは自分が全面的に悪いと思ったのだろう。五月も謝り返していたから、互いに謝り続ける奇妙な光景になっていたな・・・そんな一晩があったわけだが・・・)

「・・・五月。お前、教科書は大丈夫なのか?」

「・・・ご心配なく・・・四葉に制服・鞄と一緒に持って来てもらいましたから・・・」

「・・・財布は?」

「・・・・・あっ」

「・・・・・おい」

「・・・すみません。完全に忘れてました・・・」

 

五月と共に登校しながら、定番と化してきた漫才を繰り広げる翔太。昨日、連絡を受けた四葉から荷物を受け取った五月。流石に家出先の場所を知られたくなかったらしく、佐桐家の外で会っていたのだ。

 

「その・・・四葉も忙しそうだったので・・・」

「・・・そういえば、昨日は用事だって、三玖が言ってたな。何の用事だったんだ?」

「・・・えっ。聞いてないのですか?」

「・・・何のことだ?」

「陸上部の助っ人で大会前の練習があるらしいですよ」

「・・・は?」

 

五月から告げられた事実に、翔太の間の抜けた声が住宅街に響き渡った。

 

 

 

「四葉!試験期間に入ったら、辞めるんじゃなかったのか!」

「・・・すみません~!」

「ストップ、ストップ!?やり過ぎだ、上杉!?」

 

放課後・・・陸上の練習中の四葉を捕まえた翔太と風太郎。思いっきり四葉のリボンを掴む風太郎の過剰行為に、流石に待ったの声を掛ける翔太。四葉が悲鳴を上げながら、謝っていた。

 

学校に登校して、五月から聞いた情報を風太郎と共有した翔太。四葉に関しては風太郎も初耳だったらしく、物凄い表情をしていたのは余談だ。というわけで、部活前に四葉を捕まえた二人は彼女を糾弾しているところだった。

 

「バスケ部の時みたいに断ることはできなかったのか!?」

「一度は断りましたが・・・でも、このままじゃ駅伝に出られないと・・・」

「流石に駅伝の知り合いを探すのは難しいな・・・」

「・・・流石の佐桐も厳しいか。はぁ・・・得意のお人好しが出たな・・・今すぐ止めろ。これ以上、問題を増やさないでくれ」

「内緒にしててすみません。でも、家では上杉さんの問題集を進めてますから」

「・・・!(あれさえ覚えててくれたら・・・いや、四葉にそんな器用なことができるとは思えねぇ)」

「・・・練習時間を減らしてもらうことも難しいのか?」

「そう、ですね。もう大会も近いみたいで・・・」

 

風太郎が思考を巡らせる横で、翔太が四葉にそう問いかけるも、四葉の表情から見るとそれはかなり厳しいようだ。そんなやりとりをしていると、

 

「中野さーん、練習再開するよー!」

「はーい!・・・私!頑張りますから!」

「あっ!まだ話は終わってねぇぞ!逃がすかよ!?」

 

と意気込んで風太郎が四葉を追いかけていったのだが・・・

 

「ゼッ、ハァ・・・ゼッ、ハァー、ヒュゥゥゥ・・・!」

「た、体力・・・なさすぎだろう・・・!(よ、四葉の奴・・・凄い運動神経だな・・・!?)」

 

膝を着き、過呼吸を起こしかかっている風太郎にツッコミを入れながら、自身からも逃げ切った四葉の運動神経に関心する翔太。四葉の説得は明日以降にするしかないと思い、風太郎の回復を待っていると・・・

 

「・・・あっ!あれは、二乃か?」

「・・・な、なに!?」

 

翔太の言葉に顔を上げる風太郎。翔太が言う様に二乃が二人の前を歩いていた。慌てて駆け寄り、声を掛ける風太郎。

 

「二乃。学校来てたのか。この前のことは気にしてないから家に帰ってみたらどうだ?な?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あいつらとも仲良くできるって・・・また昔みたいにさ?」

「・・・・・分かった。帰るわよ」

「・・・!そうか!」「・・・・・・・・」

 

二乃の言葉に喜ぶ風太郎。一方の翔太は察していた・・・二乃の表情が昨日と変わっていないことを・・・その結果・・・

 

「・・・って、昨日泊まってたホテルじゃねーか!?」

「・・・・・こうなるような気はしてたんだよな」

 

二乃についてきた風太郎と翔太は別々のリアクションを取っていた。ホテルマンに制止されかけた風太郎を抑えながら、翔太も二乃の説得に加わった。

 

「二乃!試験はどうするつもりだ?」

「中間テストの言葉はどうした!?あの言葉は嘘だったのか!」

「俺が・・・俺達が合格させてやる!だから、「試験なんて・・・」っ!?」

 

説得する二人の言葉を二乃の視線が黙らせた。その目は、憎悪と怒りの染まっていた。こうなったのはお前たちのせいだ・・・その目はそう物語っていた。その視線に翔太までもが言葉を失ってしまった。

 

「試験なんて・・・合格したからなんなの?・・・・・どうでもいいわ」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

そう言って、ホテルの部屋へと向かう二乃に、風太郎と翔太は何も言うことができず、見送ることしかできなかった。

 

 

 

「・・・それでは説得は・・・」

「・・・厳しいだろうな」

 

家に戻り、夕飯を食べながら、二乃と四葉の説得が失敗に終わったことを五月に話す翔太。

 

五月が佐桐家に滞在することを許可・・・もとい半ば諦めた翔太は、顔を出していないフィリップの分の夕飯を取り置きしながら、どうしたものかと頭を悩ませてた。

 

もちろん、二乃や四葉のこともあったが・・・今は目の前のことに頭を悩ませていた。

 

「あのー、佐桐君・・・・・もう一杯おかわりしてもいいですか?」

「・・・・・マジか」

 

一応居候という自覚があるらしく、遠慮がちにおかわりを聞く五月に翔太は炊飯器を覗き込んだ。そこにはあと一人分のご飯が残っていた。

 

「・・・お前、何杯食ったか分かってるか?」

「えっ・・・・・控えめにして、3杯目ですけど?」

「・・・・・そうか(・・・控えてこれかよ。こいつの大食いを舐めてた・・・上杉家に泊らせなくって本当に良かったな)」

 

明日の分は炊き直し確定だなと思いながら、五月の茶碗に4杯目のご飯を注いでいく翔太。

 

「それよりも・・・五月。お前はテスト勉強進んでんだろうな?」

「も、もちろんですよ!問題集も解いてますよ!」

「・・・それならいいが・・・ともかく二人の説得は俺と上杉に任せろ。お前はテスト勉強しながら・・・二乃に謝る言葉でも考えとけ」

「・・・・・・・・分かりました」

 

翔太の言葉に渋々頷く五月。

 

その日から、翔太と風太郎の激闘の日々が始まった。

 

「俺たちに任せて、試験勉強に集中しろ」

 

姉妹たちを心配する一花と三玖に心配するなと声を掛け、二乃と四葉の説得に赴くが・・・

 

「やぁ、偶然だね」

「普通に話しかけろよ!?二乃、少しでいいから話を・・・!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

学校で二乃を説得しようにも見事に無視され・・・

 

「よ、四葉・・・・・ゲホッ!」

「上杉!?ちょっとは頑張れよ!?四葉、逃げずに話を聞け―!?」

 

全速力で逃げる四葉と追いかけっこする羽目になり(体力がない風太郎は容赦なく置いていきました)、

 

「二乃、話を聞いてくれ!?」

「すみません、怪しい者かもしれませんが、一応知り合いで・・・やっぱり駄目?」

 

再度ホテルで二乃に声を掛けるも、またしてもホテルマンに制止される二人。半ば諦めかけていた翔太だったが、

 

「また来る!俺は諦めねぇぞ!!」

(・・・なら、俺も諦めるわけにはいかないよな)

 

風太郎の言葉に、最後の最後まで足掻いてやることにした。

 

 

 

(とは言ったものの・・・どうしたもんかね)

 

テストまで残り4日。今日も説得は失敗に終わり、一転しない状況に頭を悩ませながら帰り道を歩く翔太。五月という大食いの居候のおかげで佐桐家のエンゲル係数は大上昇していた。そのため、今日は予定にない買い物をしなくてはいけなくなってしまったのだ。

 

(・・・しかも、『Q』のことについても全然情報が集まらねーしな。期末テストが終わるまで、おとなしくしててくれればいいんだけどな)

 

そんなことを考えて歩いていると、周りが騒がしいことに気付いた翔太。もしやドーパントかと思い、その騒ぎの中心に向かうと・・・翔太は思わずその人物に駆け寄った。

 

「・・・上杉!?」

「っ・・・さ、佐桐・・・?」

 

騒ぎの中心人物は風太郎だった。その原因は・・・彼の恰好にあった。慌てて翔太が駆け寄ったのもそれが原因だった。

 

「どうしたんだ、お前・・・なんで・・・そんなずぶ濡れなんだ!?」

「・・・ハハハ・・・ちょっと、な」

 

そう・・・風太郎の恰好は、雨に打たれたかのように頭から足まで全身ずぶ濡れだったのだ。雨が降ったわけでもないのに、ずぶ濡れで街をふらつく風太郎は、人の目を集めるのは当然の結果だった。

 

「・・・悪いな、心配かけた・・・俺は二乃の所に行くから。じゃーな」

 

そう言って、その場を去ろうとする風太郎。だが、翔太はその腕を掴んだ。

 

「・・・そんな顔と恰好でどこに行くつもりだ」

「・・・・・放っておいてくれ」

「・・・・・いいから来い!」

 

その姿を見てられず、翔太は抵抗する風太郎を引っ張った。今のこいつを一人にしておけない・・・それが風太郎を見た翔太の気持ちだった。

 

「・・・ともかく、シャワー浴びてこい!」

 

自宅へと風太郎を引きずって帰り、浴室に放り込んだ翔太。そのまま、フィリップと五月にメールで、風太郎が自宅に来ていることを伝え、フィリップには母屋に顔を出さないように一言付け加え、送信を完了したところで、翔太は風太郎がシャワーから上がってくるのを待った。

 

「・・・・・悪い。シャワーありがとうな」

「気にすんな・・・・・コーヒー淹れたが、飲むか?」

「・・・・・ああ」

 

風呂から上がった風太郎は、少し元気を取り戻したようで、先程と比べれば、顔色が良くなっていた。だが、まだショックが抜けきっていないのか、椅子に座るとグダっとしてしまっていた。それを察したのか、余計なことを聞かずに翔太はコーヒーを淹れていく。

 

「ほら・・・ブラックで良かったか?」

「ああ・・・サンキュー」

 

翔太に手渡されたコーヒーを受け取る風太郎。それを一口含み、

 

「・・・まぁまぁだな」

「・・・えっ!?」

「・・・うん?どうした?」

「・・・な、なんでもない・・・!(マジか・・・フィリップからはいつも酷評なのに・・・はっ!まさか、上杉は俺のコーヒーの味が分かる男なのか!

よっしゃーーーーー!!!)」

 

・・・自身の淹れたコーヒーが好評だったと認識した翔太は心の中で喜びの声を上げていた・・・ちなみに、風太郎がバカ舌だということを翔太は知らない。なので、フィリップの感想の方が正確なのだが・・・そんなことを知る由もない翔太だった。

 

「・・・・・ふぅ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・聞かないのか?」

「・・・聞いてほしかったのか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

沈黙に耐えられず、風太郎が問いかけたが・・・翔太の言葉に話すべきか迷い言葉に詰まった。二人の間に沈黙が募り・・・やはり、動き出したのは風太郎だった。

 

「・・・さっき公園で会ったんだ・・・あの子に・・・」

「あの子・・・?それって・・・この前聞いた、京都の?」

「ああ。それで・・・・・さよならと言われた」

「・・・どういう、意味だ?」

 

風太郎は語り始めた。5年前、京都で出会った自分を変えてくれた少女との再会を・・・

その少女は零奈と名乗った。風太郎の話を聞き、会いに来たのだと。そして、今は家庭教師をしていることを知っていたのだと。五つ子と真剣に向き合っている風太郎は、誰かに必要とされている人物になったのだと・・・

 

その言葉を否定した時、彼女が「もう会えない」と言い、別れを告げられたことを・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・それでそいつは俺の前から姿を消した・・・それで、終わりだ」

 

風太郎の話を翔太は一度も口を挟むことなく、黙って聞き続けた。だが、目だけは風太郎の目をまっすぐ見ていた。

 

「・・・滑稽だろう?それで慌てて追いかけようとして、このザマだ。四葉の言う通り、もっと体力をつけるべきだったな・・・ハハハ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・ふぅ。俺の話はこれで終わりだ」

 

自虐しながら笑う風太郎。だが、翔太は笑わなかった。全てを聞き終えた翔太がようやく口を開いた。

 

「・・・良かったな」

「・・・えっ?」

 

翔太の言葉が理解できず、一瞬呆けてしまった風太郎。そのまま、翔太が言葉を続けた。

 

「お前がその子に尊敬の念なのか、恋愛感情を向けていたのかは分からないが・・・目標としていた人に認めてもらえたのは・・・良かったんじゃないのか?」

「こ、恋って・・・俺はあの子に、感謝とか憧れを持ってただけだ」

「・・・そうか。でもな、もう会えなくなる前にそう言ってもらえたのは良かったんじゃないか?」

「・・・・・佐桐?」

 

見たことのない翔太の姿に、風太郎も思わず首を傾げた。

 

「・・・・・俺もな。父さんを目標にこれまで頑張ってきたんだ。父さんは、いつも俺を半人前扱いしてた・・・でも、俺が7歳の頃・・・父さんはいなくなった」

「・・・っ!?」

「・・・・・多分、もう死んでると思う。俺の目標で、憧れは父さんだった・・・コーヒーを淹れるのも、生き方も・・・俺の目標は父さんみたいなハードボイルドな男だった」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・だからな。いなくなる前に会えたことだけでも・・・奇跡じゃないか?」

 

微笑みながら、語る翔太に風太郎は思わず何も言えなくなった。いつもは頼りになる翔太が弱く見えたのだ。

 

「・・・はぁ。悪い、しんみりしちまったな。あっ、この話は皆には内緒な?」

「あ、ああ・・・」

 

そう言う翔太に風太郎は頷くことしかできなかった。だから、思ったことが口から出てしまった。

 

「佐桐は・・・強いな」

「・・・・・強くなんかねーよ」

「・・・えっ?」

「俺だって、迷いながら進んでる。いつもいつも理想の自分を求めながら、変わり続けてる・・・本当に強い奴はもっと他にもいるさ」

「・・・変わり、続けるか・・・」

『いや・・・俺はあの日から何も変わっていない』

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

翔太の言葉に、零奈に告げた自分の言葉を思い出す風太郎。その言葉が本当に正しかったのかどうか、風太郎は分からなくなっていた。

 

 

 

次回 仮面ライダーW 

 

『Nのさよなら/探偵たちの秘策』

これで決まりだ!

 




本来であれば、風太郎の話を聞くのは二乃でしたが、林間学校編でキンタローの出番を完全にカットしたため、こうなりました。

・・・もっとも次章で特大なブーメランとなって帰ってくる翔太の言葉なのですが・・・(笑)

というわけで次回からフィリップがメインとなります。

フィリップにとってのもうひとつのビギンズナイトがメインとなるお話です。この時点でまだ話が半分も終わってないという驚愕の事実(苦笑)
それでも楽しんで頂ければ幸いです。

それでは。
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