この章もこのお話を含めて あと3話となりました。正直、ここまで長くなるとは思ってなかったです(笑)
それではどうぞ!
追記 『五等分の花嫁』最終巻購入しました!
最後のおまけに、原作のアフターストーリーがこれから書かれてたらいいのに、と思ったのは作者だけではないはず!!
「え?どうしたの、三玖?助けてほしい?」
「何やってんだ・・・」
「三玖は二乃の説得に行ってるんだったよな?」
三玖からのSOSコールを受けた一花を見て、呆れる風太郎。五月と共に一花たちに合流していた翔太は事実を確認していた。
「陸上部の奴らがもうすぐ合宿に出発しちまう。ったく、試験前だってのにとことん勉強を疎かにしやがって・・・」
「彼女たちの言い分も分かるがな・・・だからって、他人にそれを強制させるのは間違ってるよな」
「でも、どうするんですか?直接お願いしに行くんですか?」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
どうするのかという五月の言葉に作戦を考える二人。そんな二人を見て、一花は三玖に返事した。
「ごめん、三玖。こっちも手が離せなくて・・・」
「待て、一花。良い作戦を思いついた!丁度いい。そのまま三玖を連れて来てくれ!」
「で、でも・・・」
「これは四葉のためでもある!急いでくれ!!」
「・・・・・・・・分かった!待ってて」
「・・・?・・・?」
「上杉、どうするつもりだ?!」
風太郎の言葉を受けた一花は走って三玖の元へと向かった。状況が呑み込めない五月はあたふたし、翔太は風太郎に作戦の概要を尋ねた。
「四葉が断れないのなら、お前たちがやればいい」
「・・・まさか!?」
「入れ替わり・・・得意技だろう?」
風太郎の考えを理解した翔太。確かに裏技ではあるが・・・上手くいくのかと心配になった翔太は五月の方をチラリと見た。
「わ、私ですか!?私は入れ替わりは少し苦手で・・・前に一花の真似をした時も心臓バクバクで・・・」
「そ、そうだったのか・・・(全然そんな素振りなかったけどな・・・)」
そんなことを話していると、陸上部の面々が出発し始めてしまった。
「不味いぞ!あいつら出発しやがった!」
「駅に着く前になんとかしないと・・・やりたくもない部活で貴重な土日を潰されてたまるか!」
「ほ、本当にやるんですか!?」
「本当なら三玖が適任なんだろうが・・・来るまではお前にやってもらうしかない!ほら、早くリボン付けろ!!」
「ま、待って下さいよ?!」
風太郎の催促に焦りながらもリボンを装着する五月。五月がリボンを装着し終えたところで、走りながら翔太は尋ねた。
「だけど、どうやって四葉と五月を入れ替えるんだ?!」
「それも考えてる!・・・すぅぅ・・・
痴漢だー!痴漢が出たぞー!!」
「「・・・!?まさか・・・!?」」
風太郎の意図を理解した翔太と五月は急ぎ身を隠した。そして、風太郎の叫びに気付いた陸上部の面々。素早く逃げ出した風太郎の背中を見て、痴漢だと騒ぎ始めた。もちろん、四葉が反応しないわけがなく、
「そこの人、止まりなさーい!」
「「「「中野さん!?」」」」
(かかった!後は頼んだ、五月、佐桐!・・・俺が捕まる前に!)
(なんという捨て身な作戦・・・!)
(だが・・・ナイスだぜ、上杉!)
風太郎を追いかけていった四葉を見送り、頷き合って作戦を決行する翔太たち。茂みから飛び出し、陸上部の面々に合流する五月を見守る翔太。
「ハァ、ハァ・・・あはは。逃げられちゃいました」
「もー、いきなり走り出したからびっくりしたよ。早くしないと予定の電車行っちゃうよ?」
そう言って、移動を再開しようとする陸上部の面々に五月は頭を下げた。
「すみません・・・私、合宿には行けません」
「・・・え?」
五月の言葉に一瞬戸惑う面々。だが、陸上部のキャプテンが口を開いた。
「あなた・・・何やってるの?」
「私・・・!部活を辞めたいんです。来週は試験ですし・・・」
「違う、違う。私が言いたいのは・・・なんで別人が中野さんのフリをしてるの?」
「「・・・!?!?」」
キャプテンの指摘に五月と翔太は息を呑んだ。
その頃、風太郎と四葉は・・・
「私、戻ります!!」
「待て待て!お人好しもいい加減にしろ!どっちも大事なのは分かるが、優先順位ってもんがあるだろう?!お前が一番大切にしたものは何だ!?」
あっさりと捕まった風太郎は事情を四葉に説明していた。それを聞いた四葉は慌てて戻ろうとしたが、それを風太郎が必死に引き留めていた。
「で、でも・・・!?」
「・・・!待て、隠れろ!・・・・・向こうで何かあったみたいだ」
反論しようとする四葉の口を押え、橋の影に隠れる風太郎。
五月と陸上部の方で動きがあったのだ。
「わ、私は四葉ですよー。このリボンを見て下さい!」
「うん。似てるけど・・・違うよ」
(ど、どうして・・・?)(どうしてバレたのでしょう・・・)(なんで分かったんだ!?)
風太郎、五月、翔太、三者三様の驚きをしていたが、キャプテンは見分けた理由を述べた。
「だって、髪の長さが違うもん」
(((・・・確かに)))
このままではマズいと思い、翔太は飛び出した。あくまで一花が三玖を連れて来るまで時間を稼げれば勝ちだと考え、足止めに出たのだ。
「すみません。やっぱり気付きますよね」
「さ、佐桐君・・・!?」
「君は昨日来た・・・」
「2年の佐桐って言います。すみません、驚かしてしまって」
「もう・・・止めてくれないかな?私たちも時間が惜しいのよ。ほら、早く本物の中野さんを連れてきてよ」
苦笑しながら四葉を連れてくるキャプテンに笑いながら翔太は答えた。
「できません」
「・・・は?」
まさかの否定の言葉にキャプテンから間抜けの声が漏れた。
「できないって・・・まだ冗談言ってるの?」
「冗談なんかじゃありません・・・勝手な善意を押し付けて、やりたくないことをあいつにやらせるなって言ってんだよ」
口調が変わった翔太の目が細くなった。その目には怒りの色が映っていた。
「・・・は?あなたは中野さんの保護者か何か?」
「そんなじゃないさ・・・俺とこいつらは友人さ。だから、こいつらが困ってるのを見過ごす訳にはいかないのさ。四葉がやりたくないっていうのなら、俺と上杉はそれの手助けをしてやるだけだ」
「・・・それはあなたがそう思っているだけでしょう?中野さんがそう言ったのかしら?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「あの子には才能がある。陸上の・・・スポーツの天倵がね!あなたは中野さんの才能を殺す権利があるの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そこにいるのも、中野さんの姉妹の誰かなんでしょう?あなたも中野さんの邪魔をしたいの?」
「そ、それは・・・」
翔太と五月がキャプテンの言葉に反論できないでいるのを見ていた四葉は我慢の限界だった。
「もう見てられません!これ以上迷惑を掛けるわけには!!」
「お、おい。待て!?」
そして、翔太と五月の背後から声が聞こえた。
「お待たせしましたー!皆さん、ご迷惑をお掛けしました」
「「!?」」
「中野さん!」
「今度は本物ですよね・・・?」
四葉の登場に驚く面々。なんで出てきたと、翔太が怒鳴ろうとした時だった。
現れた四葉を見て、翔太は驚きの余り言葉を失った。
(な、なんで・・・?!)
「あはは。ちょっとしたドッキリでした。五つ子ジョーク!」
「四葉・・・」「・・・・・・・・・・・・・」
「なんだ。冗談だったんだね。でも、笑えないから止めてよ」
呆ける翔太を横に話が進んでいく。
「中野さんの才能を放っておくことなんてできないわ。私と一緒に高校陸上の頂点を目指そうよ!」
そう言って、キャプテンは四葉に手を差し出した。それを四葉は・・・
「まぁ、私が部活を辞めたいのは本当ですけど」
「「!!」」「え・・・?」「・・・・・・」
笑顔で切り捨てた。四葉の爆弾発言にキャプテンと五月は驚き、風太郎は言葉を失っていた。一方、翔太は事の成り行きを見守っていた。
「な、中野さん?なんで・・・」
「なんでって。調子のいいこと言って、私のこと考えてくれてないじゃないですか?
そもそも、前日に合宿を決めるなんてありえません」
そう言って、キャプテンに近寄った四葉は・・・
「マジありえないから」
地獄の底のように冷えた声でそう告げた。声を聞いた全員が思わず身震いする程だった。
そんな声を間近で聞いたキャプテンは・・・
「はい・・・ごめんなさい」
汗だらだらの表情に涙声で謝罪していた。そんな光景を見ていた風太郎と・・・
「どういうことだ・・・?」
「つ、ついに出た・・・ドッペルゲンガーだー!!!」
自身のそっくりさんが現れたことに悲鳴を上げる四葉は困惑していた。
「うわぁぁぁん!死にたくありませーん!?」
「ドペゲン・・・?待てよ、そうか!」
四葉の言葉に納得がいった風太郎は、遂に三玖が来たのだと判断したのだ。すると、
「ふぅ・・・間に合ったみたいだね」
「一花!間一髪で助かったぜ!お前が三玖を連れてきてくれたおかげで・・・は?!」
風太郎の言葉が続くことはなかった。なぜなら、一花の後ろから三玖が姿を現したからだ。
混乱する風太郎と四葉が状況を把握しようとしていると、翔太と五月、そして、四葉・・・いや、彼女が風太郎たちに合流すべく歩道橋に上がってきた。
「三玖、間に合ったのですね・・・あれ?!」
「私は何もしてない」
「私たちはカツラがないと髪形的にねー」
自分と一緒にいるはずの三玖が目の前にいることに驚く五月。そんな様子の五月を見て、三玖と一花は苦笑していた。
「五月、四葉、一花、三玖・・・ってことはまさか!?」
「・・・声も真似てたから俺も最初は見間違えたぞ・・・」
「アハハ・・・私が着いた時、三玖がハサミを持って立ち尽くしてたの」
ようやく状況を理解した風太郎と彼女の正体に気付き苦笑いする翔太に一花がホテルに着いた時のことを説明していた。
「詳しくは分からないけど・・・きっと何か気持ちの変化があったんだね。
・・・・・二乃」
一花の言葉に視線を向けると、蝶型のリボンを結び直した二乃の姿がそこにあった。
だが、前とは違い、長かった髪の毛をバッサリと切り、ショートヘア―になっていた。
「そんなにバッサリといくなんて・・・もしかして失恋ですかー?」
「・・・・・ま、そんなところよ」
「キャー!誰と~?三玖知ってる?」
「・・・・・さぁ」
「・・・内緒よ、内緒」
盛り上がる五つ子たちの会話に入っていけない翔太と風太郎。すると、二乃が翔太へと近づいた。そして、そのまま懐からある物を取り出し突きつけた。
「・・・受け取りなさい」
「・・・えっ?もしかして、俺にか・・・?」
「はぁ?何言ってんのよ・・・勘違いしないでくれる?」
「お、おう・・・」
二乃の毒舌に流石の翔太もたじろいでしまった。
「・・・フィリップ君に渡しなさい」
「・・・・・っ!?」
二乃の言葉に目線を反らす翔太。だが、そんなことお構いなしに二乃は言葉を続けた。
「そして、伝えなさい。あなたの言葉は確かに受け取ったわ。でも、私はあなたを許さない・・・もし許してほしいのなら・・・・・私に直接謝りに来なさいって!!」
「・・・!!!」
「必ず伝えなさい!・・・それで私を騙してたあんたの罪もチャラにしてあげるから」
「・・・分かったよ。確かに伝える」
「それでいいのよ」
そう言って、二乃は翔太に背を向けた。そんな二乃を見て、翔太は背後へと視線をチラリと向けた。
(そうだってよ・・・相棒)
(・・・・・・・・・・・・・・・・・)
その視線の先には、少し離れた位置から7人を見守っていたフィリップの姿があった。先ほどの会話は聞こえていなかったが、なんとなく意図を読み取ったフィリップは安堵の表情を浮かべるのだった。
一方で二乃は・・・
(さよなら、昔の私たち・・・・・)
短くした髪が風に揺らされながら、二乃が過去の自分へと別れを告げていた。
「四葉」
「・・・!」
「私は言われた通りやったけど、これでいいの?こんな手段取らなくても本音で話し合えば彼女たちも分かってくれるわ」
そう言って、少し照れたように二乃は言葉を続けた。
「あんたも変わりなさい。辛いこともいいこともきっとあるわ」
「・・・・・うん。私、行ってくる!」
「付いていこうか?」
「ありがとう・・・でも、一人で大丈夫だよ」
二乃の後押しを受け、一花の助けを断った四葉は・・・今度は自分の言葉で、自分の本音を告げるために陸上部の面々の元へと向かった。
そして、問題は・・・喧嘩している二乃と五月に移った。
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
「お、お前ら!どっちでもいいから、早く・・・」
「はいはいはい!空気詠み人知らずのお前はこっちにいよーな!」
「さ、佐桐!?け、けどな・・・!」
「・・・あいつらなら大丈夫だ」
「・・・!そう、だな」
翔太に首根っこを掴まれ、その場から離された風太郎。一花と三玖も空気を読んでその場を離れた。残された二人は・・・少しずつ話し始めた。
「二乃・・・先日は・・・」
「待って。謝らないで・・・あんたは間違ってない。悪いのは私よ・・・ごめん。
あんたが間違ってるとすれば・・・力加減だわ。あのビンタは凄く痛かったわ」
「に、二乃ぉ・・・!」
二乃の言葉に涙を目に溜める五月。そして、思い出したかのようにポケットを探り始めた。
「そ、そうです。お詫びを兼ねて、これを渡そうと思ってたんです」
そう言って取り出したのは、
「この前、二乃が見たがってた映画の前売り券です!今度一緒に行きましょう!」
それを見た二乃は一瞬驚き、思わず笑ってしまった。なぜなら、
「全く・・・なんなのよ。思い通りにいかないんだから」
背中に隠した手には、五月が見たがっていた映画のチケットが握られていたからだった。
次回 仮面ライダーW
『Nのさよなら/男たちの決断』
これで決まりだ!
二乃のツンデレ謝罪要求が書きたくて、前回手紙の下りを入れました。
ちなみに、翔太とフィリップが親密な関係だと二乃は気づいてますが、ダブルの片割れが翔太とまでは気付いてません