仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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本当は2つに分けるお話でしたが、くっつけたほうがいいかと思ってこうなりました。

かなり会話文が多いです。
苦手な方はお気をつけ下さい。
それではどうぞ。


第32話 「Nのさよなら/男たちの決断」

四葉が陸上部の面々に合宿に行けないことを説明し、二乃と五月が仲直りしたことで、翔太と風太郎、五つ子たち7人は五つ子のマンションへと戻って来た。

 

戻って来た途端、四葉が玄関で土下座した・・・が、

 

「えー、この度はご迷惑をおかけしまして・・・」

「朝から大変だったねー」「早朝だったのでご飯を食べ損ねてしまいました・・・」

「全ては私の不徳の致すところでして・・・」

「帰りに買ってくれば良かったかな~」「でも今日はシェフがいる」「誰がシェフよ」

「大変申し訳なく・・・」

「おい、お前ら・・・そろそろ構ってやれよ」

 

土下座しながらの四葉の謝罪をスルーしながら、何気ない会話を続けていく五つ子たち。流石に不憫に思った翔太がツッコミを入れるほどだ。

 

「ああ、そうだった。その前に・・・おかえり、二人とも」

「「・・・ただいま」」

 

一花の言葉に照れながら返す二乃と五月。だが、玄関から二人は動かない。

互いに遠慮して、入るのを譲りあっていたのだ。

 

「早く入りなさい」

「お先にどうぞ」

「じゃあ、同時ね?」

「せーの・・・!」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

「動けよ!?」

「おお、ショータ。ナイスツッコミ」

「久々だね、こんなに賑やかなの。よーし、このまま・・・」

「試験勉強だな」

 

翔太のツッコミに三玖が感心する横で、一花の発言を風太郎が遮っていた。

 

「忘れてないだろうな。明後日から期末試験だ。文句ある奴はいるか?」

「も、もちろんそう言おうとしてたよねぇ?」

「分かった、分かった。時間もないから早く始めるぞ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

風太郎の指摘に苦笑いしながら誤魔化す一花に、半笑いしながら応える翔太。

だが、放置されていた四葉に限界が訪れた。

 

「もー!みんな聞いて・・・」

「あ?いつまでそんなこと気にしてんだ。早く入れよ」

「・・・!」

「四葉の気持ちはみんな理解してるってことだ。まぁ、いつまでもそこで土下座していたいのなら、別だけどな」

 

四葉の謝罪をそう答えて、気にしてないと返す風太郎と翔太。

 

「じゃあ、四葉が朝食当番」

「さっ、行こ!」

「・・・・・うんっ!」

 

三玖と一花の掛け声に四葉もようやく部屋へと入ったのだった。

 

 

 

「それで?陸上部の助っ人の件はどうなったんだ?」

「あの後、ちゃんとお話して、大会だけ協力してお別れすることになりました」

 

着替えを終え、二乃が作ったおにぎりで朝食を済ませる翔太たち。そんな中、事の顛末が気になった翔太は四葉に尋ねていた。

 

「大会も断っちまえば良かったのに・・・」

「一度お受けした以上、それはできません!」

「まぁ、練習からは解放してくれたんだ。かなり譲歩してくれたんだろう」

「うーん・・・あの部長、諦め悪そうですから、本当に諦めてくれたんでしょうか?」

 

五つ子たちと離れた場所で、悪態を吐きながらおにぎりを食べる風太郎。その反対側で四葉の決断をフォローする翔太だったが、一抹の不安を感じた五月が苦笑いしていた。

 

「ふん!また何か言われたら教えなさい。今度こそ教育してやるわ!」

「ありがとう、二乃・・・でも、今度は一人でやってみる!」

「・・・あっそ」

 

四葉にそう断られ、残念そうに笑う二乃。そして、朝食を食べ終えたところで風太郎が話を切り出した。

 

「さて、本題に移ろう・・・期末試験のテスト勉強に関してだ」

 

その言葉に五つ子たちと翔太も意識を切り替えた。風太郎が作成した問題集を持ってきていた。

 

「とりあえず問題集は全員終わらせているみたいだけど・・・」

「私たちちゃんとレベルアップしてるのかな?」

「そこら辺はどう思う、上杉?」

 

三玖と一花の心配に風太郎に判断を委ねた翔太。

 

「そうだな・・・元が村人レベルだからな。ようやくザコを倒せるようになったくらいだな」

「・・・それって、期末試験という名のボス倒せるのか?」

「・・・そのためにも、この土日でレベル上げをするしかないな。それに・・・実は秘策も考えてある」

 

風太郎の五つ子に対する評価に翔太までも不安になった。だが、風太郎に秘策があると聞き、思わず五つ子たちと翔太は首を傾げた。

 

「これは村人のお前らでもボスを倒すことのできるチートアイテム・・・

 

カンニングペーパーだ!!」

 

「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」

 

まさかの提案に言葉を失う6人。真っ先に正気に戻ったのは翔太と五月だった。

 

「お、お前?!もしばれたら、赤点どころじゃ済まなくなるぞ・・・」

「あ、あなたはそんなことしないと思ってたのに・・・」

「この作戦が嫌だっていうのなら、もっと勉強するんだな!こんなのに頼らなくてもいいように最後の二日間でみっちり叩き込む!覚悟しろ!」

(・・・へぇ。上手いじゃないか、上杉)

 

風太郎の活に騙された翔太は感心していた。この前の口下手はどこにいったのかと思うぐらいの手腕だった。

 

「・・・・・というように進めていいんだよな?」

「そこで俺に聞くなよ・・・いいよな、二乃?」

「なんで私にだけ聞くのよ!?今まで好き勝手やってきたんでしょう・・・・・やるわよ。よろしく・・・」

「というわけだ。よし、始めるぞ」

 

さっきまでの感心を返してほしいと思いながら、一応二乃に確認する翔太。承諾(?)を得たところで一同は期末試験の勉強をするため、準備を始めた。

 

そんな光景を見ながら、風太郎は思った。

 

自分は本当に5人にとって必要な人間なのか、と・・・

 

『全部間違えてました』

五つ子の中で最も協力的だった四葉。彼女が0点の解答用紙を見せた時はあり得ないと思っていた。

 

『頭いいって言ってたけどこんなもんなんだ』

戦国クイズで一杯食わされ、冷たい視線を浴びせられた三玖。あの時は、死ぬほど勉強し直し、リベンジを挑んで信頼を勝ち取った。

 

『なんでお節介焼いてくれるの?』

女優の夢と姉妹との絆を天秤にかけた一花を引き留めようとしたのは、打算がなかったと言えば嘘になるが、そんな彼女を放っておけないと思った。

 

『あなたからは絶対に教わりません』

自分のプライドと首がかかったせいで、五月とはいらない確執を生んでしまった。あの時もそうだ。自分でなく、佐桐であったらもっとうまくやれたのではないかと。

 

『あなたなんて来なければ良かったのに・・・!』

二乃の言う通りだ。俺が来なければ・・・余計なお節介なんてしなければ・・・

 

(こいつらは今みたいに笑い合いながら、仲良くしてたはずなんだよな・・・)

 

五つ子たちの仲良く勉強する姿を見て、風太郎は決意した。

その視線は五つ子たちの質問攻めに必死で答える翔太へと移った。

 

「おい、上杉!?とっとと手伝いやがれ!問題児5人を俺一人で捌き切れるわけないだろうが?!」

「だ、誰が問題児ですか!」

「そうだ、そうだー!五月ちゃんの言う通りだー!」

「えっ!?問題児って、やっぱり私もですか!」

「四葉・・・あんたは間に受け過ぎよ」

「・・・フータロー。早く教えて?」

 

「・・・ああ、ビシバシ鍛えてやるから覚悟しとけよ」

 

助けを求める翔太とその言葉に騒ぎ出す五つ子たちの呼びかけに、風太郎は寂しい笑みを浮かべながら勉強会に参加した。

 

 

 

そして、土日の(スパルタかつ地獄の)勉強会を終え、迎えたテスト期間。

 

「ついに当日だね」

「大丈夫かなー?」

「やれることはやったよ」

 

学校では、五つ子たちが迫るテストを前に最後の追い込みと気合入れを行っていた。

だが、そこに家庭教師である風太郎と翔太の姿はなかった。

 

「あれ、上杉さんと翔太さんはどこに行ったの?」

「らいはちゃんに電話ですって。私の電話を借りてまで掛けに行ったくらいですから、かなり急ぎの用事ではないのでしょうか?」

 

テストまであと10分の予鈴が鳴る中、それぞれのクラスに移動しようとする中、二人がいないことを疑問に思った四葉に五月が答えた。

 

そんな風太郎がいたのは屋上だった。その横には翔太もいたが・・・その表情は険しいものだった。それは・・・風太郎が今から何をしようとするのかを知っていたからだ。

 

『そうかい。報告ありがとう』

「ええ。五人共頑張ってますよ。これは本当です」

『では、期末試験頑張ってくれたまえ』

 

風太郎の電話先は、愛しの妹であるらいはでは当然なかった。電話の主は五つ子たちの父親であり、家庭教師のクライアントである中野マルオだった。

 

マルオの感情の籠っていない激励を受ける風太郎。だが、それを無視し、風太郎は本題を切り出した。

 

「そこで勝手ではありますが、お願いがありまして・・・」

『なんだい?』

「・・・すぅ・・・

 

今日をもって家庭教師を退任します」

 

『・・・・・理由を聞かせてもらおうか?』

「あいつらは頑張りました。この土日なんてほとんど机の間にいたと思います。

しかし、まだ赤点は避けられないでしょう。苦し紛れの策も案じましたが、あんな物に頼らない奴らだってことはよく知ってます」

『今回はノルマを設けてなかったと記憶してるが・・・』

「本来は回避できるペースだったんです。それをこんな結果にしてしまったのは自分の力不足に他なりません」

 

マルオの問いに淡々と答えていく風太郎。それを静かに聞き続ける翔太の視線は悲しい色を映していた。

 

「ただ勉強を教えるだけじゃ駄目だったんだ。あいつらの気持ちも考えてやれる家庭教師の方が良い。俺にはそれができませんでした・・・そして、あいつらにふさわしい後任はもう見つけてあります。中野さんさえ大丈夫なら、そいつに後をお願いしたいと俺は思います」

『そうかい。引き留める理由はこちらにないし、後任まで見つけてくれているというのなら有難い話だ。その人とは実際に会ってみて決めるとするよ。君には苦労をかけたね・・・今月の給料は後程渡そう』

「ええ、助かります」

『では、失礼するよ』

 

そう言って、通話を終えようとするマルオ。だが、それを風太郎はよしとしなかった。

 

「あの・・・一度ご自身で教えてみてはどうでしょう?」

『!』

「家庭教師では限度があります。父親にしかできないこともあるはずです」

 

風太郎の言葉に一瞬驚いたマルオだったが、すぐさま冷静になり返答した。

 

『いや、私も忙しい身でね。それに他人に家庭のことをどうこう言われたくはないな』

「そうですね。失礼しました・・・でも、最近家に帰られたりしてますか?」

『・・・・・・・・・・・・・・・・』

「・・・知ってますか?二乃と五月が喧嘩して家出したことを」

『初耳だね。もう解決したのかい?』

「はい」

『それならいい。教えてくれてありがとう。では・・・』

「それだけですか?」

 

再度通話を終えようと相手の意志を無視し、風太郎は言葉を繋げた。こいつにはどうしても言ってやりたいことがある・・・風太郎の語気が更に強まった。

 

「なぜ喧嘩したのか気になりませんか?あいつらが何を考え、何に悩んでいるのか知ろうとしないんですか?」

『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 

風太郎の追及に何も答えないマルオ。そんなマルオに言いすぎたのかと思ったか、風太郎は明るい声で謝り出した。

 

「って、すみません。家庭教師如きが雇い主に向かって生意気言って・・・あ。もう辞めるでした・・・それじゃ、最後に一つ。

 

少しは父親らしいことしろよ!馬鹿野郎が!!」

ピッ!

 

「・・・やべぇ。今月の給料ちゃんと貰えるかな?」

「・・・いいじゃないか?さっきの言葉は給料以上の価値があったと思うぜ?」

「・・・・・だといいんだがな」

 

乱暴に電話を切り、冗談交じりの言葉と共に笑う風太郎に翔太も笑みを返していた。そのまま、風太郎は翔太へと歩み寄り・・・・・頭を下げた。

 

「頼む、佐桐。俺からの最後の依頼だ・・・あいつらのこと、家庭教師の引継ぎを頼む」

「・・・・・上杉。俺は・・・」

 

風太郎の依頼に、翔太は・・・・・

 

 

 

(・・・ふぅ。あいつらがどんな反応するかね)

 

期末試験を終え、テストの返却を受けた翔太は重い足取りで学校を出ようとしていた。五つ子のマンションへと向かう予定の翔太は、これから五つ子たちに告げる事実を心配していたのだ。そんな翔太の前に、一台の高級車が止まった。

 

「・・・・・?」

「・・・佐桐翔太君だね?」

「・・・!あんたは・・・」

「乗りたまえ。新しい家庭教師の君と話がしたい」

 

翔太が不思議がっていると、窓が開き、その人物が顔を出した。五つ子の父親であり、風太郎の雇い主であった中野マルオその人だった。マルオの誘いに翔太は迷いなく車に乗った。

 

「楽にしてくれ。君が上杉君の後任の家庭教師で間違いないかね?」

「・・・そういうことになりますね」

「上杉君が後任は見つけてあると聞いていたが、期末試験以来、連絡を取ってなかったから、君とコンタクトを取るのが遅れてしまってね。挨拶が遅れてしまってすまない」

「気にしないでください。お仕事がお忙しいことは伺っていましたから」

 

淡々と話していくマルオに翔太も敬語と笑顔で答えていく。

 

「早速だが、家庭教師の件だ。君は上杉君の手伝いをしていたと聞いていたが?」

「そうですね。上杉から依頼を受けて、少しだけ手伝いをしていました」

「その分の報酬は受け取っていなかったのだろう?その分の報酬も渡すつもりだから、後で協力した時間を教えてくれ。それと、基本報酬は月10万円でいいかな?他にも要望があれば、できる限りは受け入れるつもりだが」

「・・・それは有難い話ですね。それじゃ、俺が助っ人雇うのも自由ですか?」

「構わないが・・・・・その助っ人は上杉君以外でお願いするよ」

「・・・・・(やっぱり読まれてたか)」

 

翔太の提案にマルオが釘を刺した。只でさえ気まずい空気が漂う車内の温度が更に下がった。

 

「君は娘たちとも仲がいいようだし、上杉君みたいに失敗することもないだろう」

「・・・よく調べられたみたいですね」

「娘のことを任せるんだ。そのくらいはするのは当然だろう?」

「でも・・・・・上杉や五月たちのこと・・・表面でしか見てないじゃないですか?」

 

翔太の言葉に、初めてマルオが表情を変えた。といっても、右眉毛が少し動いただけだが・・・社内の温度が身震いする程に下がったのは事実だった。だが、そんな温度に負けず、翔太は熱くなっていた。

 

「上杉が失敗?俺なら上手くやれる?何を根拠にそんなことを言っているんですか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「中間試験で赤点を回避できなかったことですか?

姉妹の喧嘩を止められなかったことをですか?

それとも、家庭のことを図星で当てられたからですか?」

「・・・・・君は誰に物を言っているのか、分かっているのか?」

「娘たちのことも碌に見ていない父親にですが?何か間違ってましたか?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

翔太の暴言にマルオは何も言わない。表情が更に硬くなったのはきっと気のせいではないはずだ。

 

「はっきり言うぜ?俺が五月たちの家庭教師の引継ぎを受けるかどうか考えたのは、上杉の最後の頼みだったからだ。あんたから依頼を受けたからじゃない」

「・・・・・ほう。堂々とした物言いだ」

「・・・もし気に入らないというのなら、上杉同様俺もクビにしてもらって結構だ・・・ああ、まだ雇ってもらってもいませんでしたね。それじゃ、最後に一つだけ・・・

 

娘が危険な目にあったってのに、それすら知らないあんたが父親だって言えるのかよ?」

 

「・・・っ!どういう意味だい?」

「・・・ガイアメモリ・・・」

「!?」

 

その言葉にマルオの口が開いた。ハ―ミット・ドーパントの証言通り、マルオはガイアメモリに関わりがある・・・翔太はそう確信した。

 

「あんた、ガイアメモリが何かを知っているな?何を知ってる・・・奴らと関わりがあるのか!?ガイアメモリをあんたも・・・!」

「江端、車を止めてくれ」

 

翔太が追求しようとすると、マルオは運転手に車を止めるように言った。車が止まり、翔太のすぐ近くのドアが開いた。

 

「降りたまえ。部外者である君にこれ以上話すことはない」

「っ!?ちょっと待って!ガイアメモリについてまだ何も・・・」

「降りたまえ」

「・・・分かったよ!」

 

何も答えることはないというマルオの態度に、これ以上はどうしょうもないと判断した翔太は車を降りた。

 

「君にも家に近づかないでもらいたい。娘たちに変な気を起こしてもらっても困るからな。もちろん連絡を取ることも遠慮してもらいたい」

「・・・ああ、いいぜ。俺から、あいつらに近づかなきゃいいだろう?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・それじゃ、どうも」

 

無言のプレッシャーを放つマルオに背を向け、手を振りながらその場を後にした翔太。その顔には、してやったりという笑みが浮かんでいた。

 

 

 

次回 仮面ライダーダブル

 

『Nのさよなら/五つ子たちの選択』

これで決まりだ!

 

 




風太郎の決断、翔太の意地。
それに対しての答えが次話のサブタイトルになっております。

ということで、次話で長かった『Nのさよなら』編も最終話になります。
それではまた明日。

次回更新 27日0時予定


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