1話目から詰め込んでますが、今章はダブル主体のお話なのでバトルシーンがそこそこあります。
ちなみに今の内に否定しておきますが、今回戦うドーパントは『ダミー』ではありません!時系列がちょっと前後しますのでお気を付け下さい。
それではどうぞ!
第34話 「Pからの使者/死者が蘇る」
さて・・・五つ子たちがマンション『ペンタゴン』を飛び出し、翔太の協力もあって、風太郎が家庭教師へと復帰したクリスマスイブの翌日。
・・・実はその間に大きな事件が起きていたことをほとんどの人は知らない。
知っているのは・・・
「・・・来たか」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ガイアメモリを使った超常犯罪と戦い続ける仮面ライダーダブル、佐桐翔太とフィリップの二人。そして、もう二人・・・喫茶店『ウィンドウ・シティ』でその人物たちを待っていた二人はドアが開いたベルに反応し顔を上げた。
「・・・来たわよ。佐桐・・・フィリップ君」
五月を連れて、『ウィンドウ・シティ』を訪れた二乃。
どうして五月だけでなく、二乃まで翔太とフィリップ二人が揃った場面に来たのか。
話は1週間前に遡る・・・
(えーっと・・・あった、あった!)
こっそりと父親の私室へと侵入した翔太。部屋を見渡し、目当ての物を探し出した翔太。壁に掛けられたそれを、椅子を踏み台にして取ろうとする。
どれにしようかと悩むも、父親が昔から愛用していた白のハットに決め、手に取って頭にかぶる。そのまま台を降り、部屋の反対側にある鏡で自身の姿を確認していると、
「そこまでだ」
「あっ!なにすんだよ!?」
翔太に気取られることなく背後から帽子を奪った人物に抗議するも、翔太の言葉を無視し、その男性は帽子を元の場所へと投げ掛けた。
「前にも言ったはずだぞ、翔太。半熟のお前に帽子はまだ早い」
「いいじゃんか!?父さんの真似くらいしたって・・・」
「良くはないさ」
頬を膨らませ、視線を逸らす翔太にその男・・・佐桐壮吉はやれやれといった表情で言葉を続けた。
「男の目元の冷たさと優しさを隠すのが帽子(こいつ)の役目だ。今のお前にはどっちもないだろう?こいつが似合うようになるにはもっと先だ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「そう膨れるな。お前が帽子をかぶれる一人前になれたら・・・俺からお前にプレゼントしてやる」
「・・・!本当!?」
壮吉の言葉に笑顔になった翔太。そのまま、壮吉に抱き着こうとして・・・
「・・・っ!夢・・・?」
「起きたか・・・」
「マスター・・・そうか。いつの間にか寝ちまってたのか」
マスターに声を掛けられ、寝ぼけていた意識が現実へと戻ってきた翔太。人を待っている間に寝てしまっていたのだ。眠気覚ましとしてマスターが持ってきてくれたコーヒーを飲んでいると・・・
「あらあらあらあら!寝不足、翔ちゃん?」
「ブハァ!?サ、サンタちゃん!?いつからそこに・・・!?」
背後から声を掛けられ、コーヒーを拭きだした翔太。振り返った視線の先には風都イレギュラーズの一人、サンタちゃんが座っていた。だが、いたのは彼だけではなかった。
「人を呼び出しておいて寝てるのなんてどうなの、翔太?」
「翔ちゃん、酷い~!」
「ホントホント!寝ぼけ顔、ホームページにアップしちゃうぞ!」
「お、お前ら・・・!」
クイーンとエリザベスにウォッチャマン、残りの風都イレギュラーズももう既に到着しており、次々と顔を出した面々に呆れる翔太。
「俺が起こすなと言ったんだ。最近、色々と動き回って疲れているようだったからな」
「マスター・・・サンキュー。ゴホン・・・クリスマスやら年末で忙しいところ集まってくれて、みんなありがとう」
そう言ってから翔太は本題を切り出した。
「今回、みんなに集まってもらったのはメールで頼んだ通りだ・・・死者が蘇る、なんて噂を聞いたことないか?」
翔太の言葉に、情報屋全員が仕事モードへと顔を切り替えた。
きっかけは翔太の・・・探偵『風都』の元へと送られてきた1通のメールだった。
『死者に殺される 助けてほしい』
差出人も不明。フリーアドレスのようで返信してみても音沙汰なしの怪しいメールだったが、翔太は『死者』という言葉に引っかかりを覚えた。
「死者が生き返る・・・?そんなことは通常じゃありえないよ。これは調べてみる必要があるね」
「ああ。もしこのメールに書かれていることが実際に起きているのなら・・・ドーパントが関わっている可能性が高いだろうな」
「それもあるけど・・・死者蘇生なんて非現実的なことを見過ごすわけにはいかないね。すぐに検索しなければ・・・!」
「・・・あー、とりあえずそっちは任せるわ」
フィリップとそんな会話を交わしながら。翔太は風都イレギュラーズに依頼のメールを送っていた。普段学校に通う翔太では情報収集を行うにも限度があるため、こうして風都イレギュラーズに依頼をしているのだ。
今回はあまり内容がはっきりとしていないので、情報屋全員に動いてもらうことになったのだ。それに加え、風太郎の一件と五つ子たちからの依頼で色々と動いていることもあったので、翔太一人では手が回らなかったのも大きな理由だったりする。
翔太から依頼を受け、情報を収集してきたイレギュラーズは報告を始めた。
「もしかしてなんだけど、『黄泉還り』のことかもしれないよ、翔ちゃん?」
「『黄泉還り』・・・?」
ウォッチャマンの言葉に思わず首を傾げる翔太。
すると、サンタちゃんが説明し始めた。
「『黄泉還り』っていうのは、先月の終わりから流行ってる噂だよ。死んだはずの親しい人間が蘇るっていう話。最初は見間違いとか噂されてたんだけど・・・」
「どうやら死人が目の前に現れたっていうのは本当みたいだよ?これとかね!」
「うん?・・・この女性の写真がどうかしたのか?」
画像が表示されたスマホを覗き込んだ翔太の質問に、ウォッチャマンは指を振りながら答えた。
「この女性ね・・・半年前の乗船していた船が沈没して死亡していたと考えられていたの。この写真はその女性の妹さんが2週間前の夜、帰り道に遭遇した際に撮った写真なのよ」
「・・・えっ!?でも、それって・・・奇跡的に生きていたお姉さんが出てきたって可能性もあるんじゃないのか?」
「そう、翔ちゃんの言う通り・・・その可能性もあるわ。でも、このあとすぐにお姉さんはあっという間に消えたそうよ・・・妹さんが後を追ったけど、煙のように消えたんだって!」
「しかもその噂に遭遇したのはその人だけじゃないだよ!俺の常連さんなんか、交通事故で死んだはずの親友を見たって言うんだよ!」
「私たちの後輩にも何人かいたよ!中には、動画を撮った人もいたみたいでさ」
「これこれ・・・なんでも、老衰で亡くなったお婆ちゃんが歩道橋から手を振ってたんだって」
「・・・・・こいつはマジみたいだな」
エリザベスが見せてくれた動画には、夕方時に歩道橋の上から手を振っている老婆の動画が映っていた。それが不特定多数の人物に起きているとなると・・・
そう考えた翔太は送られてきたメールが本物だと確信し、調査に乗り出すことにした。
「それで・・・それぞれの『黄泉還り』が起こった場所はどこなんだ?」
『その『黄泉還り』について『地球の本棚』で検索したが、該当する本はヒットしなかったよ』
「そうか・・・」
『イレギュラーズの報告にあった件に関しても情報を検索したよ。みんなの情報通り、それぞれ死亡が確認されているようだ。船の海難事故にあったという姉の件も、当時の情報を本棚で検索してみたが、奇跡的に生存している確率はゼロといっても過言ではないだろう・・・死者が蘇るなんてことはありえない・・・普通ならね?』
ウォッチャマンの情報である、妹が死んだ姉を見たという場所へと来ていた翔太。スタッグフォン越しに検索を終えたフィリップと情報を共有していたが、死人が蘇る可能性はありえないとフィリップは考えていた。
だが、翔太は違った。
「そうだとは俺も思うんだが・・・どうしも気になるんだよ。こう・・・なんかが引っかかるっていうかさ・・・」
『君特有の直感かい?まぁ、いいさ。現場の写真を僕にも送ってくれ。もしかしたら何か痕跡が残っているかもしれないしね』
「ああ、分かった。それじゃ」
通話を終え、現場を見渡す翔太。時刻はまだ4時半過ぎだが、12月後半ということもありもう既に周囲は暗くなり始めていた。街頭もどんどんと点き始めていたが、周辺の道路や空中通路には人の姿は見えなかった。
ともかく写真を撮るかと思い、バットショットで撮影を始めた翔太。
その時だった・・・
「っ!?」
翔太目掛けて衝撃波が飛んできた。殺気を感じた瞬間、咄嗟に横飛びに転がり攻撃を回避した翔太。その視線の先には・・・
『フフフ・・・!来たな、仮面ライダー!』
「・・・!(こいつ・・・俺の正体を?!)」
空中通路の上に立っていた異形の者・・・ドーパントが翔太を見下していた。ボロボロの白い布に笑い顔と泣き顔らしき絵が書かれた仮面を被っているドーパントが放った言葉に翔太は驚愕した。
翔太たちはこれまで仮面ライダーであることをできるだけ秘密にしてきた。だが、ドーパントは翔太がダブルであることを知っていたのだ。それが意味するのは、
(このドーパントは・・・組織の幹部かそれに属する者ってことか!?ようやく尻尾を見せやがったな!)
『フンッ!』
「おっと!フィリップ!」
再び手から放たれたエネルギー弾を避け、ダブルドライバーを装着する翔太。ドライバー越しに状況を理解したフィリップと共に素早くメモリを起動させる。
『Cyclone!』『Triger!』
「「変身!」」
『Cyclone! Triger!』
サイクロントリガーへと変身したダブルはトリガーマグナムで風の弾丸を放ち、エネルギー弾を相殺させる。そのまま銃撃戦を制し、ドーパントに直撃を与える。
『っ・・・これは見事な腕前だ。流石は反逆の後継者だな』
「後継者?何言ってやがる?」
『翔太。ドーパントが言ってることに気を取られてはいけないよ?行くよ?』
「『さぁ、おまえの罪を数えろ!』」
フィリップの助言に従い、決め台詞を述べて再びトリガーマグナムを連射する。しかし、ドーパントは最小限の動きで躱し、逃走を始めた。
「なぁ!?逃げるのか!」
『フフフ・・・さぁ、それはどうかな?』
「待ちやがれ!」
空中通路をかなりの速さで移動していくドーパントを追撃するためにサイクロンの風の力を使い、空中通路に飛び上がるダブル。そのまま、ドーパントが消えた方向へと移動しようとした時だった。
「うおぉ!?」『何!?』
ダブルの背後に先程のエネルギー弾と違う衝撃が襲い、そのボディに火花が散った。
いきなりの攻撃に膝を突き、攻撃してきた者の正体を確認したダブル。だが、その人物の正体にダブルは・・・いや、翔太は息を呑んだ。
「そんな・・・そんな馬鹿な!?なんでだよ・・・!
・・・父さん!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そこにいたのは、銃口から煙が立つスカルマグナムをダブルに向けて構えていた、翔太の父・・・佐桐壮吉その人が立っていた。
翔太の叫びに答える気配もなく、壮吉は懐からガイアメモリを取り出した。
『Skull!』
「・・・変身」
スカルメモリを起動させると共に壮吉の腰にロストドライバーが出現した。メモリをドライバーに装填し、壮吉は帽子を脱ぎながら静かにドライバーを開く。
『Skull!』
風と不気味な音と共に壮吉の姿が生を超越した骸骨の超人・・・仮面ライダースカルへと姿を変えた。まさかの出来事に翔太はまだ目の前の現実が受け入れられてなかった。
「そんな・・・スカルになった!?」
『落ち着け、翔太!彼が佐桐壮吉なわけがない!それはありえない!!』
「だけど!?スカルに変身したんだぞ?!」
混乱するダブル。だが、スカルは一気に距離を詰め、容赦なくダブルに襲い掛かった。
「ふん!はぁぁ!」
「や、止めろ!?止めてくれ、父さん!!」
『翔太!落ち着け!?反撃するんだ!』
「父さん!」
フィリップの制止を聞かず、必死にスカルへと呼びかける翔太。だが、スカルが答えることはなく、無慈悲に打撃をダブルに与えていく。呼びかけることに必死なダブルは防御することなくその拳を受けていく。
そして、強烈な一撃がダブルのボディに入り、その体が大きく吹き飛ばされる。そして、追撃のスカルマグナムによる銃撃がダブルを襲おうとするも、咄嗟にフィリップが体を動かし、間一髪で銃撃を回避する。
「っ!?とうさ、ガハァ?!」
「とうぁ!!」
「っ・・・や、やめて、くれよ・・・とう、さん・・・!」
顔、胸、腰へと次々と拳と蹴りを浴びせ、ダブルが立ち上がろうとしたところでスカルマグナムを連射して、更にダメージを与えるスカル。
ダメージが重なり、立ち上がるのもやっとのダブル。そんなダブルへも容赦なくスカルマグナムを連射するが、ダブルは身を転がしなんとか躱す。そして、フィリップがダブルの右手を動かし、メモリをチェンジした。
『Spark!』
『Spark! Triger!』
スパークトリガーへとチェンジしたダブル。右手でトリガーマグナムを持ち直し、電磁加速した弾丸は連射力を犠牲に貫通力と威力がアップし、スカルの弾丸を貫通するが、スカル自身は最小限の動きでそれを回避した。
直撃を狙うフィリップは次の弾を撃とうとするも、それを翔太が左手で制した。
「止めろ、フィリップ!相手は父さんだぞ!?」
『いい加減に冷静になれ!このままでは君がやられるんだぞ!?』
「スカルに変身したんだ!絶対に父さんだ!?」
『あのスカルが・・・佐桐壮吉が本物の訳がない!それは一番君が分かっているはずだ!?』
『Skull! Maximum Drive!』
『佐桐壮吉はもう死んだんだ!!!』
「ふんっ!」
「ぐぅぅ!?うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?!?!?!」
フィリップの叫びと共にスカルが放たれたスカルマグナムの必殺。それをダブルは避けることができず、直撃したボディに大量の火花を散らし、空中通路から投げ出された。そして、地面へと落下したダブルの変身が解けた。
「あぁ・・・!がはぁ・・・・・うううぅ!?」
ダメージと痛みでその場から動けない翔太。その傍には探偵姿の時にかぶっている帽子が転がっていた。そんな翔太をスカルは階段の上から見下していた。そして、スカルの変身を解いた壮吉は冷たい言葉を投げかけた。
「言ったはずだよな?半熟者には帽子が似合わないと・・・翔太」
「ぐぅぅ・・・くっ!」
「自分が半熟者だとも分からないというのなら・・・探偵など止めてしまえ。
・・・・・お前は探偵失格だ」
「・・・!?・・・と、うさ・・・・・」
翔太が必死で手を壮吉へと伸ばすが・・・振り返ることなく壮吉はその場を後にした。そこで翔太の意識は途絶えた。
『フフフ・・・これで邪魔者は消えた。奴はもう・・・立ち上がれない』
翔太のその姿に謎の人物が確信めいたことを呟いていた。その表情には口が裂けそうなほどに歪な笑みを浮かんでいた。
次回 仮面ライダーダブル
『Pからの使者/折れた切り札』
これで決まりだ!
今、思えば、変身解除までボコボコにされたのは今回が初だったりします。
それではまた明日。
オリジナルドーパントに関しての解説は必要でしょうか?
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あると助かる
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別にいらない
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フッ、その情報はもう既に検索済みさ