仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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日常回その2です。

妹たちのアルバイト相談がメイン・・・かと思いきや、最後の最後で爆弾を落としてます(笑)

それではどうぞ!


第39話 「Jをナメるな/妹たちも働きたい」

「もうこんな生活うんざり!」

「・・・修羅場ってるな」

 

三が日が終わり、家庭教師のために五つ子たちのアパートを訪れた風太郎と翔太は唖然とするしかなかった。二乃の悲鳴に翔太の口からそんな感想が漏れていた。

 

「なんで私の布団に潜り込んでくんのよ!」

「さ、寒くって、つい・・・!」

「布団に入られたら、あんたの髪が当たってくすぐったいのよ!さっぱり切っちゃいなさい!」

「あー!自分が切ったからってずるいです!」

「お前ら、一部屋で寝てたのかよ」

「まぁ、格安で借りられるのなんてたかが知られるしな・・・というか、ここは5人で住むことを想定されてないからな」

 

二乃と五月が言い争いを続ける中、呆れる風太郎にこのアパートを紹介した翔太がそんなことを説明していた。

 

「でも、お布団は久々でまだぐっすり寝られてません」

「四葉はもう少し寝付けない方がいいと思う」

「・・・どうした、三玖?ほっぺたを抑えて」

「四葉に一撃もらった」

「・・・お、おう」

 

三玖の回答に尋ねた翔太は何も言えなくなった。よく見ると、ほっぺが少し赤くなっていることに気付いた。事実を知った四葉は必死に三玖へと謝り出した。

 

「ふかふかのベットが恋しいわー」

「そうですね。私はお布団は久々で・・・というわけではありませんが、慣れるまで我慢しましょう。でも、私のお布団が消えたのは不思議です」

「本当に不思議」

「ベットから落ちなくなったのはいいよね」

「四葉。それはあんただけよ」

「はぁ・・・新生活早々これかよ」

「まだマシな方だろ。というか、こいつらの場合は生活レベルが変わりすぎのせいだろう。五月の言う通り、慣れるまでの我慢だろう。

それより、上杉・・・・・あの魔界はなんだ?」

 

この部屋に入ってからできるだけ見ようとしていなかった現実について翔太はようやく目を向けることにした。尋ねられた風太郎は驚きながらも納得した。

 

「そうか・・・佐桐は一花のこの惨劇を見るのは初めてだったな」

「・・・えーと・・・そういうこと、なのか?」

「はぁ、あんたの想像通りよ、佐桐。ちなみに、前のマンションでの一花の部屋もこんな感じだったわよ」

「・・・は?」

 

二乃の証言に翔太は思わず“魔界”と呼んだそれを・・・一花が寝ている布団を二度見した。

 

翔太が驚くのも無理はない・・・一花の布団の周りには、脱ぎ散らかされた服や化粧品や袋の数々・・・はっきり言って『汚布団』と化していた。

 

これが前のマンションでも『汚部屋』と化していたと聞けば、誰だって驚くのは当然だろう。翔太は思わず天を見上げてしまった。

 

「一花は片づけが苦手でして・・・」

「いや、苦手ってレベルじゃないだろ、これ?ある意味才能だぞ」

「ア、アハハ・・・佐桐さん、魔界は言い過ぎかと思いますよ?」

 

五月の言葉に翔太は肩を落としながら、未だ寝ている一花を起こしに近づいた。

 

「一花、そろそろ起きろ。みんな、もう起きてるぞ。早く起きないと、勉強どころかこの魔界も片付けられないから早く起きろ!」

「あっ、佐桐君!」

 

そう言って、一花の布団を剥がしにかかった翔太を見て、五月が慌てて制止しようとした。ここにいる全員が失念していた・・・翔太が一花の癖を知らないことを・・・

 

「・・・むにゃ・・・?あっ、ショータ君。おはよー」

「・・・はぁ!?は、裸!?」

「佐桐君、見ちゃ駄目です!?」

「上杉!今すぐ出て行きなさい!?」

「蹴るな、蹴るな!すぐに出て行くから!?」

 

翔太は思わず絶句した・・・そう、初日の家庭教師に参加していなかった翔太は知らなかったのだ。

 

一花が寝ている間に服を、下着を含めて全て脱いでしまう悪癖があるのだと

 

慌てて五月が翔太の目を塞ぎ、三玖と四葉が一花の体を服を被せることで隠そうとする一方で、二乃に蹴りを入れられた風太郎が避難するように部屋から退散した。

 

 

 

そんな騒動が起きて、ようやく一同が落ち着いたところで・・・

 

「よし、やっと始められるな」

「あー、驚いた。心臓に悪いわ」

 

胸を撫で下ろす翔太の横で、風太郎がやれやれといった形で勉強会を始めようとしていたのだが・・・

 

「(ウトウト)」

「一花、勉強会始まるよー」

「あっ、ごめん」

 

未だ意識が覚醒しきっていない一花を四葉が肩を揺らして起こす。それでようやく一花も目覚めたのだが・・・

 

「ショータ君も先ほどはお見苦しいものをお見せして申し訳なかったね。あっ、それともご褒美だったかな?」

「・・・はぁ、頼むから思い出せないでくれ。というか、冬なんだから服着て寝ろよ」

「いや~、習慣とは恐ろしいものでね。寝てる間に着た服を脱いじゃってるんだよ」

「・・・・・マジ?」

「マジ」

 

苦笑いして答える一花に翔太はもう何も言えなくなってしまった。これ以上、この話題は危険だと思って口を閉じた翔太だったが、四葉が気になったことを尋ねてしまった。

 

「えっ!授業中とか大丈夫?」

「あはは、家限定だから」

「授業中に寝る前提で話が進んでる・・・!」

「なんだと・・・?」

「あ、安心して!?今は大丈夫だから!」

 

五月の言葉に激しく反応した風太郎からとてつもなく低い声が出たが、慌てて一花は否定し出した。

 

「これからは授業に集中できるように仕事をセーブさせてもらってるんだ」

「ああ、そういえば一花は働いてるだったな。家庭教師の助っ人に来た当初も忙しそうだったしな」

「そうそう!次こそ赤点回避してお父さんをギャフンと言わせたいもんね!」

「・・・そうね」

「うん」

「私も今度こそ・・・!」

「そうですね。

 

全員で合格してお父さんに佐桐くんたちを認めさせましょう」

 

「「!!!」」

 

五つ子たちの心強い言葉を受けた風太郎と・・・珍しく翔太も頬を掻きながら照れてしまった。だが、それを表に出したくない風太郎は笑って誤魔化した。

 

「ふん。赤点なんて低いハードルにこれほど苦しめられるとは思わなかったぜ。しかし、三学期こそ正真正銘のラストチャンスだ!」

「やる気のエンジンがいい感じにかかっている内に始めるか!」

「ああ!まずは俺たちと一緒に冬休みの課題を片付けるぞ!」

 

「え?」

「うん?どうした、五月」

「ふふ」

「あはは」

「え?え?」

「二人とも」

「私たちを舐めすぎ」

 

五月の反応に翔太が戸惑う。四葉と一花が笑うことに風太郎も困惑していると、三玖と二乃がその答えを教えた。

 

「課題なんてとっくに終わってるわ」

「・・・マジか!?」

「・・・うわぁ、マジで全部終わってる」

 

二乃の言葉と共にこたつ机の上に広げられた課題集を見て絶句する家庭教師の二人。そんな二人を見て、思わず笑みが零れる五つ子たち。

 

「・・・じゃあ、通常通りの勉強会で」

「あなたたちは冬休みの間、今まで何をやっていたのですか?」

「・・・五月にそんなことを言われるとは」

「私たちが手伝ってあげましょーか?」

「う、うっせー!!」

 

五月と四葉の煽りに苦笑いする翔太とヤケクソ気味に答える風太郎だった。というわけで、一同は勉強会を始めた。学年末テストの範囲は2年生の間に学んだ範囲全てとも言えるので、総復習を目的とした問題集(風太郎手作り)を集中して解き続ける五つ子たち。

 

そんな中、分からないところが出てくるのは当然であり、家庭教師の二人にお呼びがかかった。

 

「フータロー、ここ分かんないんだけど」

「どれ・・・ああ、この問題か(グイッ)」

(フ、フータローの顔が・・・近くまで!)

「目の数が奇数になる場合は何通りか、というこの問題だが・・・

サイコロは三つだから奇数になるのは2パターンだ。

偶数偶数奇数、あとは奇数奇数奇数の組み合わせだ」

(ドキドキドキドキ・・・!)

「あとはこのパターンに沿った数字の組み合わせを羅列してやればいい・・・聞いてるか、三玖?」

「う、うん!聞いてるよ!やってみる」

 

「佐桐君。この古文の訳し方なんですが・・・」

「うん・・・ああ、この古文は登場人物の姫君と卿官の恋を描いた物語なんだが・・・この部分で注意しないといけないのは、姫君自体が覗き見ていない場面なんだ」

「・・・あっ。だからその視点で訳そうとすると、おかしく感じたのですね」

「そうだ。古文の引っかけともいえる部分だ。登場人物が誰かを把握できていないと問題自体の解釈を間違っちまうからな。誰が誰にどうしたのか・・・それをきちんと押さえて訳することができれば、そのひっかりを避けられるぞ」

 

密着した距離でドキドキしながら風太郎に数学を教わっている三玖が真っ赤になっている顔を隠そうとしている一方で、翔太の古文に関する解説に納得する五月。秘密を知っている五月は、翔太のことを信頼しているのが見て取れた。

 

そんな4人を意味ありげな視線で見ているのは・・・二乃だった。

 

「(ジ~~~~~)」

「何、二乃?」「どうかしましたか、二乃?」

「はぁ・・・なんでもないわよ。佐桐、次はこっちを教えなさいよ」

 

もう何も言うまいと諦めた二乃は誤魔化しついでに翔太を呼び、科学の分からないところを聞き始めた。そんな時だった。

 

「おい、一花。起きろ」

「あ・・・」

 

うたた寝している一花に気付いた風太郎が注意の言葉を飛ばす。それで起きたように見えた一花だったが・・・

 

「いやー、ごめん。寝て・・・ない・・・よぉ・・・・・すやぁ」

「・・・えっ?自然に寝に入ったぞ?これ、ツッコミ待ちか?」

「あの佐桐さんがツッコミを迷ってる!?」

 

返答の途中で眠ってしまった一花。あまりに自然だったため、ツッコミスリッパを片手に戸惑う翔太とそれを見て驚く四葉。だが、そんなことを風太郎が許す筈がなかった。

 

「この野郎・・・何がギャフンと言わせるだ・・・?」

「それぐらいにして少しは寝させてあげなさい、上杉」

「は?」

 

まさかの制止の言葉に風太郎は凄い勢いで二乃を見た。そんな風太郎の様子に構うことなく、二乃が制止した理由を語り始めた。

 

「一花、さっきはあんな風に言ってたけど、本当は前よりも仕事を増やしてるみたいなの」

「生活費を払ってくれてますもんね」

「貯金があるから気にしなくいいって、本人は言ってたけど・・・」

「こうやってフータローたちに教えてもらえてるのも一花のおかげ」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

その言葉を黙って受け止める風太郎と翔太。

実は、五つ子たちから家出計画の話を聞いた時、翔太は家賃を肩代わりすることを提案していたのだが、五つ子たちがそれを拒否したのだ。

 

「そこまでしてもらってはあまりにも虫が良すぎる」

 

それが五つ子たちの総意だった。だから、翔太も格安で手に入る家具の情報やこのアパートの紹介までに協力を留めていたのだ。

 

ちなみに、家賃の代替えを提案したのはフィリップだったりする。自身が株トレードで稼いだダブルの活動資金から抽出するつもりだったのは余談だ。もちろん誰のことを心配してかのことは想像に難くない。

 

「だからって、無理して勉強に身が入らなきゃ本末転倒だ。おい、起き・・・」

「あの・・・私たちも働きませんか?」

 

一花を起こそうとする風太郎を五月の提案が遮った。その提案にその場にいた全員が驚いていた。

 

「も、もちろん勉強の邪魔にならないようにですよ!少しでも・・・一花の負担を減らせたらと思いまして・・・」

 

そういう五月の言葉に、少し考えてから風太郎は・・・両肘をこたつ机に着き、まるで面接官のように質問し出した。

 

「今まで働いた経験は?」

「あ、ありません・・・」

「勉強と両立はできるのか?赤点回避で必死なお前らが?」

「うっ・・・」

「・・・圧迫面接かよ。まぁ、上杉の言い分も一理あるか。今をどうにかできても、結果が駄目だったらそれこそ終わりだぞ」

 

淡々と問い質していく風太郎にツッコミを入れながらも、間違ってはいないと肯定する翔太。そんな二人の言葉を受けた五月の口から出たのは・・・

 

「それなら・・・私もあなたたちのように家庭教師をします!」

「「・・・えっ?」」

 

まさかの仕事に家庭教師二人は顔を見合わせていた。そんな二人に構うことなく、五月は言葉を続ける。

 

「教えながら学ぶ!これなら自分の学力も向上し、一石二鳥です!」

「やめてくれ・・・お前に教えられる生徒が可哀そうだ」

「それに、お前の学力じゃ逆に生徒に教えられる未来しか見えてないぞ・・・」

 

メリットを主張する五月。本人的には、スーツ姿に眼鏡を掛けているような姿を想像していたのか、眼鏡をクイっと持ち上げるような仕草をしていた。

 

「それならスーパーの店員はどうでしょうか?近所にあるのですぐに出勤できますよ!」

「レジで人を待たせすぎて即クビだな」

「・・・言っとくが、レジだけでなく発注や売り上げの計算とかしないといけない場合があるんだぞ?体力だけでやれると思ったら大間違いだからな」

 

計算ができず、レジで人を待たせまくる四葉の姿が用意に想像できた風太郎は容赦なく言い放った。一方の翔太も再び厳しい言葉を投げかけていた。

 

「私・・・メイド喫茶やってみたい」

「い、意外と人気出そう・・・」

「それこそ対人スキルだけじゃない、料理スキルとかも求められるんだ。オムライスにケチャップでハートマーク書いてればいいわけじゃないんだぞ」

「・・・むぅ」

 

三玖のメイド姿にコアなファンが獲得できる未来が見えた姉妹たちが盛り上がるが・・・翔太の辛辣な言葉が飛び、機嫌を悪くした三玖が頬を膨らませる。そして、その飛び火が二乃に飛んだ。

 

「二乃はやっぱ女王様系?」

「やっぱって何!?」

「・・・そんないかがわしい仕事をするくらいなら、俺が金を出すからな・・・!」

「しないわよ!?」

 

翔太のジト目に叫ぶように反論する二乃。そんな二乃を見た四葉が言葉を発した。

 

「二乃はお料理関係だよね」

「ふん。やるとしたらね」

「そうだよね。二乃は自分のお店を出すのが夢だもんね」

「へぇ~、初めて聞いたな」

「・・・子供の頃の戯言よ。本気にしないで」

「照れるなよ。いい夢だと思うぞ」

「あんたに言われても嬉しくないわよ!・・・というか、佐桐!さっきから容赦なく否定しすぎでしょう!?」

 

風太郎と翔太の言葉に照れる二乃。話題を変えるために先ほどから辛辣な発言が目立つ翔太を批判した。

 

「当たり前だ。どんな仕事だって大事なことなんだ。

売り上げやら評判、店の信頼に関わることだ。アルバイトだからって軽い気持ちで初めていいものじゃない」

 

もちろんお前らの事情を考慮したとしてもだ、と一言足した翔太の言葉には重みがあった。それに頷き、風太郎が言葉を続けた。

 

「佐桐の言う通りだ。居酒屋、ファミレス、喫茶店、和食に中華、イタリアン、ラーメン、蕎麦、ピザの配達・・・様々なバイトをしてきたがどれも生半可な気持ちじゃこなせなかった」

「食べ物系ばっかり」

「まかないが出るからでしょう」

「仕事を舐めんなってことだ!」

(・・・絶対図星だったな。というか、上杉の奴、凄いな・・・一体どんだけバイトしてきたんだ?)

 

四葉と五月の指摘に内心同意しながら、風太郎の職歴に感心する翔太だった。

 

いくつもの職を経験してきた風太郎はともかく、翔太がここまで熱く言うのにはダブルとして探偵の職をこなしてきた経験があったからだ。

 

翔太も覚悟を決めてダブルの活動を始めた時は、初めから上手くいっていたわけではない。風都イレギュラーズなんていう情報網はおろか、その統括であるマスターからも最初は協力を断れたこともあったのだ。

 

ドーパントとの戦いも全勝というわけではなかった。むしろ、怪我をし、命の危機に陥ったことも何度かあったほどだ。ファングメモリをフィリップが初使用した時も、一歩間違えれば大惨事を引き起こしかねないこともあった。

 

その話はまた別の機会にするとして・・・

 

そんな、とても一介の高校生がしないような経験をしてきた翔太だから、五つ子が働くという考えに反対というわけではなかったが、“責任”という言葉が付きまとうことを理解してほしく、厳しく言葉を投げかけたのだ・・・もちろん、ペルソナ・ドーパントの一件があったのも大きかった。

 

「ともかく・・・今は3月の試験に向けて集中する方が先決だろう」

「そうだ。試験を突破し、あの家に帰ることができたら全て解決する。そのためにも今は勉強だ」

 

そう言って、一花を見てから風太郎は言葉を続けた。

 

「一花が目指す夢も分からんでもないが・・・今回ばかりは無理のない仕事を選んでほしいもんだ」

「・・・その辺にしておけ、上杉。ここの家計が一花頼りになってるのもまた事実なんだ。これ以上どうこう言っても始まらない話だ。もう少し寝かせておこうぜ?集中できてないと、勉強の意味もないしな」

 

今日は見逃そうと翔太が風太郎を宥めている時だった。寝ている当の本人がまさかの行動に出たのだ。

 

「・・・んー・・・」

ヌギッ

 

「フータロー!?」「見んじゃないわよ、佐桐!?」

「おおっ!?」「痛ってぇー!?」

 

寝ている一花の悪癖が再度発動したのだ。

Tシャツを脱ぎ始めた一花を見て、三玖と二乃の行動は早かった。

三玖は風太郎の視界を塞ぐべく無理矢理顔の向きを変えた。

 

そして、二乃はなんと翔太が(一花にツッコミを入れるべきどうか迷って)机に置きっぱなしにしていたツッコミスリッパで翔太の目を強打した!

(※良い子の皆は真似しないでください)

 

「二乃!それ、俺のだろうが!?」

「うっさい、変態!」

「ああ、もう!一度ならず、二度までも!?」

「悪いの俺たちか、これ!?」

 

一花が視界に入らないようにすると共に、痛む目を手で押さえながら二乃に抗議する翔太。一花がこれ以上服を脱がないように後ろから抑える五月の言葉に悲鳴を上げる風太郎。

 

場がカオスとなり、勉強会どころではなくなった風太郎と翔太は内心こう思っていた。

 

(この仕事、舐めてたぜ・・・)(この依頼、舐めてたぜ・・・)

 

 

 

「はぁ・・・昨日はとんでもない目にあったぜ」

「全くだ。このケーキ屋のバイトの方がかわいく思えてくるぜ」

 

家庭教師を再開した翌日のこと。

今後のスケジュールの相談をしに、翔太は風太郎が働くケーキ屋に来ていた。ついでに、ケーキとコーヒーが気になっていた翔太は注文し、風太郎の手が空くのを店内で待っていた。

 

手が空いた風太郎と席に座りながら、昨日のことを思い出し苦笑する翔太。

 

「というかいいのか?客と座って話したりしてて。まだ仕事が残ってるのなら、こっちは気にしなくていいぞ。俺も様子見を兼ねて立ち寄っただけだしな」

「気にしないでくれ。この店、今日は午後から休みなんだよ」

「へぇ~・・・掃除の業者でも入るのか?」

「いや、映画の撮影なんだそうだ。店長も今日になって言うから驚いたぜ」

「なるほどな。それじゃ、あんまり長居すると迷惑か」

「かもな・・・店長が見学していってもいいと言ってたけど、俺は女優なんて興味ないしな。名前を聞いたがさっぱり分からんし・・・この後、昨日の遅れを取り戻すためにもあいつらの家に行こうと思ってる」

「それは言い考えだな。俺もこの後はこれといった用はないし、つきあ・・・・・はぁ?」

「さ、佐桐?どうした?」

 

途中で言葉を詰まらせ、立ち上がった翔太に風太郎は思わず首を傾げた。そんな風太郎に構わず、翔太は立ち上がり店の外に出た。翔太が当然飛び出したわけは・・・

 

「ウォッチャマン!なんでここにいんだよ!?」

「あら~、翔ちゃん!偶然ね!もしかして、翔ちゃんも知ってたの?」

 

そう・・・翔太がよく知る風都イレギュラーズの一人、ウォッチャマンの顔が窓から見えたからだった。意気怏々と答えるウォッチャマンの言葉に翔太は眉を顰める。

 

「はっ?・・・もしかして、この後ここで撮影が行われる映画のことか?」

「知ってるのなら話が早いわ!いや~、ここで僕の今追ってる女優さんが出演する映画が撮影されるっていう情報を掴んでね!せめて、出入りの時に姿を見れないかと張ってるわけよ!」

「わ、分かった、分かったから・・・そんなに有名な女優が出るのか?」

 

ブログ界ではそれなりの知名度を誇るウォッチャマンがそこまで熱を入れる人物が気になり、翔太は尋ねた。

だが、聞かれたウォッチャマンが今度は眉を顰める番だった。

 

「何言ってんのよ、翔ちゃん!翔ちゃんもよく知ってる人でしょーが!」

「あん?俺が知ってる人?・・・おいおい、俺に女優なんて知り合いはいないぞ」

「だって、この前そっくりの姉妹さんの写真送ってきたじゃない?」

「姉妹?あいつらは女優じゃなくって・・・」

「失礼しまーす!今日はよろしくお願いします!」

 

ウォッチャマンの言う事が理解できず、訂正しようとする翔太の後ろでスタッフの声が聞こえてきた。

そっちに意識を取られ、翔太が振り返った時だった・・・まさかの光景に翔太は思わず目をパチクリとさせてしまった。

 

「よろしくお願いしまー・・・あっ、えっ!?」

 

その声で確信を持った翔太は、店に入っていたまさかの人物の後を追って自分も店に入り、その姿を再度見て自分が見間違っていなかったことを確認した。

 

「店長。やっぱり見学していきます・・・よく知っている女優がいましたわ」

「僕の今のイチオシ!中野一花ちゃんだよ!」

「・・・一花が・・・女優!?」

 

風太郎が顔を真っ赤にさせて俯く一花を見下ろしながらそう告げる一方で、背後のウォッチャマンがカメラを激写しまくりながら告げた事実に、翔太は開いた口が塞がらないでいた。

 

 

 

次回 仮面ライダーダブル 

 

『Jをナメるな/今日はお疲れ』

これで決まりだ!

 




まさかの二乃によるツッコミスリッパの強奪。以前、ご感想で頂いたものを使わせて頂きました。

一花が女優であることや悪癖を翔太が知らなかったのは前から張っていた伏線だったりします。
実は三玖の戦国武将好きということも翔太は知りません。
このことについては、少し先のお話でまた触れることになりますので、今後のお話にご期待頂ければと思います。

ちなみに翔太が二乃にスリッパを奪われた時の台詞は、10周年を迎えたあの光の国の戦士の台詞のオマージュだったりします。
分かった方はどのくらいいらっしゃいましたでしょうか?(元ネタは『それ、俺の~・・・』といったセリフでした。)

それではまた。

00さん 評価を付けて頂きありがとうございます!

次回更新 24日0時予定

オリジナルドーパントに関しての解説は必要でしょうか?

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  • 別にいらない
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