仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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サブタイから早くも不吉な匂いが漂っていますが、
ダブルや五つ子たちの運命や如何に・・・

それではどうぞ!


第43話 「Dな賭け/それは蹂躙の足音」

『♪♬♩』

「うん?・・・二乃からだ。ったく、一体何の用だよ」

 

ガレージで、フィリップと共にドーパントの情報を探っていた翔太はスタッグフォンの着信画面を見て眉を顰めていた。一方のフィリップは二乃からの着信ということで、電話の方に意識が向いていた。

 

「早く出てみたらどうだい?もしかしたら、緊急の用事かもしれないよ?」

「・・・だといいんだけどな。こうも手詰まりの状況でどうでもいいことで電話してきてたら、即刻で切ってやる」

 

もう時刻は15時を迎えようとしていた。アームズ・ドーパントの行方が全く掴めず、風都イレギュラーズの面々のネットワークで網をしかけていたが結果は芳しくなかった。そんな中でナーバスになっていた翔太がイライラするのもしょうがない状況だった。

 

「はい、佐桐。どうした、に『今すぐウチに来て!早く!?』っ!?」

 

二乃の慌てた声にただ事ではないと察した翔太はスピーカモードへと切り替え、会話がフィリップにも聞こえるようしてから二乃に問いかけた。

 

「落ち着け、二乃!何があったんだ!?」

『五月が・・・五月が攫われたのよ!?』

「「!?」」

 

二乃の告げた事実にダブルの二人は息を呑んだ。

 

 

 

「二乃!」

「佐桐・・・!」

 

電話を受けた後、すぐさま五つ子たちが住むアパートへと駆け付けた翔太。玄関で二乃が出迎えてくれたので、すぐさま状況を聞くことにした。

 

「五月が攫われたっていうのはどういうことだ!?」

「・・・アパートのポストに手紙が入っていたのよ。見つけたのは四葉よ。勉強会の休憩中にたまたまポストを除いた時にね・・・五月の帰りが遅いと思ってたんだけど・・・」

「・・・それで?みんなは?」

「警察やパパに知らせるかどうか、話し合いながら混乱してるわ。手紙には誰にも知らせるなって書いてあったんだけど・・・間の悪いことに上杉がいたのよ」

「・・・大体の状況は分かった。ともかく、その手紙とやらを見せてくれ」

 

玄関で、他の姉妹たちや風太郎たちに聞こえないように情報を交換する翔太と二乃。状況が状況なので、翔太の提案に噛みつくことなく、二乃は素直に従った。

 

「佐桐!?」「ショータ君!?」「ショータ!?」「佐桐さん!?」

「遅くなった。事情は大体二乃から聞いた。届いた手紙とやらを見せてくれ」

「こ、これです」

 

翔太の登場に、先程まで激論を繰り広げていた空気が一瞬和らいだ。その隙を逃さず、四葉から手紙を受け取った翔太は、内容を呼んで目を見開いた。

 

『今日の17時。○○地区の5丁目の廃倉庫に姉妹全員で来い。一人でも来なかったり、時間に遅れれば、中野五月の命は無いと思え 

このことは誰にも教えるな    『Arms』』

「・・・・・っ!?」

 

その手紙を見て、翔太はアームズ・ドーパントが残した予告状の真の意味を悟った。そして、それに気付けなかった自分の不甲斐なさに腹が立った。

 

(あの『名にふさわしい』っていうのはこのことだったのか!?次は5丁目のどこかだと完全に思い込んでた!?くそ・・・!?)

 

「ど、どうしましょう!?これって、誘拐ですよね・・・?でも、警察に知らせたら五月が・・・!」

「お父さんに連絡・・・するべきかな?」

「姉妹揃って・・・どういうことなんだろう」

「と、ともかく!これは俺たちの手に負えることじゃない!誰でもいいから、相談して・・・!」

「・・・くそっ!!!」

「「「「「!?」」」」」

 

再びパニックに陥る一同だったが、大声を出し壁に拳を叩きつけた翔太の姿に全員が驚き、言葉が止まった。二乃も見たこともない翔太の姿に思わず驚いてしまった。

 

「っ・・・悪い」

「い、いや・・・」

 

我に返り、謝罪する翔太に風太郎が代表して答える。だが、場の空気はとてつもなく重たいものだった。このままでは埒が明かないと思った翔太は意を決し口を開いた。

 

「・・・みんな、聞いてくれ」

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

「五月を攫ったのは、ガイアメモリっていう道具を使った犯罪者だ」

「「「「!?」」」」「佐桐!?あんた・・・!」

 

翔太の考えが読めず、慌てて二乃が声を掛けるも、それを手で制した翔太は一同が驚いているのに構わず言葉を続けた。

 

「夏祭りの時、五月が化け物に襲われたって話は覚えてるな?今回、手紙を送ってきたアームズってやつもその化け物の一人だ」

「ど、どういうこと・・・?」

「そのアームズって奴は、ここ数日でいくつもの施設を襲撃している奴だ。五月を攫った理由は分からないが・・・このままノコノコ行って無事で済むわけがない」

「ちょ、ちょっと待って!なんでショータ君がそんなこと知って・・・?!」

「いいから聞け!!俺の知り合いにドーパント・・・化け物専門の探偵がいる。その人に付いてきてもらう。

それでお前たちのボディガードを頼む。そして、五月を助ける・・・どうだ?」

 

三玖や一花の質問を無視し、翔太は最低限の情報と嘘を織り交ぜそう提案した。いきなりのことに誰もが判断できず、翔太の言葉に違和感を覚えていた。そんな翔太に助け舟を出したのは二乃だった。

 

「みんな、佐桐の提案に乗ってみない?」

「に、二乃?」

「佐桐が言ってる知り合いの探偵っていうのは、多分私を助けてくれたことがある人よ」

「えっ!?二乃も知ってる人なの?」

「・・・ええ。黙ってたけど、実は私も林間学校の時に、化け物に襲われたことがあったのよ。信頼していいと思うわ」

「・・・本当に信頼していいのか?」

 

三玖と四葉の疑問に頷きながら答える二乃。姉妹たちは二乃の言葉で信じてみるべきかと思い始めていたが、風太郎はまだ疑心暗鬼の状態だった。

 

「・・・いきなりのことで信じろって言う方が無理なのは分かってる。だけど・・・ここは五月を助けるためにも俺を信じてくれ。頼む!」

 

そう頭を下げる翔太の言葉に一同は顔を見合わせる。そして、出した結論は・・・

 

「・・・分かったよ。私はショータ君や二乃の言葉を信じるよ。みんなもそうだよね?」

「うん。私も二人を信じる」

「はい・・・!上杉さんはどうですか?」

「・・・他に打開策はないし・・・佐桐を信じるしかないか」

「・・・ありがとう、みんな。なら、俺は今からその人に連絡を付けてくるから、みんなは・・・悪いんだが、指定された場所へと先に行っててくれ。後で絶対に追いかける!」

 

翔太の言葉に頷き、全員が準備を始める。そして、部屋を出た翔太に声を掛けたのは、

 

「・・・どうするの?ああ言ったけど、仮面ライダーの正体を皆に明かすつもりなの?」

「さっきは助かったぜ、二乃。サンキュー・・・できるならそのリスクは避けたい。だからといって、お前らだけを奴のところへ行かすつもりもない」

『それを考慮して、僕たちはある作戦を考えたんだ』

「えっ!?フィリップ君・・・!もしかして、さっきの会話全部聞いてたの?」

 

翔太が取り出したスタッグフォンからフィリップの声が聞こえ、二乃は驚いた。実は、スタッグフォンを通話中にずっとしたままで、フィリップにも先ほどの会話を共有していたのだった。

 

『二乃ちゃん。君に頼みたいことがあるんだ』

「・・・何を頼みたいの?」

 

何かを察した二乃はフィリップへと問いかけた。そして、翔太とフィリップは作戦を話し始めた。

 

 

 

「ここ、だよね・・・?」

 

一花の言葉に、一同は呼び出しを受けた廃墟へと視線を向けた。そこには風太郎の姿もあった。流石に事が事だけに他人だからと放っておくこともできず、もしもの場合に備えてついてきたのだ・・・戦力になるのかどうかは別としてだが。

 

一方で、先に行くように皆に話した翔太の姿はまだ見えなかった。

 

「ショータ・・・来ないね」

「もう約束の時間まで10分もないよ・・・私たちだけで行くしかないのかな?」

「三玖、四葉。大丈夫よ・・・彼は来るわ」

 

不安がる妹たちを二乃が安心させるように答える。いやに自信がある二乃の姿に一花と風太郎も思わず眉を顰める。その時だった。

 

「すまない、遅くなってしまったようだね」

「「「「「!?」」」」」

 

一同の近くにハードボイルダーが止まり、探偵服を着た男がヘルメットを脱ぎながらバイクから降りた。そして、帽子をかぶり直し、驚く一同へと挨拶をした。

 

「僕がドーパント専門の探偵・・・人からは『風都』と呼ばれている。話は、佐桐翔太から全て聞いたよ。この護衛の依頼は任せてくれ」

「・・・この人が、ショータ君の知り合い?」

「・・・っていうか・・・もしかしてだけど・・・」

 

男の自己紹介に一同が呆然とする中、三玖は帽子に隠れた素顔を覗き込むように見ながら、言葉を続けた。

 

「・・・貴方、フィリップじゃない?」

「えっ!?三玖もこの人のこと知ってるの?」

「知ってるっていうか・・・前に二乃が家出してた時に、ホテルに押し掛けてた人」

「「「「えっ・・・!?」」」」

「ちょ、ちょっと待ちなさい、三玖!?」

 

三玖の爆弾発言に一同が男・・・探偵姿のフィリップに疑惑の目を向けるが、すかさず二乃が待ったをかけた。

 

「三玖!その言い方はないでしょーが!?」

「・・・それじゃあ、二乃を怒らせた男?」

「それも・・・違ってはないけど・・・そうじゃなくって?!」

「じゃあ、手紙で二乃を納得させた人?」

「・・・あんた。ワザとね?ワザと、まぎらわしいこと言ってるわね!?」

「・・・・・さぁ?」

「ゴホン!」

「「「「「!?」」」」」

 

二乃と三玖の漫才に水を差すように咳払いをしたフィリップに再び全員の視線が集まる。

 

「僕と彼女がどういった関係なのか、何があったのかは今は関係ないはずだ。最優先しなければならないのは、中野五月の救出と君たちの安全の確保だ。僕はそのためにここに来たんだ。早く行こう」

「ちょ、ちょっと待て!佐桐はどうした?!」

「彼にはある重大なことを頼んだが、彼を待っていては時間に遅れてしまう。僕たちは先行して行くべきだろう。さぁ、行こう」

「お、おい・・・!?なんだよ、あいつ・・・」

「まるでショータ君とは真逆だね・・・あの人」

 

淡々と物事を進めていくフィリップ。そんな先行していく彼の姿を見ながら、風太郎と一花は懐疑的な視線を向けていた。

 

「今は彼に頼るしかないのもまた事実でしょうが。私たちも行くわよ」

「ちょ、ちょっと待って、二乃!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

そんなフィリップの後を追いかける二乃に習い、四葉と三玖もその後を追い、覚悟を決めた一花と風太郎も続いた。

 

フィリップを先頭に廃墟を進んでいく一同。ご丁寧に随所に真っ赤なペンキで乱暴に書かれた矢印に従って2階部分へと進む。

 

(罠や待ち伏せの気配はなし。先回りさせているガジェットたちにも反応はなし・・・余裕のまま、僕たちを待ち伏せているということか)

 

二乃たちに気付かれないように状況を分析するフィリップ。矢印に従い、2階の廊下部分を進んでいく。そして、大きく開けた場所へと出た時だった。

 

「ようこそ、みなさん!」

「「「「「「!?」」」」」」

 

その場に男の声が響き、一同が声のした方を向くと・・・

 

「五月ちゃん!?」「五月!?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ビビらずによく来たな!流石は仲良し五つ子ちゃんだな!」

 

歪な笑みを浮かべながら一同を見る男と、その隣で鎖で腕を拘束されぐったりとしたまま吊るされた五月の姿があった。一花と二乃が思わず叫ぶも、気絶している五月は目を覚まさないでいた。

 

「・・・確認する。お前がアームズメモリの持ち主だな」

「おーお。まさかとは思ったけど、本当に仮面ライダーも一緒に来るとはな?五つ子の誰かを攫えばとは思ってたが、こうもホイホイ出てきてくれるとはな」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「約束通り来たわよ!さっさと五月を解放しなさい!」

「おおっ、怖い怖い・・・意気のいい嬢ちゃんだね、クククッ!」

 

二乃の怒声にも堪えることなく男は歪な笑みを更に深めた。埒が明かないと思った一花が前に出ようとすると、

 

「おっと!そこを動くな・・・女優のお嬢ちゃんならこういうセリフを言われたこともあるんじゃないかな?」

「・・・っ!?」

「それにこっちの要求はまだ済んでないぜ?そうだな・・・おい、仮面ライダー!お前が持ってるガイアメモリ・・・それを全部寄こしやがれ」

「・・・!?」

 

犯人の要求にフィリップは思わず顔を顰める。

 

「本当は五つ子ちゃんたちに用事があったが、おまえさんが来たのなら話は別だ。お前が持っているメモリとこの嬢ちゃんを交換してやるよ!おっと!周囲をコソコソ嗅ぎまわってるハエ共には何もさせるなよ?嬢ちゃんのキレイな肌に傷がつくことになるぜ?」

「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」

(フィリップ君・・・!)

「・・・分かった。その要求を・・・呑もう」

 

一同がフィリップの動向に注目する中、少し考えてからフィリップはその指示に従った。ガジェットたちも自らの手元に呼び戻し、懐から自身が持つ5つのガイアメモリを取り出した。

 

「へぇ~、流石は正義のヒーロー!人のためなら自分の物なんかどうでもいいってか?それじゃ、ゆっくりとこっちに来い」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・そこで止まりな。そこからメモリを投げ寄こすんだ。変な事考えんなよ?」

「もちろんさ」

 

犯人の指示に従い、フィリップはガイアメモリを下から放り投げた。だが、

 

「そう・・・僕はね?」

 

その瞬間、してやったりという笑みを浮かべたフィリップは口調を元に戻してその言葉を告げた。犯人が飛んできたガイアメモリへと視線を向けた一瞬の隙を突き、男が崩れた屋根から飛び出した!

 

「はぁぁ!」

「っ!?ぐぁぁ!?」

 

男は飛び降りた勢いを活かした飛び蹴りを放った。流石の犯人も不意打ちからの急降下キックには反応できず、思いっきり吹き飛ばされた。その隙を逃さず、

 

「やれ、スタッグ、スパイダー!」

「鎖を切れ、ファング!」

『Joker! Maximum Drive!』『Metal! Maximum Drive!』

 

男・・・翔太が懐からメモリガジェットでマキシマムドライブを発動させ犯人を牽制する。それと同時にフィリップがファングに指示を出し、五月の腕を拘束していた鎖を切り裂かせた。拘束から解放され、重力に従い倒れそうになった五月の体を翔太が抱き抱えた。

 

「・・・遅くなっちまってすまない、五月」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

聞こえていないのを承知でそう五月へと告げる翔太・・・その顔には今までにない

悔しさと後悔・・・そして、怒りの色が宿っていた。

 

「こ、このオモチャが!?調子に乗るなぁ!!」

『Arms』

「はぁぁ!!」

 

強力なエネルギーを纏ったスタッグフォンと鋼鉄の糸を放つスパイダーショックの攻撃に痺れを切らした犯人は懐からアームズメモリを取り出し、舌に突き刺した。そして、その姿をアームズドーパントへと姿を変えた。

 

「・・・ドーパント!?」

「あ、あれが・・・!?」

「そ、そんな・・・あんな非科学的なことが本当に・・・!」

 

二乃の言葉に、一花と風太郎の二人は今目の前で起きていることが信じられず呆然としてしまう。三玖と四葉に至ってはあまりの出来事に言葉を発することもできないでいた。

 

「一花!二乃!みんなを連れて逃げろ!?」

「・・・・・・・・・」

「一花!しっかりしなさい!!」

「っ!?四葉、手伝って!」

「う、うん!?」

 

二乃の怒声に我に戻った一花に従い、四葉も動き出した。そんな二人にぐったりした五月を預けた翔太はドーパントから皆を庇うように構える。

 

「早く逃げるぞ!こっちだ!」

「で、でも・・・ショータが!?」

「俺はいい!時間を稼いだらすぐに追いつくから、早く行け!!」

 

ドーパントの攻撃で吹き飛ばされてしまったガジェットからメモリを回収し、振り落とされた大剣を躱しながら翔太は怒鳴る。その声に、一瞬迷いを見せる一同だったが、すぐにその声に従って廃墟から退避を始めた。

 

「このぉ・・・!よくも俺のおもちゃを!お前ら・・・叩き壊してやる!」

「ふざんけんなぁ!人を・・・五月をあんな目に合わせやがって!!てめぇだけは絶対にぶっとばす!フィリップ!」

「・・・ああ!」

 

上杉たちの姿が見えなくなったところで、ドーパントの言葉に翔太の堪忍袋も切れ、怒鳴り返す。その言葉に応えるようにフィリップも自身のメモリを取り出した。

 

『Cyclone!』『Joker!』

「「変身!」」

『Cyclone! Joker!』

 

翔太がダブルへと姿を変えると共に、意識を失ったフィリップの体が地面へと・・・

 

「うわぁっとと・・・!?」

『に、二乃ちゃん!?』

 

・・・倒れることはなかった。倒れる前に二乃がその体を支えた。一花たちと一緒に逃げたはずの彼女がそこにいたことに、右複眼を点滅させながら驚きの声がフィリップが上がった。

 

「お前・・・!一花たちと一緒に逃げたんじゃ?!」

「フィリップ君の体を運ぶ人も必要でしょ?ほら、こっちはいいから、さっさと倒しちゃいなさい・・・・・い、意外に重い・・・」

『・・・ふぅ。なら、僕の体は彼女に任せよう。さぁ、翔太』

「ああ」

「『お前の罪を数えろ!』」

「逆にぶっ壊してやるよ!!」

 

その言葉と共に、一気に距離を詰めたダブルとドーパントが拳をぶつけ合う。そのまま大剣を振り回すドーパントの一撃をキックでいなし、カウンターパンチを放つダブルだが、

 

「甘めんだよぉ!」

「っ!盾!?」

「そらぁ!」

 

左手を鋼鉄の盾に変え、パンチを防御するドーパント。そして、ダブルの腕を払い、ガラ空きとなったダブルのボディへと斬撃を連続で浴びせる。

 

「ぐぅぅ!?なら・・・!」

 

『Metal!』

『Cyclone! Metal!』

 

「はぁぁ!」「おらよぉ!」

 

メタルシャフトで大剣の一撃を相殺し、サイクロンの風の力を纏った連続攻撃で攻勢に移るダブル。だが、それすらもドーパントは直撃を喰らうことなく全てをいなす。

 

「おおおぁ!」

「おっと!そんなに力んでたら・・・勝てるものも勝てないぜ!」

 

メタルシャフトを受け止めていた右手の大剣を機関銃へと変えると共に、突然のことに体重を崩したダブルの足元へと潜り込んだアームズ・ドーパントの銃が火を吹いた。

 

「うわぁぁ!?」

 

防御の高いメタルのボディに大きな火花が散る。あまりのダメージにメタルシャフトを取り落とし、ダブルが吹き飛ばされる。

 

「おいおい。そんなもんかよ、仮面ライダー?もっと俺を楽しませろよ!!」

「ぐっ!?っ・・・!?」

 

今度は戦斧へと右手を変え、ダブルを追撃するドーパント。なんとか左手で最低限のダメージで攻撃を受け流していくダブル。だが、その防御の仕方では限界があり、遂に左手の防御を弾かれ、ダブルが膝を突いた。そんなダブル目掛けて、ドーパントが戦斧を振り下ろした。

 

「かち割れなぁ!」

「っ・・・フィリップ!」

『ああ!!』

 

だが、翔太の叫びにフィリップが答え、ダブルが動いた。ドーパントの動きを観察し続けていたフィリップがダブルの右手で戦斧の柄部分を受け止めた。そして、同時に翔太がメモリを切り替える。

 

『Triger!』

『Cyclone! Triger!』

「お返しだ!」

「ぬおぉ!?」

 

さっきのお返しとばかりに今度はダブルがドーパントのがら空きになった体へとトリガーマグナムの疾風弾を撃ち込む。流石のアームズもこの攻撃には耐え切れず体勢を崩す。その勢いでダブルの猛攻が始まる。

 

『Heat!』『Crusher!』

『Heat! Crusher!』

 

『君の戦法はもう見切った。多彩な芸当が君だけの特許だと思わないことだ』

「本物の力って奴を・・・見せてやるよ!!」

 

その言葉と共にダブルがクラッシャースレッジを振り落とす。慌てて防御するも、ドーパントの左手の盾にヒビが入る。

 

「ちぃ!なら・・・!」

『そうはさせない!』

 

右手をショートソードに、左手をガトリングガンへと切り替え、反撃に出ようとするドーパントと同時に、今度はフィリップがメモリを切り替える。

 

 

『Spark!』『Ninja!』

『Spark! Ninja!』

 

スパークニンジャへとメモリチェンジしたダブルの姿がドーパントの前から消える。縦横無尽に廃墟を駆け巡るダブルに翻弄されるドーパントがガトリングガンを乱射するが、電光石化のスピードで全ての銃撃を回避したダブルが背後を取った。

 

「おらぁ!」

「がはぁ!いいね・・・いいよぉ!もっと俺を楽しませろ!!」

「この・・・サイコ野郎が!」

 

『Blizzard!』『Metal!』

『Blizzard! Metal!』

 

「な、なに・・・得物が凍って!?」

「とっとと砕けやがれ!」

 

メタルシャフトを通して、ブリザードメモリの凍結能力で大剣を氷漬けにしたダブルがその一言と共に脆くなった大剣を砕き壊した。そして、一気に勝負を決めるためにメタルシャフトにメタルメモリを装填した。

 

『Metal! Maximum Drive!』

「『メタルハティローク!!!』」

 

凍気を纏ったメタルシャフトを周囲に振り回すダブル。散布された凍気が付着した物体は瞬間的に凍りつき、全ての動きを静止状態へと近づける。それはアームズ・ドーパントすらも同じであり、体の所々を凍りづけにしていく。

 

「『はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』」

「くそがぁ!?」

 

氷漬けになったドーパントの体を砕くかのようにダブルがメタルシャフトの端を持ち、突きによるマキシマムドライブを放った。それを見たドーパントは凍りついた体を無理やし動かす。左手と、盾へと切り替えた右手でマキシマムドライブを防ぐ・・・が、完全に防ぎ切ることはできず、纏っていた氷と共にドーパントの体が廃墟の壁へと叩きつけられた。

 

「がはぁ・・・ごほぉ!?」

『・・・勝負ありだ』

 

勝ちを確信したフィリップの声と共にドーパントへと近づくダブル。

警戒を緩めることなくメタルシャフトをドーパントへと向けて牽制する。

 

「お前には色々と聞きたいことがあるが・・・その前にさっさとメモリブレイクしてやる。覚悟しやがれ!」

『今の相棒はかなり機嫌が悪い。僕でさえ止める自信がないくらいだ。痛い目を見る前に、メモリを手放すことをオススメするよ』

「・・・痛い目?降参?・・・フフッ・・・アハハハハハハハ!!

ヒャーヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!!」

「『・・・!?』」

 

豹変したアームズの姿にダブルが思わず身構えるが、ドーパントは何かをするわけでもなく、まるで降参したかのように両手を上げた。そして、なんと、ガイアメモリを腕から排出し、ドーパントから人間の姿へと戻ったのだ。

 

「参った、参った。これがダブル・・・本物の仮面ライダー。流石は組織が注目する正義のヒーローだ。本当に・・・楽しませてくれるなぁ!」

「てめぇ・・・何が目的だ!?」

「俺の目的・・・?

あー、別に俺は俺が楽しければなんでもいいんだよ。破壊、虐殺、戦い・・・普通じゃ味わえないスリルがあれば、なんでもいいんだよ・・・

組織があのガキ共をどうしようとどうでもいい。俺は俺のやりたいことをするだけだ・・・お前らをぶっ壊すことが、今の俺の楽しみだ」

『・・・・・悪魔め』

 

アームズのあまりにも猟奇的な動機にフィリップから冷たい温度での軽蔑の言葉が漏れた。

 

「悪魔・・・?ヒャヒャヒャ!!そいつは違うな・・・俺は全てを壊す者・・・破壊神だよ」

『Arms』

「っ・・・この野郎!まだブッ飛ばされたいのか!?」

「ブッ飛ばす?・・・アハハハハハ!!笑わせるなよ、ガキ!!

俺がこれまで本気で戦ってたと・・・本気で思ってたのかよ?」

『・・・何!?』

 

いやに自信ありげなアームズの言葉にダブルは一層警戒を強める。

 

「俺のコードネームは『ジェノサイド』・・・その本当の意味を教えてやるよ」

 

その言葉と共に、アームズ・・・ジェノサイドは懐から銀色のコネクターらしきものを取り出した。それを見たフィリップは嫌な予感を覚えた。

 

『・・・コネクター・・・?っ、まさか?!』

「これが・・・アームズを超えた破壊の力だぁぁ!!」

 

『Arsm…Upgrade!! Genocide!』

 

「『・・・っ!?』」

 

ジェノサイドがガイアメモリを腕へと差し込んだ瞬間、男の体が光に包まれ、ダブルは思わず目を腕で庇った。

 

「さぁ・・・戦争ゲームの始まりだ」

 

その言葉と共に、ジェノサイドは腕を振り下ろし・・・

 

 

 

「み、みんな・・・いる!?」

 

一方、廃墟から脱出した一同。一花が全員がいるかどうか確認し、一同がメンバーを見渡す。

 

「待って・・・二乃は?!」

「一番後ろにいたはずだが・・・まさか逸れたのよ!?あの馬鹿・・・!」

「上杉さん?!」

「探してくる!お前らは先に逃げ・・」

ドォォォン!!

 

「「「「・・・・・!?」」」」

 

風太郎の声を遮るように廃墟の外壁を突き破り、リボルキャリーが一同の前に姿を現した。突然の装甲車の登場に事情を知らない全員が目を見開き驚いた。そんな風太郎たちなどお構いなしにリボルキャリーの格納部分が開く。

 

「これ・・・乗れってことなのかな?」

「・・・分からないけど、今は迷ってる場合じゃないわ。乗りましょう」

 

四葉がリボルキャリーを不思議そうに見つめる横で、五月の肩を抱え直した一花が風太郎や姉妹たちに乗るように促した。あとは二乃や翔太を待つだけ・・・そう思っていた時だった。

 

ドゴォォォォォンン!!!!!

 

「がぁぁぁぁぁぁ!?」『うぅぅぅぅぅぅ!?』

 

今度は廃墟の壁が勢いよく吹き飛び、風太郎たちは音の発生源へと思わず振り返った。壁を突き破り、外壁へと吹き飛ばされたのは・・・先程まで戦っていたはずのダブルだった。

 

外壁に叩きつけられたダブルは、メタルシャフトで体を支えてなんとか立ち上がるも、その体はボロボロになっていた。

 

「・・・う、ううん・・・今の音は一体・・・?」

「おいおいおい。たった一撃で終わりとか・・・笑わせるなよ、仮面ライダー?

そら・・・もっと俺と遊ぼうぜ?」

「・・・っ!?」「「「「・・・!?」」」」

 

吹き飛ばされた壁から出てきた者の声に、五月は意識を失う直前のことを思い出した。そして、一同が声のした方へと向くと・・・まるで死神のような大鎌の右手を地面へと引きずりながら声の主が姿を現した。

 

それは悪魔とも、地獄の使者とも見えるような風貌だった。アームズ・ドーパントの特徴だった骸骨のような顔は、歪な笑みを浮かべた目と口がついた顔へと変わっていた。だが、その表情は人間のそれとは大きく異なり、見る者全てに絶望と恐怖を与えるような印象だった。

 

全身は漆黒の様に黒く、まるで返り血を浴びたかのように所々が赤黒い斑点が点在していた。そして、何よりも全身から無数に飛び出した鋭利な棘が、近付くものすべてを串刺しにするかのような配置で体を纏っていた。

 

「く、くそぉ・・・たった一撃で・・・?」

『まさか・・・ガイアメモリの能力を向上させたのか・・・!?だが、このパワーは?!』

「・・・いいことを教えてやるよ。俺が使ってるアームズのメモリは俺との相性が抜群にいいのさ!」

『・・・そうか!メモリの完全適合・・・!』

 

ジェノサイドの言葉にある結論に辿り着いたフィリップは驚愕の声を上げる。

 

完全適合者・・・ガイアメモリには使用者と引き合うという特性がある。犯罪に使われるガイアメモリも、使用者の本能、性格、癖・・・それに引き合わせるかのように合ったメモリを使う傾向が大きい。

 

その中でも、そのガイアメモリの力を最大限に引き出せる者が極まれに存在するのだ。ジェノサイドにとってアームズメモリは最恐の組み合わせとなっていたのだ。

 

「くっ・・・それがなんだってんだ!?」

『っ・・・!?待て、翔太!?』

 

『Spark!』『Crusher!』

『Spark! Crusher!』

 

フィリップの制止を振り切り、痛む体を無視し反撃に出た翔太。雷を宿したクラッシャースレッジをドーパントへと振り下ろそうと飛び掛かるが・・・

 

「あーあ・・・相棒の忠告は聞くものだぜ?じゃないと・・・こんな痛い目に見るぜ?」

 

ダブルを嘲笑うかのように首を傾げたジェノサイド・ドーパントが左手を・・・なんとミサイルランチャーへと変化させたのだ。その砲口から複数のミサイルが放たれる。まさかの攻撃に空中にいたダブルには防ぐ手段はなく、

 

「がぁ・・・あああああぁぁぁ!?」『っ!?』

 

爆炎に包まれた地面へと落下するダブル。アームズの機関銃やガトリングガンなどオモチャに感じるかのような威力に、ダブルはもう立ち上がることすらできなくなっていた。そんなダブルに止めを刺そうかとするドーパントだったが・・・

 

「・・・おや~?どうやらまだガキ共がそこにいたのか」

「「「「「・・・!?」」」」」

「そうだ・・・良いこと思い付いたわ!」

「・・・っ!?まさか・・・!?」

 

五月たちの姿を見つけたジェノサイドが笑みを含んだ声でそちらの方を向く。その様子に翔太はまさかの可能性が頭に浮かんだ。

 

「丁度いいや・・・死んじゃえよ、お前ら」

「五月、みんな!?」

『駄目だ、翔太!?』

 

首切り包丁のような馬鹿でかい大剣へと右手を変化させたジェノサイドはそのまま大剣を振り上げ、全力で振り下ろした。

それだけで突風が起き、全てを切り裂く一筋のかまいたち・・・いや、風の凶刃が五月たちに襲い掛かった。

 

それにいち早く反応した翔太は後先考えず、気合だけで満身創痍の体を動かした・・・相棒の行動に、フィリップから悲鳴に近い制止の声が出るが・・・今の翔太を止めることはできなかった。

 

『Luna!』『Joker!』

『Luna! Joker!』

「間に合えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

右手をルナの特性で伸ばすことで、五月たちと風の凶刃の間に割って入りその身を盾にしたダブル。もちろん後先考えずに飛び出したダブルにその刃を防ぐ手段もなく・・・

 

「ぐぅぅ・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

凶刃が直撃したダブルの全身に大量の火花が散る。ダブルの生体装甲に巨大な切り傷がくっきりと残り、その威力の大きさを物語っていた。

 

「あ・・・あっ・・・うっ・・・!」

「あっ・・・そん、な・・・・・佐桐君?!」

「「「「・・・・・えっ・・・・・?」」」」

 

糸が切れた人形のようにダブルが崩れ落ちる。その姿に思わず五月が叫んでしまった。そして、五月の言葉に衝撃を受けた風太郎たち4人は・・・変身が解けたダブルの姿を見て驚愕した。

 

「・・・さ、佐桐・・・?」

「嘘・・・なんで・・・」

「ショータが・・・仮面ライダー・・・?」

「・・・私たちを、庇って・・・?!」

 

「流石は仮面ライダー・・・正義のヒーローは命を張ってでも助けるよな?

とってもとっても大事な・・・お友達をなぁ?」

 

変身が解けたダブルを見て、愉快に笑うジェノサイド・・・その風貌と硝煙、崩れ落ちた瓦礫の光景から・・・まるで全てを蹂躙する悪魔そのものだった。

 

 

 

次回 仮面ライダーダブル 

 

『Dな賭け/禁断の第7フォーム』

これで決まりだ!

 




ダブル、完全敗北・・・
更にまさかの正体露見・・・
次回に登場する新フォームの危険性とは・・・

次回の更新を是非お楽しみ頂ければと思います。
それでは。

次回更新 21日0時予定

オリジナルドーパントに関しての解説は必要でしょうか?

  • あると助かる
  • 別にいらない
  • フッ、その情報はもう既に検索済みさ
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