仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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「…この本によれば、学年1位の成績を取り続ける貧乏高校生、上杉風太郎…彼には家庭教師先の五つ子の誰かから、未来の花嫁となる相手を選ぶ運命にあった。学年末テスト後、五つ子の一人である二乃に告白され、五つ子たちから距離を取ろうとした彼は、懸賞に当たった家族旅行で、なんと五つ子たちと出会ってしまう。更には、同じ五つ子の五月を姿を模した誰かから、家庭教師と生徒の関係を止めたいと切り出されてしまい…」
翔「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇ!?なんじゃ、そのあらすじはぁ!?」
フ「…?何を叫んでいるんだい、翔太?……ああ。これは平成最後に流行ったウォズるという行為で…」
翔「そこじゃねぇぇぇ!?いや、そこもツッコミどころだけど!あらすじが違うだろうが!?なんで、『五等分の花嫁』原作のあらすじ語ってんだよ!?この作品は『仮面ライダーW/Kの花嫁』だろうが!!」
フ「………おや。どうやら本が間違っていたようだ。これが正しい本だよ」

フ「天才貧乏高校生の上杉風太郎は!家庭教師の助っ人である佐桐翔太と共に、日夜(五つ子の家庭教師として)闘い続けていた!気晴らし気分で来た家族旅行で、なんと上杉風太郎と僕たち、五つ子たちは偶然にも同じ場所へと来てしまっていた…そこで挑まれた五つ子ゲームに彼らは挑むことになり…一応、僕も天才少年なんだけど、平成2期ライダーって、天才ゲーマーとか天才物理学者とかいるから、天才ってだけだとなんか印象が薄すぎると思わないかい、翔太?…さて、翔太が考えている内にさっさといくとしようか…第56話をどうぞ」
翔「それも違うだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁ!?あと、自分で天才少年とか言うな!?今すぐビルドに謝ってこい!?」
フ「…うるさいな…分かったよ。ちゃんとすればいいんだろう?まったく…」
翔「そうそう…さっさと作者の罪を数えやがれ…ったく」

フ「さぁ…二乃ちゃんの違法Tシャツを作った罪を「途中までセリフ一緒だったからツッコミし損ねかけた!?それは講談社に任せやがれ!あー、もう!さっさと第56話始めるぞ!」

…贖罪のパロディ祭りでした。ビルド・ジオウファンの皆さん、失礼しました。
今週から更新再開です!できるだけ休まずに更新していきますが、更新がなかった時は1週お休みだとお考え下さい(2週は開けないようにします!?」)

それでは、第56話の五つ子ゲーム…始まりです。




第56話 「Mの試練/私は誰でしょう?」

「おい、佐桐。本当に大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。五月を信じろ…多分な」

「た、多分!?」

 

風太郎と合流した翔太は階段の影に身を潜めていた。これから五つ子たちの部屋へと乗り込むわけだが、その道筋へは昨晩同様にマルオが立ちはだかっていた。マルオに気付かれないようにして、その時を待つ翔太に対し、風太郎は不安を隠しきれないでいた。そして、

 

(…来たか)

「…っ(行きますよ、佐桐君)…お父さん、ちょっといいですか?少しお話があるのですが…」

「なんだい、五月」

「(行くぞ!)」

「(あ、ああ!)」

 

五月に声をかけられたマルオが目を離した瞬間、翔太は階段から飛び出した。慌てて風太郎もその後を追い、五つ子たちの部屋へと向かう。

 

「よし!あの父親さえ乗り切ればこっちのもんだな」

「油断するな、上杉。五月の時間稼ぎだって、いつまでできるか分からないんだ。あの父親が戻ってくるまでに、さっさとあいつ等から話を聞きだすぞ」

「そ、そうだな…それにしてもお悩み相談か…どうせ大したことない悩みじゃないのか?」

「……だといいんだけどな」

 

楽観視している風太郎に対し、翔太はどこか嫌な予感を覚えていた。五月の言っていた違和感もそうだが、期末テストの一花の様子と昨日の偽五月の言動がどうしても頭を離れないのだ。そして、二人は五つ子たちの部屋へと辿り着き、事情を聞き出そうと扉を開けた時だった。

 

「「…はぁ…?」」

「「「「えっ?」」」」

 

驚きの声が重なり合った…部屋の中にいた五月を除く4人の姉妹たちが突然の来訪者に驚くのは当たり前だとしても、いきなり訪れた翔太と風太郎が声を上げるのは変な話だった。彼らが声を上げたのはその眼前に驚く光景が広がっていたからだ。それは…

 

「…い、五月が四人…!?」

「五月の森…!?なんで全員五月になってんだ!?」

 

そう、昨日の偽五月…いや、先程見かけた五月とそっくりな姿に変わっている姉妹四人がそこにいたからだ。いきなり訪れられたことに驚いていたが、冷静になった五月たちは二人へと声を掛けた。

 

「フータロー君にショータ君か…びっくりするから、ノックくらいしてよ」

「まぁ、驚かせちゃったのからおあいこだね」

(一花と三玖か…これで声まで似せられたら、ほとんど見分けつかないな)

 

声の違いでなんとか判別する翔太だが、流石は五つ子というべきか、変装してしまえば見分けるのは困難だと苦笑していた。一方の風太郎は混乱していることもあって、何が起こっているのか未だに理解が追い付いていない状態だった。

 

「とりあえず、これはどういうことだ?まさかとは思うが、季節外れのハロウィンでもやるつもりじゃないよな?」

「そんなわけないじゃないですか!これはですね…」

「丁度良かったわ。上杉、あんたにはもう一度試してみたかったのよ…覚えているかしら、五つ子ゲーム」

「っ…!?」

 

四葉の言葉を遮った二乃の放ったワードに風太郎に嫌な記憶が蘇った。そして、三玖が非常な宣言を告げた。

 

「フータローなら見分けられるよね?私たちが誰だか…さて、私たちはそれぞれ誰でしょう?」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

その宣言を受け、思わず風太郎と翔太は顔を見合わせてしまう。

 

「五つ子ゲーム…前にやった見分けだろう?そんなの、右から「もちろん、ショータはしなくていいよ。その代わり、フータローにアドバイスをするのも、助けるのも禁止」…だそうだ。頑張れ、上杉」

「佐桐!?くっ…こうなったらやってやるしかないか…」

 

口を挟むことは許さないという雰囲気の三玖の言葉に何かを察した翔太。早々に抵抗することを諦め、あっさりと風太郎へと丸投げした。ヤケクソになった風太郎は五つ子たちの挑戦を受けたのだが、

 

「自己紹介ですね。中野五月、5月5日生まれ、17歳のA型です」

「好きなこと…ですか。やはり美味しい物を食べている時は幸せですね」

「なっ…そんなこと答えられません!?上杉君!女の子にそのような質問をするのはいけませんよ!」

 

「…くそぉ!?全然違いが分からねぇ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

一人ずつの個別面談へと挑んだ風太郎だったが、4人目の五月を前にして、遂に叫んでしまった。一方の翔太は助言を封じられてしまっているため、彼らのやり取りを壁にもたれかかったまま見守っていた。

 

誰が誰だかは声だけでなく、隠し切れていない細やかな挙動で見極めていたが、昨日の偽五月が誰かまでは判別できていなかった。そもそも、どうしていきなり五つ子ゲームを彼女たちが風太郎に挑んだのか…そして、彼女たちが五月の恰好をしているのかが気になった翔太はゲームとは関係ないことだと思い、初めて口を挟んだ。

 

「おい。お前らが何を企んでるかは知らないが、これだけは教えろ。どうしてお前ら全員、五月の恰好をしてるんだ?どうせフィリップや母さんには説明しないといけないんだ。その理由くらいは教えやがれ」

「えっ…えーと、ですね…話すと長いん…の…ですが、実は…えっと…」

(あれ…待てよ。この反応…この五月はもしかして…)

 

突然の翔太からの質問に口調が怪しくなった五月(?)。その反応を見て、風太郎はある既視感を覚えていた。

 

「む、昔から私たちはそっくり五つ子で、自他ともに認める仲良しさんだったのです。おじいちゃんもそれを見て、喜んでくれてました。しかし、ある日、私がみんなと違う恰好をしてみたんです」

「ふーん…それはどんな格好なんだ?」

「それは今までと同じウサちゃんリボ…あっ」

 

風太郎の問いに五月…いや、彼女は完全に失言してしまった。

 

「ひ、卑怯ですよ、誘導尋問なんて!?」

「いや、今のは完全にお前の自爆だろうが」

「ああ…お前、四葉だな!」

「な、なんのことかわかりませーん」

「声裏返ってるぞ…どんだけ嘘吐くのが苦手なんだよ」

 

バレてもなお演技し続ける四葉に、正体が分かった以上、問い詰めるのはこれまでにしようと思った風太郎は、事情を知ることが優先だと判断し、話を先に進めることにした。

 

「そうか、お前は五月なんだな。分かったから、その先を話してくれ」

「そ、そうですよ!私は五月ですよ!…それで、さっきの続きですけど、わた…その娘がリボンをしたことで、五人同じじゃない私たちを見て、おじいちゃんは物凄く心配しちゃって、仲が悪くなったんじゃないかと…しまいには倒れてしまったのです」

(どんだけ孫馬鹿なんだよ、あの爺さん…)

「それ以来、おじいちゃんの前ではそっくりな姿でいると決めました。そして、話し合いの結果、五月の姿でいようということになったんです…だから、春休みに入り、この旅行が決まってからちゃんと変装ができるか不安で不安で…」

「…!もしかして、昨日言ってたうまくできるかどうかって…そのことを悩んでいたことを言っていたのか?」

「あ、あはは…みんなは楽しそうだったので言い出しづらかったのですが…」

 

昨日の展望台で聞いた四葉の言葉を思い出した風太郎はその真意を理解した。一方の四葉も変装を隠すことをも忘れ、苦笑いしていた。

 

(五月が言っていた四葉の様子が変だったのはこういうことだったのか。それで、昨日の偽五月も五月に変装していたわけか…けど、問題なのはどうしてこのタイミングであんな話題を提案してきたのか。残る容疑者は一花、二乃、三玖の三人か…おそらくは…)

 

(これで偽五月が四葉という線はかなり薄くなった。昨日から余所余所しくしていたこいつが、あんなことを言い出すとは考えにくい…となると、怪しいのは残りの五月たちか)

 

五つ子たちが『五月の森』へと化している理由を知った翔太と風太郎はそれぞれが状況を整理していた。これで四葉から聞くべきことは聞けたかと判断し、風太郎は昨日投げ飛ばされた四葉たちの祖父のことを思い出し、話を振った。

 

「それにしても、全員が五月の恰好をね…あんな怖い爺さんのためにお前ら偉いな」

「いいえ。とっても優しい人ですよ。私、大好きです!」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

それは嘘偽りのない四葉の言葉と笑みだった。それを見た二人も流石に何も言えなくなってしまった。

 

(…こいつらなりのあの爺さんを慮ってのことなんだろうな。しょうもない悩みだったが、こいつらは真剣だ。五月が父親の目を逸らしているうちに他の奴らの話も聞いてやれたらいいのだが…)

 

先程自身が思っていたことを恥じ、他の姉妹たちの悩みも解決してやれれば…その思いと共に風太郎は翔太と共に再度五月たちへと向き合うことにした。

 

「さて…一通り話して見分けられましたか?」

「あ、ああ………あれ?」

 

四人集まった五月たちを見分けようとした風太郎だったが…

 

「ど、どれが四人目の五月だ…?さっきは分かったのに…」

「…おい、上杉…もし冗談で言ってるのなら許すが…本当に四葉でさえ分からなくなってるのか?」

「うっ…」

「ガッカリ…やっぱり駄目みたいね」

(これは駄目かもしれないな…)

 

五つ子ゲームの攻略は絶望的だと、思わず翔太は顔を手で覆って天を見上げた。今回ばかりは自分が介入することわけにいかず、だからといって、状況が完全に呑み込めていない今、安易に動くこともできない状態に頭を抱えたくなりそうになっていた。諦めきれない風太郎がもう一度チャンスをくれと頼んでいるその時だった。

 

コンコン

「「っ!?」」

 

部屋の扉を叩く音が聞こえ、翔太と風太郎は身構えた。ここに来てから、それなりの時間が経っていた。もしかすれば、マルオが戻ってきたのではと思った二人は慌て出す。

 

「ど、ど、どうする!?どこに隠れればいい…!?」

「っ!?上杉、お前はそこに隠れろ!後で落ち合うぞ!」

「あ、ああ…!って、佐桐!?そっちは窓、って、おいぃ!?」

 

風太郎の制止も聞くことなく、隠れ場所を指定した翔太は…なんと窓から飛び降りたのだ!突然の翔太の行動に、風太郎も五月たちも驚くが、ドアが開く音が聞こえて、それどころではないと思った風太郎は身を隠すことにした。そして、入ってきた人物は…

 

「あ、おじいちゃん」

「おはよー」

「…(ボソボソ)…(ボソボソ)…」

「え?え?」

「なんか心配してるみたい」

「安心して!今でもそっくり仲良しさんだから!」

「…(ボソボソ)…(ボソボソ)…」

「え?窓…?あ、ああ!ちょっと外の空気を味わいたくて、換気を兼ねて開けてるんだ。そ、そろそろ閉めようとしてたんだ」

「…(ボソボソ)…(ボソボソ)…」

「う、うん!風邪引かない様に気を付けるね!」

「…(ニッコリ)…(ボソボソ)…」

「あっ、朝ご飯教えに来てくれたんだ!」

「大広間だよね?」

 

(あ、危ねぇ…!父親かと思ったが、結果オーライだ。佐桐は…まぁ、大丈夫か。地面から落ちても平気そうなイメージがあるし…それよりもあの爺さん…普段からあんなに声小せーのかよ!?)

 

訪問者は五つ子たちの祖父だった…五月たちと祖父が談笑しているのを…炬燵の中へと隠れた風太郎は冷や汗を掻きながら話を聞き続けていた。しかし、四人が入っている炬燵に青年男性が入っていれば、狭くなるのは当然の話で…

 

「痛っ」

「…?」

「あはは、なんでもないです……上杉さん、踏んでますっ」

「す、すまん…うん?(あれ…こんなこと、昨夜もあった気が…)」

 

心配する祖父を誤魔化しながら、足を踏まれた四葉は小声で風太郎へと声を掛けていた。そのやり取りに風太郎は昨夜の出来事が脳裏に浮かんだ。そして、あることを確認するべく、風太郎は動き出した。

 

「…!?」

「ちょ、ちょっと…!?」

「だ、だめ…!」

「何してんのよ!?」

(もしこの中に偽五月がいるのなら…あれがあるかもしれない!)

 

四人の五月たちの足元を探り、風太郎はあるものを探していた。四人から怪しい声が上がっていたが…そんなことなど(デリカシーのない)風太郎は気にすることなく、動き続けた。

 

「…?…?」

「な、なんでもないよ、おじいちゃん!?は、早く大広間に行こっか!」

 

不審がる祖父を誤魔化すために五月たちは立ち上がり、共に大広間へと向かった。そして、全員が部屋からいなくなったと思った風太郎は炬燵から抜け出した。

 

「ふぅ…寿命が縮まるかと思ったぜ。だけど、一応成果はあったな」

 

冷や汗を拭いながら、風太郎は先程確認したことから偽五月を突き止める証拠を見つけ出していたのだ。

 

(昨晩、偽五月は太ももを壁の境目にぶつけていた…もしやと思って、太ももを見てみたが、あいつにはあった…真新しい打撲痕が)

 

翔太にも後で情報を共有しなければ…見分けられる証拠を押さえた風太郎は、次に偽五月が今回の一件を画策した理由を考えていた。

 

(それにしても、なぜだ?期末試験も無事合格し、順調だったのに…)

 

そんな思考のまま、部屋を出ようとした風太郎だったが、

 

「ちょっといいですか?」

「……えーっと…四葉?」

「ブー」

 

入り口のすぐ横で待ち受けていた五月(?)に声を掛けられ、誰か判別できない風太郎はなんとなくで答えるが、もちろんそんなので当たるわけがなく…

 

「ヒントです」

「二乃!」

 

一部の髪を前へと垂らした仕草のヒントを読み間違い、

 

「ヒント②」

「あー、一花だ!」

 

右手を口に近づけるポーズのヒントも読み取れず、

 

「………」

「そうか!まさかの五月本人!」

 

だんまりのまま睨む彼女の様子から、以前の五月が怒った時の様子を思い出した風太郎が自信満々に答えるが…

 

「わざとでしょ」

(ガチで分からん…)

 

頬を膨らませ、彼女独特の怒りのポーズを見せていたが、風太郎は全く分からずに顔を青くしていた。自信を見極めてもらうことを諦めた五月(?)は歩き始め、慌てて風太郎もその後を追った。

 

「突然お父さんがいて、驚いたでしょ?フータローと一緒に応募した懸賞で、間違えて前の住所を書いちゃった。お陰で全員が旅行に来てるんだけど…」

(三玖か…それにしても、外見だけではさっぱりだな)

 

自身の呼び方で、彼女が三玖であることをようやく理解した風太郎は五月の恰好をしている三玖がそっくりすぎることに、どう見分けたものかと頭を悩ませていた。その時、風太郎の頭をよぎったのは以前の四葉の言葉だった。

 

『「私たちの見分け方はお母さんが昔言ってました・・・愛さえあれば、自然と分かるって!」』

 

(愛、ね…いや、諦めんな、俺!よく観察しろ!愛100%だ!)

 

その言葉と共に風太郎は三玖を背中越しに観察し始めた。

 

(佐桐が五月から聞いた話だと、三玖にも悩みがあるらしい…しかし、俺には先月辺りから一つ心当たりがある。三玖の悩みはまさか…はぁ、呆れたもんだぜ。俺はいつからそんなことを考えるようになったんだか…)

(…なんかいやらしい視線を感じる)

 

真剣に観察しながら、内心で自身の心境が変化したことに苦笑する風太郎。そうとは知らず、真剣に見続けすぎていた風太郎の視線に三玖はちょっと引いていたのだが…

 

「…降参だ。意地悪せずに教えてくれ」

「それはルール違反。もう少し頑張ってみてよ。私も……

 

当てて欲しい…フータローに」

 

「…じゃあせめて足を見せてくれ」

「え!なんで!?」

 

良いムードを全く読むことを知らない風太郎の提案に、流石の三玖も驚きの声を上げる。そして、三玖へと風太郎が迫ろうとした時だった。

 

「…(ボソボソ)…」

「っ!」「…!おじいちゃん」

 

小さい声が聞こえ、二人がそちらを向くと、祖父がやってくるのが目に入った。おそらく、未だに来ない三玖を心配して様子を見に来たのだろう。何を言っているのか聞き取ろうと、風太郎が祖父に近づくと、

 

「見たぞ。また孫に手を出そうとしてたな?」

「…あっはっは。今日は何もしてませんよ?」

「……三玖よ。何もされとらんか?」

「う、うん…」

「そうか…ならよい」

 

風太郎の言うことは信じられないと、三玖に真偽を尋ねた祖父は、そのまま来た道を戻り始めた。その時だった…風太郎は今のやりとりからあることを思いつき、

 

「三玖、先に行っててくれ!」

「えっ、フータロー!?」

 

驚く三玖を置いていき、風太郎は祖父の後を追った。そして、その背中を捉え、声を掛けた。

 

「待ってくれ!(この爺さんは、顔だけで三玖を判別しやがった。やっぱりただ者じゃねぇ!)爺さん…いや、師匠!お願いがあります!」

「……?」

 

師匠と呼ばれた祖父は風太郎の頼みという言葉に歩みを止め、風太郎の話を聞き始めたのだった。その風太郎の頼みとは…

 

そして、2回の窓から飛び降りた翔太はというと…

 

「ヤバかったな…万が一を考えて、スパイダーショックを持ってきてて正解だったぜ。そういえば、五月の方も親父さんの足止めは終わった頃か?」

 

窓の桟橋に掛けたワイヤーで宙吊りになっていたのだ。会話を聞き終えた翔太は地面へとゆっくりと着地し、自身の部屋と戻りながら、五月のことを案じていたのだが、

 

「そ、それでカーテンを買いに行った時の話なのですが、何色にしようかと姉妹で話し合いまして。しかし、好みは五人五色全員が違う物を選び、一時は険悪な雰囲気に…(さ、佐桐君?!私はいつまでここにいればいいのでしょうか!まだ朝ご飯も食べてないのに…そろそろお腹がすきましたぁ~!?)」

「……………(今朝の五月君はよく話すな…色々な話が聞けるのは有難いが、そろそろ僕も朝食を食べに行きたいのだが、このペースだとまだ終わりそうにないな)

 

そんなやり取りが行われているとは翔太が知る由はなかったのだった。

 

ちなみに…

 

「お腹空いたな…いや、五月はこんな言い方しないな…お腹が空きました!ちょっと違うな……お腹が空きましたぁ~!うんうん!五月はこんな感じだ!」

 

風太郎に変装を見破られた四葉が、大広間で一人そんな練習をしていたのだが、そんなことを知る者は誰一人いなかったのだった。

 

 

次回 仮面ライダーダブル/Kの花嫁 

 

『Mの試練/ドキドキフィッシング』

これで決まりだ!

 

 

 




何の躊躇いもなく窓から飛び降りる翔太…馬鹿は高いところが好きと言いますが、彼の場合は高いところから落ちるのも好きなのかもしれません(笑)

そして、物語の都合上、影が薄いフィリップ…もう少ししたら、フィリップのターンになりますので、もうしばらくお待ち頂ければと思います(逆に言えば、翔太の影が薄くなるともいえるのかもしれませんが…)

それではまた。
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