そして、アニメ二期…作画綺麗でしたね。家族旅行回までやりそうですが、どこまでやるんでしょうかね…楽しみです!(というか、風太郎と五月の中の人が、某おやすみアニメでもコンビ組んでたなと懐かしくもなりました)
それではどうぞ!
第64話 「Aは止まれない/ようこそ3年1組へ」
「えー、皆さん。ついに来週から新学期が始まって三年生…高校最後の一年が始まるわけですが…」
「私たちが最上級生ですか」
「進級できて本当に良かった」
「本当ね…半年前まではどうなることかと思っていたけど…」
「でも、楽しみだね!クラス替えもあるから、もしかしたら、上杉さんや佐桐さんと同じクラスになるかもしれないし!」
フィリップと二乃の初デート(?)から時は遡る。
家族旅行から戻ってきた五つ子たちは、来週から始まる高校生活へと胸を膨らませていた。まだ肌寒い春先…隙間風が差し込むボロアパートにて炬燵に入りながら、そんなことを話し合う姉妹たちを見渡しながら、話の発起人である一花は頃合いかと思い、話を切り出した。
「うんうん!ところで、来週からなんだけど……このアパートのお家賃を五人で五等分したいと思います」
「「「「…え…?」」」」
長女からまさかの提案が飛び出し、和気藹々ムードだった一同の笑みが凍った。だが、一花はそんな姉妹のことなど構うことなく話を進めていく。
「お姉ちゃんもちょ~っとやりたいことがあってね…今のままだと厳しいから、できれば皆にも協力してもらえたらと思ってさ。あっ、払えなかった人は前のマンションに強制退去だから、みんなで一緒に居られるように頑張ろ!とういうことで……宜しくね?」
「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」
一方的な宣言ではあったが、これまで家賃から生活費まで全てを用立てくれていた一花に、妹たちは何も反論することができず、無言で受け入れるしかなかったのだった。
「「「「…う~~~~~~~~ん…」」」」
喫茶店『ウィンドウ・シティ』…ダブル行きつけかつ依頼人との待ち合わせ場所である店にて、二乃たちはチラシを見ながら頭を悩ませていた。
マスターの計らいで長居させてもらっているが、かれこれチラシと向かい合いながら30分が経とうとしていた。ちなみに翔太とフィリップは依頼を受けて調査に出ており、店に来ることはないと彼女たちはマスターから聞いていた為、一同はゆっくりとバイトをどうするべきかと考えていた。
「コンビニ…新聞配達…みんな大変そう」
「全員で同じところでできたら、安心できるのですが…」
「そんなに募集している職場はないわ。それに、得意不得意もそれぞれ違うんだし、適したバイトの方が負担も少ないわよ」
手元のチラシを見比べながら不安を零す三玖に五月も同調するが、そんな甘い話はないと二乃は切り捨てた。その対面で接客バイトに関するチラシを見ていた四葉が呟く。
「私に接客業なんてできるかなぁ…?悪―いお客さんとか来たらどうしよう…それで服が汚れたとかクレームつけられたり、レジのお金を全部出せとか拳銃を突き付けられたりして…!?」
「四葉、アニメの見過ぎ」
「それに…私たち、もっと怖い物見てますから…どちらかと言えば、ドーパントとかの方が怖くないですか?」
「まぁ、その時は仮面ライダーが来てくれるから、安心と言えば安心ね」
まさかの可能性を考えてしまい恐怖する四葉に、三玖のジト目が刺さり、五月と二乃もこれまでのことを思い出して苦笑いしていた。
「まぁ、これまで一花を頼りにしてきたからいい機会だわ。いきなりではあったけど、こんなこともあろうかと求人チラシを集めておいて良かったわ」
「佐桐君に相談したら、また反対されてしまうでしょうしね」
「そうだね。でも、ちょっと懐かしかったね…一花のあの感じ」
「あっ、私もそう思った!」
「あの強引さ…ああなった時の一花は本当に手ごわいのよね…それに前のマンションに強制退去だなんて…」
「あのマンションで一人っきり…もしかしてお父さんと二人きりかも…」
「き、緊張感はあるわね…」
四葉の言葉に二乃だけでなく、全員がその場面を想像してしまった…リビングでマルオとマンツーマンでの沈黙の食卓…大変失礼だが、かなり気まずい空間が容易に想像できてしまった4人だった。
「五月は何か目星をつけた?」
「いえ…まだ決めかねています。するからには、自分の血肉となりえる仕事にしたのですが…都合よくそんなもの見つかりませんね…」
「血肉って…まかないがいっぱい出るバイトってこと?」
「私を上杉君と一緒にしないで下さい、二乃!?」
二乃の邪推に抗議の声を上げる五月…『いっぱい』の部分でちょっとだけ心が揺れたのは余談だったりする。
「まぁ、そうよね。どうせやるならやりたいことってのは同感だわ」
(…やりたいこと、か…)
「…あ!上杉さんと言えば、こんなバイト募集を見つけました!」
そんな四葉が掲げたチラシを見た三玖は…
「宜しくお願いします」
「いや~…募集を見て来てくれてありがとう。今日は面接で、店長の僕と同じバイトでホールを担当している上杉君が担当をさせてもらうよ」
「…おい…これはどういう冗談だ…?」
翌日…バイトの休憩時間に店長に呼び出された風太郎は頭痛を覚えていた。どうして自分がバイトの面談に呼ばれたのかと疑問を感じていたが、その答えは目の前にあった。
「なんでお前がここのバイトの面接を受けてるんだ、三玖!」
「…募集を見たから…」
「いや、そこじゃなくて…!」
「まぁまぁ、上杉君、落ち着きなよ。君みたいな悪人相と違って、可憐でお淑やかな彼女がホールに立ってくれれば、うちの向かいの糞パン屋にも一泡吹かせてやれるかもしれないだろう?」
「く、糞パン屋って…それに、悪人相ってまたまた冗談を…!……冗談ですよね、店長?」
冗談だと尋ねる風太郎の声を無視し、店長は三玖との面談を進めていく。
「え~っと…中野さん。一応履歴書には料理が趣味とあるけど、日ごろから作ったりしてるのかな?」
「…と、得意ではないですけど…姉が料理が得意で、よく教えてもらってます。今年に入っては何度もチョコを作ってて、その時にも手助けしてもらってました」
「ふむ…経験はあるってことか……よし、採用!」
「「えっ…!?」」
あっさりと決断した店長に、三玖と風太郎の驚きの声が重なる。三玖はすぐに決まったことに対し呆然とする中、風太郎は慌てて店長に詰め寄る。
「ちょ、ちょっと店長!?いいんですか、そんなにあっさりと決めちゃって」
「いいよ。元々人手が欲しいと思っていたから求人を出していた訳だし、それに彼女は君の友達なわけだから、コミュニケーションも取りやすいだろう?後は任せたよ、上杉君?」
「はぁ!?ちょ……マジか」
「えっと…宜しくね、フータロー」
「…ということがあったんだ」
「なるほどな…なんで三玖が俺に料理を教えてほしいと頼んだわけだかよく分かったわ。なぁ、元凶の長女さんよ?」
「はは…みんなには困らせること言っちゃったかな?」
と、始業式の日…登校しながら先日の三玖の一件を語る風太郎に、翔太は納得のため息を吐き、風太郎の隣を歩く一花へとジト目を飛ばしていた。そんな一花は苦笑いしながら素直にその視線を受け止めていた。
「はぁ…三玖から上杉のところでバイトすることになって、そのために料理の腕をもっと上げたいと聞かされた時には本当に驚いたぜ。それで上杉に話を聞きに来たわけだが、なんでお前が上杉と一緒に登校してんだよ、一花?」
「ん?一人で寂しく登校しているであろうフータロー君と、お姉さんが一緒に登校してあげようかなって思ってさ?まさか佐桐君と一緒だとは想定外だったけど」
「いや、別に寂しくはないぞ?」
ここに来た理由を説明しながら、一花がここにいる理由を尋ねる翔太。一花が一緒に登校する理由を語るも、精神的ダメージを受けつつも風太郎は強がる。
「だが、そんなに厳しかったのか?言ってくれれば、バイトの紹介もそうだが、少しは手助けしたんだぞ?」
「う~ん…まぁ、今まではお家賃のためにも堅実な仕事を優先してきただけで、そこまで厳しいという訳でもなかったんだけど…」
「俺は寂しくないぞ~…?」
「そろそろ私もやりたいことに挑戦してみよっかなってさ。そう思ったら、つい勢いで言っちゃったんだよね?」
「…一花…お前って、時々とんでもないことをいきなりやるよな。なんか、長女らしく姉妹を引っ張ってると言うか、振り回していると言うか」
「…寂しくなんてないからな…」
「あはは…それって、褒めてる?それとも、呆れてる?」
「両方だよ…その様子だと、旅行で悩んでいたのはそれが理由だったのか?」
「…まぁね」
「……ふーん、そういうことか」
強がることを諦めた風太郎は、翔太の疑問に答える一花のどこか意味ありげな言葉に、風太郎も何かを察して納得していた。
「三玖から聞いたが、二乃と四葉もバイト決まったんだろう?確か二乃が…」
「店長が嫌ってる向かい側のパン屋さんだな。なんでも、三玖が心配になって面談をこっそり見守りに行った際に、求人の張り紙を見たんだとよ」
「四葉も無事に掃除関係のバイト受かったみたい。元々私の部屋を掃除してくれたし、お手の物だよね」
((あの魔界を片付けてたのか、四葉……やるな))
二乃と四葉も無事に決まったという話に安堵するも、一花の報告に、以前に見た一花の汚部屋や汚布団を見た男子二人の心の声がシンクロしたのだった。
「五月ちゃんはまだ踏み出せずにいるみたいだけど…万が一の時は宜しくね、ショータ君?」
「…はぁ。お前まで俺に五月を任せるのかよ?まぁ、今日の放課後ぐらいにでも話を聞いてみるさ」
「(なんやかんやで面倒見がいいよな、佐桐…)何してくれたっていいさ。成績が落ちなきゃな」
「あはは。ここまで来たら、みんな一緒に卒業したいよね」
やれやれといった様子の家庭教師陣…そんな態度の風太郎に一花は振り返り、
「頼りにしてるよ…せーんせっ」
「…っ…!」
一花が急に振り返ったことで、気持ちの用意ができていなかった風太郎の視線が彼女の唇へと思わず向いてしまう。そして、それで思い出してしまったのは、
「…おい、上杉。ぼーっとして、どうした?」
「い、いや…なんでもない」
旅行の終わりに五つ子の誰か(二乃を除く)とキスしてしまった風太郎…それを知らない(恋事情に関してはどうしようもなくない鈍感な)翔太が心配するも、誤魔化すために前髪を弄りながら、風太郎は一花の後を追って、歩みを再開した。
(あれは事故だ…しかし、あの時のあいつはどう思って…いや、もう忘れよう)
「…?(本当にどうしたんだ、こいつ?)」
当時のことを思い出すも、なんとか表情には出さまいとする風太郎に、翔太は眉を顰め、首を傾げながらも風太郎の横を歩いていく。
「でもさ…私が言い出したことなんだけど、少し寂しくもあるんだ」
「…?」「寂しい…?」
「バイトでみんなそれぞれ忙しくなる。これからはきっと全員が揃うことも少なくなるよね。そう思ったらさ、私たち、このまま大人になってバラバラになっていくのかなって…」
「…さぁな。けど、それはきっと悪いじゃないんだろうな」
「そっか…なんかフータロー君らしい答えだね。ショータ君は?」
「はぁ…悪いことばかりじゃないさ。離れてた分、再会した時に喜びも増すだろうが。まぁ、一匹狼はそういうのも気にしないだろうがな」
「…ショータ君、良いこと言ったのに痛いよ?」
「っ!?」
まさかの一花の切り返しに思わず言葉に詰まる翔太。そんな話をしながら、3人は学園へと向かう。学園に着くと、自分たちのクラスを確認するべく、校庭へと向かった。校庭の掲示板はクラス分けの発表を見ようとする生徒たちでごった返しになっており、翔太たちは遠巻きに掲示板を見ていた。
「お前、何組だった?」
「いやー、彼と違うクラスになっちゃた」
「おい…俺は今、悪夢でもみてるのか?」
「いや、上杉…俺も同じ物を見てるから、現実だぞ?」
「えーっと…さっきまでの不安が一気に吹き飛んじゃったね?」
顔が引き攣る風太郎はおそらく否定してほしくて隣にいる二人に確認を取ったのだろうが、残念ながら幻覚ではないと否定する翔太に、一花も驚きを隠せずに苦笑いしていた。
3年1組…『1番 上杉風太郎』の名前から、五十音順に名前が並んでおり、その少し下には『佐桐翔太』の名前…そして、
「いや~…まさかみんな同じクラスになるとはね!」
「これじゃ学校も家もほとんど変わりないわね」
「でも、ちょっと落ち着く」
「そうだよね~!ラッキーだったよね!」
「四葉、少しは落ち着いてください」
『中野一花』『中野二乃』『中野三玖』『中野四葉』『中野五月』
まさかの7人が同じくクラス…3年1組に集結したのだ。教室にて、全員が同じクラスになったことに喜ぶ五つ子たち。その一方で、
「いや、ありえねぇだろう!?五つ子だぞ!?どんな確率で全員一緒のクラスになるんだよ!?」
「落ち着け、上杉。なっちまったもんはしょうがねだろうが…(とは言ってみたが…間違いなくあの人の仕業だよな。一体何が狙いなのやら)」
小声で絶叫する風太郎を宥めながら、隣の席についた翔太は笑みを浮かべながらも、脳内で五つ子の父親…マルオが手を回したのだろうと確信しながらも、その狙いを掴み切れず少しだけモヤモヤしていた。だが、
「それに…あいつらと一緒なら、高校最後の生活も退屈することはないんじゃないか?」
「…一緒なのは顔だけにしてほしいぜ」
そう言って笑う翔太に、風太郎は顔を背けながら前髪をいじっていた…その隠した顔には少しだけ笑みが浮かんでいた。そして、
「ねぇ、聞いた?」
「…聞いた、聞いた!転校生でしょ!このクラスに来るんでしょ!」
「私、実は見ちゃったんだー!超イケメンだったよー!」
3年1組の傍らでそんな噂が流れていたが、翔太たちは気が付いていなかった。
その転校生が新たな風を呼び込む者だということを。
次回 仮面ライダーダブル/Kの花嫁
『Aは止まれない/加速する戦場』
これで決まりだ!
二乃がフィリップと付き合ってるため、原作とバイトの立ち位置が三玖と入れ替わっております。これが前回のラストのお話に繋がっておりました。
なので、修学旅行編にも大きく影響してくることになります。
さて、次回こそ奴の登場です…た、多分!
それではまた!