仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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皆様、大変お待たせしました!
こちらも更新再開です…といっても、完成したのが投稿3分前というギリギリ!?
見直しなど全くできてませんが、誤字脱字あったらすみません!

そして、遂にあいつが本格登場です!
それではどうぞ!


第65話 「Aは止まれない/加速する戦場」

「わぁ~、見てよ!」

「中野さんが五つ子ってのは知ってたけど…」

「実際揃ってる所を見ると凄ぇな」

「やっぱり皆そっくりなんだねー」

 

「…そんなに珍しいもんかね…五つ子が」

「いや、普通は珍しがるもんだろう、普通は。というか、俺たちが見慣れ過ぎてるだけだぞ?まぁ、あいつらが転校してきた時も噂になってたし、一過性のもんだろうけどな」

「はぁ……くだらねぇ。トイレ行ってくる」

 

ホームルームが始まるまでまだ時間があり、クラスメイトの面々は一クラスに集結した五つ子たちへと質問の雨を投げまくっていた。名前の呼び方やら、シンクロニシティができるのかどうかなど四面楚歌な状況だった。

 

そんな光景を冷めた目で見つめる風太郎に対し、翔太も苦笑しながら同じ光景を見ていた。これ以上見ているのは無駄だと悟った風太郎は席を立ち、ワザと五つ子たちの間を擦り抜けるようにして、教室を出て行った。

 

五つ子の助けを求める視線と声を無視した風太郎の態度にクラスメイトから抗議の声が上がるも、五月たちも慣れっこだといった様子で対応し、その姿を見ていた翔太も乾笑いを浮かべていた。

 

(あいつは本当に不器用だな…というか、そろそろ助けに入った方がいいか?)

 

このままでは質問が終わらないと思った翔太が席を立ち、五つ子たちの元へとする前に、一つの影が翔太の横を通り過ぎた。

 

「みんな、そろそろ止めにしないかい、ね?」

「…武田君?」

「そんなに一気に捲し立てたら、中野さんたちも困っちゃうよ…そうだろ?」

「え、ええ…ありがと」

「確かにな…武田の言う通りだな」

「はしゃぎ過ぎちゃった…ごめんね、中野さん」

 

その人物…2年の時も翔太と同じクラスメイトだった武田の介入により、五つ子たちに質問攻めしていたクラスメイトがようやく落ち着きを取り戻したようだった。二乃もいきなり助けに入ってくれた武田に驚きつつもお礼を言ったのだが、

 

「だけど、気持ちは分かるよ。五つ子だなんて、みんな、君たちのことがもっと知りたいんだよ…ね?」

「…は…ははは…」

「どーもー」

 

事々に決め顔と共にキラキラの台詞を吐く武田に、二乃も半笑いになってしまっていた。背後から一花が挨拶しているが、見ようによっては二乃を盾にしているようにも見える光景だった。

 

そんな姉妹の反応などお構いなしに、自分の席へと戻る武田が翔太の近くを通り過ぎた。

 

「…余計なことをしてしまったかな?」

「いや、助かったわ、武田。それにしても、まさかお前とまた同じクラスになるとはな」

「ハハハ…!僕は君と一緒のクラスになれて嬉しいよ、佐桐君。またこうして、君と同じ一年の記憶を共有できるなんて、とても素晴らしいことじゃないか!」

「お、おう…そうだな(…ああ、やっぱりこいつ、ちょっと苦手だわ。良い奴なんだけど、苦手だわ…)」

 

席へと戻っていく武田を見送りながら、翔太は内心ちょっと引いていた。二年の時もそうだったのだが、妙に自身との距離を詰めたがる武田に翔太は少し苦手意識を持っていたのだ。

 

すると、質問攻めから解放された四葉たちが翔太の元へと歩み寄って来ていた。

 

「佐桐さん、さっきの方とお知り合いだったんですか?」

「武田のことか?まぁ…去年、クラスが一緒だったんだよ。それにかなり勉強もできるから、お前たちの面倒を見る前は、時々一緒に勉強したりもしてたんだよ…そういや、林間学校でもバスの席が隣だったか」

「武田さん…!親切な人ですね!」

「そう…?あんなキラキラしたことを平気で言えるなんて、胡散臭くない?」

「コラコラ…助けてもらったのに、そんなこと言わないの」

 

四葉が武田に感激している一方で、半眼で呆れている二乃に一花がその態度を諫めていた。そんなやりとりが行われていると、

 

「席に着けー。オリエンテーションを始めるぞー」

「ほら、お前たちも席に戻れ。俺も自分の席に戻るから」

「…佐桐君…堂々と他人の席に座っていたんですか?」

 

まさかの事実に五月のツッコミが入るも、それを聞こえないフリをしてやり過ごした翔太。トイレに行っていた風太郎も丁度教室へと戻り、クラス全員が席に着いたところでオリエンテーションが始まった。

 

「えー…今日からお前たちは三年生だ。今、街では奇怪な事件が多発しているが、それとは関係なく最高学年になった自覚を持ち、後輩たちに示しのつくような学校生活を送るように心掛け……」

(うん…どうしたんだ、先生?)

 

新学期恒例の教師の長話が続くかと思っていた翔太は、いきなり話が止まってしまったことにぼんやりとしていた思考を現実へと戻されてしまった。見ると、教師は眉を顰めて困ったように、教室の後ろへと視線を向けていた。それに釣られて、最後尾に座る翔太が真横を見ると…

 

「…あー、なんだ、中野?いきなり手を挙げて、どうした?」

「はい!このクラスの学級長に立候補します!」

(…………はい!?)

 

話を止めた元凶…四葉のまさかの爆弾発言に、数秒遅れで翔太の頭は完全に覚醒した。予想だにしてなかった四葉の意図が読めず、斜め前に座る五月たちへと視線を飛ばすが、五月達も突然の事態に困惑していた。

 

「ええー…まだ誰も聞いてないし、こっちにも段取りってもんがあるんだぞ…」

「いきなりのことですみません!でも、そこをなんとか!やらせてください!」

「いや、反対もしてないけど…はぁ…他にやりたい奴は…いなさそうだな。なら、女子の学級長は中野…四葉に頼むか」

「はい!!みなさーん!困ったら、私に何でも言って下さいね!」

「じゃあ、ついでだ。こうなったら、男子の方も決めてから、話を戻すとするか…」

 

他に立候補する者もおらず、学級長に決まった四葉が教壇へと立ち、宣誓している姿を見て、翔太と五月たちは思わず頭を抱えてしまっていた…そんなことなど構うことなく、風太郎は自主勉のペンを動かし続けていた。

 

「立候補する奴はいるかー?」

「いますかー?」

「推薦でもいいぞー」

「いいぞーっ!」

(おい、一花!お前、長女だろうが、なんとかしろよ!?)

(無理だよー…もー、四葉ったら、恥ずかしい…!)

 

先生の問い掛けに元気よく同調する四葉に、翔太はアイコンタクトで一花へと(無茶ぶりだと分かりながらも)助けを求めるが、残念ながら一花にはどうしようもない状況だった。そんな不毛なやり取りが続きながらも、オリエンテーションは進んでいく。

 

「おい、お前やれよ」「いや、男子の学級長なんて適任者決まってんだろ」「そんなの武田一択だよな~…まぁ、そのうちだれか推薦するだろうな」「いや、案外佐桐っていう線もあるぞ?あいつも面倒見良い方だろう?」

「全く…やれやれ」(ふざけんな…唯でさえ、ダブルの活動にあいつらの家庭教師だってあるのに、これ以上何かがあってたまるか…!?)

 

周囲の評価に満更でもない様子の武田に対し、翔太は勝手に自身を候補へと推挙するクラスメイトたちへと内心毒づいていた…そんな時だった。

 

「先生、私、学級長にピッタリな人を知っています!」

「「ほらな」」(四葉!?)

 

翔太の願いを裏切るかのように教壇に立つ四葉がそんなことを言い出したのだ。それとは対照的に、クラスメイトの声に応えるかのように武田は自分が呼ばれるかと確信したかの如く立ち上がろうとして…

 

「それは…上杉風太郎さんです!」

「…へっ…?」「……………はぁぁ!?」

 

どこか間抜けな声が漏れた翔太に遅れ、自身の名が呼ばれたのだと遅れながら自覚した風太郎の叫びが教室に響き、更に遅れて教室がざわつき始めた…ちなみに武田は中腰の体制のまま硬直してしまっていた。

 

「えっ、上杉君で大丈夫?」「武田君を差し置いてだなんて…」「中野さん、どうしてあんな奴を推薦したのかしら?」

「よ、四葉…なんてことを…!?」

「よーし…他に立候補する奴もいないのなら、男子の学級長で決まりなー」

「ちょ…!先生、俺はまだやるなんて一言も言ってません!?」

「でもな…中野が推薦したわけだし…他に立候補する奴もいないみたいだからな…お前、確か部活もやってなかっただろう?」

「ぐぅ……(こうなったら…佐桐、助けてくれ!?)」

「(スッ…)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

(…佐桐!?)

 

担任の言葉に、このままでは逃げられないと悟った風太郎は、最後の頼みとして翔太へと救いの手を求めたが、翔太は冷静にその助けを振り切った。そして、武田を含め、他の生徒たちも進んで立候補する者はおらず、

 

「ほら、決まりだ。それじゃ、二人ともよろしくな」

「はい!」「~~~~~~~~~~~!?」

 

四葉が元気よく返事をする一方で、声にならない悲鳴を上げながら頭を抱える風太郎。何を絶望しているのかがよく分かった翔太は心の中で合唱するのだった。

 

「さてと…話が大きく脱線してしまったが、今年はお前たちにとって、高校最後の一年になる。進学する者、就職する者、進む道はそれそれあるだろうが、後悔のない一年を過ごすようにな。

それと…いきなりの話ではあるが、実はこのクラスに転校生がやってくる。本当はそいつの紹介をしてから、係を決めるつもりだったんだが…」

「ア、 アハハ……」

 

やれやれといった担任の言葉に、元凶である四葉は苦笑いするしかなかった。一方で、転校生というキーワードにクラス中は今日一番の賑わいを見せていた。

 

「ほらほら、静かにしろ…大分廊下に待たせてるから、早速みんなに紹介しようと思う。それじゃ、入って来てくれ」

 

担任の呼び声に反応し、教室の前方のドアが開かれ、制服に身を包んだ男子生徒が入ってきた。その鋭い眼光に大人っぽさを感じさせるイケメンフェイスに、女子生徒一同は黄色い悲鳴を上げ、ほとんどの男子生徒は落胆かつどこか負けた感を漂わせていた。しかし、ほとんどの者たちとは違う反応を見せる者が2名いた。

 

「…なぁ…あいつは…!?」「えっ…嘘!?」

 

翔太と一花が同じタイミングで驚き、思わず顔を見合わせていた。互いの反応から、その人物が自分たちが会ったことのある人物だと確信し、どういうことなのかと二人して困惑してしまっていた。

 

正確には、翔太は相棒の視界を通して見た人物が、一花は自身を助けてくれた謎の青年が、現在、自分たちの目の前にいることが信じられないでいた。

 

「それじゃ、照井。自己紹介を頼む」

「…照井竜だ…宜しく頼む」

 

転校生…照井は自己紹介というには、あまりにも簡易すぎる挨拶に大騒ぎしていたクラスメイトたちは面食らっていた。担任も、今ので自己紹介が終わりだとは思っていなかったため、慌ててフォローしようとするのだが、

 

「お、おい、照井…もう少し言うことは…」

「ありません…それで、俺の席はどこですか?」

「…ゴホン…はぁ。お前の席は…」

 

『ピンポンパンポーン』

 

照井の態度に、早々に諦めると同時に、胃が痛くなってきたような気がした担任は照井の席を教えようとしたのだが、その声を遮るかのように学校放送を知らせるチャイムが教室に鳴った。

 

『ホームルーム中に失礼致します。緊急事態が発生致しましたため、先生方は至急職員室にまでお集まり下さいませ。生徒の皆さんは指示があるまで、教室で待機するようにしてください。繰り返します…』

 

「…おいおい…何だよ、緊急招集って。まぁ、学級長を決めておいて正解だったな。上杉、中野…今の放送を聞いての通りだ。俺はこれから席を外すが、オリエンテーションを続けておいてくれ、いいな?それと、オリエンテーションの時間が終わっても、勝手に席を立たない様にしておけよ。じゃあな」

「ちょ…先生!?」「分かりました!」

 

呼び出しを受け、ボヤキながらも風太郎と四葉に後を頼んだ担任は教室を後にしてしまった。まさかの事態に風太郎は呆然とする一方で、四葉は気合十分の返事で応え、風太郎を(強引に)教壇へと連れて行き、オリエンテーションの続きを行おうとしていた。

 

「…緊急事態…ねぇ、それって…」

「でも、今までもドーパントに関する事件はありましたけど、ここまで大きく騒がれるなんて初めてではありませんか?」

「ねぇ、ショー……!待って、ショータがいない…!」

「「「…!?」」」

 

緊急事態という言葉に、真っ先にドーパントに関することだと二乃が疑うも、今までとは何かが違うのではと五月が首を傾げていた。このままでは埒が明かないと思った三玖が、斜め後ろにいる筈の翔太に話を聞こうとしたのだが、翔太が座っていた席はもぬけの殻になっていた。

 

「嘘…いつの間に出て行ったのよ!?」

「わ、分かりません…全く気づきませんでした」

「っていうことは…やっぱりドーパント関連ってことなのかな……あれ?」

「…?どうしたの、一花?」

「…あのさ…転校生君はどこ?」

 

一花の言葉に他の3人もようやく照井の姿が教室にないことに気付いた。クラスのほとんどが気付いていなかった…皆が校内放送に気どられている内に翔太がすぐさま教室を抜け出したこと…そして、担任が出て行った隙を突いて、照井も教室を後にしたことを。

 

 

学校を抜け出した翔太は、近くに呼び寄せていたハードボイルダーで街を駆け抜けながら。スタッグフォンと連動させたハンズフリーイヤホンで、フィリップと状況を確認していた。

 

「どういうことだよ、フィリップ!?街中でのドーパントが複数出現したっていうのは本当なのか!?」

『今、情報を整理中だ。けど、偶然その場に居合わせたサンタさんとウォッチャマンがスタッグフォンに画像を送って来てくれた。確認できるだけで、人型のドーパントが4体…しかもどれも見たことがないタイプばかりだ』

「ったく…始業式の日に限ってこんなことになるなんてな…!これは、完全にすっぽかしコース確定だな」

『そんな冗談を言えるあたり、まだ余裕は残ってそうだね?安心したまえ、街の各所には警察から不用意な外出を控えるように通達が出ている…尤も、ドーパントの攻撃で警察隊は壊滅的なダメージを受けたようだがね』

「ドーパント4体か…苦戦は必至か……見えた!」

 

角を曲がったところで、複数の爆発と煙が翔太の視界に入った。周囲では逃げ惑う人々の悲鳴が響き渡っており、避難を誘導する警察官にも恐怖と疲労の表情が出ていた。

 

「フィリップ!」

『Cyclone!』『Joker!』

「『変身!!』」

 

『Cyclone! Joker!』

 

ダブルドライバーを装着しながら、互いのガイアメモリを起動して、ダブルへの変身が完了する。サイクロンメモリの特性でハードボイルダーに風を纏わせ、暴れまわるドーパントの群れへとダブルは突っ込む。

 

轟音と共に突っ込んできたハードボイルダーに気付いたドーパントたちはそれぞれに回避行動を取り、ダブルの強襲を回避した。

 

「…ったく、好き勝手に暴れまくりやがって…!俺たちが止めてやるから、覚悟しやがれ」

『……?待て、翔太。ドーパントの数が合わない…!?もう一体は…っ!翔太、上だ!?』

「…!うぉぉ!?」

 

その存在に気付いたフィリップの叫びに、ダブルはハードボイルダーから飛び降りた。その直後、石像がダブルのいた場所へと落下し、ハードボイルダーを吹き飛ばしてしまった。

 

「…おいおいおい…冗談だろう。唯でさえ数が多いっていうのに」

『上空に浮かぶドーパント…これは参ったね』

 

先程の奇襲の一撃を放ってきたドーパントが鎮座する上空を見上げ、ダブルの二人は思わずため息が漏れる。それだけでなく、先程の攻撃から体勢を整えた他のドーパントたちもダブルへと迫りつつあった。

 

『Luna!』『Triger!』

『Luna! Triger!』

 

「だけど、弱音は言ってらねぇよな…付き合ってくれよ、相棒」

「『さぁ、お前たちの罪を数えろ!』」

 

トリガーマグナムを構えながら決め台詞を放ったダブルがドーパントたちへと突っ込む。変幻自在のエネルギー弾を連射し、ドーパントたちを攪乱しようとするも、十字架を模した杖を持つドーパントが前へ飛び出した。そして、弾丸を全て杖で相殺してしまったのだ。

 

「っ!?弾を…!」

『翔太、メモリチェンジだ!』

 

遠距離攻撃は意味を為さないと判断したフィリップの思考に、翔太は連続回し蹴りでドーパントたちを牽制しながら、ジョーカーメモリを取り出す。

 

『Heat!』『Joker!』

『Heat! Joker!』

「熱々の一撃、喰らわせてやるぜ!」

 

ヒートジョーカーに変化し、十字架杖を持つ歪んだ僧正のようなゾンビ体のドーパントを炎の拳で吹き飛ばし、更なる追撃を喰らわせようとするダブル。顔全体を巨大なシルクハットで覆われたドーパントにも拳を振りかぶり…

 

「なぁ…擦り抜け、ぐぅぅ!?」

 

シルクハットのドーパントは炎と化してしまい、ダブルの拳が空を切ってしまう。翔太はまさかの事態に驚くも、そんな暇など与えてくれるわけもなく、ダブルの背中に火の玉が直撃する。

 

白煙を体から上げるダブルが振り返ると、そこには姿を消したシルクハットのドーパントがダブルをあざ笑うかのように立っていた。だが、ドーパントたちの攻撃はまだまだ終わらない。

 

『くっ…今度は雷…!合図なんて取っている素振りなどないのに、どうやってこんな連携を…!?』

「考えている場合じゃねーぞ、フィリップ!?こうなったら、一気に纏めてメモリブレイクするしかねぇ!」

『…一か八かになるが、それしかないか』

 

『Spark!』『Metal!』

『Spark! Metal!』

 

全く動いていなかった煉瓦で構成されたボロボロの体をしたドーパントから、周囲のガラスを振動で破壊してしまう程の稲妻が降り注ぎ、慌ててダブルは回避する。その瞬間、上空の円盤に吊るされた様なドーパントが再び石像を放ち、回避したダブルを狙う。

 

着地を狙われてしまい、ギリギリで体を逸らすことで直撃を避けるも、完全に防戦状態に陥っていたダブルの二人は、状況を打開するために広範囲のマキシマムドライブを放つために、スパークメタルへと変わる。

 

炎と雷の攻撃を避けながら、僧正のドーパントにメタルシャフトを叩き込み、そのまま持ち上げて、他のドーパントたちへと放り投げた瞬間に、メタルメモリをメタルシャフトに装填する。

 

『Metal! Maximum Drive!』

 

メタルメモリが装填されたことで、スパークメタルの全身を流れる電流が最大にまで高まり、メタルシャフトへとエネルギーが集約されていく。そして、周囲の砂鉄がメタルシャフトで誘導されるかのように動き、マキシマムドライブのエネルギーが伝達されていく。

 

「『メタルマグレクト!!!』」

 

巨大なメタルシャフトを模した砂鉄の塊をドーパントたちにぶつけようと、ダブルが技名と共にメタルシャフトを振り降ろした。その巨体に似合わない速度で振り下ろされた砂鉄群はドーパントたちを襲おうとするが、

 

『HAAAAAAAAAAAAAA!!』

「何…!?」『馬鹿な…』

 

砂鉄群が直撃する瞬間、僧正のドーパントが杖で地面を叩いたのだ。その動作だけで、砂鉄群に宿っていたエネルギーが僧正の杖へと吸収されてしまったのだ。

 

『まさか…奴はエネルギーを吸収するじゃなくて、あらゆるエネルギーを操れるのか…!?っ…マズい、翔太、逃げろ!?』

 

僧正のドーパントはあらゆるエネルギーの流れを自在に操れるのだと気付いたフィリップが、先程の瓦礫のドーパントが放った稲妻のことを思い出して叫ぶ。それと同時に、再びドーパントから稲妻が放たれるが、それは先程の比ではなかった。音が遅れてやってくるほどの強力な稲妻がダブルを襲った。

 

「『うううぅ…うああああぁぁぁぁっ…!?』」

 

咄嗟に翔太がスパークメモリの特性で全身に雷を纏ませ、稲妻を地面に流す様に誘導したが、全てを流し切れずにダブルの全身からスパークが飛び散る。そして、それに留まらず、炎の弾丸群と石像の雨がダブルの周りへと降り注ぎ、逃げ場を完全に封じてしまっていた。

 

「がぁ…くそ…!こうなったら、ダイナソーで…!?」

『駄目だ…!今の状態でダイナソーを使ったら、君の体が…!』

「だけど…このままじゃ…!?」

 

ドーパントたちの猛攻で吹き飛ばされ、メタルシャフトまでもを手放してしまったダブルは完全に追い詰められていた。切り札であるダイナソーの使用を躊躇するフィリップだが、状況は完全に予断を許さない状態だった。

 

そして、迷うダブルへと止めを刺そうとドーパントたちが再度攻撃を放とうと、

 

ブルルルルルル!!!

 

「『『『『『…!?』』』』』」

 

その時だった…戦場へと豪快なバイク音が響き渡り、ドーパントたちの動きが止まった。ダブルも音の発生源…こちらへと爆走してくるバイクの姿に気付き、驚いていた。だが、赤きバイクは減速する様子など微塵も見せず、ドーパントたちの群れへと突っ込み、なんと跳ね飛ばしてしまったのだ。謎の助っ人の行動に唖然とするダブル…だが、バイクの主は急停止し、戦場へと降り立った。

 

「…全く…見ていられない戦い方だな。本当にお前が、数多のドーパントを葬ってきた仮面ライダーなのか?……佐桐」

「なぁ…!お前は……照井竜!?」

 

ヘルメットを取り、やれやれといった姿でそう告げる人物に翔太は言葉を失う。だが、それは翔太だけでなく、相棒のフィリップもであった。

その人物とは、フィリップも直接見た…翔太たちの高校に転入してきた、照井竜その人だったからだ。

しかし、興ざめだという態度の照井は、ダブルの反応など意にも介さず、ドーパントたちへと向かっていく。

 

「お、おい…!?止まれ!お前がどうにかできる奴らじゃねんだぞ!何するつもりだ!?」

「俺に質問するな…!シュラウド!!」

『随分な呼び方ね……急いで準備してきたというのに』

「『…!?』」

 

照井が名を呼んだ人物の声が聞こえ、ダブルは空を見上げる。そこにいたのは、包帯で素顔を隠した黒づくめの恰好の女性らしき人物だった、声を何かで変えているのか、それが誰なのかをダブルは判別することができなかった。

 

『ほら…貴方のお望みの物を仕上げてきたわよ。テストはまだだけど、本当にいいのかしら?』

「俺に質問するなと前にも言った筈だ」

『そうだったわね…なら、受け取りなさい……貴方の力を!』

 

シュラウドは照井の言葉に、はいはいといった様子で持っていたアタッシュケースを放り投げた。それを片手でキャッチした照井は素早く中身を取り出し、アタッシュケースを放り捨てた。

 

「…この時を待っていた…最強の力を…俺の目的を達成するための力を得るこの時をぉ!!!」

 

『ACCEL!』

 

「あれは…俺たちと同じメモリ…!?」

『シュラウド…まさか、彼女がS…!彼女が僕たちにあのメモリの設計図を…!』

 

照井の手には、『A』の文字が刻まれた赤きガイアメモリと、見たことのないドライバーが握られていた。翔太は照井が持つメモリに驚く一方で、フィリップはシュラウドこそがダブルに新しいガイアメモリを提供してくれていた影の協力者なのだと悟った。

 

次々と驚愕の事実を突きつけられるダブルをよそに、照井はドライバーを装着し、ガイアメモリを起動させる。

 

「変…身っ!!」

 

「加速」の記憶を起動させたメモリをドライバーへと装填し、バイクの轟音と共にドライバーの右グリップを強く握りしめる…その瞬間、赤きバイクメーターの針のような物体が照井を包み、その姿を赤き鋼を纏う戦士へと姿を変えた。

 

「仮面…ライダー…?」

「さぁ…振り切るぜ!!」

 

翔太がその名を呟くと同時に、大剣…エンジンブレードを構えた照井…仮面ライダーアクセルはそう宣言するのだった。

 

 

次回 仮面ライダーダブル/Kの花嫁 

 

『Aは止まれない/転校生はアクセル』

これで決まりだ!

 




ようやく落ち着きましたので、後書き更新です。

遂に登場…アクセル初変身回でした。
照井の名前も実は変えようかと思っていたのですが、あまりに良い名前が思い付かなかったので、この際変えなくてもいいかと思っての結果でございます(苦笑)

そして、さり気なく登場しましたシュラウド…その正体は果たして…?

そんなわけで、次回もバトル回になります。
本章では、結構バトルシーンが多くなる予定でございます(まぁ、それは次章にも言えることなんですが(笑))

それではまた!
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