仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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大変お待たせしました!!

流れ的に一花のお話をした方がスムーズかと思い、オリジナル交えながらの依頼回になります。前半は原作の裏をなぞる様な形になってますので、そちらと照らし合わせながら読んで頂ければ面白いかもしれません。

それでは、どうぞ!


第73話 「テレビ局に潜むE/長女が持ち込んだ依頼」

「上杉と四葉が怪しい?」

「…はい…というか、四葉が困ってるといいますか…」

 

放課後…図書室にて、定例となった勉強会を始めようとしたところで、翔太はそんな相談を五月から投げ掛けられていた。

 

ちなみに、一花は仕事で早退、二乃と三玖はバイトが重なってしまい夜からの参加、議題に上がった風太郎と四葉は学級委員の仕事で遅れていた。

 

「学級委員を代わってほしい理由が、自分と上杉と付き合ってる噂が嫌だとか…自分で推薦しておいて何を言ってんだ、あいつは…」

「そ、そうですが…だからといって、私が代わるのも…そ、その…私と上杉君が、つ、つ、付き合って…とか…」

「はぁ……そういうのは一過性なもんに決まってるだろうが…お前も四葉も気にし過ぎなんだよ」

「…そういうものでしょうか」

「そういうもんだ……それにしても意外だったよな」

「えっ?」

 

四葉から学級委員を交代してほしいという相談を受け、どうしたものかと翔太に相談した五月だったが、翔太は馬鹿馬鹿しいとばかりに切り捨てながらも、曖昧な表情をしていた。

 

「まぁ、クラスメイトのそういう噂話は確かに耳にするが、そういうのに合わせて、上杉の認知度が上がってるのが意外だなと思ってな」

「上杉君って、有名人なんじゃないですか?ほら…食堂で焼肉定食肉抜きという、あり得ない注文をすることで」

「まぁ、そっちも有名だが…それでも、上杉風太郎という一個人を記憶していた奴は少ないだろう?俺だって、あいつが学年一位を取り続けていることぐらいしか、認識なかったからな」

「…そういえば…上杉君のそういう噂話って、あまり聞きませんね…私は第一印象が最悪でしたけど…」

「(そういえば、『食い過ぎ』ってオブラートなしで言われただったな、こいつ)…俺だって、武田…人から聞いたぐらいの情報でしか、上杉を知らなかったんだ。この学校じゃ、テストの順位を張り出す習慣はないからな」

「…そういう意味では、四葉の狙い通りなのかもしれませんね」

 

2年の時、同じクラスだった(3年になった今でも同じクラスメイトではあるが)武田から、自分はいつも2位であり、1位を取り続けている男…風太郎のことを聞かされていた翔太は、助っ人になる前の風太郎に対する印象の語る。

 

以前と今を比べ、風太郎に対する周囲の反応を思い返してみた五月は納得しつつ、ぼそりとそんな言葉を放った。それがどういうことかと翔太が目線で尋ねると、五月は学級委員交代のことを相談された時に言われたことを話し始めた。

 

「四葉が言っていたんです…『私はただ…上杉さんが凄い人だってみんなに分かってほしい』って…」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「あの…四葉は上杉君のことが…」

「五月」

「っ…」

「本人がそういう噂を嫌がってるなら、お前まで詮索してやるんじゃねぇよ。それとも…他に気になることがあるのか?」

「…それは……」

 

四葉の言葉を知った翔太にも思うところはあったが、それは自分が無闇に踏み込んではいけない部分だと思い、五月の言葉をも遮った。しかし、五月の心配する姿がただことではないと感じ、そう問いかける。

 

(…本当に…嘘を吐くのが苦手なんだな…こいつも四葉も)

 

狼狽える姿で、自身の懸念が当たっていることを表している五月の態度に、翔太は苦笑いしてしまう。それが、四葉の姿に似ていると思ったのか、相変わらず不器用だと思ったのか…これ以上は追及するのは可哀そうだと思い、翔太は話題を切り替える。

 

「それよりもだ…お前、結局バイトをどうするのかは決まったのか?」

「えっ…は、はい…一応、学習塾の先生のお手伝いをしようかと思いまして…やっぱり先生を目指す上で、そういう経験を積められるものがいいと思いまして…」

「…まぁ、決まったなら何よりだ。俺の方でもいくつかピックアップしていたんだが、余計な心配だったみたいだな。それにしても、学習塾の手伝いとか…お前の成績でよくやらせてくれたな…」

「…事実なので、反論するのは止めておきます…実は、以前知り合った方にお願いしまして…下田さんという、母の教え子の方に相談したら、苦笑いしながら承諾して下さりまして…」

「へぇ~…お母さんの知り合いか…縁と言うか、良かったじゃねーか…そうだ。お前らの母親と言えば、聞きたいことが一つあ「お~待たせしました!!」…おっと」

 

翔太が質問しようとしたところで、図書室の入り口からそんな声が聞こえてきて、会話が遮られる。周囲の目がその人物…大声を出してしまったことに気付き慌てる四葉と、その隣でまた慌てた姿で注意する風太郎へと注がれていた。

 

「やっと来たか…雑談はここまでだな。そろそろ勉強に戻るぞ」

「えっ…でも、佐桐君、今何かを言い掛けてませんでした?」

「大したことじゃねーよ…ほら、さっさと準備しろ」

「は、はぁ……」

 

(…なぁ、五月…お前らは気付いてた筈だろう…上杉の思い出の少女の名前が、お前らの…)

 

話の勢いで聞こうとしていたことを内心で考えながら、翔太は五月のことを見ていた。当事者である風太郎が来てしまった為、聞くことを諦めたが、翔太はその疑念をずっと…学年末テストの直前に、五つ子たちの母親の墓へと赴いた時から抱えていた。

 

自分や風太郎に、五つ子たちは何かを隠している…それを暴くことが正しいことなのか、それが風太郎や彼女たちのためになるか判断つかず、翔太はその質問をすることを躊躇い、諦めたのだ。

 

「悪い、遅くなった…」

「いや、それほど待ってないさ。お疲れさま、学級長」

「…推薦された以上には、しっかりやるさ。それに、こいつらの家庭教師よりは遥かに楽だからな」

「どういう意味ですか!?」「上杉さん、酷いですよ!?」

 

席に合流した風太郎の謝罪を問題ないという風に答える翔太。そんな彼の労いの言葉を受け、冗談交じりの返事をした風太郎に五月と四葉から抗議の声が上がる。

 

「はぁ…ほら、さっさと始めるぞ?ただでさえ、変な奴に絡まれたお陰で遅れたんだ。時間が許す限り、勉強していくぞ」

「変な奴…?」

「トイレで毎回絡んでくるんだよ…人のプライバシーを筒抜けに調べてやがるボンボンコミュニティー野郎がな…終いには、家庭教師の役目を代わるとか、俺にはもっとやるべきことがあるとか、失望したとか…言いたい放題言ってきたんだけどな…」

「お、おう……もし誰かから恨みを買ってると思ったら、いつでも相談に乗るぞ…?」

「いや…そこまでのものじゃないと思うんだが…何かあった時は頼む」

 

苦々しくそう語る風太郎に、その人物のことが心配になり、翔太はいつでも探偵として力を貸すという意味をも込めてそう返した。そんな翔太の気遣いに感謝しつつ、準備できた五月と四葉を見て、風太郎は勉強会を再開させた。

 

 

 

「…こう?」

「そうそう…切り方はそんな感じだ」

「「………(ジー…)」」

「……お前ら、こっち見過ぎだぞ?そんなに心配なのか?」

「だ、だって…ねぇ、五月?」

「そう、ですね…三玖の料理は…その…」

「二人とも失礼…ショータがいたら、3割ぐらいだよ…失敗するのは」

((意外に高い確率…!?))

 

学校での勉強会を終えた一同…二乃が戻ってくるまで、多少の時間があったため、風太郎は一度家に戻り、手の空いていた翔太は以前の約束通りに三玖に料理を教えていた。

 

手持ち無沙汰だった四葉と五月が恐る恐る見守っていると、失礼な物言いに対し、三玖から抗議の声が上がっていた。

 

「でも、佐桐さんも料理できるんですね!なんか意外です!」

「まぁ、二乃ほどじゃないけどな…親がいないことも多かったから、ガキの頃から作ってたんだよ」

「確かに二乃の方が腕は上だと思いますけど、佐桐君も誇っていいレベルのものだと思いますよ?」

「うん…こうして教えられるだけ凄い」

「そうか?まぁ、後は慣れの問題だ……で、だ。ちょっと待て、三玖」

 

女子三人に褒められ、思わず笑みが零れる翔太…だが、笑いながらも、その暴挙を見逃すことはなかった。

 

「お前、何を入れようとした?」

「えっ……もずく」

「なんでだよ!?中華スープにならまだ分かるが、どうして炒飯にぶち込もうとしてんだ!?」

「えっ…違う食感が楽しめるかと…」

「入れるとしてもせめて水を切れよ…というか、料理の初心者が下手なアレンジをするんじゃねーよ」

「…でも、二乃は色々やってる」

「二乃はそこら辺がちゃんと分かってるんだよ…何事も初めてが出来てから色々と試していくんだよ…勉強も一緒だろう?」

「「「…なるほど」」」

「納得してくれて何よりだ…そう言いながら、抹茶パウダーらしきものをぶち込もうとするな、三玖!?」

「ショータ、これは抹茶塩…」

「どっちにしろ、アウトだ」

「ちぇ…」

 

再度凶行に及ぼうとした三玖の右手を掴む翔太…ただの抹茶ではないと抗議するも、深緑色の炒飯は流石に勘弁してほしいと思った翔太はばっさりと切り捨てた。

 

『♫♫♪』

「っ…メールか。悪い、三玖…いや、四葉、五月。三玖が変なことしないように見張っておいてくれ」

「わ、分かりました!」「えっ、はい!」

「むぅ……」

 

スマホから着メロが響き、翔太は一言告げてから台所を離れる。三人がそれぞれの反応をする中、開いたメールを見た翔太は、

 

(…これは…どういうことだ?)

 

その内容を見て、翔太は顔を顰めた。私用のアドレスではなく、探偵『風都』宛ての仕事用アドレスに届いたそのメールは確かに依頼を思わせる内容だったが…

 

(ともかく…こればっかりは本人に聞いてみるしかないか。幸い、今日この後予定はないし…そうするか)

 

手短に返信メールを打ち、送信する…いつもなら、もう少し文面を考えて打つのだが、この人物に対してはそうする必要はないだろうと判断し、台所へと戻ったのだが…

 

「…おい…これはどういうことだ…」

「「「………ゴメンなさい」」」

 

目を離したほんの一瞬の間にそこはカオスとなっていた…先程まで順調に出来ていた筈の炒飯は、血のような真っ赤な色に染まってしまっていた。どういうことかと思わず崩れ落ちた翔太の姿に、五月たちは謝ることしかできなかった。

 

チキンライスは美味しい…三玖の提案に、五月と四葉もそういえばと思い…料理の知識が疎い女子三人では判断がつくわけもなく、ケチャップ代わりにぶつぎりしたトマトをそのまま炒飯にぶち込んだ結果が、今の惨状を作り上げてしまったのだった。

 

「ただい……えっ?どうしてショータ君が土下座してるの…?」

「ちょ…!?三玖、あんた、一体何を作ろうとしてるのよ!?」

 

そんな惨劇の場に揃って帰ってきた長女は苦笑いしつつも、面白そうだとスマホで写真を撮り、次女はキッチンで出来上がっていたカオスに絶叫していた。

 

 

 

夕飯を作り直し終えた時には風太郎もやってきて、夜の勉強会を終えた一同。そのまま翔太と風太郎は五つ子たちのアパートから自宅へと戻った。しかし、

 

「…はぁ…」

 

家で探偵服へと着替えた翔太は依頼人との待ち合わせ場所である喫茶『ウィンドウ・シティ』へと来ていた。先日の事件が木っ端微塵となったハードボイルダーはまだ新しい素体が届いておらず、自転車で来たのだ。

 

店の前へとやってきた翔太は一息を吐く…それは疲れたから漏れた息ではなく、これから会うであろう依頼人に対してのため息だった。

 

このまま店の前でジッとしていてもしょうがないと思い、翔太は気持ちを固め、人払いされていることでほぼ無人と化していた店へと入っていく。

 

「…はぁ…なんであんなメールを送ってきたんだよ。さっきの勉強会の時にでも言ってくれれば良かったじゃねーか……一花」

 

「…アハハ…さっきぶりだね、ショータ君」

 

無人の店内に一人いた人物…夕方に依頼のメールを送ってきた彼女へと声を掛けた翔太は呆れた表情をしていた。

 

その言葉を受けた人物…去り際にマスターが出していったアイスカフェオレを飲んでいた一花は半笑いしながら、翔太を出迎えた。

 

「『今日、ウィンドウ・シティに待つ お姉さんのお・ね・が・い Iより』…って。風都宛てのアドレスじゃなかったら、即効削除してたわ」

「え~…酷いな、ショータ君。返信だって『22時』の一言だったし…」

「アドレスそのままで送ってきて、隠す気ゼロだった奴がどの口で言ってんだよ」

「それでも、ショータ君は来てくれると思ったから…それに、みんなの前で相談できる話じゃなかったしね…」

「…まぁ、もしかしたらとは7割ぐらいは思ってたからな…責任感の強い、長女のお前らしいやり方だな。それで、何があったんだ?」

「あっ、ちょっと待って…実はもう一人呼んでる人がいるんだ」

 

一体誰を…そう聞こうと翔太の口が開く前に、店のドアが再び開いた。

 

閉店の看板が下げられた喫茶店に入ってくる者など、看板を見ていない馬鹿か、事情を知っている人間のどちらかしかおらず、今回は後者だった。

 

「…邪魔をするぞ…佐桐」

「なぁ…!照井……なんで、お前が…まさか…」

「えっとね…ゴメン、私が呼んだんだ。ショータ君だけじゃなくって、照井君にも話を聞いてもらった方がいいと思って…もう一人の仮面ライダーさんにね?」

「っ…一花、お前…どうして…」

 

照井がここに来た理由に察しがついた翔太ではあったが、一花がアクセルの正体を知っていることには驚きを隠せずに言葉を失ってしまっていた。

 

流石にこのまま話をするわけにもいかず、苦笑いしながら一花は照井がアクセルだと知った経緯を説明した。

 

「はぁぁ…そういうことかよ」

「私も偶然だったんだよ?まさか、照井君が新しい仮面ライダーだなんて、知った時には本当に驚いたんだから…!」

「…話は終わったか?そろそろ本題に入ってほしいんだが…」

 

事態を呑み込んだ翔太から長い溜息が漏れる…そんな彼を見て、一花の笑みもぎこちないものになってしまう。そんな二人のことなどお構いなしに、照井はさっさと呼び出した訳を話せと一花に催促する。

 

「むぅ…せっかちだな、照井君は。そんなんじゃ、女の子に嫌われるよ?」

「帰る」

「ス、ストップ、ストップ!?話すから…!」

(よ、容赦ねぇ…)

 

自身のからかいなど一刀両断し、席を立とうとした照井を慌てて引き留める一花。そんなやりとりを見て、内心絶句する翔太。再び席についた照井にホッとしつつ、コホンと息を払った一花は、二人を呼び出した理由を話し始めた。

 

「脅迫された…って言ったら、信じてくれる?」

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

先程までの明るい雰囲気などどこにいったのやら…まるで今までは演技だったかのような、一花の真面目な態度から放たれた穏やかではない話に、翔太と照井も真剣に話を聞く体制に入った。

 

「脅迫…それは、ジェノサイドの時みたいな感じにってことか?」

「ううん、そうじゃなくって…私個人に届いたんだ…この脅迫状が」

 

一花が鞄から手紙らしきものを取り出す…それを触れようとして、指紋がつくことを恐れた翔太は常備していた手袋を着けてから、その手紙を広げる。

 

「『エブリィ・トーカーに出演するのを止めろ さもなければ、裁きが下されるだろう』…新聞や雑誌を切り取って作ったようだな…まさしく脅迫状だな」

「この脅迫状が届いたのはいつ頃なんだ?」

「昨日、収録があったテレビ局の控室に置かれてたんだ…ファンレターなら事務所に届くはずだから、もしかしたらと思って開いてみたら…」

 

照井が内容を読み上げる横で、翔太はいきさつを一花に尋ねる。一花が言うには、収録を開始する前には手紙はなく、帰ってきた時には既に置かれていたのだという…マネージャーである事務所の社長も把握してなかったらしく、いつ置かれたのかは分からないとのことだった。

 

「…それで、この手紙のことを知っているのは?」

「私だけ…社長に相談した方がいいかなとも思ったんだけど…」

「『けど』…?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「何か話せない訳がある…そういうことだな?」

「…(コクッ)」

「それで俺たちを呼んだわけか…」

 

一花にも何かしらの事情があるらしく、ようやく自分たちが呼ばれた訳を理解した翔太たち。事情を一定の範囲まで話せたうえで、こんな相談ができる人物というのは、確かに自分たちだけだろう。

 

「この脅迫状に書かれてる『エブリィ・トーカー』っていうのは何なんだ?」

「20代に人気の深夜バラエティだよ。毎回旬なゲストを迎えて、複数の議題に関して話していく番組で、独特な空気が爆弾発言が面白いの…今度の収録に、私がゲストで出ることになってて…」

「ゲストって…なんでまたお前が…」

「来々月公開の映画の宣伝だよ…本当は主役の女の子が出るもんなんだけど、他のスケジュールと被っちゃって、私が出ることになったんだよ」

「ほう…なら、今度の映画は一番目に死ぬ役じゃないのか?」

「エヘヘ、実はそうなんだ…!今度の役は一味違うんだから!」

「ちなみにどんな役なんだ?」

「主人公の親友役!けど、実は全ての呪いを仕掛けていた黒幕で、最後に主人公に殺され……あっ」

「…その映画を見る時、もうお前にしか目がいかなくなっちまったじゃねぇか」

「しかも、結局死ぬ役か…」

 

綺麗にネタバレされてしまい、黒幕役である一花にしか注目できなくなりそうだと翔太は落胆し、死ぬ運命からは逃れられないのかと照井はどこか呆れてしまっていた。

 

一花もなかなかない役柄だったこともあり、嬉しさのあまりに言葉が先走ってしまったことに申し訳なそうに…いや、テヘペロに近い笑みを浮かべている辺り、反省しているかどうか怪しいところだった。

 

「コホン…とりあえず、だ。事情は分かった…これがイタズラか本物か…本物だったとして、これがガイアメモリ関係かどうか…それが分かるまで、護衛を頼みたい、そういうことだな、一花?」

「…うん。ガイアメモリが関係ないんだったら、警察に話せばいいだけだとは思うんだけど…ここ最近物騒なことが続いてるから、先に二人に相談したほうがいいかなっと思ってさ」

「…まぁ、今は緊急の依頼もないし、俺は大丈夫だ。照井、お前はどうする?俺一人でも、問題なさそうな…(おっと…こいつに質問したところで、まとまな返事が返ってくるわけないか)」

 

『俺に質問するな』…出会った時から何度浴びせられたか分からないフレーズが頭をよぎるも、もう既に問い掛けてしまった翔太は、隣にいる照井から飛んでくることを警戒し身構え…

 

「いいだろう。その護衛、俺も引き受けよう」

「本当!?」「…へっ?」

 

お決まりのフレーズはどこにいったのやら、素直にそう申し出た照井…笑みを喜ぶ一花に対し、完全に虚をつかれた翔太は目を丸くしていた。

 

「何だ…俺が護衛に着くことがそんなに意外か?」

「あっ、いや…まぁ、意外といえばそうなんだが……悪い、正直言って本当に驚いてる」

「奴等が来る可能性がある以上、暢気に学校に行ってるぐらいなら、護衛の仕事を受けた方がいいと思っただけだ」

「でも、頼んでおいてなんだけど、二人とも授業は大丈夫なの?番組の収録は明後日のお昼からなんだけど…」

「ちょ…!?お前、それを先に言えよ…はぁぁ。また休む理由を考えないといけないな」

「俺は別に構わん…成績さえしっかりしていれば、最低限の出席さえすればいいわけだからな」

(…耳が痛い…というか、とても羨ましい…!)

 

始業式に続き、またしてもズル休みしないといけなくなった翔太がどこか遠い目をしている一方、照井はそんなことなど関係ないとばかりに学校を休むことを宣言していた。

 

ダブルの活動をするにあたって、学校を休むことも多くなった翔太は、教師からの信頼を挽回するべく勉学に関しては手を抜いておらず、五つ子の家庭教師の補助ができるほどには勉強ができた。

 

一方の照井もかなり勉強はできる方で、多少の休みは気にする必要がなかったのだ。落第候補であった一花からすれば、色々と思うところがある話では合った。

 

「というよりも、前の学校じゃもう既にカリキュラムは全部終わっていて、2年の終わりからは受験勉強が始まっていたからな…今さら、授業を受けるのも時間の無駄だ」

「お前、今、色んな高校生を敵に回したぞ…というか、そんなに授業の進歩が速いなんて、前の学校は進学校か何かだったのか?」

「紫焔高等学校だ…それなりに有名なところではあるな」

「紫焔!?そこって、私たちが通ってた黒薔薇女子より上の超進学校じゃん!?」

「…うわぁ…なんか、照井が超優等生にいきなり見えてきた」

 

私立紫焔高等学校…通称『紫焔』と呼ばれる学校は、風継では1、2を争う進学校であり、この学校に入ることができれば、エリートの道は半ば約束された、という噂が立つ程のエリート校である。

 

お嬢様学校に通っていた一花はもちろん、そのことを知っていた翔太も驚きを隠せずに照井をまじまじと見ていた。

 

「何を驚いてる…そんなことよりも、護衛の話をするぞ」

((そんなことって……))

 

自身の過去など気にすることではないとぶった切った照井の言葉に顔を見合わせる翔太と一花…二人が驚きから戻ったところで、護衛の件について相談が始まった。

 

 

 

しかし、災難というのは重なるものらしい。なぜなら…

 

「上杉君…申し訳ないが、君には娘たちの家庭教師を降りてもらう」

「「…はっ…?」」

 

一花から相談を受けた翌日…五つ子のアパートにて、勉強会をしていた時、いきなりやってきたマルオがそう告げたのだ。

 

まさかの解雇通知に、風太郎と翔太からそんな声が漏れてしまった。

 

 

「テレビ局に潜むE/これは俺にしかできない仕事だ」

これで決まりだ!

 

 




照井、まさかのエリート出身疑惑…
まぁ、ダブル原作でも若いながら警視でしたから、そういう設定でも問題ないかなと思った結果です。

今回のお話、ごじょじょ原作と少し内容が異なる点もいくつか出てまいります。今回にも伏線張ってますが、次回の勉強会にはいなかった筈の一花も参加するのはその改変点の一つです。

できたら、来週には投稿できればと頑張りたいところですが、できなかったゴメンなさい!?

それでは、また!
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