仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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ごめんなさい、一話で終わりませんでした!?もうちょっと本章続きます!

さて…前回、原作のように不穏な形で終わりましたが、その続きです!
原作とは異なる展開になっているところもありますので、途中からオリジナルな感じになっております!

それでは、どうぞ!


第82話 「テレビ局に潜むE/恩返しの形」

「(ボー…)…………」

 

(…つ、疲れてるな、上杉の奴…)

 

4月13日…全国統一模試まであと僅かといったところだが、彼らの状況はイマイチというところだった。放課後、図書館で勉強会を行っている風太郎、翔太、一花、三玖、四葉…何が上手くいってないかというと…

 

四葉を挟んだ三玖の対面にいる、目の下に酷い隈ができている風太郎があまり集中できていない様子に、翔太も思わず笑みが引き攣っていた。

 

五つ子の家庭教師に、バイトの掛け持ちに、自身の模試勉強…一高校生にとってはあまりにもハードすぎるスケジュールに、下手をすれば自分たち仮面ライダーよりも酷いのではと思わずにはいられないほどだが…

 

…風太郎の思考を占めているのはそれだけではなかった…!

 

『フータロー…教えてあげる。一花、フータローのこと好きだよ』

 

(あれは……そういう意味と捉えて…いいのか?)

 

「…上杉、ちょっと休憩にしようぜ。お前らもだ」

 

「…そうだな。悪い、ちょっと少し外の空気吸ってくる…」

 

「あー、疲れた」「五月ちゃんは?」「用事があるって言ってた」

 

このまま続けても効率が悪いと思った翔太が提案し、動きにまで疲れが表れている風太郎がふらりと図書室の外へと出ていこうとしていた。

 

「さ、佐桐さん…大丈夫でしょうか、上杉さん」

 

「…ここが踏ん張りどころではあるからな。あいつも無理をしないとって分かってるだろうから、止めるのもちょっとな…」

 

「…私、ちょっと様子見てくる」

 

「頼む、三玖…四葉、そこの問題に時間掛け過ぎじゃないか?どこが分からないんだ?」

 

「アハハ…実は、ここの問題が…」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

風太郎に負担が掛からないよう、出来る限り五つ子たちの勉強は翔太が見ているのだが、それ以上のフォローをするのは流石に無理があるわけで…四葉の心配に、翔太も苦い顔をするしかなかった。

 

誰かが一緒にいた方がいいと思った三玖が様子を見に行くと席を立つ中、さっきからあまりペンが進んでいなかった四葉を翔太が見過ごしていなかった…一方、一花は風太郎と三玖が去った方へと視線を向けており…

 

席を立った風太郎は外へ出ようと入口へと向かっていた…だが、その胸中は穏やかなものではなかった。

 

(…今はやらないといけないことに集中しないと。佐桐だって忙しい筈なのに手伝ってくれてるんだ…あいつ等の勉学も元に戻ってきたから、もう少しで元の点数にまで上げられる…!ここからはあいつらの自学にも掛かってるが、俺は俺で模試勉強にも集中しないと…いや、だからこそ両立させるんだ!ここでどこか気を抜けば、どっちも瓦解する可能性だってある…俺の勉強はあいつらが帰った後に一人で勉強をすれば良い!あいつらは足枷なんかじゃない…あいつらがそうじゃないってことを俺の行動で証明しないと…!?)

 

プレッシャー…達成しなければならないこと、証明する責務…二つの重圧が、風太郎を良い意味でも、そして、悪い意味でも追い詰めていた…無理をしていることは重々承知していたが…それでも、やらなければと風太郎は静かに覚悟を決めていた。

 

「フータロー…?」

 

「三玖か…(…そうだ…一応聞いておくか…)」

 

心配になって様子を見に来た三玖に声を掛けられ、足を止める風太郎…が、さっき振り払った筈の思考がふと頭を過ぎってしまっていた…やはり大分疲れているようだ。

 

「明後日のことだけど…」「昨日のことだけど…」

 

しかし、三玖も聞きたいことがあったらしく、質問が見事に交差してしまった。

 

「え?明後日…何のことだ?」

 

「フータローこそ…昨日のこと…?」

 

「いや……俺が聞こうとしたのは…」

 

互いに質問の意図が図りかねてしまい、とりあえず自分から聞こうと口を開いた風太郎だが…

 

「…二人して、何話してるの?」

 

その先を遮るかのように…狙いすましたかのタイミングで声を掛けたのは一花だった。二人の会話が気になったような態度で少し微笑んで二人のすぐ傍にまで来ていた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「…ん?どうかした?」

 

「…な、なんでもいいだろう。ちょっと出てくる」

 

他人に聞かれたくない話でもあり、今さらもう一度尋ねられるような空気でもなくなってしまったため、吐こうとした言葉を呑み込んだ風太郎は今度こそ外へと空気を吸いに行ってしまった。

 

「フータロー、かなり疲れてる…大丈夫かな?」

 

「大丈夫だよ…私たちにできるのは少しでも負担を軽くすることだけ…だから……誕生日のことは忘れよ?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

一花から確認するように告げられた三玖は何も言えなくなってしまった…そう、三玖が風太郎に尋ねようとしていたのは、明後日の風太郎の誕生日についてだったのだ。

 

『3日後、フータロー君の誕生日だよね?』

『プレゼントは何にするか考えたけど、そもそも模試勉強しているフータロー君の迷惑にならないかな?』

『…一度この話、白紙に戻そうよ』

 

チャットアプリの『中野家の五つ子(5)』と題されたグループトークに、そんな提案のトークをアップしたのは一花だった。昨夜、偽りの告白をしてから家に戻り、入浴している際にそんな提案を持ち出していたのだ。

 

「…うん。そうだね」

 

「……じゃあ、私も飲み物買ってくるね」

 

三玖の動きに何か嫌な予感を覚え、口を挟みに来たのだが…どうやら正解だったらしい。話を有耶無耶にできただけでなく、再度確認するように忠告もできたことに、一花はその場を離れた。

 

…いや、正確にはその場をひと時でも早く離れたかった…妹の想いを裏切るようなことをしている自身の行動に胸が痛んだからだ。

 

(自分のしたことに後悔しちゃダメ…私はこう戦うと決めたんだから。全員に釘を刺した今がチャンス……私だけがフータロー君にプレゼントを贈る…もう迷ってる余裕なんてない!)

 

そう…これは一花の策だった。

 

姉妹たちにはプレゼントの話を白紙にしようと釘を刺し、一人だけ当日にプレゼントを渡したいと…これまでの遅れを取り返すにはそれぐらいのことをしなければならないと…焦燥感から出た行動だった。

 

…もしくは、妹の姿を借りて告白をしたという一線を越えてしまったことから、自分でももう止めることができなくなっていたからかもしれない。

 

「…何してるのよ、一花」

 

「っ…!二乃、おそかっ……えっ?」

 

しかし、渡すタイミングを姉妹たちに見られるとマズいのもあり、なんとか風太郎に時間を作ってもらえないかと尋ねようと後を追おうとする中、声を掛けられたことで早足だった一花は足を止めざるを得なかった。

 

しかし、足だけでなく、言葉までもが止められてしまうことになった。それは…

 

「に、二乃…その持ってるもの、何…?」

 

「え、これ…?ああ…」

 

勉強会に遅れるとは聞いていたが、何の用事かまでは知らなかった一花…しかし、二乃が腕に抱えているそれに目を見開き、思わず尋ねてしまった。二乃が持っているそれは…プレゼント用らしきラッピングがしている包みだったからだ。

 

尋ねられた二乃はいつもと変わらぬ態度でその問いに答える。

 

「疲労回復効果のアロマよ。私も何度か使ったことあって、香りもそこまで強くないのを選んだもののセットよ…ほら、明後日はあいつの誕生日でしょ?」

 

「…昨日のメッセージ見た…?」

 

「もちろん見たわよ。あんたにしては長女らしい提案で、確かに一理あるわねと思ったほどだったもの」

 

「だ、だったら…!今、持ってるそれはなに…?!」

 

平然とした態度で答えていく二乃…だが、その態度とは裏腹に持っている物が矛盾しているではないかと、思わず一花は声を荒げてしまった。いつもはそう見ることのない姉の態度に驚きながらも、二乃は正直に答えることにした。

 

「私が上杉に贈るわけないじゃない…送るとしたら、食材とからいはちゃんやお父さんと一緒に食べれるものにするわよ。これはフィリップ君からよ」

 

「フ、フィリップ君…?」

 

「そう…どうやら佐桐から上杉の誕生日を聞いたらしくてね…で、誕生日プレゼントは何がいいかって地球の本棚で検索しようとしだしから、慌てて私がアドバイスすることになったの。

それで、疲労回復のアロマはどうかって話したのよ…使ったことがあるものだから、詳しく話すこともできたしね。で、代わりに学校で渡してほしいって、さっき校門で預かってきたわけ」

 

まさかの人物が犯人だと知り、呆然となる一花…そんな姉の様子などお構いなしに、二乃が経緯を説明していく。自宅に届いた荷物をフィリップがハードボイルダーで運転してきて、持ってきたのを受け取りに行っていて、二乃は勉強会に参加するのが遅れたのだ。

 

「…というか、さっきの態度はなによ?あんたらしくも……まさか…」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

説明し終えたことで、今度は自分の番だと二乃が問う…さっきの慌てた姿は何だったのだと言おうとして、その言葉が止まった。信じられないといった表情に変わる妹に、一花はやらかしたことに気付くも、既に手遅れだった。

 

「…なるほど、そういうこと…みんなにはああ言っておきながら、あんた一人は用意したわけね……プレゼント」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

五つ子の中で、もっともそういう恋沙汰に敏感な二乃の目を誤魔化すことができるわけもなく…その問いかけに観念したように、一花は胸ポケットからプレゼントとして用意していたギフトカードを取り出した。

 

「……はぁぁ~…」

 

強かと捉えるべきなのか、そこまでするかと呆れるべきか…困った様に溜息を吐いた二乃は、一花の顔を見た。

 

「…別にあんたの恋路を邪魔する気はないし、卑怯とはいえ、それも駆け引きとしては一つの手段だとは思うわ…私がどうこう言っても、結局、上杉とあんたたちの問題だからどうしようもないと分かってるわ…けど、それでもこれだけは言っておくわ。

 

…一花…今のあんたのしていることに、迷いはないのね…?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

自分を試すようにも、見透かすようにも思えるその問いに…一花はすぐには応えられなかった。だが、その真意を隠すように一花は口を開き始めた。

 

「私たちってさ…五つ子なのに好みはバラバラだよね」

 

「…そうね。そのせいで、ご飯を作る時、毎回困るわ」

 

問いの答えになっていない答えに、二乃は敢えて指摘せずに会話を続ける。その先に、一花の主張があると理解していたからだ。

 

「二乃はさ…フィリップ君のことが好きでしょ?」

 

「そうね……世界で一番大好きだわ」

 

「…そうだろうね。それで、私もフータロー君が好きなの…分かるでしょ?好きな人を誰にも取られたくないって気持ち…」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「それは三玖も一緒…三玖もフータロー君のことが大好き。なんでだろうね…なんでこんな時に限って、一緒の人を好きになっちゃったんだろうね?」

 

今の状況を本当に残念だと…そして、後悔しているかのような一花の姿に、二乃も下手に口を開くことができなかった。一花の決心はそこまで固いものだと理解できてしまったからだ。

 

「他のみんなには悪いけど…長女だからって今回ばかりは譲ってあげられない…三玖にも四葉にも…譲るつもりないから」

 

「…あっ、そう。あんたらしい我儘な主張ね」

 

これ以上どうこう言うつもりは本当にないと…一花の行動を黙認することにした二乃は話を終えようとしていた。さっきも言ったが、これは当人たち同士の問題であって、自分が口を挟むべきではないと彼女はよく分かっていたからだ。

 

…しかし、それでも、二乃はこれだけは言っておかなければと口を開いた。

 

「けど…もしあんたが三玖たちの想いを踏みにじるようなことをしたら……私はあんたを一生許さないってことは、覚えておきなさい」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

それだけは絶対に許さないと…二乃の忠告に一花は「はい」とも「いいえ」とも答えられなかった。二乃の方も釘を刺すという意味で言っただけで、答えは求めていなかったらしく、みんながいるであろう方へと歩き出した。

 

「というか、誕生日プレゼントにギフトカードを送るのってどうなのよ?気持ちが籠ってないと思われるのがオチじゃない?」

 

「いいじゃん!これなら、本当に好きなものを買えるんだし…むしろ、アロマを薦めた二乃の方が男の子の気持ち分かってないじゃない?あのフータロー君が喜ぶと思うの?」

 

「はあぁぁぁ!?上杉が気に入らなくても、らいはちゃんが気に入るわよ!そもそも、電気代の節約にもなるでしょうが!?」

 

…バチバチと火花を散らせて、プレゼントに関する批判をぶつけ合う二人。どっちの言い分も間違ってないのが話をややこしくてしていた。

 

「わっ!!」

 

「「…?」」

 

そんなやり取りも、驚きの叫びによって中断させられることになった。自分たちを見て、何故か驚いている四葉に、一花と二乃は首を傾げる。

 

「あはは…びっくりした。上杉さんが帰ってきたのかと思ったよ」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

何かを手の中に隠すようにしている四葉、そして、視線だけは一花たちへと向けながらも黙々と凄い速度で手を動かし続ける翔太、その作業を机に隠れるような形でしゃがんだ三玖が見守っていたようで…

 

「四葉、その手の中にあるのは何よ?」

 

「千羽鶴!休憩時間中に上杉さんの試験合格を願って何かできないかって思って…佐桐さんに相談したら、折り紙持ってたから一緒に作ってたんだ!」

 

「まぁ、百枚入りの奴しか流石に持ってなかったから、千羽鶴ならぬ百羽鶴だけどな」

 

「…っていうか、ショータ君、作るのはや?!どんなスピードで折ってるの?」

 

「それ、入院の見舞いとかであげるやつでしょうに…まぁ、幸運の効果はあるって聞くから間違ってはないんだろうけど」

 

堂々と答える四葉に対し、黙々と折り鶴を作っていく翔太の手際の良さに一花が驚く。一方、二乃が呆れながらもその作業を三玖と共に見守っていた。

 

「上杉さん、あれからずっと疲れてるように見えるんだ。言わないだけで、私たちに教えながらってのが凄い負担になってるんだよ…だから、せめて体は壊さないように…できた!」

 

四葉ができた一羽を掲げる…その間に翔太は三羽ほど仕上げていた訳だが。嬉しそうに折り鶴を掲げる妹に、二乃が思わずツッコんでしまった。

 

「でも、プレゼント中止って…」

 

「…あ」

 

一瞬、時が止まったかのように一同の動きが止まった。翔太でさえも硬直したほどで…状況を理解した四葉が一転して軽く泣き出してしまった!

 

「ごめーーん!そんなつもりじゃなかったんだー!?」

 

「よ、四葉、ここ図書館!」

 

「そんな気にしなくていいから…!」

 

「自分で自分が許せないよ~…これじゃあ、私だけズルしてたみたいだもん!」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

その一言が姉の胸に刺さった…四葉を宥めようとしていた一花の笑みが凍り付く。

 

「約束を破るなんて、人として最低だ―!」

 

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

人としてあるまじき姿だと言われ、更にもう一本胸に刺さる!今更、『自分も独り抜け駆けしようとしてました』なんて言えるわけもなく、表情が固まったままになる。二乃も流石にジト目で一花を見てしまっていた。

 

「……えーっと」

 

「…ごめん…!」

 

流石に純粋な四葉の言動に、自分のしようとしていたことに罪悪感を覚えたらしく、一花が謝罪しようと思った矢先、三玖の謝罪が飛び込んできた。

 

「その…これ……スポーツジムのペア券。フータローと一緒にトレーニングしようと思って…」

 

「「「えっ…?」」」

 

「実は仕事の給料、日割りで貰って買ってたんだ…抜け駆けしてゴメン」

 

「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」

 

まさかの三玖までもが自分と同じことをしようとしていたとは思っていなかったらしく、一花だけでなく、関係ない二乃と四葉までも呆然としていた。

 

(…本当に…五つ子だなぁ)

 

こんなところでもそっくりなところを感じるとは…そう思った一花は苦笑しつつ、改めて提案し直すことにした。

 

「じゃあ、こうしよう…やっぱり模試前に渡すのは勉強の妨げになっちゃうから…この模試をフータロー君が無事乗り越えたら、みんなで渡そ?」

 

「うん!」「それがいい」「…まぁ、それが妥当でしょうね」

 

「……いや、なんか勝手に纏めてるが、プレゼントは当日に渡さないってことでいいのか?」

 

「…しまった…ショータに情報共有するの忘れてた。何を用意してたの?」

 

「キーケースだよ。俺が持っている奴の色違いでな…」

 

いつの間にかいい話な感じになっていたが…自分が全く関知していない話に、流石の翔太も話についていけなくなっていた。そういえば、翔太やフィリップに話を通してなかったと思った三玖が、あっといった感じでリアクションしていた。

 

「…本当に良かったの?あんた的にはアドバンテージがなくなるじゃないの?」

 

「いいんだよ、これで…それに、二乃だけじゃなく、みんな分かってないよ…全員で一斉に渡しても、私のを一番に喜んでくれるに決まってるから」

 

「…その自信は一体どこからきてるのよ…」

 

翔太のプレゼントについて三玖と四葉が集中している中、一花にそれでいいのかと尋ねる二乃…姉の不敵な笑みに、流石の二乃もそう呟いてしまったのだった。

 

「じゃあ、結局当日は何もなしでいくのか?」

 

「うーーん…それは少し寂しいですよね………そうだ!こんなのはどうでしょう!」

 

誕生日当日は何もしないということでいいのかと確認する翔太だが、流石にそれはどうかと頭を悩ませていた四葉が何かを思いついたらしく、何かと全員がそのアイデアへと耳を傾け…

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・(ウト…ウト…)」

 

4月15日…勉強会を終え、閉館時間ギリギリになるまで一人模試勉強を図書館でする風太郎の姿がそこにはあった。その目下にある隈は二日前よりも酷くなっており、意識もギリギリのラインを保っているのがやっとであった。

 

「…まだ帰ってなかったのですね」

 

そんな彼に声を掛ける人物…私服姿の五月に声を掛けられ、ウトウトしていた風太郎の意識が現実世界へと引き戻された。

 

「こんな時間まで自習だなんて…ご苦労様です、差し入れです」

 

「…五月…何言ってんだ、苦労なんてしてねぇし、このぐらい何ともねぇよ。俺を誰だと思ってる」

 

『睡気打開』とパッケージに表記された栄養ドリンクを机に置いた五月に、風太郎は強がりながらそう答えた。まぁ、差し入れのそのドリンクをすぐに飲み干した姿から、無理をしていると五月がすぐに察したわけだが。

 

「先日、塾講師をされてる下田さんという方の元へと出向いてまいりました。それで、バイト…と言えるのかは分かりませんが、下田さんのお手伝いをしながら更なる学力向上を目指したいと思って、今日から行ってきたところです」

 

「…俺たちじゃあ、力不足かよ」

 

「拗ねないで下さい…そうではありませんよ。逆にあなたたちの姿を見て、私ももっと先を見ておきたいと思ったんです…模試の先、卒業の先…その先にある夢のため…教育の現場をもっと違う形でも見ておきたいのです」

 

「……お前らのやることは本当に予測不可能だ」

 

五月がそんなことを考えているとは思ってみなかったこともあり、頭を抱えながらも、風太郎の声色は優しいものだった。

 

「新学年になってから…四葉に…一花ときて…三玖も………」

 

「…?何かあったので………う、上杉君?」

 

「……すぴーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 

「…!え、えぇ~……」

 

どうやら限界だったらしい…意味深な発言をしながら力尽きた風太郎は、目を開けたまま眠ってしまっていた。差し入れのドリンクも意味を為さなかったことに、それと、こんなになるまで頑張っている風太郎に、五月も笑うしかなく…

 

「…貴方にはいずれ話しますから…」

 

そんな意味深な言葉を告げ、預かっていたものを風太郎の傍に置いて五月は、彼を起こさないように静かにその場を去った。

 

 

 

…ブー…ブー…ブー…!

 

「…ん…?……しまった、いつの間に…」

 

気が付いたら寝落ちしてしまっていたと思った風太郎が、メールが届いたことを知らせるスマホのバイブ音で目を覚ました。

 

『お兄ちゃん、いつ帰ってくるの?お誕生日会の準備してまってるよ』

 

「あ…そういや今日だったな」

 

メールの送り主は愛する妹のらいはからだった…文面から、今日が自分の誕生日であったことを思い出した風太郎は、早く帰らなければと席を立った。

 

「…帰るか……うん?なんだ、これ…」

 

立ち上がってすぐ…傍に置かれていた物に気が付いた。

 

「五羽…鶴…?それと……菓子の詰め合わせか?」

 

そこのは真っ白な折り鶴が五羽置かれており、その横にどっさりとしたコンビニ袋に詰められた菓子が見えた。

 

「…?この折り鶴、なんか裏に書かれてる?なんの紙を使って……そういうことかよ」

 

折り鶴を元に戻すと、それは風太郎が自作した小テストで…五つ子たちそれぞれの名前が書かれたものだった。ということは、菓子の詰め合わせは翔太からの差し入れということだと察した。

 

菓子も苦みが強いチョコレートや眠気覚ましのガム、さらにブラックコーヒーが数本入っていて、どういう意図が含まれているのかは見て取れてしまった。

 

「一人じゃない、か…(あいつらだって頑張ってるんだ…負けてられないよな)」

 

今、この時も自分のために見当しているであろう五つ子たちを、そして、少しでも負担を減らそうと尽力してくれている友の姿が脳裏に映り、思わず零れた笑みと共に風太郎が呟いた。

 

…勝負の時がもう間もなく訪れようとしていた…

 

 




…久々に書きすぎて、主人公たちの名前をもう一つの作品の方のアバターネームで打ちそうになってます(黒笑)

次回でちゃんと終わる…予定ですので、もうしばしお待ちください!
流石にそこまで長くならないので、頑張って来週にはラスト一話を投稿できればと思います!

それでは!
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