仮面ライダーW/Kの花嫁   作:wing//

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やっと、ライダーパートに突入です。

ちなみに翔太の探偵としての正装はダブル原作の『ウインドスケール社』メーカーのブラックカラーのものを想像して頂ければと思います。

それでは、どうぞ!


第6話 「Cな空間/その名はダブル」

暗い夜道・・・フードを被った一人の男が歩いていた。

 

(まったく、翔太め・・・今日は帰りが遅くなるなんて・・・)

 

本を持つ手とは逆にはコンビニの袋を持っている男・・・フィリップは相棒である翔太から送られてきたメールを思い出しながら、少し怒りを感じていた。

 

(こんな買い物にバイクやリボルギャリーを使えば、翔太に怒られるしな・・・さっさと帰って、検索の続きをしなければ・・・)

 

そう思い、足を速めたのだが・・・

 

(うん・・・・・?誰か、泣いてる?)

 

近くで誰かが泣いている声が聞こえ、足が止まった。

 

(・・・女性か?こんな時間にどうしたのだろうか?)

 

普通であれば、そんなことなど気にせず、放っておくフィリップだが・・・今のこの町にはそれを看過することができない事件が発生している。最悪の可能性を考えたフィリップは泣き声がする方へと向かうのであった。

 

少し歩くと、声の発生源は路地からしているようだった。フィリップが路地に近づき、覗いてみると・・・

 

「っ!?・・・誰!?」

 

そこには・・・目を真っ赤にし、涙を流す二乃が蹲っていた。暗く、顔が見えないフィリップを二乃は警戒していた。

 

「・・・ああ、すまない・・・僕の名前はフィリップ。泣き声がして、気になったものでね。こんな所に一人でいるってことは、もしかして、君は家出かい・・・?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「ふむ・・・警戒してるみたいだね。まぁ、無理もない話か・・・そうだ!」

 

黙ったまま睨む二乃にフィリップはペースを崩すことなく、苦笑していた。そして、何かを思いついたように手を叩き、

 

「これ、食べるかい?」

 

コンビニの袋から『カロリーバランス』と書かれた、携帯食を取り出した。

 

「なんのつもり・・・?」

「君の姿だよ」

 

未だに警戒する二乃に、フィリップは二乃の恰好を指し、得意げに語った。

 

「ジャージ姿にサンダル、更にお風呂上りのせいか、髪も汚れていない・・・家でゆっくりしていたところ、飛び出してきた・・・つまり、家出して来たんじゃないか、と推測できるわけだ。もしそうなら、夕飯を食べていない可能性もある・・・もしそうだったらと思ってね」

「そんなこと(グ~~)・・・っ!?」

 

片目を瞑り、自分の推理を得意げに語るフィリップに反論しようとする二乃だったが、お腹は正直にその推理が正しいことを物語っていた。

 

「ハハハ。遠慮することはない。さぁ」

「・・・・・・・・」

 

フィリップはそれを気にすることなく、携帯食を二乃に突き出した。それを二乃は苦い顔で受け取った。

 

(何よ、こいつ・・・あの助っ人みたいな口ぶりで・・・でもよく見ると、良い顔してるのよね・・・・・結構タイプだし)

 

携帯食の封を開けながら、フィリップの言葉に、翔太のことを思い出した二乃だったが、フィリップの顔をよく見ると、自分の好みであるタイプだと感じていた。

 

「・・・?どうかしたかい?」

「な、なんでもないわよ・・・」

 

二乃の視線に気づいたフィリップの質問に、恥ずかしさで顔を背けながら、答える二乃。

 

「さて、それじゃ僕はそろそろ行くよ・・・家族が心配する前に、君も家に帰ることだね」

 

そう言って、フィリップが立ち去ろうとした時だった。

 

「・・・・・心配なんてしてくれないわよ」

「・・・・・えっ?」

 

二乃の言葉にフィリップは思わず立ち止まってしまった。そう言う二乃の目には涙がたまっていた。

 

「知らない男を家に上がってるのに・・・パパから依頼を受けたからって、私たち5人の家に勝手に入ってきて・・・誰にも私たちの間に入る余地なんてないのに・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「みんな、嫌いよ・・・」

 

二乃の独白をフィリップは黙って聞いていた。

 

「・・・何よ・・・まだいたの?さっさと帰りなさいよ」

「・・・・・ふむ。君は面白いね」

「・・・・・はぁ!?」

 

フィリップの言葉に二乃は思わず大声を上げてしまっていた。

 

「君は嫌いと言いながら、家族のことを大切に思っていることが言葉から感じられる」

「な、何を言って・・・!」

「・・・『誰にも私たちの間に入る余地なんてない』・・・そうさっき君は言った。それはつまり、君と家族の間には確かな絆があると君が思っているからこそ出た言葉じゃないのかい?」

「・・・黙って」

「家族のことが嫌い?逆じゃないのかい?」

「・・・黙ってよ・・・!」

「・・・君は家族のことが好き、とても大切に思っているんじゃないかい?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

フィリップの指摘に二乃は顔を真っ赤にしたまま、何も言わず俯いたままであった。

 

「・・・もちろん、これは僕の勝手な憶測だ。君のことを完全に理解したわけでもないし、もしかすれば見当違いのことを言っているのかもしれない」

「・・・・・・・・・・・」

「だが、世の中にはこんな有名な言葉がある・・・『愛と憎しみは反対ではありません。愛の反対は無関心』・・君が家族のことをどう思っているかの時点で、もう答えは出てるじゃないかい?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

フィリップの言葉に納得してしまった二乃は苦い顔をしていた。言いたいことを言ったフィリップはその場を今度こそ後にしようとした時だった。

 

「・・・っ!?」

「・・・・・・・何よ、まだ何か言いた、い、こと・・・・」

 

歩みを止めたフィリップに二乃が何かを言おうとしたが、その言葉が最後まで出ることはなかった。そこには、

 

「イヒヒ!そこの男女、俺と遊ばない・・・?」

 

異形な怪物がそこには立っていた。表面は緑の鱗が目立ち、顔は鋭利な短角に突き出た口・・・手と足は人間とは思えない歪な形をしていた。

 

「・・・な、なによ・・・あれ・・・?」

 

その姿に二乃は恐怖のあまり、体を震わせながら、そう呟いた。

 

「くっ・・・ドーパント・・・!?」

「へぇ・・・この姿のことを知ってるのか・・・まぁ、だからどうしたって話だけどな!!」

 

フィリップの反応に、ドーパントは驚きながらも、気にせずに二人へと距離を詰めた。

 

『Stag』「・・・行け!」

 

冷静なフィリップはすぐさま迎撃行動に出た。携帯電話型のガジェット『スタッグフォン』に疑似メモリを差し込み、ドーパントに攻撃を仕掛けさせ、

 

「逃げるよ!立って!」

「ちょ、ちょっと・・・!?」

 

座り込んでいた二乃の手を引っ張り、その場から退却し始めた。

 

「こ、こいつ!邪魔するんじゃねぇ!?」

 

スタッグフォンに翻弄されるドーパントの声を背景に二人は全速力で走るのであった。

 

 

 

「ね、ねぇ・・・もう逃げられたんじゃない・・・!?」

「・・・いや・・・そうじゃないらしい」

 

路地を抜けだし、走ること5分・・・大通りを走り抜け、息も絶え絶えの二乃の言葉に、フィリップは立ち止まり、静かに答えた。

 

「イヒヒ・・・待ってたよ、お二人さん」

 

二人の行く先にドーパントが立ちふさがっていた。

 

「ど、どうして・・・!?」

「・・・なるほど・・・その姿・身体的特徴、カメレオンメモリを使っているんだね。スタッグフォンを倒して、家を飛び越えて、僕たちを待ち伏せしたわけだ」

「・・・ちっ、つまんねぇ奴!そこの嬢ちゃんの方がいい反応をしてくれるぜ」

 

驚く二乃に、フィリップが冷静に答える。その反応が面白くないようにドーパントが言い放った。

 

「・・・まぁ、いいさ。痛い目を見れば、その態度を取る余裕もなくなるだろうしな!」

「・・・そうか、残念だ」

「おいおい!どうした!今更、命乞いのつもりか・・・?」

 

いきなり諦めたかのように態度を取ったフィリップにドーパントは余裕の笑みを浮かべるが・・・フィリップも余裕の笑みを浮かべていた。

 

「いいや・・・僕の相棒がどうやら到着したようだ」

 

そう言って、フィリップは二乃の腕をつかみ、横に飛んだ。その瞬間・・・

 

「な、なんだあれは!?・・・ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

大型装甲車『リボルギャリー』が猛スピードで走り抜け、そのままカメレオン・ドーパントを吹き飛ばした。そのまま、リボルギャリーは急停止し、屋根が開き始めた。中には・・・

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

フィリップの相棒である・・・佐桐翔太が険しい顔をして、立っていた。その姿は先ほど、家庭教師をしていた私服の恰好でなはく、探偵として活動するための正装姿だった。

 

「やぁ、遅かったね、相棒」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

フィリップの言葉に翔太は黙ったまま、ダブルドライバーを取り出し、装着した。すると、フィリップの腰にもドライバーが出現した。

 

(おいおい・・・もしかして、勝手に外出したこと、怒っているのかい?今回は・・・)

(違うわい!二乃が近くにいるから、声が出せないんだよ!?)

(・・・?ああ、なるほど・・・もしかして、彼女は例の家庭教師の娘さんなのかい・・・だから、変装として、探偵の恰好をしてるわけだね」

(ああ。家を飛び出した二乃を、発信機を頼りに探しにきてみれば、お前の緊急通報のシグナルが同じ方向からあったからな・・・嫌な予感がしたから、着替えたんだよ)

 

ドライバーを介して、頭の中で会話していく二人。その奇妙な光景を二乃は黙って見ていたが、恰好がまったく違うことから、フィリップの相棒が翔太だとは気づいていなかった。

 

「て、てめぇ・・・よくもやりやがったな・・・!」

(さて、翔太。あちらさんもかなりご立腹のようだ・・・さっさと始めようか)

(ああ・・・行くぜ、相棒)

 

そう言って、二人はそれぞれポケットから変身アイテム『ガイアメモリ』を取り出し、

 

『Cyclone!』『Joker!』

 

起動スイッチを押し、ガイアウィスパーが夜の街に鳴り響いた。

 

「さてと、君・・・悪いんだけど、僕の体、任せていいかな?」

「えっ・・・えっ・・・!?」

 

いきなりのお願いに意味が分からず、困惑する二乃。そんなことをお構いなしに、翔太とフィリップはメモリをそれぞれ構え、

 

(「変身!」)

 

翔太は心の中で、フィリップはそう叫んだ。まず、フィリップがサイクロンメモリをドライバーに装填し、そのメモリが翔太のドライバーへと転送された。転送されたメモリを差し込み、翔太は続けてジョーカーメモリを差し込んだ。そして、そのままドライバーを開いた。

 

『Cyclone! Joker!』

 

その音声と共に、翔太の顔に独特な痣が浮かび、その姿を風が包み、緑と黒の二色の超人・・・仮面ライダーダブル サイクロンジョーカーへと姿を変えた。一方・・・

 

「ちょ、ちょっと・・・!?」

 

意識を失い、倒れたフィリップの体を慌てて二乃が支える。

 

「お、お前・・・お前はなんなんだよ!」

「・・・俺たちの名はダブル・・・仮面ライダーダブル」

「・・・・仮面、ライダー・・・?」

 

ドーパントに名を聞かれ、翔太は冷静に答える。初めて聞く名前に、二乃は思わずその名前を呟いていた。

 

「『さぁ・・・お前の罪を数えろ!』」

 

キメ台詞を述べ、ダブルは戦闘を開始した。

 

「おらぁ!」

「ぐっ・・・!」

 

お得意の蹴りを両足で連続で繰り出し、ドーパントを攻め立てるダブル。ドーパントの反撃も簡単にいなし、カウンターを次々と決めていく。その戦い方から、かなりの場数を踏んできたことが伺えた。

 

「そら、そら!どうした!」

「ち、これでも・・・!」

『伏せろ!』

 

ダブルの猛攻に、一度距離を取ったドーパントは何かを繰り出そうとした。それを察したフィリップの言葉に、翔太は身を低くした。その上をドーパントの舌が空を切った。

 

『奴はカメレオン・ドーパント・・・長い舌の攻撃は要注意だ』

「くそっ!なら・・・・・!」

 

フィリップの冷静な分析に、ドーパントは舌打ちし、次の手段に移った。

 

「なぁ!?・・・消えた・・・!?」

『カメレオンの迷彩能力だ!』

 

ドーパントの体が消え、その姿が見えなくなってしまった。動揺する翔太にフィリップが状況を説明した。だが、

 

「ぐっ!」

背後からの攻撃に反応できず、ダブルのボディに火花が走った。慌てて、後ろを向くも、今度は横からの攻撃を食らった。

 

「くそっ・・・この卑怯もんが・・・!」

『落ち着け、翔太・・・僕に考えがある』

 

次なる攻撃に身構える翔太に対し、フィリップは動かせる右手を使い、新たなガイアメモリを取り出した。

 

『Luna!』

 

ルナメモリを起動し、カメラ型ガジェット『バットショット』にルナメモリを差し込む。

 

『Luna! Maximum Drive!』

 

メモリを挿入されたバットショットは強力な光を連続で放ち始めた。すると、

 

「あ、熱い!や、止めてくれ!?」

 

強力な光に耐え切れず、ドーパントがその姿を露わにした。

 

「そこか!」

 

場所が分かり、一気に勝負に出たダブルはドーパントに近づきながら、メモリをチェンジした。

 

『Metal!』

『Cyclone! Metal!』

 

効果音と共に、緑と銀の姿に変わったダブル(サイクロンメタル)は専用武器である『メタルシャフト』を振りかぶり、

 

「おらぁ!」

「ぐぉぉ!?」

 

風を纏わせたメタルシャフトをドーパントに振りかざしていく。風の勢いをプラスしたメタルシャフトの連打により、ドーパントの体に次々と火花が走っていく。

 

「だ、駄目だ!?強すぎる・・・ここは引いて・・・!?」

「・・・逃がすか!」

 

強い一撃で吹き飛んだドーパントはその場から逃げようとするも、そうはさせまいとダブルも追撃をかける。

 

『Luna!』

『Luna! Metal!』

 

今度は金と銀の色に変わったダブル(ルナメタル)は、変幻自在の鞭と化したメタルシャフトを伸ばし、ドーパントの体を拘束した。そのまま、

 

「おりゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

反対方向の地面へと叩きつけた。その衝撃に、ダメージが蓄積していたドーパントはすぐには起き上がれずにいた。

 

『さぁ、翔太・・・一気に決めるよ』

「ああ、メモリブレイクだ!」

 

フィリップの言葉に、頷きながら、翔太はドライバーの左側に挿入していたメタルメモリを引き抜き、メタルシャフトに装填した。

 

『Metal! Maximum Drive!』

 

マキシマムドライブの音声と共に、ダブルはメタルシャフトを振り回す。ダブルの周辺に金色の輪が次々と出現していく。そして、

 

「『メタルイリュージョン!!!はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』」

 

技名を叫び、金色の輪を一気にドーパントへと飛ばし、ぶつける。

 

「や、止めろぉ!?ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」

 

その攻撃を食らったカメレオン・ドーパントは耐え切れず、爆発を起こした。爆発が収まると・・・

 

「う、ううう・・・!?」

 

中年の男性が倒れていた。傍には、『C』と書かれたメモリが落ちていたが、次の瞬間、メモリは割れ、二度と使用できないように壊れてしまった。

 

「ふぅぅ・・・あとは警察を呼んで、後始末をお願いするか」

『・・・翔太、残念ながら、まだやらないといけないことがあるよ?』

「・・・・・はぁ、彼女か」

 

フィリップの指摘に、翔太は苦い顔をマスクの内に隠し、件の彼女・・・二乃の方を見た。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

その二乃は、自分の目の前で何が起きているのか、分からず、口を開けたまま、見ていることしかできなかった・・・その手に、しっかりと意識のないフィリップを抱きしめて・・・

 

「さて、なんて説明したものか・・・」

『・・・翔太。ここは僕に任せてくれるかな?』

 

自分の正体がバレていないとはいえ、ドーパントを見てしまった二乃になんと説明すべきか、困っていた翔太に、フィリップが助け舟を出した。

 

(おい・・・どういうつもりだ、フィリップ?)

(・・・君の正体が、他の人にバレるのは僕たちにとっても、彼女にとってもリスクのある話だ。僕なら、彼女には顔はバレているが、これから接する機会はほぼない。僕から、彼女に今夜のことを秘密にしてもらえるように言う方がいいと思ってね)

 

珍しい相棒の提案に思わず、しかめ面になる翔太に対し、フィリップはリスクの面から自分が説明するべきだと主張した。

 

(それに・・・)

(・・・?それに、どうしたんだよ・・・?)

『・・・家族のために必死になれる彼女を放っておけないと思ってね』

「・・・・・分かった」

 

フィリップの言葉に、その提案を受け入れた翔太は変身を解除するためにドライバーを閉じた。風と共に、ダブルから翔太の姿に戻り、それと同時にフィリップも意識を取り戻した。

 

「きゃあ!?・・・な、なんなのよ、さっきから!?」

「ああ、すまない。僕の体をありがとう」

「・・・はぁ・・・はいはい、どういたしまして・・・」

 

マイペースなフィリップに翻弄され、ついていけなくなった二乃は諦めたように首をガクッとさせた。

 

「ねぇ、さっきの怪物やあの二色の奴はなに・・・?一体、なにが・・・」

「・・・残念ながら、それを教えるわけにはいかない。君や君の家族が危険に巻き込まれてもいいと言うのなら、止めはしないけどね」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

フィリップは冗談交じりに、しかし、声色には真剣味を覚えた声で二乃に警告した。

その言葉に、二乃も何も聞けなくなってしまった。

 

「・・・さて、流石にここから一人で帰れと言うのは、野暮な話だ。送っていくよ」

 

どこまでも我が道を行くフィリップは二乃を放って、話を進めていく。

 

(・・・使ってもいいよね?)

(・・・好きにしろ)

 

ドライバーを介して、相棒に確認を取ってから、手元に戻って来たスタッグフォンを使い、自動操縦でリボルギャリーから愛用の専用バイク『ハードボイルダー』を呼び出す。

 

「さぁ・・・乗りたまえ」

「・・・・・もうなんでもありね」

 

バイクにまたがり、ヘルメットを差し出すフィリップに二乃は思考を放棄し、素直にそのヘルメットを受け取った。

 

 

 

「さて・・・到着だ」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

あっという間に中野家のマンション『PENTAGON』に到着した。その間、二乃は黙ったままだったが、余計なことを聞かれたくないフィリップにとっては、ありがたい話だった。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・今日のことは忘れることだ。君の為にもね・・・さぁ、早く帰りたまえ・・・家族が心配しているよ?」

 

未だに黙ったままの二乃に、(本人的には)できるだけ気遣いの言葉をかけ、バイクを走らせようとした時だった。

 

「ねぇ・・・ちょっといいかしら?」

「・・・うん?」

 

二乃に呼び止められ、フィリップは顔を二乃に向けた。

 

「さっきのこと・・・・・黙ってた方がいいのよね?」

「・・・・・僕的には、そうしてもらえる方が助かるね・・・君もその方が「中野二乃」・・・えっ?」

「・・・・・私の名前・・・君、君って、呼ばないでくれる・・・?」

「・・・ああ、すまない」

「・・・それと、あんたの名前・・・教えなさいよ・・・」

「・・・・・えっ?」

 

まさかの二乃の質問に今度はフィリップが硬直する番だった。

 

「・・・何よ。人には口止めだけお願いして、こっちのお願いは聞いてくれないの?」

「・・・・・い、いや・・・それは・・・!?」

 

二乃に詰め寄られ、珍しく狼狽えるフィリップ。今まで接したことのないタイプの人間である二乃の行動に、

 

「・・・・フィリップ。僕の名前はフィリップだ」

「・・・・・フィリップ・・・・・・そう・・・いい名前ね」

 

思わず答えてしまった。その名前を聞き、二乃は頬を真っ赤にしていた。

 

「・・・・・ありがとう。それじゃ」

「あっ・・・・・行っちゃった・・・」

 

フィリップはそのままバイクを走らせ、颯爽とその場を後にした。もう少し話をしたかった二乃はその姿を寂しそうに見ていた。

 

「・・・・・また、会えるかしら」

 

その表情は、恋する少女の顔だった。

 

 

 

次回 仮面ライダーW

 

『Oの花火/フィリップは夏祭りに行きたい』

これで決まりだ!

 




ちゃっかり二乃メイン回でした。

次回は花火大会編のお話になります。
フィリップの我が儘で、花火大会に来た翔太たち。
そこで、偶然にも五つ子と上杉兄妹に出会い・・・

というあらすじになっております。

ちなみに解説し忘れていましたが、
第1章のタイトル「I」が表すのは、『五月』『五つ子』、第2章の「C」が表すのは、『カオス(五つ子裁判)』『カメレオン』になります。

その辺りも推測しながら、お楽しみ頂ければと思います。

本章から新アンケート実地します!そちらもよろしくお願いします。

次回更新 15日0時予定

仮面ライダーアクセル参戦決定!ヒロインは誰がいいですか?(すみません、オリジナルヒロインだと、更に介入難しそうなので、削除しました)

  • 一花
  • 三玖
  • 四葉
  • 絶望が・・・お前の花嫁(ゴール)だ
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