マジで二期やってほしいですね…そして、できなかったパズル・ドーパント戦や7巻の『闇はoの巣』編やってほしいですね…!
コホン…話がずれました、失礼しました(笑)
そういうことで、本章もいよいよ大詰めです!
あの技は出るのか…それでは、どうぞ!
「…分かりました。こちらもすぐに対応します」
外線で掛かってきていた電話の受話器を置き、マルオは普段から硬い表情を更にきつくしていた。
先程まで話していたのは、継風署の刃野警部補で、街中に二体のドーパントが現れたこと、そして、そのドーパントが真っ直ぐとこの病院に迫ってきているという報告だった。
普段であれば、被害者の搬入やメモリブレイクされた犯人の収容先として、よく声を掛けられることもあっての申し入れが多いのだが…今度はそれとは違い、患者と職員の避難勧告だった。
診察に来ている人々、職員の避難はまだなんとかなる…だが、この病院にはすぐに動かすことのできない患者も少なからずいるのだ。それを見捨てることなど…マルオにとっては、すぐに判断できるものではなかった。
それでも、ドーパントが待ってくれる時間などあるわけもなく…今はできることをやるべきだとすぐさま思考を切り替えたマルオは、各部責任者に院内用PHSで一斉に緊急事態宣言を伝え、マニュアル通りに動くよう指示を出す。
それを終え、院長室を飛び出したマルオは五つ子たちの元へと向かった。
「…ドーパントがここを狙って来ている…!?」
「そうだ…さっき刃野刑事から連絡があった」
院内が慌ただしくなったことに気付いた風太郎と五つ子たちは様子を見に行くのと、心配になって翔太の病室を訪れていたところを、状況を伝えにきたマルオと出くわすことになった。
マルオから状況を聞いた一同…風太郎の反応に、マルオは事実だと告げ、全員に今すぐここから逃げるようにと告げる。
「でも…お父さんはどうするんですか?」
「僕はこの病院の最高責任者だ。動けない患者さんだって多い…少なくとも、彼らを見捨ててなんてことは…できない」
「だったら、私たちも…!」
「駄目だ」
「「「「「「…!?」」」」」」
五月の問いかけにマルオは冷静に答えるが、四葉もできることをしようと提案した声尾を遮り、大きな声ではなかったが一段と迫力のある制止の声がマルオから飛び出し、一同は息を呑んだ。
「君たちは子供だ…少なくとも、私から見ればこんな危険なことに首を突っ込ませたくはない。これは大人の責任だ…こんな時ぐらいは親の言うことを素直に聞きなさい」
「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」
「上杉君…家庭教師の仕事ではないが、娘たちを「私は残るわ…」……二乃」
6人は逃げるべきだ…わざわざ危険なことに巻き込ませるわけにはいかないと、普段のマルオからは考えれない言葉に、一同は言葉を詰まらせる。
いつドーパントが襲撃してくる分からない今、すぐにでも逃げるようにと、不本意ながら娘たちのことを風太郎に任せようとしたマルオだったが…今度は娘の言葉によってそれを遮られることとなった。
意地でも残るといわんばかりの娘の言葉に、思わず君付けではなく、呼び捨てで名前を読んだマルオだったが、それに相対する二乃はいつもの雰囲気を少しだけ纏い、言葉を返す。
「別に怖くないとか…そういうのじゃないわ。でも…私は信じてるから。フィリップ君が…仮面ライダーはこのまま負けたままでは絶対にないって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「少なくとも…なんとかするって言ったあの言葉を私は信じるつもりよ。だから…私はここから離れるつもりはないわ」
「…全く……その頑固さは先生譲りというわけか…」
「「「「「…えっ…?」」」」」
「なんでもない、聞こえなかったことにしてくれ………ドーパントがこの病院から目視できる距離になるまでだ。そこまでは、君たちがこの病院にいてもいい。但し、それまでに仮面ライダーたちがドーパントを倒せなかったら…江端に頼んで、どんな手段を使ってでも君たちをこの病院から追い出す…いいね?」
その信頼からくる言葉を放つ二乃の姿が、マルオの記憶にある恩師の…愛した女性の姿にダブり、思わず言葉が出てしまっていた。
その何かを懐かしむ姿に、五つ子たちはどういうことかと疑問を抱くが、すぐさまいつもの様子に戻ったマルオはギリギリの妥協案を出した。いつものマルオであれば、こっちの意見などお構いなしの筈だったのに、そんな提案をされた6人は呆然としたまま頷くことしかできず、言いたいことを言ったマルオはそのまま慌ただしい院内へと向かっていった。
「…信じましょう…あの二人を」
「そう、だな……俺たちにできるのはそれぐらいだからな」
その二人が誰を指すのか…敢えて二乃に問わず、風太郎は納得して翔太が眠る病室へと目線を向ける。そんな時、何かに気付いた三玖が顔を顰めており、
「…?どうしたの、三玖…?」
「何か…今、変な音が聞こえなかった?」
「音、ですか…?」
「…まさか、あんた…また操られそうになってるんじゃないでしょうね!」
何事かと尋ねる四葉に、気付いたことを伝えようとする三玖だが、五月は何のことだと首を傾げ、二乃が最悪の事態を思いつき、慌てて妹が正気かを確かめようとしていた。
…そんな中、6人に迫る影があり…
「…他愛もありませんね。これでは…」
周囲の車は大破し、ところどころでは火災も発生していた…人気は完全に消え去り、最後まで残っていた警官たちも、天候という圧倒的な力を前に碌な抵抗もできるわけがなく、早々に退却させられてしまっていた。
そんな幕劇をただ一人で起こしたドクター…ウェザー・ドーパントは何の面白みもないように呟き、後ろについてきているシンクロ・ドーパントを伴い、ゆっくりと歩いていた。
シンクロ・ドーパントの性質上、街を混乱に陥れるような大暴れすることはできない…精々、数十人を洗脳状態に追いやっての中規模のパニックを起こすのが関の山だ。
だが、天候を操るウェザーからすれば、この程度のことすら生ぬるく感じる単純な作業であり、殺人すらも容易く行えるその力を敢えてセーブし、器物破損に留め市民や警官を負傷させただけにしたのは…単なる気まぐれからした行為だった。
人を傷つけるのを見せつければ、黙っていられるわけがない…これはライダーを誘き出すための罠でもあった。そして、病院に向かっているのも、動けないであろう人々が多いことと、そこに担ぎ込まれたというライダーの片割れを始末できるという、一石二鳥であったからだった。
「さぁ、早く来てください、仮面ライダー…そうでないと、私の気が変わって、街の一つや二つ消失してしまうかもしれませんよ?」
どこか楽しそうに、そして、待ち望むかのような独り言が破壊の跡が酷く残る街に響く…それが冗談ではなく、本当に実行できてしまうのだから尚更性質が悪い。
病院まであと10分もあれば、辿り着けることだろう…一向に姿を現わさないライダーに、痺れを切らしそうになりながらも、歩むことを止めない二人のドーパント…だが、その歩みが止まった。
「…なるほど。来たのは君一人ですか……復讐鬼君?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
自分たちと対峙する形で歩いてきた青年に、揶揄うのと同時に確かめるように尋ねるウェザー…その言葉に応えることなく対峙したのは、ガンナーAを引き連れた照井だった。
「お仲間も連れずに…そこまで、私を殺したいようですね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「おやおや…仇である私とはもう話したくもないといった感じでしょうか?お喋りが好きな私からすれば、少し残念なことですね」
「…ふぅ……やはり割り切れないか」
「…はい?」
挑発に乗ってこない照井に、つまらないといったように肩を振るうウェザーだったが…一人勝手に納得した照井の言動に、思わず声が漏れた。
「お前の言う通りだ、ドクター…俺は貴様が憎い!!この手で殺してやりたいほどに…家族を殺したお前を許せん!!だが…今の俺がここに立っている理由はそれだけではない!」
「ほう…参考までにお伺いしましょうか?」
「…あとを託されたからだ。この街を守ろうとする、あのお人好し馬鹿にな…どうやら、あいつの馬鹿が俺にもうつったらしい…ここから先には一歩も進ません!お前を倒し、復讐を果たさせてもらう!…街を…こんな下らんことでしか本懐を果たせない俺を、友人だと言ってくれたあいつらを…守るついでにな!」
『ACCEL!』
「変、身…!」
『ACCEL!』
既に装着されていたアクセルドライバーにメモリを装填し、・・・グリップを捻ることで、エンジン音と共に炎が噴き出すのに合わせ、照井の身体がアクセルへと変わる!
「例え、仮面ライダーの資格がないとしても…この力がある限り、俺は貴様のような悪を決して許さん!!」
「ククッ…フハハハハハハハァ!これは傑作ですね…貴方からみれば確かに私は悪者かもしれませんが…私から見れば、貴方たちは偽善者ですよ。正義感に駆られたただの子供…いいでしょう、その信念がどこまで持つのか、試してあげましょう!」
「…はあぁぁぁぁ!!」
エンジンブレードを構え対峙するアクセルに、その行動自体が愚かだといった風に嘲笑うウェザーは、シンクロ・ドーパントに自身から離れるように指示し、突っ込んできたアクセルを迎え撃つ!
AIによる自動起動のガンナーAが、アクセルをサポートすべく、キャタピラを急加速させ、ウェザーを轢き倒そうと突進するも、両腕で受け止めたウェザーは少し後退りしながらも、その鋼鉄の巨体を押し留める。
その隙を狙い、背後からガンナーAを踏み台にして跳躍したアクセルがウェザーを飛び越そうとしたのだが、
「どこに行こうというのですか?君の狙いの私はここですよ…!」
「っ…!?ぐああぁぁ!?」
そうはさせまいと、ガンナーAを片腕で押し留め、フリーになった右腕で腰にあった電電太鼓調の鞭を振るい、空中にいたアクセルの身体を拘束した。そのまま、怪力によってアクセルを横のビルの壁へと勢いよく叩きつけた!
「…こんな玩具を囮に、シンクロ・ドーパントを先に倒そうなんて…私のことを舐め過ぎでは…ありませんかねぇ!!」
その言葉と共に、触れていた右手から凍気を一気に解き放ち、ガンナーAを一瞬にして氷漬けにしてしまうウェザー。自身よりもシンクロを優先しようとしたその行動に多少のイラつきを感じたのもあってか、氷漬けにしたガンナーAに八つ当たりするかのように彼方へと蹴り飛ばした。
「っ…(…やはり、そう簡単にはやらせてくれないか…!?)」
「さぁ、少しは私を楽しませてくださいよ…復讐鬼君?」
「…はああああああああああああぁぁぁ!!」
『ENGINE! ELECTRIC!』
小細工は無駄だとばかりに手駒のガンナーAを封じられるも、アクセルもそう容易く策が通じる相手ではないと分かっていたこともあり、挑発に応じるようにウェザーへと突貫を試みる。
迎撃の赤き雷がウェザーの手から放たれるが、それを電撃を纏ったエンジンブレードで切り裂きながら、強引にアクセルは距離を詰めようとする。
「だあああぁぁ!」
「ほう…昨日よりもキレはあるようですが、それでも雑魚に羽が生えた程度では…このウェザーの敵ではない!」
全力ではないとはいえ、自身の電撃を捌いたアクセルに感心しつつも、振るってくるエンジンブレードを軽やかに躱しながら、その強さを評価するウェザー。全く見下すつもりを止めないその姿勢は口だけではなく、エンジンブレードを右手一本で受け止めたことからも事実と化していた。
拘束から抜け出ようとするアクセルのボディに強烈なブローを叩き込み、その身体を一瞬宙へと浮かす。そして、その反動を利用して回し蹴りを喰らわせ、アクセルを大きく吹き飛ばした。
「雨を弾丸として受けたことはありますか?」
そんな軽口と共に、周囲に大量の雨雲を発生させ、左腕をアクセルに向けたのと同時に、そこから大粒の…弾丸といっても差し支えない大きさの雨の嵐がアクセルへと放たれる!
『STEAM!』
「ぐっ…があぁ!?…ぐおおおぉぉあああぁぁ!?」
咄嗟に高温水蒸気をエンジンブレードから排出し相殺しようとするも、最初の数発を無効化できただけで、徐々に物量に押されたことで被弾し、そのまま押し切られてしまい、全身の装甲に火花を大きく散らすアクセル。
「裁きの雷……濡れた身体には致命的ですね」
「っ…?!」
僅か一分と少しの攻防にも関わらず、一方的な蹂躙によって劣勢に追い込まれたアクセル。今にも崩れ落ちそうになっていたその身体に、止めと言わんばかりに天へと右手を掲げたウェザーの動向に釣られ、思わず見上げてしまい…
振り下ろされた右手に従った落雷がその身体を焼き尽くした!エンジンブレードでの防御も間に合わず、見事に直撃を受けたアクセルの身体は今までで一番の火花と煙を装甲に散らし、地面に倒れ伏せようと…
「……これは驚きですね。まだ倒れませんか…」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
今の一撃は致命傷だった筈だ…そんな確信があったウェザーは本当に感心したように驚いていた。
全身の赤き装甲は無事なところがないほどに罅割れており、頭部の特徴的なアンテナは一部が破損し、その奥に見える青いバイザーは破損による不調で点滅し掛けているほど…それにも関わらず、アクセルは倒れずにその場に健在していたのだ。
「君の正義感や復讐には感服しますね…そこまで、私を殺したいですか?」
「…そうかもしれないな。所詮、俺は復讐することでしか、過去に贖えない男なのかもしれん。だが……それが俺の意志だ!誰かに強制されたわけでも、義務として課されたわけでもない!
お前といった呪われた過去を…俺のような復讐という悲しいことしか生み出さないお前を…今ここで断ち切るためにも…俺はこんなことでは死なない…!」
「…強がりますね。言葉と裏腹に、君一人で挑んだ結果がこれでは…机上の空論の希望を語ることほど、情けないものはないでしょう…死なないと言うのなら、私が地獄へと送ってあげましょう!一人寂しくあの世に行きなさい!!」
そのしぶとさにいい加減辟易してきたのか、遊びは終わりにしようとウェザーが両腕に力を収束し始める。右手には超高温の熱気、左手には超零度の冷気…瞬間的な温度差による水蒸気爆発でアクセルを葬ろうと画策していた。
ダメージによってすぐに動けないアクセルに防ぐ術はなく、万事休すかと思われた…その時だった。
…パァンパァン…!
「っ…!?」「っ…なにぃ?!」
警告のクラクション音が大きく鳴り響き、しかし、警告とは裏腹に猛スピードで突っ込んできたそれはアクセルの横を通り過ぎ、対峙していたウェザーへと豪快なボディアタックをドリフトと共に叩き込む!
まさかの奇襲に流石のウェザーも対応できず、その巨体…リボルギャリ―による体当たりをまともに喰らい、技を中断させられただけでなく、大きく吹き飛ばされた。
そして、アクセルの横を通り過ぎる直前…リボルギャリーから飛び降りた影があり…
「…フィリップ…」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
自身の前に降り立った人物…リボルギャリーを操縦してきたフィリップに、アクセルは思わず名を呼ぶ。呼ばれたフィリップはアクセルへと近づくと、
「勘違いしないでくれ、君を助けに来たわけじゃない。翔太や二乃ちゃんたちがいる病院に奴らを近づかせないために来ただけだ」
「…そうか。その割には、間一髪のところだったような気もするが?」
「ドライバーの調整に手間取ってね…タイミングに関しては本当に偶然さ。狙っていたのなら、君がこんなボロボロになる前に来ているさ」
まさかの否定の言葉がフィリップから飛んできたことに、一瞬呆然としつつも指摘するアクセルだが、遅れてきた理由を話されて一応納得はした。
「照井竜…はっきり言おう、僕は君のことが嫌いだ…独断専行を平気でする、こちらの質問に碌に答えようとしない、復讐心に駆られて視野が極端に狭まる、物言いの仕方がいちいち気に障る…嫌いな部分を見つけようと思うと、沢山あるぐらいにね…」
「…本当にはっきりと言うな…」
「だが、あいつらを倒すために君の力が必要なのもまた事実だ」
「…!」
迷うことなく嫌いと宣言されたことに、流石の照井も少したじろいだが、次に出た言葉に息を呑むこととなる。
「今でも、翔太のことを僕は許せない。でも…君がこんな状態になってまで、一人で戦おうとしてくれたその姿勢を…僕は見直した」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「嫌いと言っておきながら、酷い提案だとは思うが……君の力が必要なんだ、アクセル。力を貸して…くれないだろうか?」
「………本当に。嫌いだと言っておきながら、堂々と酷い提案をするとは…お前という男の胆力には逆に驚かされるな、フィリップ…俺は仮面ライダー失格ではなかったのではないか?」
「それは昨日のまでの君の話だ…今の君の動きは、仮面ライダーそのものだろう?それとも…また『俺に質問するな』とでも言って答えないつもりかい?」
「フッ…くだらん質問をするな、フィリップ。そんなこと、質問するなと言うまでもなく、答えなど決まっている」
力を貸してくれ、というフィリップの問いに、素直になれないアクセルはぶっきらぼうな言い方ではあったが…暗にイエスと答え、右拳を軽くフィリップの胸元へとぶつける。
「そうかい…なら、僕を一発殴ってくれ!」
「…はぁ?!」
良い感じの協力ムードが、フィリップの放ったとんでもない提案によってぶち壊された。いきなりの…というか、訳の分からない提案に、流石のアクセルからも素っ頓狂な声が出てしまう程にだ。
「…あれ?何か変だったかい?喧嘩した後の仲直りとして、一発ずつ殴りあう…という男の仲直りの仕方があるって、翔太から教わったことがあるんだけど…」
「それで、昨日一発殴ったから殴り返されたいということか…佐桐も意気な考えを持っているらしいが…それは後でいいだろう」
「そうかい?なら、話はこれにケリを着けたからにしようか」
「…そろそろ仲良しごっこは終わりましたか?」
翔太の考えに則っての提案だと悟ったアクセルが納得しつつも、それはあとでいいと告げたため、フィリップも話は終わりだと思い…わざわざ待ってくれていた相手へと視線を向けた。
リボルギャリーに吹き飛ばされながらも、ピンピンしているウェザー・ドーパントは二人の話が終わったのを見計らって、声を掛けてきた。
「律義に待ってくれるとはね…そこまで余裕があるのかな?」
「相談中に攻撃するなんて…紳士のすることではないでしょう?その辺りのエチケットは弁えているつもりですから…それに、そんなことに配慮ができるほどの余裕があるといのも、確かに正解ですね」
「その余裕がどこまで持つかな?僕が…僕たちが揃った時点で、あなたの策を突破するのは時間の問題だけど?」
「これはこれは…たかが雑魚が二人になっただけの話でしょう。それに、君の相方は負傷したままの筈…ダブルになれない君がどうやって闘うというのですか?」
「確かに…ダブルになるのは厳しいだろうね。でも…仮面ライダーに変身することはできるさ」
そう言い終えたフィリップが懐から取り出したのは…右片方にしかメモリスロットしかないドライバー…ロストドライバーだった。
「なに…!そのドライバーは…!?」
余裕ぶっていたウェザーも、ロストドライバーを知っていたらしく、珍しく狼狽した様子を見せていた。そんなウェザーに構うことなく、ドライバーを装着したフィリップはサイクロンメモリを起動させ、
『CYCLONE!』
「変身!」
『CYCLONE!』
片割れのスロットに装填してやすぐに開かれたドライバーからガイアウィスパーが鳴り響き、緑の旋風がフィリップに装甲と共に纏わり付き、その姿を仮面ライダーサイクロンへと変えた!
去年のクリスマス以来の単独変身…あの時も、翔太が持っていたロストドライバーを、ジョーカーメモリに合わせていた設定を調整し直し使っていたのだが、あれ以来、基本的にはファングジョーカーという上位互換のダブルの形態が存在する関係上、変身することがなかったのだが…久々の変身に、フィリップはその感覚を確かめるように手を握り直していた。
「驚きましたね…組織から設計図ごと失われたドライバーを持ち出してくるとは…いや…反逆者であるあの男が使っていましたから、その後継者である君たちが使うのも不思議ではないということですか」
「出自が一緒かどうかは確約できないが…スカルに変身した佐桐荘吉を知っているのだから、このドライバーの存在くらい頭にあったんじゃないかい?」
「いえいえ…ダミーに使わせたのが最後の一基かと思っていたましたから。そういえば、ストレングス・ドーパントと闘っていた時にも使っていましたね…あの時は、ストレングスの方に集中していて、今、思い出しましたよ…なるほど、その手がありましたか」
ウェザーからすれば、想定していなかったフィリップの単独変身に驚きつつも、即座にどういうことかを理解し、冷静さを取り戻していた。
「しかし、それがどうかしたのですか?さっきも言った様に雑魚が二人に増えただけ…昨日、二人がかりで勝てなかったのに、その下位互換でしかないその姿で…私を倒せると思っているのですか?」
「策はあるさ…とびっきりの切り札がね。もう既に、シンクロ・ドーパントに対する検索は完了し、それに対する対策の準備は完了したからね」
ダブルと二人がかりでもほとんど手足が出せなかった自分に勝てるのか…そんな挑発に、いつものクールな態度で、右人差し指を立てながら応えるフィリップ。
その姿にイラついたのか、ウェザーは戦闘を再開する気配になり、僅かに残った時間を使い、フィリップは照井にあることを頼む。
「照井竜…ほんの少しでいい。ウェザーを足止めしてくれないか?その間に、シンクロメモリをブレイクする」
「…!だが、あのドーパントは単独のマキシマムでは倒せないのだろう?」
「問題ない…僕を……いや、僕たちを信じてくれ」
「…っ!…いいだろう、その策に乗ってやろう」
飄々と掴みどころのない軽い声…変身しているその姿を思わせるフィリップの言動に、アクセルは聞きたいことを喉元で呑み込み、承諾の言葉で答える。
「では、任せたよ!」
「ああ!」
その言葉を皮切りに、一気に駆け出した二人のライダー…そんな二人を纏めて迎え撃つと言わんばかりに、ウェザーも構える。
「しゃああああああああぁぁ!!」
先に飛び出したアクセルが、満身創痍にも関わらず気合と共にエンジンブレードでウェザーに切り掛かる。さっきも似たようなことをしたにも関わらず、無駄だと分からないのかとウェザーはその刃を腕で受け止める…だが、さっきとは異なり、アクセルもウェザーを倒そうとはしていなかった。
「…貴方たちは学習をしないのですか?私を倒すのも、シンクロ・ドーパントを倒すのも一人ではできない…捨て身の大技も、そのドライバーでは使えないのでしょう?」
その脇を抜き去って行ったサイクロンを敢えて見逃し、エンジンブレードの刃を掴んで拘束して、そんな言葉を言い放った。ロストドライバーのことは、設計図がなくとも、一度手元で押収した際に分析したことがあり、その機能についても熟知していた。
ダブルドライバーと異なり、単体のメモリの能力を限界にまで引き出すのがロストドライバーの特徴…それに対し、シンクロ・ドーパントのメモリ抑制機能は天敵といっても過言ではなかった。
それゆえに、サイクロン単体を見逃しても何も問題はないとウェザーは高を括っていた。逆に、武器とドライバーでの疑似ツインマキシマムが可能なアクセルを、最も警戒すべきだと考えていたのだが…
「確かに…僕一人ではシンクロメモリをブレイクすることはできないだろう…
…僕一人ならね…!……さぁ、今だよ…相棒!」
『JOKER!』
「…ああ、フィリップ…!」
フィリップの言葉に応えるように、新たなガイアウィスパーが鳴り響くのと同時に、路地からその人物が飛び出した。
青い入院着に身を包んだその腰元には、もう一つのロストドライバーが装着されており…飛び出してきた路地には、彼がここまで来るのを手助けしたであろう車いすを持つ風太郎と四葉の姿があった。
「…変身!」
『JOKER!』
先程のフィリップ同様、メモリを装填しドライバーを開いたその人物…重傷の身を押して、この場に駆け付けた佐桐翔太の身体が、切り札の風と共に仮面ライダージョーカーへと変わった!
「な、にぃ…!?なぜ貴様がここに…!?」
「よそ見をしている暇があるのかぁ!!」
動けるはずがないと思い込んでいた翔太がこの場に姿を現わしたことに、動揺するウェザー…その隙を見逃さず、ドライバーのグリップを捻り、エネルギーを一時的に加速させたアクセルがバック宙の勢いで回し蹴りをウェザーに喰らわせ、更に高速ドリフト回転の如く、エンジンブレードを振り回す!
完全にがら空きになったボディに重い斬撃が何度も刻まれ、最後の一振りで吹き飛ばされたウェザーは、シンクロ・ドーパントに援護に向かえなかった。
「決めるよ、翔太!」
「おう…合わせろよ、フィリップ!」
『CYCLONE! Maximum Drive!』
『JOKER! Maximum Drive!』
サイクロンとジョーカー…二人のライダーに挟まれたシンクロは、完全に混乱していた。このままではメモリをブレイクされてしまうと分かってはいるが…シンクロメモリの力は一つのメモリしか相殺できない。
そして、この二人がそんな隙を見逃してくれるわけもなく、全く同じスピードで駆けていくライダーがそれぞれのマキシマムスロットにメモリを同タイミングで装填し、跳躍した!
「はあああああああああああぁぁぁ!!」
「おりゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
緑の疾風と黒紫の切り札の力が込められた二つのキックを、跳躍したライダーたちは一寸も狂うことなく同時に発動させ、すれ違うようにシンクロ・ドーパントの身体を抉った!
ダブルライダーキック…翔太に余裕があれば、そんな技名をつけていただろう。長いこと、ダブルとして共に闘い続けてきた二人の息のあったコンビネーションキックに、二つのマキシマムドライブを受けたシンクロ・ドーパントは
『ぐぎゃぎゃぎゃ…ぎゃあああああああああああぁぁぁぁ?!』
無効化することはやはり間に合わず…絶叫と共にその身が爆発した!その爆炎を中心に、キックを放ち終えたサイクロンとジョーカーはゆっくりと立ち上がっていた。
「勝った……勝ちましたよ、上杉さん!?」
「あ、ああ……ったく。あいつが病室から這って出てきた時は本当にビックリしたぜ」
爆発が収まり、路地から顔を出して闘いを見守っていた四葉は喜び、風太郎は安堵しつつも先程起こった出来事を思い出して、苦笑いしていた。
…そう…奇跡的にも翔太が意識を取り戻したのはついさっきの話だったのだ。
三玖が聞いた音は、ベットから這いずり落ちた翔太が原因であり、いきなり病室のドアが開いたと一同を驚愕させたわけだが…正体が、病室から這い刷り出てきた翔太だと悟り、また驚いたわけだ。
そして、それはドライバーを調整し終え現場に向かっていたフィリップも知ることとなり、
「全く…君の無茶にはいつも脅かされる。いきなり意識が戻ったと連絡があったと思えば、俺も戦いに行くと言い出すなんて」
「お前のことだから、どうせロストドライバーを使うじゃないかって思ってな。お前たちが踏ん張ってるのに、俺だけが寝ているわけにもいかないだろう?」
本来の作戦では、サイクロンとアクセルの二人で挑み、アクセルの疑似ツインマキシマムでシンクロメモリをブレイクする…それがフィリップの考えだった。だが、ウェザー・ドーパントの妨害を考えれば、成功率は30%もあればいい方だった。
そこに、まさかの翔太から意識が戻ったという言葉と、自分も戦うという意思表示に、待ったを掛けようとしたフィリップだったが…あることを思いつき、すぐさま『地球の本棚』で検索し直し、翔太の参戦を許可したのだ。
「佐桐!」
「…!おう、照井。悪かったな、大分遅れちまって」
「お前…意識が戻ったのか?」
「じゃなきゃ、ここには来れてねぇよ。まぁ、体調は最悪の一歩手前だけどな」
「僕も驚きだよ…作戦を提案しておいてだけど、いつ倒れるか…そもそも、無事に完遂できるのか、不安だったからね」
「この闘いが終わるまでは気合でなんとかしてやるよ…だから、さっさと終わらせて、また病室のベットで寝させろ…」
「ハハッ、了解した」
何か策があるとは踏んでいたものの、まさか翔太が参戦するとは思ってなかったこともあり、慌てたアクセルがサイクロンとジョーカーの元へと駆け寄ってきた。
体調は大丈夫かという相棒の問いに、気遣ってくれるのならさっさと病室にもどれるようにしてくれという軽口を叩く翔太。そんな翔太に照井は…
「…佐桐…俺は…」
「気にすんな、照井…俺がしたくてしてやったことだし…この街に住む人を守るのが、仮面ライダーの仕事だからな」
「…!全く…本当にお人好しな奴だ、お前は…」
「ハードボイルドだ、って言ってくれよ、そこは」
「……ふざけるなぁぁァァァァ!?」
「「「…!?」」」
謝罪は必要ないという翔太の言葉に、照井も仮面の下で思わず表情を崩してしまう。そんなやりとりの中、理解できずに怒りをぶちまける者もいるわけで…
発生源であるウェザー・ドーパントは怒りで体を震わせながら、地面に膝を立てていた状態からゆらりと立ち上がった。
「なぜ、失われたドライバーが二つも存在するのですか!?貴様らが持っていたのは、スカルのロストドライバーだけではなかったのですか?」
「やはりそう勘違いをしていたようだね?いいだろう…種明かし、というものでもないが、誤解を解いておこう。僕が使っているのが、あのダミー・ドーパントが使っていた佐桐荘吉のロストドライバーであり、翔太が使っているのが元々ダブルドライバーと共に遺されていたロストドライバーなのさ」
「…!?ま、まさか…!」
「そう…あなたは、ロストドライバーはスカルのもの一つしかないと思っていたんだろうが、元々僕たちは一つ所有していたんだ…そして、ダミー・ドーパントの一件でもう一基返してもらった形になったわけだ。
さっき『ストレングス・ドーパントと闘っていた時に見た』という発言からして、アブソーブ・ドーパントの一件からしても、アルカナシリーズのドーパントを差し向けたのもあなたで、その闘いをどこからか観察していたんだろう。けど、その発言をしたのはマズかった…ロストドライバーが、僕たちの手元にはスカルの一基しかないと勘違いしていると気づいたんだ。
基本的に僕たちはダブルに変身することがほとんどだし、ダミーが化けたスカルと闘った時にサイクロンに変身したが、あれは屋内であったから、ロストドライバーを使ったことを知る術がなかったってところかな?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「翔太が持ってるドライバーは他のメモリの力を疑似的に使えるフォルムシステムのために、ジョーカー専用に調整してあったからね…またサイクロン用に調整して、ジョーカー用に再調整するのは手間だったから、スカルのものを調整して持ってきたんだが…これが嬉しい誤算に繋がった。翔太が意識を取り戻してくれたという奇跡にね。
ダブル単体でのツインマキシマムやアクセルでの疑似ツインマキシマムという決め手はあっても、どうしても障害と立ち塞がるのはあなただ、ウェザー…そんなあなたを抑えるには、予期してない方法での奇襲しかなかった。
二人でダメなら三人で…人手が足りないのなら増やせばいい。ダブルとアクセルの二人では手が足りないのなら、ダブルが二人に分かれればいい…僕たちは二人で一人の仮面ライダーではあるが、二人いるからこそ別々のライダーにもなれたってことさ。
…種を明かせば、大したことはない。子供でも思いつく発想さ」
「だが、その子供のような発想にお前の策は見事に破られたというわけだ…ドクター…!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
自分の思い込みと、そして、過去に放った刺客が残してしまったアイテムによって状況を打破された…フィリップの解説と照井の一言に、ウェザーは何も答えることなく、怒りで体を震わせていただけだった。
圧倒的な力を見せつけ、一度は窮地に追いやった筈が…余裕と慢心が招いたこの事態に、怒りに駆られていたウェザーは…いきなり笑い出した。
「フフフッ…フハハハハハハハハハハハハハハ!フハハハハハハハァ!アーハハハハハハハハハハハハハハ!?」
突然の奇行に流石のライダーたちもたじろぐ…一体どうしたのかと警戒しつつ身構えていると、笑い切ったのか頭を手で覆いながらウェザーは口を開く。
「これはこれはこれは…!まさか、こうも一瞬にしてひっくり返されるとは…油断大敵とはよく言いますが、この私がその立場になるとは…なるほど、これが仮面ライダーの力というやつですか…納得しました、どうしてダミーやジェノサイド、アブソーブが悉く敗れてきたのか………ふざけるなよ、貴様らぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「「「!?」」」
感心と反省と納得…それで自分を律しようと試みたのかもしれないが、無理だったらしい。堪え切れなかったウェザーの怒りが爆発し、一気に解き放たれた圧がライダーたちの身体を震わせた!
「私の計画を悉く潰し…今度は子供のような策で破られただと…もう手加減など手ぬるいことは止めだ!一瞬で粉々にしてあげましょう!!」
…ゴオオオオオォォォォォォォォォォ…!
これまでの妨害と今回の一件…ウェザーの怒りが完全に頂点に達したらしく、その怒りを体現するかのように、自身を中心に巨大な竜巻が形成されていく。
「おいおい…またヤバそうなやつを作ってやがるな」
「そうだね。なら、こっちも持てる力の全てを持って迎え撃つまでだよ。アクセル、行けるよね?」
「ふっ…俺に質問をするな」
「そう言ってくれると思ったよ…翔太」
「うん?…ああ、そういうことか」
向こうが大技を放ってくるというのなら、こちらも望むところだとライダーたちも迎撃の準備を始める。互いに問題ないと確認し終えたところで、サイクロンが自身のドライバーからメモリを抜いて合図したことで、そのアイコンタクトで相棒の意図を理解したジョーカーも自身のメモリをドライバーから抜く。
「ぬぅぅぅぅぅぅぅ…!はあああああああああぁぁぁぁ!!」
そして、互いのメモリを投げて交換し終えたのと同時にウェザーが巨大な竜巻をライダーたち目掛けて放つ!
だが、焦ることなくサイクロンとジョーカーは交換し合ったメモリをマキシマムスロットに装填し…
『JOKER! Maximum Drive!』
『CYCLONE! Maximum Drive!』
「「…はあああああああぁぁぁ!!」」
サイクロンの突き出した右手、そして、ジョーカーの突き出した左手から出現した二種類の旋風…緑と黒紫の竜巻が迫ってきたウェザーの竜巻を迎え撃つ!
ウェザーのものと比べると、二人の竜巻の規模は大きくはなかったが、その進行スピードを大幅に減少させた。そして、それはライダーたちの体勢を完全に整えさせる時間を創り出すことに成功していた。
「さてと…タイミング合わせて、ライダートライマキシマムといくか!」
「…待て、それは俺もか…?」
「もちろん…君もだ」
再びメモリを互いに戻し、明るい声で掛け声を提案するジョーカー。一方で、いきなりの提案にまさか自分も言うのかと確認を取るアクセルだったが、いつものことだと半ば諦めていたサイクロンに諭されることとなった。
一瞬迷ったアクセルだが、ここはジョーカーの…翔太の流儀に付き合うかと妥協し、ドライバーの右グリップを捻る。それに併せ、ロストドライバー組もメモリをマキシマムスロットに装填する!
『JOKER! Maximum Drive!』
『CYCLONE! Maximum Drive!』
『ACCEL! Maximum Drive!』
「…今こそ…呪われた過去を振り切るぜ!」
黒と緑と赤…それぞれのガイアエネルギーがドライバーを介してライダーたちの身体へと充填されていき…同時に跳躍したジョーカーとサイクロンに合わせ、アクセルが前方へと駆ける!
「「「ライダー…トライマキシマム!!!」」」
ジョーカーライダーキック、サイクロンライダーキック、そして、アクセルグランツァー…足止めの二つの竜巻をも巻き込むように同時に放ったトリプルライダーキックが、ウェザーの竜巻へと直撃する!
「な、なにぃ…!?」
自身の大技を防がれただけでなく、三倍になって跳ね返されたことに驚きの声がウェザーから漏れる!三つの力によって分割されて、迫る三色の竜巻を慌てて防御しようとするも…自身の力をも加わったそれを受け止めることは容易ではなく…
「ぬうううううぅぅ……うわわわあああああぁぁ!?!?」
絶大なパワーに押され、その身体が竜巻に呑まれた!それにより、周囲を暴風が吹き抜け、ライダーたちもその余波によって視界を塞がれてしまう。直撃はした筈だと暴風が吹き止むのを待っていると…
「…いない。メモリの残骸も見当たらない……どうやら逃げたみたいだね」
視界が確保できた時には、ウェザー・ドーパントがいた場所には誰もいなくなっていた。だが、ブレイクできたのなら、ウェザーメモリの残骸が存在する筈…だが、それも見当たらないことから逃げられたとフィリップは推測した。
「直撃はしたように見えたが…致命傷になる前に姿を消したってことか?」
「そういうことだろうな…もう一体のドーパントの変身者を置き去りにしているということは、余裕がなかったということだろう」
仕留めきれなかったかと少し落胆する翔太だが、ウェザーを追い詰められたこともあってか、照井はそこまで悔しがる様子を見せてはいなかった。
「…まぁ、お前がそこまで気にしてないのならいいが……とりあえず…一件、落着…って、こと……っ!?」
翔太としては照井のことが気掛かりではあったが、どうやら知らない間に一皮向けたらしいその様子を見て…そして、大台を乗り越えたことから安堵もあって、緊張感が切れた翔太は、
「…佐桐!?」「…翔太!?」
無理をしていた反動が一気にぶり返し、ジョーカーの変身が解け、倒れ込みそうになった翔太を慌てて照井が支える。遅れて反応したフィリップと合わせて、その腕を肩で担ぐようにして支える。
「わ、悪い…ちょっと…無理をし過ぎた…」
「ちょっとどころじゃないだろう…さっさと病院に戻るぞ」
「最後までどうしてカッコつけられないのかな…だから、ハーフボイルドなんだよ、翔太」
「そうだな…せめて、倒れるなら病室に辿り着いてから一人倒れるのがハードボイルドって奴だろうな」
「なぁ…!?フィリップだけでなく、照井まで……悪かったな、最後まで恰好をつけらなくて!?」
いつものオチと言うべきか…翔太の締まらないところを見て、思わず笑みが零れるフィリップと照井…それは激戦を終え、結束を深めれた彼らだからこそできる会話だった。
そんな二人の雰囲気に、酷い痛みと倦怠感を覚える翔太も釣られて笑みを零すのだった。
そんな三人に、傍で控えていた四葉と風太郎も駆け寄り、勝利の喜びを分かち合ってから、病院に戻った。
…このあと、勝手に病院を抜け出した翔太に対し、マルオが大変お怒りになるとは露とも知らずにいたのだが…
原作だとなかった揃い踏み…サイクロンとアクセルとジョーカーという組み合わせでのライダートライマキシマムが決め手となりました…!
さて、では軽く解説を…
まぁ、今回のオチは結構最初から決めていた流れでして、このお話自体がこの作品を書こうとした時にはなかったお話であり(そもそも、当初はアクセルを出す予定がなかったので)、どうやってウェザー・ドーパントを出し、原作とは違った流れで倒すかと考えたお話でもありました。
そこで、ダミー・ドーパントが使っていたスカルのロストドライバーを再流用できないかと思っての、仮面ライダーサイクロン再登場となったわけです。結構、サイクロンの再登場を望まれる声もあったので、それにもお答えできたのではないかと(苦笑)
そして、まさかの気合で復活ジョーカーこと翔太…いや、そういうのは照井のポジションでしょうと突っ込むのはなしです。まぁ、その代償はもちろんとんでもないことになるわけですが…
サイクロンとジョーカー…ある意味、ダブルではできない基本形態のメモリたちでのツインマキシマム…でも、ちょっと差別化図るために本作ではダブルライダーキックの名称を取らせて頂きました。
その代わりとして出したのが、三大ライダーによるトライマキシマム…トリプルと迷ったのですが、トライの方が語呂がよかったのと、『挑戦』の意味のトライとの掛け合わせもあってでした。(トライアルメモリ?…なんのことでしょう)
意識的にはMOVIE対戦2010のディケイドとFFRのダブル二人といったところでしょうか。
そういうわけで次回で本章も最終話…まぁ、エピローグという名の翔太の報告回です。あと、マルオさん激怒回にもなるかと…五月もなんとか絡ませたいなと(本章、影薄すぎましたので)
それでは、また!