真・恋姫†夢想~双魔の狩人~   作:D-ケンタ

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今回短めです。
なのに何故時間がかかったかと言えば、今月試合があって、それに向けて色々大変だったんです!許してください、何でもはしませんから!!


狩りが終われば……

「それでは、我が領内を荒らす化け物、オオナズチを見事撃退した、三人の栄光を称え……乾杯!」

 

曹操が音頭を取り、全員が酒の入った杯を掲げて、祝宴が始まった。宴の主役は、陳留近隣の森に出没した、霞龍オオナズチを苦戦の末撃退した、夏侯惇と夏侯淵、そしてザイユの三人。

各人は大いに飲み、騒ぎ、宴を楽しんでいる。特に主役である夏侯惇、夏侯淵の二人は注目の的だ。その中で、ザイユはというと……。

 

「……ふぅ」

 

離れた所に座り、一人静かに酒を飲んでいた。酒の種類はザイユにはよく分からない。フラヒヤビールのようなキレや黄金芋酒のような深さはないものの、場の雰囲気のお陰で十分に楽しめる味わいだと感じた。

 

「賑やかなのは嫌い?」

「……曹操か」

 

いつの間にか傍に来ていた曹操が問う。

 

「いや……悪くはない。むしろ懐かしさを感じる」

 

笑みを浮かべながらそう答えた。今のザイユは頭部防具を外しているため、その表情は曹操にもよく分かる。

 

「昔はよく、大きな狩りを終えると、仲間と酒を飲んで騒いでいた」

「なら、もっと楽しそうになさい。これは、あなたのための宴でもあるんだから」

 

それを聞いて、ザイユはフッと笑って、いまだ囲まれている二人へと視線を向ける。

 

「今回のオオナズチ戦、俺一人では難しかっただろう……二人のおかげだ。俺の力など、微々たるものにすぎん」

「そう、随分謙虚なのね。でも秋蘭からの報告では、あなたがいなければ命を落としていた、と聞いてるのだけれど?」

「買い被り過ぎだ。俺は只、お前からの依頼をこなしただけだ」

 

ザイユはハンターである。依頼を受ければそれを達成するために考え、行動する。地の利を活かし、モンスターの生態を活かす。今回のことも、依頼内容がそれであったからであって、それ以上でもそれ以下でもない。むしろ夏侯淵と夏侯惇に助けられた場面もある。

 

「だから、よ。あなたは私の依頼通り、オオナズチを撃退し、あの娘達を無事に連れて帰ってきた。十分称賛に値するわ」

「……そうか」

 

そう短く返し、酒を呷る。正直照れ隠しだ。

ザイユは意外にも、このように依頼主から直接礼を言われることに慣れていない。そもそも、依頼主とのやり取りはすべて村長やギルドが行い、ザイユらハンターはその中から斡旋された依頼を選んで受ける。報酬などもギルドから渡されるため、依頼主と顔を合わせないことの方が多い。

故に、こういう場合どうしたらいいかが分からないのだ。

 

「……もしかして、照れてる?」

 

しかし、誤魔化したつもりでも、目の前の少女にはバレバレだったようだ。

 

「……まあな」

「あら、案外素直ね」

「今更否定したところでどうにもならん」

 

意外そうな目をしている曹操に、ザイユはあっさりとそう言い放つ。

 

「仏頂面ばかりしているつまらない男かと思ったら、可愛いところあるのね」

「茶化すな。それより、気掛かりなことがある」

「……もしかして、オオナズチのこと?」

 

その言葉に、頷いて答える。

 

「でもアレは、あなた達が撃退したんじゃ」

「ああ、確かに奴は、俺達との戦闘によって傷つき逃げ去った。しかし、古龍に名を連ねるオオナズチが、あの程度で退くとは思えん」

 

古龍種は絶大な力を持つ。故に撃退するのも生半可なものではない。過去の記録には、ドンドルマの街を襲撃した古龍を撃退するために大勢のハンターが集い、少なくない犠牲を出して漸く撃退したというものもある。

必ずしもその限りではないが、G級まで上り詰めたザイユの経験と直感が違和感を訴えていた。

 

「恐らくだが、あのオオナズチは何かと争い、既に消耗していたのだろう。それならあんなに容易く撃退できたのも頷ける」

「……まるでオオナズチと同等か、それ以上の存在がいる様な言い方ね」

「事実、アイツより強いモンスターはいる。まあ、只の憶測だから、あまり気にするな」

 

酒を煽りながら簡単に言うが、太守という立場にある曹操は気にせずにはいられない。オオナズチでさえとてつもないのに、下手をすればそれ以上の驚異が現れるかもしれないのだ。果たしてその時、自分達は街を守れるのか。

しかしその心情を察してか、ザイユは曹操に向け言い放つ。

 

「またモンスターが現れたら、俺を呼べばいい。確実にとは言えんが、何とかしてやるさ」

「……ふふ、頼もしいこと言ってくれるわね」

「俺はハンターだからな。依頼があれば、何であろうと相手するさ」

 

モンスターハンターとして当然の事であるが、それを知らぬ曹操にとって、その言葉はこれ以上ないほど頼もしく、大きく聞こえたことだろうか。

 

「そうね……その時はまた、お願いするわ」

 

そう言って曹操は、杯を持っている手をザイユの方に伸ばし、ザイユもそれに返す。

チン。軽い音を鳴らし、曹操は臣下達の元へ戻っていった。

ザイユがまた一人で酒を飲み、料理を食していると、今度は夏侯淵が来て、ザイユの隣に腰かけた。

 

「まずは、礼を言わせてくれ、ザイユ殿。お主がいなければ、オオナズチを撃退することはできず、私も姉者も命を落としていただろう」

「……曹操にも言ったが、それは買い被りというものだ。俺は、自分のやれることをやっただけだからな」

「まあ、お主ならそういうと思っていたがな。ならせめて、私の酌を受けてくれ。礼代わりといっては何だがな」

「……頂こう」

 

そう言って夏侯淵は酒器を手に持ち、ザイユは自身の杯を夏侯淵の方に差し出す。トクトクと、杯に酒が注がれていく。ザイユはそれを、グイと喉に流し込む。

 

「いい飲みっぷりだな。さあ、もう一献」

「ああ。……ふぅ」

「見た目に違わず酒豪なのだな」

「酒がいいからな」

「ふっ、そうか。ところでザイユ殿、宴の席でも武具を着けたままなのは、ハンターとしての習慣か?」

 

至極当然の疑問だ。先にも言ったが、今のザイユは頭部を除き、防具を外さず大剣もすぐ近くの壁に立て掛けている。あの夏侯惇ですら、今は武具を外しているのに。

 

「まあ、そうだな。急な依頼にもすぐ出れるようにな」

「成る程。一つ気になっていたのだが、確かお主の鎧は狩った獲物の素材から作ったと言っていたな?」

「ああ。俺に限らず、ハンターの武具は大体がそうだ」

「なら、今回戦利品として持ち帰った、オオナズチの素材でも武具を作れるのか?」

 

結論を言えば可能である。しかし、この後にされた問いに関して、ザイユは首を横に降るしかない。

何故ならザイユはハンターであって、加工屋ではないのだ。簡単な調合ならできるが、ボウガンにアタッチメントを付けるのにも加工屋に頼むしかないのに、一から作ることなど出来ない。

 

「そうか……すまないザイユ殿、変なことを訊いてしまって」

「……夏侯惇にか?」

「……ああ」

 

雰囲気から理由を察したザイユがそう尋ねると、夏侯淵は静かに肯定した。

 

「オオナズチとの戦いで、姉者の七星餓狼は完全に砕けてしまった。どうせ新しく作るなら、と思ったのだが」

「……古龍の素材は、他のものよりも強靭だ。加工は大変だろうが、素材は十分獲得した。まあ、なんとかなるさ」

「……そうだな。何とかしてやるさ」

 

例え強大な力を持つ古龍とはいえ、攻撃を受ければ傷つき、皮は剥がれ、爪は折れる。今回など、尻尾の切断までやってのけたのだ。加工は難しいだろうし、時間はかかるだろうが、やれないことはない筈だ。

 

「そういえば、あの大剣はお主の鎧とは素材が違うようだが」

「ああ、あの大剣には俺の村の伝承で、黒き神と呼ばれたモンスターの素材を使っている」

「黒き、神?」

 

聞きなれない言葉に夏侯淵は首をかしげ、ザイユは視線を自身の大剣に向け、更に続ける。

 

「覇王剣クーネエムカム。災厄の名を持つ、覇竜アカムトルムの素材で作った大剣だ」

 




とりあえず今回はここまで。
次回から少し進むかな?
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