真・恋姫†夢想~双魔の狩人~   作:D-ケンタ

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何とか年内に投稿できました。

PS4版「恋姫演武」を買ったのですが、DOAしかやったことが無かったので、コマンドに結構苦労しています。まあ、孫権様が可愛かったので、満足です!


陳留での出会い

「それで、貴様は一体何者だ?名は?」

 

あの後、ザイユは女性―――夏侯淵に役所らしきところに連行され、尋問を受けることとなった。

 

「……ザイユだ。ハンターをやっている」

「はんたあ?よく分からんが、賊ではないのだな?」

「当たり前だ」

 

それほどまでに怪しいのだろうか?ザイユは内心自身の装備に疑問を持った。G級に上がってから作ったお気に入りの防具だが、頼もしさやカッコよさはあっても、怪しまれる要素などない。それがザイユの自己分析の結果だ。

 

「そうは言っても、だ。その恰好では説得力がないぞ」

「……すまないな。遠くの村から来たもんで、この辺の常識に疎いんだ」

「遠くの村?どこの出身なんだ?」

「フラヒヤ山脈近くの、ポッケ村だ」

 

大陸の北部に位置する、一年中雪におおわれた山岳地帯。その地にも多くのモンスターが生息し、同時に人々も村を作り住み着いている。

ポッケ村は、フラヒヤ山脈付近にありながら温泉が湧いており、比較的住みやすい温暖な気候を保っている村である。その温泉は、ユクモ村程ではないにしても有名であり、それ目当てで来る観光客もいるくらいだ。

しかしその地名、村名を出しても夏侯淵は首を捻るばかり。

 

「知らぬ地名だな。デタラメを言っているわけではあるまいな?」

「当たり前だ……と言いたいが、信用に足る材料がないからな……ギルドカードならあるが……」

「一応見せてもらっても?」

「ああ……これだ」

 

ザイユはポーチからギルドカードを取りだし、夏侯淵へと手渡す。彼女はそれをまじまじと見やるが、やはり分からないのか、眉をひそめている。

 

「知らない文字だな。そちらの特有のものか?」

「恐らくな。少なくとも俺は今まで、その文字が大陸共通だと思っていた」

「成る程……確かに、嘘は言ってないようだな」

 

じっ……とザイユの目を見て、夏侯淵はそう判断を下す。その言葉を聞いて、ザイユは重い溜め息を漏らす。

 

「信じてもらえたか……」

「目を見れば分かる。まあ、問題を起こさない限りは大丈夫だろう」

「そうか……」

 

ようやく釈放である。しかし、以外にも話が分かる人物だったことで、ザイユは彼女、夏侯淵に対していい印象を抱いていた。

 

「俺の無知のせいで迷惑をかけてしまったな」

「いや、こちらこそすまなかった。ところで話は変わるが、そんな遠い村から何をしに来たんだ?」

 

尤もな質問だ。彼女からしてみれば、名も知らぬ程に遠い村から、態々自分たちの街へと来た者の目的が気になるのは至極当然と言えるだろう。

 

「実を言えば、この地域に来たのは事故みたいなものでな、これといった目的はない」

「では、これからどうするつもりだ?」

「ハンターとして活動したいが、どこで許可をもらえばいいのか分からん。よければ、どこで許可をもらえるか教えてくれないか?」

「さっきも言ってたが、そのハンターというのは?」

「分かりやすく言えば、依頼を受けて狩猟などを行う仕事だ」

 

実際にはモンスターの討伐、捕獲の他に、薬草などの採取、モンスターの卵や鉱石の運搬などがある。依頼があれば何でもするのがハンターであるが、その依頼の中には貴族や王国の第三王女からのもあったりする。……内容は大抵碌でもないが。

 

「大層な得物を携えているが、それは狩猟の為の物か」

 

近くの壁に立て掛けてあるザイユの大剣を指さし夏侯淵が問う。実はこの大剣、連行した後に兵が取り上げようとしたのだが、あまりの重量に複数人がかりでも持ち運ぶことができず、仕方なく立て掛けてあるという訳だ。その中心線からは今も紅く光を放っている。

 

「そうだ」

「ふむ……弓矢ではなく、大剣で狩りを行うとは聞いたことがないが……」

「弓も使えんことはないが、コイツの方が性に合ってるもんでな」

「成程……狩猟の許可を得たいんだったな。それなら、うちの文官に話をしてみよう」

「すまない、助かる」

 

それから少しばかり話をして、ザイユは夏侯淵と共に、ハンター活動の許可をもらいに文官のもとへ向かうことになった。そしてその道中……。

 

「秋蘭!賊を捕まえたと聞いたが、ソイツか?」

 

何やら勢いのある感じの女性と遭遇。ザイユは直感で悟った。これは面倒なことになる、と。

 

「姉者か。いや、こやつは―――」

「ふむ、話に聞いた通り、随分と奇っ怪な恰好だな」

「……言っておくが、俺は賊ではない」

 

予想の通りに面倒なことになった。会ったばかりだが、大人しく話し合うようなタイプではないだろうと、ザイユは思った。

 

「嘘をつくな。その様な風体で、賊でない筈がないだろう」

「姉者、彼の言っていることは本当だ。確かに怪しい恰好だが……」

 

夏侯淵も怪しさという点では同意するが、彼女はザイユが賊ではないと知っている。先程この女性を姉と呼んだことから、二人は姉妹なのだろう。妹の話であれば聞いてくれるかもしれない。

 

「む、そうなのか?まあ、秋蘭が言うならそうなのだろうな」

「……誤解は解けたか?」

「ああ。しかし、大層な得物だな。賊ではないとすると、どこかの武官か?」

「ハンターだ。軍人ではない」

 

ハンターという聞いたことのない単語に女性は首をかしげる。やはりこの地域ではハンターは存在していないのだろうか。

ザイユがそう考えている間に、夏侯淵が彼女に耳打ちして、ハンターがどういうモノなのか、先程のザイユの説明をそのまま伝える。

 

「成程狩猟か……しかし、狩りをするのにそのような鎧と大剣はむしろ邪魔ではないか?」

「いや、俺がいたところでは、このくらいの装備じゃないとまともに狩れん。そもそもこの装備も、狩ったモンスターの素材で作ったものだ」

「お主のいた村はいったいどんな所なんだ?」

 

尤もな疑問である。夏侯淵は改めて彼の装備を見やる。金属でも皮でもない素材で出来ていると思われる砂色の外装。上半身の装備にはねじれの入った剛角が付いており、見るものを威圧する。背負った大剣は彼女たちどころか、ザイユの身長を超えるほどに大きく、その重量は見た目通りの重さで、訓練された兵ですら持ち上げることはできない。そのような得物で、一体どのように狩りを行うのだろうか?夏侯淵は疑問に思った。そして彼女も……。

 

「そこまで言うのなら、その腕前を見せてもらおうか」

「……何?」

 

 

ザイユが連れてこられたのは、ハンター稼業の許可を得る為の文官のところではなく、官舎の中にある広場、練兵場であった。

何故この場所に連れてこられたのか。ザイユの力量が如何様なものか興味を持った、夏侯淵の姉である女性―――夏侯惇に半ば無理やり連れてこられたのだ。そして何故か、訓練用と思しき直剣を構えている夏侯惇と相対している。

 

「……何故だ」

 

この夏侯惇という女性は、どうやらかなりの戦闘狂の様で、道中夏侯淵も「また姉者の悪い癖が……」と呟いていた。面倒くさいと思いつつも、逆らうとさらに面倒だと思い、大人しくついてきたら、この状況になったという訳だ。

 

「さあ、さっさと得物を抜け!」

(……無茶を言う)

 

剣を抜いている夏侯惇に対し、ザイユは未だ大剣を納刀したまま無手で立っていた。

 

「俺の大剣はモンスターを狩るための物だ。人に向ける物じゃない」

 

ザイユが携えている大剣は、モンスターの硬い甲殻や鱗、分厚い肉を断ち切るための武器だ。その破壊力は今夏侯惇が構えている直剣の比ではない。故に人に絶対に向けてはいけないのである。まあ、中には悪ふざけで大剣やハンマーで他のハンターを打ち上げたり、剥ぎ取り中のハンターの邪魔をしたりするが、あくまで悪ふざけの反中であり、それで危害を加えることはない。

しかし、そんな事情を知らない彼女にとっては、ただの言い訳にしか聞こえなかったのか、夏侯惇は明らかにいらだったような表情をしていた。

 

「ええいっまだるっこしい!いいからさっさと抜けっ!」

「……いや、だから俺は人は斬らんと―――」

「なら、此方から行くぞ!!」

 

そういい放つや否や、夏侯惇は一気に距離を詰め、手に持った直剣を振り下ろす。ザイユはそれを見ても大剣を抜かず、ただ防ぐように片腕を上げた。

その様子を見ていた夏侯淵は驚き、つい声をあげそうになった。訓練用に刃が潰れているとはいえ、金属製の直剣をそのまま受けては危険である。いくらザイユが鎧に身を包んでいるとしても、夏侯惇の膂力で直剣を叩きつけられては只では済まない。そう思っていた。

直後、金属の甲高い音ではなく、鈍い音が練兵場に響く。

 

「―――っ!?」

「……」

「何っ?!」

 

しかし大方の予想に反して、受けたザイユの腕はビクともせず、振り下ろされた直剣を受け止めた。しかも逆に、叩きつけられた直剣の方に罅が走る始末。

 

(堅牢な鎧と思っていたが、これ程とは……さらに驚くべきは、姉者の力で叩きつけられても身じろぎ一つせぬ強靭な体幹!)

(な、なんだ今の感触は……本当に鎧なのか、これは!?それにこの感覚、まるで()()()()()()()()――――――)

「……ほう、意外に力あるな」

 

素直に夏侯惇を称賛するザイユ。その言葉に偽りはないのだが、挑発と受け取ったのか、夏侯惇は再び剣を振るう。

しかし、その悉くがザイユの鎧に弾かれ、中までダメージが通らないどころか、その鎧に傷一つつけられない。最終的に直剣に入った罅が広がり、中程から折れてしまった。

 

「まさか、姉者があそこまで攻めあぐねるとは……」

「ハァ…ハァ……」

「……満足したか?」

「ッ!まだだっ!!」

 

その一言にさらに夏侯惇は激怒した。必ずやこの傲岸不遜な輩を叩きのめさんと決意した。夏侯惇には彼の事情などは分からぬ。けれども侮られているということに関しては人一倍敏感であった。折れてしまった直剣を投げ捨てると、本来の得物と思しき幅広の刀を構え、再びザイユに跳びかかる。

もはや力量を見るという当初の目的も忘れ、ただ眼前の敵を叩きのめすことだけを考えている夏侯惇を危険と感じたのか、夏侯淵が止めに入ろうとする。

 

「春蘭、何をやっているのかしら」

 

しかし止めたのは夏侯淵でない、さりとてザイユでも、ましてや夏侯惇ではない、第三者の声。その声を聞いた瞬間、夏侯惇はぴたりと動きを止め、その声の方を向いた。

 

「か、華琳様っ!?」

「秋蘭、説明してくれる?」

「はっ!実は―――」

 

夏侯淵が声の主である女性に、今の状況やそれに至る経緯を説明する。

ザイユはその女性を見る。小さいが、不思議とオーラを感じる、そのような印象を抱いた。

しかし、女性について考えたのはそれだけで、ザイユの頭の中はすぐに別のことを考え出した。

 

(……そういえば、何も食ってなかったな)

 

ひそかに腹の虫を鳴らして、後でこんがり肉でも食おうか、そうザイユは思った。

食事をとるには、まだ時間が掛かりそうである。




原作での主要キャラとようやく遭遇しました。
夏侯惇との手合わせは、ちょっとやりすぎたかな?と思いましたが、一応G級装備ですし、これくらいで大丈夫ですよね?ハンターも人外扱いされてるところあるし……まあ、いっか!

次回は三が日中には投稿したい……。
果たしてザイユは、ハンターとして活動できるのか。

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