Toloveる 発明大好きなお姫様には弟がいました。   作:きょうこつ

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委員会への所属

彩南祭が過ぎて秋まっさかりの時期。辺りの木々は紅葉や銀杏が美しく輝き、雨を降らせていた。

 

そんな秋のある日の放課後であった。

 

「…何の用ですか?いきなり呼び出して」

 

「……」

 

ギルはとある教室にあるソファーに座っていた。目の前には同じく座る古手川と辺りには委員らしき男女がいた。

 

なぜ、ギルがここにいるのか。それはただ単に彼女に呼ばれたからである。いつもの彼ならば無視して帰るところだが、リトが追試で残り、それをララも待っている状況で暇な故に来たのである。

 

「単刀直入に言わせてもらうと…風紀委員に入って欲しいの」

 

「……」

 

それに対してギルは首を傾げる。彼にとっては凄く複雑な事なのだ。以前の3年とのもみ合いの件から、自身は完全に風紀委員の一員と思われており、『風紀委員の最終兵器』という異名までつけられているのだ。

もうここまで来れば入っていてもいなくても同じであろう。それに、委員に所属しておけば更に溶け込めると考えられる。

故にギルは了承した。

 

「まぁ…ここまでくるともう入って置いた方がいいかもしれませんね…。ただし、こちらの条件を呑んでいただきます」

 

「……えぇ。此方が応えられる範疇なら大丈夫よ」

 

「では、昼休み以外は参加しません。ただし昼休みは委員として活動し騒ぎを起こさせない事を約束しましょう」

 

それに対して古手川は頷いた。

 

「分かったわ。なら昼休みの活動をお願いするわね」

 

それからギルは風紀委員へと所属する事となったのだ。

 

ーーーーーーー

 

本格的に風紀委員へと所属したギルは活動を始める。

 

「そこに溜まらないでください。邪魔です」

 

「香水の臭いがキツすぎます。換気してください」

 

「校長。自重しないと逆さ吊りにして頭に血、登らせますよ」

 

風紀委員と書かれた腕章を付け、地球に着いた際に御門から教えてもらった『常識』と『校則』を思い出しながら次々と常識に反する生徒達を注意していった。

特に昼休みはご飯の後に加えて午後への架け橋となるので気が緩みやすく、多くの生徒が校則違反を起こし始める。

 

廊下でタムロしている生徒達を退かせたり、周りに配慮したり、奇行に走る校長をボコボコにしたりと。

 

ありとあらゆる風紀を乱す者を注意していった。

 

時には暴力にモノを言わせる問題児が出て来るも、ギルはアッサリと返り討ちにしていった。

 

ギルが活動するのは昼休みだけであるにも関わらず、それによって注意を受けた生徒達も再犯する事がなくなり風紀も前より改善されていった。

更にギルは校則や風景を見る中で注意する必要性のない点を見つけると合理的な理由を付けながら古手川へ報告していた。厳格な性格である古手川もギルの話す理由に納得し、以前よりも事細かい点にはしつこく注意をする事がなくなった。それにより彼女に対して今まで不仲であったクラスメイトからの好感度も上がっていった。

 

 

だが、中には風紀委員に対して不満を持つ生徒がいた。

 

◇◇◇◇◇◇

 

ギルが委員となって数日。いつもより厳格な古手川の表情はいつもより柔らかくなっていた。

 

「(ギル君のお陰で風紀も良くなってきている。今度お礼しないと…)」

 

そう心の中でギルのことを思い浮かべながら今日の委員会の書類をまとめると、席を立つ。

 

「あ!古手川さん!手伝おうか!?」

 

「大丈夫よ。これくらい」

 

親しくなってきたクラスメイトからの気遣いに古手川は笑みを浮かべながら返すと廊下へと向かった。

 

 

 

その時だった。

 

 

「…!?」

 

偶然、数人の生徒とすれ違った際に何かに脚を引っ掛けてしまい、その場に転倒してしまう。それによって手に持っていた書類は辺りへと散らばってしまった。

 

「いつつ…(なによ今の…こんなところに段差なんて…)」

 

ゆっくりと立ち上がりながら、古手川は転んだ箇所へと目を向けた。

 

そこには此方を見下ろしながらニヤニヤと笑みを浮かべる数人の茶髪で腰に制服を巻いた女生徒と胸元を開けながら腰までズボンを下げている男子生徒が立っていた。

 

「あ〜あ。大丈夫〜?」

 

「気をつけないとダメだよ♪」

 

「…」

 

その一言で確信する。自分を転ばせたのはこの2人だ。この2人の女子生徒に加えてもう2人の男子生徒は見覚えがある。それは数日前に隠れて校舎裏でタバコを吸っており注意した生徒だ。

 

注意したにも関わらず未だにタバコの臭いが微かに感じられた。恐らく注意を受けてもなお止めなかったのだろう。

 

故に古手川は立ち上がると注意した。

 

「貴方達…またタバコの臭いがするわよ。何故やめなかったの…?今すぐにやめなさい」

 

「はぁ?」

その注意を掛けた瞬間 女子生徒の脚が腹に食い込み古手川の身体を壁に叩きつけた。

 

「ぐ!?」

 

「いい子ぶってんじゃないわよ。なに?何か文句でもあんの?所詮アンタらなんてあの“ピンク色の気持ち悪い長髪男”がいなきゃ何もできないんでしょ?」

 

そう言い女子生徒の手が伸びると古手川の長い髪の毛を掴んだ。

 

「ぐぅ…!ぼ…暴力はやめなさい…!暴行罪に…なるわよ…!!」

 

「暴行罪になるわよ〜だってさ〜!」

 

「いい子ぶるだけじゃなく頭いいですよアピール?いや〜風紀委員長はご優秀なことで!」

 

___バンッ

 

女子生徒は更に髪を引っ張ると壁に叩きつけた。髪を引っ張られる痛みと叩きつけられた際の衝撃の痛みが古手川を襲う。

 

「悔しかったら反撃してみろよ。お〜い!」

 

「…!!」

 

再び髪を引っ張られ、挑発を受けるも古手川はただ、睨むだけで何もしようとはしなかった。

 

「(だめ…手を出したらダメ!手を出したらダメ!)」

 

古手川は必死に自身に言い聞かせた。何度も何度も。弁護士である父親から何度も言い聞かされた事を心の中で唱え続けた。

 

『殴ったら負けだ』

 

『絶対に手を出すな』

 

そして今まで自身に対して冷たい表情を向けながらも最近は親しくしてくれ始めたクラスメイト達の顔も思い浮かべる。

 

____彼らを注意した事は間違ってない!殴られたとしても絶対に殴り返すな…!!!

 

 

 

その時だった。

 

 

「誰が気持ち悪い長髪男だって?」

 

 

「「「「!?」」」」

 

 

突如として後ろから声が聞こえた。古手川がゆっくりと目を向けるとそこには季節外れの夏服を着用しながら此方を見つめるギルの姿があった。

 

「ギル…くん…」

 

「登校してる途中に何故か“ピンク色の気持ち悪い長髪男”って聞こえたんで来てみれば、貴方方は喫煙で注意された生徒ではありませんか」

 

そう言いギルはB組の教室に入ると古手川に手を貸しゆっくりと立ち上がらせた。

 

「あと先程の会話は全てお聞きしましたよ。どうやら注意を受けた事に不満がある様ですね」

 

「……」

古手川を立ち上がらせたギルは古手川に絡んでいた女子生徒と男子生徒へと鋭い目を向けながら尋ねる。それに対して古手川に絡んでいた女子生徒は黙り込み、勢いを失いながら一歩後ずさった。

 

「何が不満なんですか?この国では20歳までは喫煙してはいけないという様な決まりがあった気がしますが、それを指摘しただけで何故そんな事を言われなければならないのですか?」

 

「う…うるせぇんだよ!俺らがタバコ吸おうがどうでもいいじゃねぇかよ!何で赤の他人に言われなきゃいけねぇんだよ!」

 

ギルのネチネチとした尋ね方に男子生徒は頭にきたのか、叫びながら言い返した。

だが、その図太い声に対してギルは怯む事なく、冷静なまま、顎に手を当てた。

 

「そもそも何故タバコなんかを?調べたところタバコは多大なるストレスを緩和する為のモノ。学生は運動などできる時間が多くあるので普通は吸う必要はないでしょう。それに身体の機能も大人になりかけている途中。何故そこまでして吸うのですか?」

 

「そ…それは…」

 

更にギルは男子高校生の腰パンへと目を向けた。

 

「あの時はタバコだけを注意しましたが、服装も不思議に思いました。何故、その様に腰まで下ろしてるんですか?そこまで下ろしたら、もしもの時走り辛いじゃないですか。ウッカリ脱げてしまう時もありますし。何でそんな格好するんですか?」

 

 

「「「………」」」

 

先に言っておくが、ギルには全く悪意はない(嘘)。彼はこの星に来て間もない為にこの様なファッション(笑)の事を全く知らないのだ(嘘)。

 

更にギルの質問を聞いて黙り出した生徒達を見た途端に辺りの生徒達は次々と笑いを堪え始めていった。

 

すると

 

「うるせぇ!」

 

男子高校生の1人が叫びながらギルの腰から後ろのポケットに伸びるチェーンへと目を向け指を刺す。

 

「別に俺らがどんな格好しようが勝手だろ!?それに腰のチェーン!風紀委員がそんなのつけてて良いのかよ!?」

 

「いや、これ財布を取られない為につけてるので。紐や皮だと切られる心配があるので金属にしたんです。現にテレビでも取り上げられていて付ける事を勧めていましたよ。長さだって調整して少し短くしてますのでブレザー着たら隠れます」

 

「「「「……」」」」

 

「貴方も見る限り付けている様ですが、財布にはつけてないじゃないですか。しかも長さが膝小僧までありますし。それこそ何なんですか?」

 

「「「「ぷふぅ…!?」」」」

 

ギルの指摘を受けた男子生徒は何も言い返せず、再び黙り込む。その様子によって、遂に辺りから見ていた生徒達は吹き出しそうになっていた。

 

「タバコも吸おうとしますし、ピアスに首飾り。そちらの女子は…何か目元が黒いですし」

 

そして 遂にギルは古手川に絡んでいた生徒達と笑いを堪えていた生徒達の羞恥心と我慢を爆発させる。

 

 

「えっと…もしかして_____

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

____カッコいいと思ってるんですか?」

 

 

 

「「「「ぶぶぅぅぅぅ!!!!!」」」」

 

 

その瞬間 辺りの生徒が吹き出した。

 

『『『『ぶははははは!!!』』』』

 

「「「「/////」」」」

辺りから次々と聞こえてくる笑い声。それによって4人の男女の顔はみるみる赤くなっていった。

 

「あれ?何故皆笑ってるんですか?」

 

「いや…ぶふぅ…それは…ぷぅ…プハハハ!!」

 

後ろに立つ古手川にギルが尋ねるも、古手川も答えきれない程まで爆笑していた。

 

だが、その笑い声がその男子生徒達を刺激してしまった。

 

「う…うるせぇええええ!!!!」

 

「俺らに恥かかせやがって!!」

 

1人の男子生徒の図太い怒鳴り声が辺りの生徒達を一喝するかの様に響き、笑い声を一瞬にして黙らせるとギルの胸ぐらを掴んだ。

 

「さっきからグチグチ理屈ばかり並べやがって!このチビ__ぷぎゃぁ!?」

 

「正当防衛キック」

 

その瞬間。ギルの脚が振り上げられ、男子生徒の身体を顎から突き上げながら後ろへと吹き飛ばした。

男子生徒は大きな身体を床にバタンと音を響かせながら倒れると、そのまま気絶する。

 

その一方で、ネクタイを巻き直し残りの3人の生徒へと目を向けたギルは腕をポキポキと鳴らし始め、額に筋を浮かべる。

 

「さて、残りの3人は」

 

「「「!?」」」

2人の男子の内、大柄な男子生徒が蹴り飛ばされた事で残りの男子生徒と女子完全に勢いを失いギルに目を向けられた瞬間、身体を震わせた。

 

「ま…ままま!!待ってくれ!俺らが悪かった!もうしない!もうしないから許してくれ!!」

 

「そ…そそ…それにか弱い女の子を殴る気!?」

 

男子生徒と女子生徒は頭を下げるも、ギルは悪どい笑みを向けながら拳の骨を鳴らす。

 

「女だろうと男だろうと俺をバカにした奴には容赦しねぇんだよクソがぁぁぁ!!!」

 

「「「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」」」

 

その後、古手川を目の敵にした4人はボコボコにはされなかったものの、屋上にて放課後まで逆さ吊りにされたそうな。

 

 

だが、この日、学校中の皆が思った。

 

 

 

 

___あんな校内連続露出狂である校長の元で校則など関係あるのだろうか…。

 

 

 

 

ギル「あ、このまま手足縛ってプールに沈めるのも良いかも」

 

古手川「それはやりすぎよ!!」

 

 

◇◇◇◇◇

 

後日。

 

ギルはいつものようにララやリトと共に登校していた。下駄箱に着き、上履きを履き変え2人より先に教室へと向かっていると

 

「おはよう。ギルくん」

 

B組の教室から古手川が顔を出した。その顔はいつもよりも明るい笑みに包まれていた。

それに対してギルは相変わらず堅苦しい態度を取るように頭を下げる。

 

「おはようございます。古手川さん」

 

「昨日は本当にありがとう…助けてくれて」

 

「え?あぁ。いえいえ」 

昨日の事について御礼を言われたギルはまるで忘れていたかの様に頷いた。

 

そんな時だった。  

 

「うわぁぁぁ!ギル!どいてくれぇ!!」

 

「…え?」

 

後ろからリトの叫ぶ声が聞こえてきた。見ればララの用意したらしき牛のロボットに乗りながらこちらに向かってきていた。

 

「うぉ!?」

 

「ギルくん!」

古手川に気を取られていた為にギルは反応できなかったが、古手川はリトの姿が見えていたので咄嗟にギルの身体を抱き抱える様にしてその場から壁側に回避した。

 

 

「うわぁぁぁ!!」

 

「あ!待ってよリト〜!!ごめんねギル!」

 

2人の横を通過していった牛のロボットはそのままどこかへと走っていき、ララも追いかけていった。

 

「また結城君ね…本当に毎日毎日…!」

 

その一方で、ギルを抱き抱えたまま回避した古手川は壁に寄り掛かりながら相変わらず騒ぎを起こすリト達が去っていった方向を睨んでいた。

 

 

「大丈夫?ギルくん……あれ?」

 

古手川は騒ぎが収まると、彼の安否を確認しながら姿を探す。だが、探しても声を掛けてもどこにも姿が見えなかった。

 

 

すると

 

「んぐ……ふぉ…ふぉてがわさん…!」

 

「え?」

胸元の辺りから苦しそうな声が聞こえていた。そこには古手川の胸元に顔を押し付けられているギルの姿があった。

 

「はひ…!?////」

それを見た瞬間 古手川の顔が一瞬で真っ赤に染め上がり、ギルから離れた。一方で、古手川から解放されたギルはようやく呼吸を吸えるので大きく酸素を取り込んだ。

 

「ぷはぁ!……なんですかいきなり…あれ?」

 

「あ…あ/////」

解放されたギルは目の前で顔を真っ赤にさせながらこちらを見つめている古手川を見ると首を傾げた。

 

「どうしました?」

 

「ご…ごめんなさぁぁぁぁい!!!!!」

 

「えぇ!?」

 

目を向けた直後に古手川は叫びながらその場から走り去っていった。その様子を見ていたギルは何が何だかサッパリであったのだった。

 

「なんなんだ一体…」

 

それからというもの。古手川はギルを見かけると顔を真っ赤にする様になった。

 

 

 




今見たらランキング30位になってました!ありがとうございます!この調子でたくさん更新していきますのでよろしくお願いします…!!!

*今回登場したヤンキー共の格好は作者の学校に実際にいた人達を参考にしてます。
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