Toloveる 発明大好きなお姫様には弟がいました。   作:きょうこつ

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聖夜のクリスマスパーティー

秋の彩南祭がアッサリと過ぎ、本格的に寒くなってくる冬の時期と共にクリスマスの日が近づいてきた。

 

「…ん?なんだこれ…」

 

ある冬の昼休み。いつものように見回りを済ませたついでのお手洗いから出てきたギルが廊下を歩いていると、掲示板に一枚の大きな紙が貼り出されていた。

 

「ねぇねぇギル!今度はギルも一緒にカラオケいこ…ってどうしたの?」

 

「いや、これ」

 

ギルが指を向けると、ララも目を向けた。そこには『天条院主催 クリスマスパーティ』という見出しが書かれたチラシが貼り出されていた。内容は12月の24日にて本校の生徒限定でパーティを開くというモノであった。

持ち物には、本校の生徒である証明として学生証。更に何故かプレゼントと書かれていた。

 

「面白そ〜!!ねぇねぇギル!リトや春菜達を誘っていこうよ〜!」

 

そのチラシを見たララは目を輝かせ、ギルの袖を引っ張った。

 

それに対してギルも頷いた。

 

「この文化にも触れておきたいし…そうだな。行くか」

 

それからギルはララと共に教室へ戻ると、その事をリト達へ伝えて、パーティへと向かう事となった。

 

因みに委員会のよしみで古手川を誘ったものの、運悪くインフルエンザに掛かってしまい同行できなくなってしまったらしい。

 

◇◇◇◇◇◇

 

街から離れた場所にある丘の上に聳える豪邸。そこではリト達の先輩である天上院が主催するクリスマスパーティーが行われていた。先に来ていたリトは猿山と共に辺りを見回しながら談笑していた。

 

「それにしても天条院先輩も太っ腹だよな〜!こうして俺達を招待してくれるなんてさ!」

 

「あ…あぁ。そうだな」

 

そんな中、リトは少し気になっている事があった。それはこの場にいないララとギルだ。

 

今日の下校時にララはギルと共に少し遅れると言っていた。

 

「(この日の為にペケに入力させておいたの!)」

 

その自信満々な笑顔から、どんな衣装を着て来るのか、少し気になっていたのだ。

だがそれと同時に彼女の普段の服装への無頓着ぶりから、とてつもない衣装を着てまた騒動に巻き込まれるのではないのかという不安も抱えていた。

 

すると

 

 

『お〜ホッホッホ!皆さん。今日は天条院主催のクリスマスパーティによくぞ来てくれました!』

 

ステージへスポットライトが当てられると、地下から上昇する台に乗りながら、天条院と九条、藤崎が現れた。

 

『早速、今回のメインイベントと行きましょうか!』

 

「メインイベント?」

 

『えぇ。クリスマス定番のあれですわ!プレゼ____」

天条院の言葉にリトが首を傾げる。それに対して答える様に天条院が続けようとした時だった。

 

 

「おまたせ〜!」

 

入り口に近い場所からララの声が聞こえた。その声を聞いたリトが振り向くと、そこにはやや奇抜な衣装を着用したララが立っていた。胸元がやや空いており、アクセサリーらしき羽や丈の短いスカート。

俗に言うフリフリの様な衣装であり、周りとはジャンルが違えどもモデルに勝るその体型と童顔によって魅力を引き出していた。

 

「どうかな?」

 

「おぉ!派手で可愛いじゃん!」

 

「うんうん!ララちぃお姫様って感じ!」

 

ララの衣装を見た籾岡や沢田の絶賛する声と共に皆は天条院から目を逸らしララへと向けて歓声をあげていった。

 

 

「きぃぃぃ!!ララ・サタリン・デビルーク!ここでも私より目立つなんて…!!!」

 

「沙姫様!落ち着いて!」

 

 

「(ま…まさか…ギルもあぁいう感じの格好でくるのか…!?)」

 

嫉妬する天条院を九条が宥めている一方で、ララの衣装を見ていたリトはつい頭の中で同じ衣装を着用したギルを思い浮かべてしまう。彼女達は姉弟だ。性格は反対といえども服への嗜好さえも反対とは限らない。

 

 

その時だ。

 

 

「よぉリト。遅くなったな」

 

「…!」

ララに続くようにギルも入ってくる。その声を聞いたリトはララから目を離すと軽く手を上げながら答え、ギルの方へと目を向けた。

 

「お…おう!お前もやっと来たの………か……!?」

 

ララの後ろから続く様に現れたギルの服装を見た瞬間 リトだけでなく、辺りの皆も驚きの表情を浮かべた。 

 

「ん?何か変か?」

 

ギルの服装はララとは完全に真逆であった。

下着はベルトがキッチリと締められたビジネスズボンと革靴を履き、上着はワイシャツにネクタイを巻き付け先端部分を隠すかの様に半袖のセーターを着用し更にその上から覆い隠すかの様に紺色のロングコートを纏っていた。

 

「…薄々そうくると思ってたよ!!て言うか決めすぎだろ!何でスーツ!?サラリーマンか!?」

 

「パーティなんだから正装は当たり前だろ?『パーティ』『服装』って検索したらこの衣装が出てきてな」

 

そう言いギルはロングコートの胸元部分に両手を掛けると着直すかのように揺らす。その際に丈の長いロングコートがたなびき、更なる渋さを醸し出した。

更に長い髪がいつもと違い先端部分が纏められながら肩に掛けられており、普段とは一変した清楚かつ大人な雰囲気も漂わせていた。

 

幼さやファッションを重視していたララとは全く持って正反対である。

 

「ただ、このネクタイは少しキツいし複雑だな。締めるのに結構時間くっちまった」

 

「まさかそれで遅れたのか…というか本当にお前ら正反対だな!?」

 

リトがギルの様子を見て、遅れた理由を察する。

その一方で、コートを揺らしながらギルは目の前に並べられた高級な料理へと目を向けた。

 

「それよりも早く飯を食べるぞ。その為に来たんだからな」

 

「いやもう次のイベント始まろうとしてんだけど…」

 

ギルはロングコートを脱ぎ羽織るとリトの言葉を意に介さず次々と料理に手をつけ始めていった。そのかき込む速度は恐ろしく、残り物とはいえ次々と料理がギルの口の中へと消えていった。

 

 

その一方で、中断されていた天条院の説明が再び始まった、

 

 

『んん…!説明をもう一度しますわ。入る際に皆さんからプレゼントをそれぞれ受け取りましたが、そのプレゼントは現在この屋敷の至る所に隠されていますわ』

 

「「「「え!?」」」」

 

皆が首を傾げた瞬間 天条院はマイクを持ち上げる。それと共にスポットライトが増え、更に密集して天条院を照らした。

 

 

『そう!今回のプレゼント交換は屋敷中を探し回って受け取るというルールなのですわ!中には私からのプレゼント『豪華リゾート2泊3日の宿泊券』がございますわ!リゾートに最高級料理がタダで堪能できます!しかもお一人から2ペアまで参加可能!1人で行くのも良し!彼氏・彼女と共に行き2人きりの時間を過ごすのも良し!仲の良いカップル同士や友達で行くのも良し!!是非とも見つけてみてくださいまし!!」

 

「「「「「うぉおおお!!!」」」」」

 

その説明を聞いた瞬間 女に飢える男子と豪華客船という高級な旅にときめいた女子達の雄叫びが響き渡る。

 

そんな中、先陣を切る一つの影があった。

 

「豪華リゾートは俺がいただく!このチケットを餌に女3人と乱○S○○しまくるぜ!」

 

「「「「さすが先輩!どこまで行ってもブレないクズっぷり!」」」」

 

ギルに髪の毛をむしり取られた元野球部エースの弄光だ。その真っ直ぐかつ欲望を正直に発言しながら突っ走る姿に元野球部の後輩達からの歓声が上がる。

 

その時だった。

 

 

バタン

 

「…へ?あぁぁぁぁ…」

弄光の行先の通路に突然、穴が空き、腑抜けた声と共に弄光がその穴の中へと落ちていった。

 

『言い忘れていましたが、屋敷の至る所にトラップを仕掛けてありますわよ。お気をつけて』

 

その説明が終わると、皆は駆け出し、弄光の通った通路を避けながら次々と屋敷中に散らばっていった。

 

「ふん!ララちゃんのプレゼントは僕が頂く…!」

 

「取り敢えず女子のプレゼントなら何でもいい!」

 

その中にはレンと猿山の姿もあり、彼らも屋敷の奥へと消えていった。

 

「リト!ギル!一緒に探そう〜!!」

 

「えぇ!?」

 

「あ、待って。あとこれだけ食べてから」

 

「いやお前どんだけ食うんだよ!?もうかれこれ10人前ぐらい食ってるだろ!?」

 

ララも、戸惑うリトと並べられた料理を次々と口の中に入れていくギルを引っ張りながら屋敷の奥へと走っていく。

 

 

その姿をステージの上に立ちながら見送っていた3人の内、天条院はいやらしい笑みを浮かべていた。

 

「オ〜ホッホッホ!そう簡単に取れるとは思わない事ね!」

 

遂に血で血を争う聖夜の抗争『プレゼント争奪戦』が幕を開けたのだった。

 

 

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