Toloveる 発明大好きなお姫様には弟がいました。   作:きょうこつ

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聖夜のプレゼント争奪戦

プレゼント争奪戦が開始されて早くも15分が過ぎ、脱落者が次々と出始めた。天条院の仕掛けたトラップは次々と参加者を拘束または戦意を削いでいき、それにハマった生徒達が次々と脱落していく。

 

「あらあら。もう脱落者がこんなに。意外と皆さんだらしがないですわね。ララの方は?」

 

「はい。えぇと…」

その様子をモニター越しに見ていた天条院はララの様子を藤崎に尋ねる。

それに対してララのモニターを見ていた藤崎は冷や汗を流しながら伝えた。

 

『えい!』

 

「トラップを破壊しながら進んでおります…」

 

「なんて怪力ですの!?」

 

「しかもギルの手助けもありプレゼントもほとんど回収されております!」

 

「きぃぃ!!こうなったら…!!」

 

◇◇◇◇◇◇

 

ララに引っ張られながら屋敷の奥へと進んだギルはララと共に先陣を切りながら次々とトラップを破壊していった。

 

「いっぱい集まったね!」

 

「あぁ。このままコンプリートするのもありかもな」

そしていつのまにかプレゼントを入れる袋がパンパンになっており、逆にララがサンタクロースへとなりかけていた。

 

その一方で、リトは西蓮寺のプレゼントの箱を探していた。

 

 

すると 目の前にまたもや扉が見えてくる。

 

「あ!あそこに部屋があるよ!」

 

「まだ調べてねぇな。よし。入ろう」

 

その扉を目にした2人のうち、ギルはコートをたなびかせながら駆け出し扉の前に着くと両手でその扉を開けた。

 

 

扉を開けたその先にあったのは先程よりも広い空間。目の前にある巨大な暖炉の上には青いリボンが巻かれたプレゼント箱が置かれていた。

 

だが、それだけではない。

 

 

「待っていましたわよ!これ以上は好きにはさせませんわ!」

 

銃を構えた天条院並びに九条と藤崎が待ち構えていた。3人はその銃口をギル達に向ける。

 

「カラシ弾をくらいなさい!」

 

「「お?」」

 

その銃口から次々とカラシが放たれた。それを見たララはデビルーク星人特有の身体能力を活用して次々と避けていき、ギルは近くに置かれていた箒に手を伸ばすと、それを強大な腕力で回転させて払い飛ばしていった。

 

「よっはっほ!!」

 

「ほいほいほいほいほい」

 

そんな中だった。ララが避けた際に運悪くリトが後ろにいたのか、カラシ弾がリトの顔面に直撃した。

 

「ぎゃぁぁぁ!!からぁぁぁ!!!目がァァァァ!!目がァァァァ!!!」

 

「きやぁ!?」

その辛さは尋常じゃないのか、リトは悶絶しながら走り出していく。すると、それによって前に立っていた3人のうち、眼鏡を掛けた女子生徒 藤崎にぶつかってしまい、彼女の衣服の中にウッカリ手が入り胸を掴んでしまった。

 

「いやぁぁあ!!!」

 

「ぶへぇ!?」

 

「綾!大丈夫か!?」

 

藤崎がリトをビンタで吹き飛ばし、即座に九条が駆け寄る。それによってカラシ弾の弾幕が晴れた。

 

 

「チャンスだな」

 

弾幕が晴れたことにより、好機と見たギルはルールを忘れ、その場から駆け出し飛び上がると、天条院に向けて箒の棒の部分を振り上げた。

 

「な!?おいギル!目的忘れてねぇか!?」

 

「心配するなリトぉ!!コイツを倒せばいいんだろぉ!!」

 

「完全に忘れてるじゃねぇかぁぁ!!!!」

 

「うぇぇ!?ちょちょちょ…!?なんですの!?」

 

突然と飛び上がりながら迫ってくるギルに驚き呆気に取られる天条院。

 

 

その時だった。

 

 

__カンッ

 

 

木と木が激しくぶつかる音が響き渡った。

 

見れば天条院の前には九条が立っており、彼女は木刀でギルの振り下ろしを受け止めていた。

 

それを見たギルはここへ来て初めて笑みを浮かべた。

 

「ほぅ?やるじゃねぇか。お前は確か俺に竹刀を振り回してきた奴か」

 

すぐさま飛び上がり、九条から離れたギルは箒の持ち手を向けながら構える。それに対して九条も木刀を構えた。

 

「あの時から思っていた。一度、君と手合わせをしてみたいとな」

 

「そうか。それなら丁度いい」

 

ギルは箒の藁がついた部分をへし折り、棒の部分だけを残すと再び構えた。

 

「見せてくれよ剣道ってやつをよ」

 

「…」

 

互いに両者は睨み合う。辺りからはララに対する天条院の悔しがる叫び声が聞こえてくるも両者は一才意に介す事なく集中していた。

 

 

 

そして 空気の流れが変わった瞬間

 

 

2人の姿が一瞬だけ消えると中央に現れ激突した。

 

先程よりも巨大な木の音が響き渡り2人を中心に空気が辺りへと四散する。

 

ぶつかり合う木刀と箒が鍔迫り合いを起こす中、九条の顔からは完全に余裕が消え去っていた。

 

「く…!!(な…なんて力だ…!?一瞬でも集中力を削げば一気に押し負ける…!!)」

 

ギルは剣道の心得はないとしても、それを補う程の超パワーと筋力を持っていた。故に地球人である九条は力が優先される鍔迫り合いにて苦戦を余儀なくされてしまうのだ。

 

「ぐぅ…ッ!!」

 

ギルの一振りを歯を食い縛りながら受け止めていた九条は即座にギルから離れると再び駆け出し、木刀を振るう。

 

「はぁッ!!」

 

「面白い…!!」

 

それに対してギルも更に笑みを浮かべると箒を振るった。

 

刀をぶつけ合った2人はそれを起点に次々と武器を振り回していった。

 

「やぁ!!」

 

「うらぁ!!!」

 

辺りには先程よりも重い木の音が次々と響き渡り、2人の武器がぶつかり合っていく。2人の戦いを直視していた藤崎は目を回していた。

 

「ほぅ?やるじゃねぇかお前」

 

「幼い頃から続けているのでな。舐めてもらっては…困るッ!!」

 

「!?」

 

力強強い一振りによって、ギルの箒を持つ手が震える。

 

「せいやぁ!!!」

 

更に九条はギルの防御を崩していくかのように木刀を振るい続けた。直接空いている箇所は狙わず、敢えて箒を持つ手や胴体を重点的にだ。

ギルの剣の技術はまだアマチュアな為に、初めて見る九条の剣術裁きにはついていく事ができず、防御に徹する他なかった。

だが、その防御する際にギルは箒を払う事で力任せに九条を押し上げていた。押し上げられていく事で九条は少しずつバランスを崩していく。それによって隙も生みやすくなってくるだろう。

それを九条は見切っていたのだ。

 

「君は確かに力は強い…。だが…技術では負けん…っ!!」

 

「…!!」

 

長年の剣道部の経験から相手の弱点と特性を即座に見抜き、それに対抗する型を生み出す。

 

力任せだけのギルに対して九条は既に対抗策を練っていたのだ。九条は次々と木刀を振り回していく。それも素人では対処が不可能な方向からだ。

 

「お…!?コイツ急に動きが…!?」

 

徒手空拳だけで戦ってきていた為にギルは剣の動きが突然変わった事に動揺を隠せなかった。

九条の木刀を防いでいく中で遂にギルはその動きに負け、死角を作ってしまった。

 

対する九条は待っていたかのように笑みを浮かべた。

 

「そこだ…!!」

 

そして ガラ空きとなった脇腹へと九条は木刀を力一杯振り回した。振り回された木刀は空気を切り裂きながらゆっくりとギルの脇腹目掛けて向かっていく。

 

だが、忘れてはいけない。ギルの身体は地球人よりも_

 

 

 

 

 

 

 

 

____遥かに頑丈だと言う事を。

 

 

 

 

_バキンッ

 

 

「な…!?」

 

木が折れる音が響き渡る。それと共に九条とギルの離れた場所に“何か”がコトンと落ちた。

 

「…!」

 

九条は恐る恐るそれを見た。それは何と木刀の先端部分であったのだ。

 

 

「あ〜折れたか。まぁ地球の素材じゃしょうがないな。それに一太刀受けちまうとは“あの時”よりも大分鈍ってやがる」

 

「!?」

 

九条は更に驚きの表情を浮かべる。見ればギルは木刀が当たったと言うのに何も感じていないかのように頬を掻いていたのだ。

 

「な……何ともないと言うのか…!?」

 

「あぁ。これが試合だったら間違いなくお前の勝ちだ。だが___

 

 

 

_____闘いだったら負けだろうな」

 

 

 

「…!!」

 

その瞬間 ギルの目が向けられると共に身体から殺気が溢れ出し、九条に向けられる。それを感じ取った九条は驚くと共に全身を震わせ冷や汗を流し始める。自身に剣道を叩き込んだ師範でさえも可愛く見えてしまうその殺気は九条から一瞬で戦意を削ぎ落とした。

 

「けどまぁ中々楽しめた。凄いよお前。一太刀当てられるなんて思ってもいなかった」

 

「へ………あ…あぁ…」

 

すぐさまギルは殺気を収めると一変しまるで称賛するかのように手を叩く。それに対して九条は何がなんだか分から混乱していた。

 

 

そんな時だった、

 

 

「…あれ?」

 

ギルは突然と首を傾げた。まるで何かを忘れているかの様に。

 

「そういえば俺達って何で戦ってたんだっけ」

 

「いや…それは君が沙姫様に向けて箒を振り下ろそうとして……そうだ!沙姫様!」

 

「そうだ。プレゼント取りにきたんだ」

ギルの言葉に九条はようやく何をやっているのかを思い出し、九条の言葉にギルもようやく元々の目的を思い出した。

 

「沙姫さま!ご無事ですか!?」

 

「ララ。プレゼントは取れたか?」

 

2人がララと沙姫の方向へと目を向けるとそこには………

 

 

「オ〜ホッホッホ!!敵に塩を送るなんて馬鹿な真似を!後悔させてあげますわぁ!!!」

 

 

巨大な銃を手に持つ天条院とそれを眺めるララの姿があった。しかもその銃の銃口には輝かしいエネルギーが集められていた。

 

「お…おい…あれはマズいんじゃないか…!?」

 

「そうだな。取り敢えず…」

 

「ふぇ!?」

 

ギルは手に持っていた箒を捨てると九条をヒョイっと米俵のように担ぎ上げる。

 

「な…なにを!?」

 

「危ないから避難ですよ。ついでに貴方も」

 

「え!?」

 

ギルは九条だけでなく近くにいた藤崎も尻尾を伸ばして引き寄せると担ぎ上げた。

 

その時だった。 

 

 

ドガァァァァン!!!!

 

 

天条院の持つ銃口から巨大なエネルギー波が放たれ、巨大な衝撃音を響かせながら壁を突き破り風穴を開けた。

それと同時に屋敷がバランスを崩しグラグラと音を立てながら揺れ始めていく。

 

「おいリト!ソイツら担いで逃げろ!!」

 

「うぇ!?」

 

ギルは2人を担いだまま、風穴を通り外へと走っていった。それに続きリトや天条院。そして屋敷に散らばっていた皆も外へと避難していく。

 

◇◇◇◇◇◇

 

 

その後。天条院の屋敷は見事に全壊。元別荘があった場所を見つめながら天条院はOTZ状態となっていた。

 

「あ!見つけたプレゼント皆に配ってくるね!」

 

「呑気だなお前…あ、こんな所に俺のプレゼントが」

 

あいもかわらず能天気なララにギルは呆れながらも辺りを見回していると、付近にてシワクチャになったプレゼント箱を見つけ拾い上げた。

 

すると

 

「おい」

 

「ん?」

 

突然と背後から九条に呼び止められた。振り返れば九条は先程よりも鋭い視線を此方に向けていた。

 

「教えてくれ…君は一体…何者なんだ…?」

 

「え?」

 

その質問に対してギルは何一つ不思議に思わず何も考えずに答えた。

 

「風紀委員に所属するただの学生ですよ」

 

「……」

 

そう答えると九条は黙り何も聞いてくる事はなくなった。それに対してギルは手元のプレゼント箱に目を移すと、九条に向けて歩いていき、プレゼント箱を差し出した。

 

「あ、ついでにこれあげます。俺のプレゼントです」

 

「えぇ!?この状況でか!?」

 

「中身はおそらく無事だと思うのでご安心を。では、私は姉のところに行きますのでさようなら」

 

それだけ言うとギルは九条の元から立ち去りララの元へと向かい歩いていった。その一方で、九条はその姿を呼び止める事はせず、ただ見つめていた。

 

「ただの学生が…あれほどの殺気を出せる訳ないだろ…」

 

あの時、自身の戦意を一瞬にして喪失させると共に怖気つかせた殺気を思い出しながら呟いた九条は目を手元に移す。手元にはしわくちゃになったプレゼント箱。他の皆のプレゼント箱に比べて何やら大きい。一体何が入っているのだろうか。そう思いながら九条はゆっくりとリボンを解き、中身をパカっと開けた。

 

「こ…これは………」

 

中身を見た瞬間 九条の目が凛としていた物から力の抜けたジトりとした物に変わった。そこにあったのはしわくちゃなケースに収められながらも形を歪めずに真空パックに詰められたロースハムや燻製ソーセージ。

 

【高級ハム詰め合わせセット】

 

そして 手紙も入っていた。

 

『今年一年お疲れ様でした。 ギルより』

 

「お歳暮ぉぉ!?」

 

 




ギルの地球の行事に対する認識

ハロウィン→集まって馬鹿騒ぎしてゴミを撒き散らすイベント

クリスマス→食事会
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