Toloveる 発明大好きなお姫様には弟がいました。 作:きょうこつ
「んん……」
いつものように目を覚ますと、見慣れた天井が視界に映っていた。
「あれ……俺は確か……」
「ようやくお目覚めか?」
「!?」
突然横から少年の声が聞こえ振り向いた。見るとそこにはピンク色の長髪を持ち、鋭いつり目の少女らしき少年が胡座をかきながらこちらを見ていた。
「ララ!?」
その姿からリトは寸前まで見ていたララの姿を思い浮かべてしまう。が、それを聞いた少年はため息を吐きながら頭をかいた。
「姉と俺の区別もつかねぇのか。ま、しょうがない」
「……は?」
呆気に取られているとその少年はリトのすぐそばを指差す。
「ララならそこにいるぞ」
「へ……?ぅぉおお!?」
見てみるとそこにはその少年と同じ髪を持ち、容姿が瓜二つの可憐な少女が、布一枚纏わず、可愛らしい寝息をたてながら寝ていた。
リトはすぐさま赤面し、離れると、その衝撃で少女ララも目を覚ました。
「ん?んん〜!!よく寝た〜!……あ!ギル!おはよう!」
「あぁ」
ララは起きるとギルを見つけると軽く挨拶をする。状況が飲み込めていないリトに察したのかギルは自己紹介をした。
「初めまして……だっけか。俺は『ギル・ベルフェ・デビルーク』デビルーク星の第一王子で、そこにいるララ・サタリン・デビルークの双子の弟だ」
「……え?えぇ!?弟!?」
「そうだ。取り敢えず一旦落ち着け」
リトがあまりの衝撃の事実に驚愕している中、ギルはリトを静かにさせる。
「俺が来た目的だが…本来俺はこのバカを連れ戻す為に来た。最初はな?」
「……最初…?」
「あぁ。けど、それももう必要なくなった。お前…コイツにプロポーズしたんだってな?」
「……は…?」
リトは昨日の事を思い出した。
タコの機械騒動が終わって翌日、いつものように登校していると、自分が好意を抱いている少女『西蓮寺 春菜』と偶然 遭遇し、心に決めていた告白を決行したのだ。
その瞬間に、上からララが偶然現れ、何故かララに告白したような場面になり、そこから今に至る。
「違う!あれは違うんだ!あの時 ララが偶然そこにいたからそうなっただけで…」
リトは咄嗟に勘違いである事を主張した。すると、ベッドにいたララが目を潤ませながらリトへ寄り添う。
「リトは…私の事嫌いなの…?」
「嫌いじゃないけど……意味が…」
「じゃあ問題ないね♪」
「あるわ!」
勝手に目の前で夫婦漫才を繰り広げる中、ギルは頭をかきながらため息をつく。
「はぁ……理由はどうであれ…ララがお前に好意がある事はもう分かる」
「うん!私リトと結婚するから!」
「ってオイッ!」
勝手に結婚宣言された事にリトは反論する。それにリトは先程から少し恐怖を感じていたのだ。ギルから感じられる威圧感に。
このまま結婚となれば、何をされるか分からない。そんな恐怖心がリトの心を蝕み、拒否の方向へと持っていこうとしていたのだ。
するとギルは一あくびし、ただ単に軽く言った。
「まぁ、したければすればいいさ。俺は止めねぇよ」
「はぁ!?」「やった♪」
突然の了承にまたもやリトは口から心臓を吐き出した。弟なら反論して力になってくれると思っていたが、全くの予想外にリトは仰天する。
「これまでララとの婚約者は何人も見てきたがどれも権力や金目当てだからな。見る限りお前はソイツらとは違う雰囲気がするから良いと思ってる。それとも、嫌か?」
「あの…そういう訳じゃ…俺が本当に好きなのは…!」
そう言いかけた時に、ドアが開き、髪を後頭部にまとめている小柄で可愛らしい少女がオタマを持ちながら現れた。
「リト!ご飯だよ!」
「げ!?美柑!?」
彼女の名は『結城 美柑』リトの妹である。
「あ、ララさんとギルさんもよろしければどうぞ」
「ありがとー!お腹ペコペコ〜!!」
「はしゃぐなバカ。すまないな」
「いえいえ」
美柑はいち早く2人と馴染んでおり、3人はリトを置いてけぼりにして、部屋を出て行った。
「……」
それからリトはララに絶対学校に来るなと言いつけ、家を出た。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
学校へ着く早々にリトは気分が悪く、机に垂れていた。
「はぁ……何とか春菜ちゃんには誤解を解かないと…」
目線を一つ前に座っている 髪を横分けにして額を出している少女へ向けるとリトはう〜んと唸る。
そして放課後
部活へ行こうとする春菜の後を付けようと教室を出た時だった。
「おぉ!?誰だあの子!?」
「すっげぇ可愛いぞ!?」
廊下がざわめき出した。見ると奥に人だかりができており、誰かを取り囲んでいた。
「ピンク色の髪だ!」
「外国人なのか!?」
……ん?ピンク色の髪?
その言葉にリトは違和感を覚え出した。
「まさか!」
一方でその髪の子の正体は……
「リト〜!!」
ララである。しかもデビルーク星にいる時の服装なので、周りからは変な視線を向けられている。けれども、一般の男子生徒達は、その衣装よりも、ララの並外れた可憐な容姿に目を奪われており、その歩く姿に見惚れていた。
「誰かの彼女なのか!?」
「バカ!あんなに可愛い子と釣り合う程のイケメンなんてウチにはいねぇだろ!」
周りの野次にララは意に介す事なく、リトを探していた。すると、1人のチャラい男子生徒が取り巻きと共に前に現れた。
「ねぇ、君可愛いね。どこの子?」
「おぉ!?外国人にも恐れる事なくナンパ!流石先輩だ!」
その男子生徒は髪型が、サイドが刈り上げされており、制服は着崩し、髪も染めているという、いかにもチャラ男らしき青年だった。
「もしよかったら俺とお茶でもどうか…「ごめんなさい。急いでるんで」
「ゔぉおおお!!ナンパして数秒で振られた!」
「流石先輩だ!」
ララは盛り上がるバカ集団の間を平然と潜り抜けると、ふと目の前を見た。見れば自分が探していた相手であるリトを見つけた。
「あ!リトみ〜っけ!」
そう言いララは一気に駆け出すとリト目掛けて飛び上がり抱きついた。
「ばぁ〜!!」
「ぶぎっ!?ララ!?」
突然ララが人混みから飛び出してきたのでリトは完全に仰天し、ララを抱きとめる。だが、その行為が周りの男子達から怒りを買った。
「な!?結城 貴様!いつのまにその美少女を堕としのか!?」
「この愚か者めがッ!!学生としてのモラルを弁えろッ!!」
「恥を知れ恥をッ!!」
「お前らに言われたくねぇよ!」
皆は口々とリトへ嫉妬の怨念をぶつけまくるが、まけじとリトも言い返す。
ますますヒートアップする中、リトはララの手を引きその場から離脱しようとする。
すると、再び人混みからざわめきの声が上がった。
「お!?誰だ!?もう一人 可愛い子が来たぞ!?」
「あのピンク色の子とすげぇ似てるぞ!まさか双子か!?双子の姉妹なのか!?」
リトがよくよく見るとそこにはTシャツに黒のジーパン、そして腰にチェーンといった。若者らしい格好をしているギルがこちらに歩いてきた。
「は!?何でアイツもここに!?」
「え?私が一緒に行こうって誘ったの♪」
「何でだよ!?」
そんなやり取りをしていると、突然ギルがリトの前にきてある物を差し出した。
「ほら」
「え?」
見るとそれは緑色の小包み。それはリトの昼食であった。
「美柑から忘れたから届けてほしいって言われたんだよ」
「そ…そうなのか」(というか…それだけならギルだけでも良かったんじゃねぇか…)
ララが来る必要性が全く感じられないリトは弁当箱を受け取る。
「じゃ、俺は帰る。ほら、さっさと行くぞ」
「え〜!もうちょっといる〜!」
「ダメだ。いい歳こいて駄々こねてんじゃねぇ」
「いやだぁ〜!!!」
ララはリトと離れたくないためか、ギルの手を振り払いリトに抱きつく。
「うぉおい!!やめろ!また変な誤解されるぞ!」
「いいじゃん!もう結婚するんだから!」
「だからしねぇって!!」
その『結婚』という言葉に再び周りの男子達が刺激された。
「結婚だと!?」
「もうそんなところまでいったのか!?」
「もう我慢ならん!そこへなおれ!我が一刀の居合の元に斬り伏せてくれるわッ!!」
「何で野次に必ず一人 変な奴がいるんだよ!?」
ますますヒートアップされた事により、リトに更なる鋭い視線が移る。
「くっそ!逃げるぞララ!」
「え!?」
リトはもうどうにもならないと思いララを連れて走り出した。
「追え!追うんだ!捕らえてリトに天誅を下すぞ!」
『おぉぉぉ!!!』
数人の男子たちはすぐさま後を追って行った。
「はぁ〜…」
残されたギルはやれやれと頭に手をやり 、そろそろ帰ろうかと思った時、
「そこの貴方、なぜ制服を着ていないんですか?」
唐突に話しかけられ、ギルは若干不機嫌ながらも振り向く。そこには黒いロングヘアーの清楚な印象を与える少女が立っていた。
「見る限りブレザーやスカートも履いていませんね。指導室に来てください」
「は?」
そう言い少女はギルを連行しようと手を掴む。それに対して、ギルは目を細めると振り払う。
「離せよ。俺ここの生徒じゃねぇし」
そして窓に手を掛けると、三階にも関わらず飛び降りた。
少女は突然の飛び降りに驚き、すぐさま窓に手を掛け、外を見る。すると先程自身が連行しようとしたギルが平然と校門へと歩いていた。
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「ったく。何で生徒扱いされなきゃいけねぇんだよ」
校門を歩いていたギルは流石に弁解が難しいと判断したのか、ギルは即時撤退を選び、すぐさま学校を去った。
それから街中を歩き、どうしようか悩みだす。
「う〜ん。ひとまず戻るか。美柑にお土産でも買ってってやろう」
取り敢えずリトの家に戻る事に決めた。因みに金銭ではギルは既にアルバイトについていたので問題なしである。