Toloveる 発明大好きなお姫様には弟がいました。   作:きょうこつ

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デビルーク星の最強剣士

次の日の夜。ギルはリトの妹の美柑と共に皿洗いをしていた。

 

「すいません。手伝ってもらって」

「いや、飯を食わしてもらったからな。これくらいは当然だ」

皿洗いを終えて手を拭くと美柑はギルにオレンジジュースを差し出した。

 

「どうぞ」

「どうも」

オレンジジュースを受け取るとギルは椅子に座る。そんな時にふと美柑はギルの顔を見つめる。

 

「…」

「ん?どうした?」

「…いや、やっぱり双子だから凄い似てるなって思いまして」

「あ〜」

美柑の言う事は分かる。ララと違うのは目の形だけであり、それ以外は完全に一致していると言ってもいい程まで似ているのだ。

あと違うのは身長ぐらいである。

 

「よく間違えられたな。俺を判別できてたのは大体 父親と母親。あとは妹ぐらいだったな」

「え?妹がいるんですか?」

「あぁ。2人な。ソイツらも同じ双子だ」

「へぇ〜結構珍しいですね」

「……性格があれだが…」

「?」

何やら嫌そうな顔をするギルに美柑は首を傾げる。オレンジジュースを飲み干すと、立ち上がり、空になったコップを洗い、辺りを見回した。

「ララとリトは?」

「あ、何か出て行きましたよ?話があるとか」

「そうか。ちょっと小腹空いたから何か甘い物買ってくる。何がいい?」

「あ、じゃあアイスを」

「はいよ」

 

髪を縛り、半袖ジーパンというラフな格好でギルは外へと出た。

ーーーーーーー

 

「どうしたの?いきなり『話がある!』なんて改まっちゃって。早く帰ってゲームやろうよ」

リトは家からララを連れ出すと、河原へと来ていた。坂で座るリトはゲンナリとした表情でララへ問う。

 

「お前…本当にウチで暮らすつもりなのか…?」

「え?だってリトがOKしてくれたじゃん!

「いや…俺は別にOKした訳じゃねぇんだが…」

「それに地球で結婚したら一緒に暮らすでしょ?」

その結婚という単語にリトは反応する。

 

「だ・か・ら!!!何でオレとお前が結婚なんだよ!!前にも説明しただろ!?誤解だって!オレが好きな子はお前じゃなくて他にいるって!!」

「え?」

そう言い自身の好意の相手である春菜を思い浮かべるが、何か嫌な事でもあったのか、ションボリとした表情に変わる。

一方でそれでもララはOKな感じであった。

 

「別にいいよ!それでも♪」

「よくねぇだろ!?」

そんな中でペケは何となくララがリトに付け入ろうとする理由が理解できた。

『私なんだかララ様の狙いが読めてきた気が…』

 

その時だった

 

 

「ララ様ぁぁあ!!!!」

 

『?』

 

河原から声が聞こえ、見ると犬に足を噛まれ全身に泥を纏った鎧を着ている長身の青年が川から走ってきた。

 

 

「うわぁ!?また変なの出てきたぁ!?」

「あら?ザスティン」

ララもそうだが、今度も今度で全身に変な装甲を纏った男が現れた事で、リトは驚く。

その男はララに目を向けると、手を差し出す。

 

「ララ様探しましたよ!さぁ早く私達と共にデビルーク星へ帰りましょう!」

「べ〜!私は絶対に帰らないもんね!帰れない理由ができたんだから!」

差し出された手をララは拒否して、帰らない理由を告白する。

「それは一体…?」

ザスティンはその理由に驚き、詳細を尋ねる。すると、ララは今もなお隣で蚊帳の外となっているリトに指を刺す。

 

「私!ここにいるリトの事が好きになったの!」

「……へ?」

 

リトはしばらく思考が停止する。ララは出会った当初は、見合いに嫌気が差し、地球に来た。即ち、ララの狙いは……[自分]をダシにする事だった____!!!!

 

「(コレが狙いかぁぁぁ!!!)」

ようやく理解したリトは心の中で絶叫する。一方で未だに話を続けている二人は

 

「ふぅむ…成る程。そういう理由だったのですか」

納得してました。しかも結構真剣に考えてるし。

ララの言葉を鵜呑みにしているザスティンにリトは『コイツ大丈夫か?』というような目を向ける。

 

「確かに部下から聞いておりました。ララ様を助けようとした地球人がいると」

 

「でしょ?だからパパに伝えて。私は帰らないしお見合いする気もないって!」

 

ララの言葉にザスティンは再び考え込むと、キッパリと切り捨てた。

 

「それはできません。このザスティン デビルーク王の命によりララ様を連れ戻しに来た身。どこの馬の骨とも分からぬ地球人と結婚を許してしまっては王に合わせる顔がありません」

 

「じゃあどうすればいいの?」

 

「…」

ザスティンはゆっくりとリトに目を向ける。嫌な予感が働くリト。その直後 

 

リトのいる地面に蒼い斬撃が放たれる。

 

「おわ!?」

ギリギリ避けたリト。見るとザスティンの手にはビームサーベルが握られていた。

 

「今ここで見極めましょう。婚約者に相応しいかどうか」

 

「えぇぇ!?」

 

そう言うとザスティンは剣を振るう。その地球人離れした体格から放たれる斬撃は速さも尋常ではなかった。

 

「うわぁぁぁ!」

 

「待てェェ!!」

咄嗟にリトは逃げ出す。それをザスティンは追う。

 

途中車に跳ねられようと、犬に噛みつかれようと、ザスティンは攻撃をやめなかった。

 

 

「ハッハッハッ!もう逃げられんぞ!大人しく勝負をするのだ!」

「…え?」

ザスティンが立つ場所。その足元には路線があった。

 

すなわち

 

「あ…危ねぇ!そこは!」

「へ?」

 

プァァァァン

 

「ギャァァァァア!!」

 

電車が通る道だった。ザスティンは電車に思い切り跳ね飛ばされ、リトの前に落ちてくる。

 

「お…おい…大丈夫…なのか?」

安否を確認しようとした瞬間

 

 

「ふんがぁぁぁ!!!!」

ザスティンは持ち前の生命力ですぐさま復活し、またもやビームサーベルを構えた。

 

「私がこの程度でやられるものか…!!さぁ…続きといくぞ!」

 

そう言いザスティンは再びリトに向かう。その時だ。

 

「その辺にしとけ」

合間に誰かが入り込み、振り下ろされたザスティンのビームサーベルを腕で受け止めた。

 

それは

 

「ギ…ギル王子!?」

アイスが入れてある袋を持っていたギルである。ララの弟が現れた事でザスティンはその場で膝をつく。

 

「お久しぶりです…王子…」

 

「久しぶりだな。取り敢えずテメェは感情的になりすぎだ。第一に考えてみろ。親衛隊隊長のお前に地球人が勝てると思うか?」

「そ…それは確かに…」

「だろ?確かに後継に力は必要だ。だが、力なんてどうとでもなる。一番はララを心の底から愛してるかどうかだろ」

「仰る通りです…」

「お前もララのお守りで心労なのは分かっている。だがTPOというものをだな____

 

ザスティンがギルから説教を受けている間に、リトは起き上がる。それと共にララも到着した。

 

「ギルの言う通りだよ!デビルーク星No1の剣士のザスティンに勝てるわけないじゃん!」

「俺が言った事はその点だけじゃねぇんだが…」

 

「ですがララ様!ララ様との結婚とはすなわち数多の星の頂点に立つという事です!!故にデビルーク王はララ様の為に見合いをさせているのです!!」

「だから私は嫌だって言ってるじゃん!どうせパパなんて自分の事しか考えてないんだから!」

 

「いえ!そんな事ありません!!あの方は_____

 

 

良い加減にしろよッ!!!!

 

ララとザスティンが口喧嘩をする中、リトの叫びが響く。

 

「さっきから見合いだ見合いだって…デビルーク星の後継者だなんて…どうでもいいんだよ…」

そう言いリトは自身の本心を暴露する。

 

 

「普通の暮らしさせろよ!!!もうこれ以上好きでもない奴との結婚とか……嫌なんだよ!!だから帰ってくれ!!!」

 

 

 

 

_____自由にさせろよッ!!!!

リトの叫びにギルとララとザスティンは固まる。

 

リト自身は勝手にララに結婚しようと言われた事自体が迷惑だと言ったのだ。相手は宇宙人。消される覚悟を持って言った。

 

 

 

 

だが、とんでもない風に受け止められてしまった。

 

 

「リト…私の事好きじゃないって言ってたのに…そんなに私の事を思ってくれてたなんて…」

 

「へ…?」

何故かキツく断ったにも関わらずララの顔が赤くなっていた。

 

「リトの言う通り…私はまだまだ自由に生きたいしやりたい事もたくさんある……。婚約者も自分で選びたい…。私は最初…リトの事は連れ戻されないための口実にするつもりだったけど…私…本当にリトとなら結婚してもいいかもしれない…ううん!

 

 

______結婚したい!!

 

 

 

「ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!?????」

 

まさかの捕らえ間違い。ララをフォローしてしまった事にリトは仰天すると、すぐさま弁解を求める為に真面目そうなザスティンに目を向けるが、

 

「負けたよ…地球人…デビルーク王の命に従うのが私の役目…それゆえにララ様の気持ちを考える事がなかった…それを指摘されては私の負けだ…」

 

完全にララと同じ捕らえ間違いである。

 

「デビルーク王に伝えておく。他の婚約候補者が納得するか分からないが…君なら任せられると…!」

そう言い去っていった。

 

「うぉぉい!?ちょっと待ってくれ!!なぁギル!ギルなら俺の気持ち分かるよな!?」

そう言いリトは最終手段として一番真面目なギルに弁解を頼む。だが、

 

「姉の事をそこまで理解してくれるとはな…」

 

「えぇ!?」

コイツも同類である。

 

「ララに求婚してくる奴は殆どが身体や権力が目的だ…。だがお前は違う。自身を犠牲にしてまでコイツの意思を尊重してくれるとは…ここまで優しい婚約者は見た事ない」

 

そう言いギルは前に歩み寄ると敬意を込めた目を向けながらリトの手を掴む。

 

「姉を頼むぞ」

 

「だから違うってぇぇえええええ!!!!!!!」

 

 

 

 

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