Toloveる 発明大好きなお姫様には弟がいました。   作:きょうこつ

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まさかの転入、そして初日の出来事

学校から戻った夜、ギルとザスティンはデビルーク王へ無線をかけた。

ジジ…

特殊な機械音と共に玉座に居座るデビルーク王の映像が映し出された。

 

「お久しぶりです。デビルーク王…」

「よぅ親父」

『お前らか。どうだ?ララは連れ戻せそうか?』

取り敢えず今の現状を ギルでは言葉足らずなのでザスティンが説明した。

 

『……そうか…。ならしばらくは戻りそうにねぇな…』

「はい。ララ様の婚約者様である結城 リトは、私個人の意見としては堂々としている御仁であり、何よりも自身の身よりもララ様自身を考えるというこれまでの婚約者の方々にはないモノを感じております』

デビルーク王はしばらくう〜んと考えると答えた。

『ララが好きになったソイツには…少し興味があるな。まぁいい。お前らは護衛として残ってもらう』

その答えにザスティンは頭を下げて了解したが、ギルは納得がいかないようだ。

 

「何で俺までアイツの護衛しなきゃなんねぇんだよ。ザスティン一人で十分だろ?」

『文句言うんじゃねぇよバカ息子が。とにかくやれ!さもねぇと………分かってるだろうな?』

 

 

ギドはやらしい笑みと共に懐から数枚の写真を取り出した。その瞬間、ギルは背筋が凍りつき、土下座した。ザスティンは驚きの表情を浮かべる。

 

「あ……あの写真だけは…やめてください…お願いします…」

「(あのギル王子が土下座!?何だ!?写真って!?何があった!?)」

長い間 ギルの身勝手を知っているザスティンは、土下座して敬語で請け負う姿を初めて見て何があったのか気になってしまった。

ま、そうなるだろうな。

 

『じゃあやれ!それじゃあな』

 

ジジ…

 

「……ギル様…過去に何が…」

「聞くな…」

 

ーーーーーーーー

 

 

数日後

 

 

「えぇ〜 転入生を紹介しまふ。自己紹介して…」

少々滑舌が悪く、還暦を過ぎようとしている先生の横には二人の男女が立っていた。

 

「え……」

このクラスの生徒であるリトは顔を凍らせた。

何とそこには…

 

「やっほ〜リト〜!!私も来たよ!」

「はしゃぐなバカ。弟のギルです。よろしくお願いします」

天真爛漫な自己紹介をしているララ。そして横で対照的な丁寧な自己紹介をしているギルの姿があった。

 

「ぅおお!!やったぜ!!美少女到来だぁぁぁ!!!」

「ひゃっほぉおおい!!!」

「ゼハハハハハハハハハ!!!」

 

ララを見るとクラス中の欲に飢えた男子たちは猛々しい歓声を上げ、中には上裸になり脱いだ服を振り回す男子もいた。

 

ーーーーーーーー

 

「何でいきなり転校してくんだよ!?しかもギルまで!」

 

「えぇ?」

休み時間となりリトは転校の理由を尋ねる。

 

「だって.初めて行った時に楽しそうだったから。それにリトとも毎日一緒にいられるし♪」

 

「俺はこいつがバカしねぇように見張り役だ」

楽しそうに答えるララとは対照的に無理やり入学させられたギルは不機嫌な表情をしていた。

 

「おかげでおれ達は学校の噂の的になっちまったんだぞ!?おまけに自己紹介の時に俺の家に住んでる事も言いやがって!」

 

「だって〜……ずっとリトの側にいたかったから……ポッ…♡」

 

「何が『ポッ♡』だよ!?何で弟はこんなに冷静なのにお前は『口は災いの元』を形にしたみたいな性格なんだよ!?」

リトの続け様に放たれる正常なツッコミにギルは落ち着け落ち着けとなだめる。

 

「まぁまぁ。ちなみに俺達が宇宙人って事は秘密にしてある。バレたら大事だからな」

 

[大事どころではありませんよギル様!]

 

ギルの言葉に突然 ララの頭につけているバッジのようなモノが喋り出した。これはララ自作のロボットであり、名前は『ペケ』頭につける事でどんな服装にも瞬時に着替える事ができるのだ。

 

[お二人はデビルーク星の未来を担うプリンスとプリンセス!もし公になれば命を狙われる恐れがあります!]

 

「それはヤベェな。ならいっそもう公にバラして誘い出した奴ら全員まとめて消した方が安心じゃねぇか?それか1人をグチャグチャにして肉片をソイツらに渡すとか」

 

[そういう問題ではありません!!]

 

ペケと会話するギルを見てリトは先程の『冷静』を撤回する。明らかにララよりも物騒かつ血の気の多さに引いた。

「(ララも大概だけどコイツも相当ヤベェ〜!!何だよ『消す』って!?何だよ『グチャグチャにする』って!?普通の奴は絶対に使わんぞその言葉!)』

 

 

「話を戻すが、俺がここにいるのは コイツの目付役って訳だ。ザスティンに任せようとしたが、アイツの背丈的には生徒は無理だからな」

そう言いギルはザスティンの2メートル超える身長を思い浮かべる。あんなガタイのいい奴が来るよりも、身長が平均以下のギルが行った方が適任だろう。

 

「というか…どうやって転入したんだよ。お前ら二人とも宇宙人だろ?」

 

「あ〜それはこの学校のコーチョーっていう人に入りたいって言ったら『可愛いからOK〜!!』って言われて」

 

「あの変態が…よくこの学校潰れねぇな…!」

あっさりと転入を許可した校長にリトは呆れる。一方でギルは個人として正規の手続きをしていた。

 

「俺はまず住民票を提出して、転入試験を受けて入学した。案外チョロかったぞ?」

 

「何でアンタら姉弟はやる事が全部正反対なんだよ!?」

ララとはまったくの正反対すぎる方法にリトは疑問に思ってしまう。

 

 

そんな感じで休み時間は幕を閉じる。

それから時間が経ち昼休み

 

ギルは辺りを見回した。ララと共に昼食を取ろうと思い彼女の姿を探す。だが、彼女の姿はどこにも無かった。その上 べたつかれているリトもいない。

 

「どこいったんだ…?ったく」

 

ギルは探すハモクになった事に腹を立て軽く舌打ちをすると教室を出る。

この学校の構造も未だ理解出来ていないので、ギルはどうしようかと顎に手を当てる。

すると、何かを感じた。

 

「…?この気配…」

その瞬間 ギルは廊下の窓から飛び降りた。

 

ーーーーーーーーー

 

俺の目の前にはとんでもない光景が広がっていた。

 

ララの解剖ごっこに誘われて、嘘の口述を告げて逃げている時に春菜ちゃんの悲鳴が体育館倉庫から聞こえ、中を開けると校長が春菜ちゃんを触手らしきモノで縛り上げていた。

 

「校長ッ!!」

「早かったな結城リト。もうちょっとのんびり来てくれてもよかったんじゃがのう」

この時、俺はコイツは校長ではない事に気づいた。明らかに口調が違っていた。するとソイツはカタチをまるで粘土のようにくねらせていき、終いには目は魚のようにクリクリで、体格も俺の倍はある半魚人へと変貌していった。

 

「来てもらって早速だが…結城リト、今すぐ、ララとの婚約を解消してもらおうか」

「…は!?何を言って…」

「とぼけても無駄だ。お前はララと婚約してんだろ?それに、俺は気が短いんだ。さもないと…」

「…?」

半魚人は手に握っているスイッチらしきもののボタンを押した。

すると、その触手が反応するようにうねりだし、春菜ちゃんの身体に巻きついた…。

 

「ふ…ふぁぁぁ!!???」

初めて見る春菜ちゃんの身体に俺は目を背けてしまう。

 

「な…何でこんな事するんだよ!?」

「決まっているだろう?ララと婚約するためさ。その為にこの女は人質と言うわけだよ!」

そういい 半魚人は舐め回すように春菜ちゃんの身体を見る。

 

「…!!」

その時、俺は恥ずかしいという感情よりも怒りが湧き上がってきた。

 

「ふざけんな……関係ない子に手をだして人質にするなんて……それでララが振り向くわけねぇだろ…!!それにさっきの言い方!お前にとっちゃ春菜ちゃんは道具みたいじゃねぇか!!」

「ひひひ。まるで俺が悪人みてぇじゃねぇか♪まぁ間違ってねぇけどよ」

 

ソイツのふざけた笑い声や態度に俺もう我慢の限界がきた。

 

「最悪だッ!!!!」

「!!??」

その時

 

 

ガンッ!!

 

入り口の鉄の扉から物凄く大きな音が聞こえた。それは金属を歪ませる程の音だった。

 

「な…なんだ!?」

 

ガシャァンッ!!

その瞬間 その鉄の扉が壊され、外の光が差し込むと、長い髪をもち、男子の制服を着ているシルエットが見えてきた。

 

「妙に感じた事のある気配かと思ってきたら……やっぱりテメェか…!!」

「!」

その怒声と共にシルエットは近づいてくる度にゆっくりと鮮明になってきた。

 

ララと同じくらい髪が長く、男子制服をきている…ギルだった。

 

「ヒィ…!?アンタは…!!」

 

すると、半魚人が怯んだのか、触手が緩み、春菜ちゃんが下ろされた。

「西蓮寺!!」

俺はすぐさまかけより、触手を払うと春菜ちゃんの状態を起こす。

 

「よかった…何とか無事……だけど…」

服が破れて春菜ちゃんの肌が露出していた……。けれども無事でなによりだ。

だが、安心したのは束の間だった。

 

「お…お前ぇぇ!!!俺の遊び道具に手出してんじゃねぇ!!」

「!?」

その言葉と共に見ると半魚人が巨大化していた。通常の倉庫よりもデカく作られている体育倉庫の天井にもつきそうな程まで巨大化したその姿に俺は尻餅をついた。

 

「ちくしょ……」

ここで終わりか…。そう思った時だった。

 

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

「!?」

その半魚人がとてつもない悲鳴を上げた。見るとその半魚人の右腕が無くなっていた。

 

「俺を無視しようなんて…いい度胸してんな…!!」

すると俺の目の前にギルが降りてきた。手に握られているのは奴の右腕だった。

 

「テメェ…よくもまぁ懲りずにいたモンだなぁ…。やっぱりあの時 殺しとけばよかったよ」

 

「ひ…ヒィィィ!!」

右腕を捨てるギルの姿を見るや否やソイツは腰を抜かした。その時、奴の大きな巨体が、みるみる内にさっきの姿へと戻っていた。

すると先程の威圧感がまるで失せたかのように土下座をし始めた。

 

「ごめんなさい!許してください!本当にごめんなさい!!お願いします!」

とてつもない変わりように俺は「は?」と漏らし立ち上がる。

 

「ギ…ギル…コイツは一体…」

 

「バルケ星人だ。擬態能力に長けているが、戦闘能力は地球人以下。お前でも楽に倒せる程のザコだ」

あぁ…だから俺が叫んだ時にビビったのか…。

 

バンッ!!

その時、ギルはバルケ星人を蹴り飛ばした。

「お!おい…!」

咄嗟に俺は止めようとするもギルの眼力に止められた。

 

「コイツは前々からララに言い寄ってた奴でな。いい加減しつこいからそろそろ殺してやろうかと思ってたんだよ」

そう言うと更にソイツは土下座をして許しをこおうとするバルケ星人の顔を蹴り上げた。蹴りの音で威力がとてつもなく高いのがわかる。

 

「い…いてぇぇ!!!た…助けて!お願いします!!俺には妻と子供が…ガバァ!?」

 

「うるせぇな。害虫がギャンギャン鳴いてんじゃねぇよ。耳障りだ。それに子供って言ってもテメェ何度も浮気して他所の星で子供作ってたじゃねぇか。そんな奴に同情すると思ってんのか?正直言ってもう存在自体が目障りなんだよ」

 

止まる様子をギルは見せなかった。この調子だと確実に殺してしまう。

 

「そ…そろそろやめてやったら…」

「ハッ。甘いな」

俺はつい口に出てしまう。その言動にギルは青筋を立てる。

 

 

「いいか?コイツはこれまで5回ララに婚約してるんだぞ?本人が嫌がっていると知っておきながら。んで、5回目の時に俺は言ってやったんだよ。『次 来たら殺す』ってな。なのにコイツはそれを無視して来た」

 

「だからって!……」

俺はもう言葉が出なくなった。本来好きな春菜ちゃんをこんな目に合わせた奴なんかもう死んでしまえと思ってしまった。

 

いや!だからってダメだ…!!

 

「ギル!やっぱり止めろ!」

「あぁ?」

俺は咄嗟にギルの腕を掴んで止めた。確かにコイツには腹が立つ。だからと言って殺していい理由にはならない。

 

「頼む…」

「…」

 

その時だった。

 

 

「リト〜!!」

入り口からララが物凄い勢いで走って来て俺に抱きついて来た。

 

「うお!?ララ!?」

「もう探したよ〜!!」

俺はララを引き剥がそうとするも、怪力で意識を刈り取られそうだった。

 

「〜♪ってあれ!?」

俺に抱き付いたララはその場にギブリンを追い詰めているギルの姿をようやく見つけた。

 

「ギブリンじゃん!何があったの!?」

「じ…実は…」

俺はここに至るまでの状況を説明した。

 

「なんだ。そういうことだったんだね」

するとララのいつものふざけた雰囲気が消え、ギルに近づいていった。

 

「ギル、私は大丈夫だから。逃してあげて」

 

「…?良いのか?また来たらどうするんだ?」

 

「大丈夫だよ。来たら来たでまた追い返せばいいから」

いつもとは雰囲気が違い、まるで弟をあやす姉のようにララは穏やかだった。こんな姿…初めて見るな…。

ギルの雰囲気が変わり、いつもの穏やかな感じになると、振り下ろそうとした手もゆっくりと元に戻る。

 

バルケ星人は泣きながら手を押さえてそのまま逃げていった。

「ッ…」

「よしよし♪」

 

舌打ちをしながらも言う事を聞いたギルをララはあやすように撫でる。すると、先程までのギルの怒りが消えた。

 

「さっさと戻るか…おい、その青髪保健室に運んどけよ。飯時なのに食欲が失せちまった」

 

「えぇ!?」

俺達を置いて、ギルは出て行ってしまった。

 

俺は何とか触手を片付けるが、ボロボロの春菜ちゃんは流石に男なのでおぶることができないから何とかララに頼み、代わりに保健室に運んでもらった。

 

 

 

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