ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜 作:カーテンと手袋
輝きたいのだ!!
「たぶん、奇跡は初めから起こっていたんだよ」
大都会から離れた町には、とてつもなく強いってわけではないけど、少なからず憧憬していた人達がいた。私もその一人。雲を突き抜けるような建物がひしめき合って、絶え間なく動く人並みと車。そのどれもがテレビの中で未来を感じさせるもので、いつか読んだ、遠い遠い場所に想いを馳せる童話の女の子にでも擬態したような気がしていた。
一年の十一月、私は初めてそこに行った。修学旅行でのこと。一泊二日で回った東京は、たったニ時間弱という距離を不可思議に思わせるほど、別世界を感じさせた。
果南「下町だから浅草と沼津は似てるような気がしたけど、どこか違うよね」
千歌「沼津って海って感じだけど、浅草って陸って感じする」
幼馴染の果南ちゃんと気の抜けた会話をしながら、雷門で記念写真を撮ったり、メンチカツを食べたり、人力車に乗った。
果南「千歌ー! 集まってだってー!」
いつの間に、離れていたのだろう。
「すぐ行く!」と、果南ちゃんに返事をして立ち去ろうとしたけど、何かが引っかかったみたいに顔だけはスクリーンに釘付けだった。アキバドーム。この正面入口のスクリーンに映された彼女達のパフォーマンスは、私の中に火種を植え付けた。
果南「ちかー はやくー」
修学旅行の最終日。いつか開くとんでもないおみあげを持って、私は果南ちゃんが呼ぶ集合場所へ駆け足で向かった。
千歌「スクール……アイドル?」
もう一度、彼女達を見かけたのは春休み期間のテレビの中だった。家のお手伝いで客室の掃除をしている時、誤って踏んだリモコンが引き合わせてくれたのだ。特集の番組は歴代の優勝者を順々に紹介し、今年のLoveLiveの開催について告げる。私は石化したみたいにテレビを見て、気付いた時にはうるさく感じた掃除機の電源を切り、画面に吸い込まれそうなほど夢中になっていた。そう、あの時の火種は、今まさに燃えようとしていた。
そこからの私は猪突猛進。まだ決まってはいない目標に向かって、とりあえず真っ直ぐ進み始めた。今まで踊ったことのない私が、ダンスを真似して歌も歌う。こんな光景もなんだか面白おかしく感じてしまう。これが夢中ってものなんだ。そう噛み締めていると、遠くの方で水を切る音が聞こえてきた。
千歌「おーい!!」
私はその音の方へ手を振る。そして叫ぶ。
果南「聞こえてるよー!」
向こうも呼びかけに答えてくれる。後ろで結んだポニーテールが海風にたなびかれ、まるでイルカのように空を泳ぐ。
千歌「果南ちゃん!! 私、スクールアイドルになるよ!!」
私はただ大きな声で宣言したかった。この小さな町の一つで。