ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜   作:カーテンと手袋

15 / 82
地の文・一人称などの視点・文体、構成、表現など、各話ごとに変化してしまうことを御許しください。
勉学を兼ねて、様々な方法を模索し実験していく科学者のような突発的な気持ちなのです。
ご理解くださいますようお願い致します。



朝っぱらから丸っと

「手を引いてくれるルビィちゃんには、いつも感謝しているよ」

 

まるです。

なんの変哲もない朝に、昨日借りた小説を読むことにしました。お布団の横に置いていた本を取り、胸の前に抱えて縁側に向かいます。ジグザグ。見えて来るのは日の当たらない黒の畳と日差しを受ける白の畳です。ほわぁなんて欠伸を一つこぼしながら、その境界線を越えると、直接、まるに日の光が当たります。眩しい。思わず目を細めてしまいました。もう目も閉じてしまいます。しばらくそのまま光合成をする草木のようにじっとしていると、この明るさに慣れてきました。暖かい。目を開き空を見上げます。とてもいいお天気で、これなら午後は晴天になると予想できそうです。ふぁぁ。また欠伸です。欠伸が出たからちょっとだけ眠いです。どうしてか高校生に上がってから寝ても寝ても睡眠が足りません。でも今日はルビィちゃんとお出かけ。そんな眠気なんて吹き飛んでしまいます。楽しみだなぁ。よいしょ。縁側に腰を下ろし脚をぶらぶらさせていると、一匹の猫さんが草むらから顔を出してこちらを眺めていました。すっごく可愛い。おいでと読んでみたけれど、警戒しちゃっていたのか、すぐに逃げてしまいました。残念。まるは気を取り直して本を読みます。表紙を眺めました。図書館で手に取った本は、読むのは二度目の『羅生門・鼻』です。ルビィちゃんに会うまでに読破してしまおうと思います。開いた先の紙の集まりの中に、すっと飛び込んで、まるは世界を体験しに行きました。

 

花丸「おはようございます」

ダイヤ「おはよう、まるちゃん。ルビィはーー」

ルビィ「花丸ちゃん! ごめんね! 急ぐからすっごく急ぐね!!」

ダイヤ「こら、ルビィ。はしたないわよ」

ルビィ「ぴっ、ごめんなさ〜い!」

ピューと家の奥へ駆けていくルビィちゃんの背中を見て、いつもの日常だなぁとポカポカした気持ちになります。気持ちと同じように過ごしやすい気温。きっとルビィちゃんもすやすや深い睡眠を取ってしまったのだろうと、まるは推測しました。

ダイヤ「ごめんなさい。何度も起こしに行ったのだけど」

花丸「ルビィちゃん。きっと成長期なんだよ」

ダイヤ「ふふ。そうね」

緩んだ頬の母性の香りが、僅かにまるのお鼻を刺激しました。誰かに笑われるような奇妙なお鼻じゃないけど、そんなことを感じてしまう自分自身の器官に笑ってしまいそうです。

ダイヤ「本日はルビィのことお願いします。あの子、バスも苦手だから」

第六感のような気づきも案外間違いじゃないかもと、ダイヤちゃんと話をしていて思いました。ダイヤちゃんは照れて言わないけれど、本当にルビィちゃんのことが好きなんだってことも。

花丸「えへへ。まるもちょっと苦手かも」

ダイヤ「あらあら」

ルビィ「お待たせー!」

リュックサックを背負って、おめかしをして、気合い十分。家の奥から廊下を直進して、玄関にやってきたルビィちゃん。

ダイヤ「まるちゃんに迷惑かけちゃダメよ」

ルビィ「わかってるよ〜」

二人の会話を聞きながら、まるはこんなことを思いました。ドタバタ劇の主演ルビィちゃん。そのお友達のまる。彼女に連れられて、今日はどんな世界に飛び込んで行けるのかな。物凄く、ワクワクしちゃいました。




『』内、
芥川龍之介「羅生門・鼻」(2005年改版)
新潮文庫 1968年初版

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。