ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜 作:カーテンと手袋
よしこの休息
「……まぁ。こしあんなのね」
これは一年前にも同様に行われており、ダイヤには慣れていたものだった。
ダイヤ「ヨハネ。居るの?」
コンコンと部屋の扉を叩くと、あまり間隔を開けずに堕天使は扉を開いた。
善子「悪いわね。本当」
少し落ち込んだ様子で堕天使は手渡されたプリントを受け取った。
ダイヤ「そろそろ体育祭があるから出てきたら?」
善子「うん……行こうとは思ってた」
ダイヤ「ふふ。まさか今年もだなんて」
善子「うっ……」
「それ以上は言わないで」と言いたげな目で堕天使はダイヤにサインを送った。その可愛げのあるサインに対して、ダイヤは少しばかり悪戯をしたくなった。
ダイヤ「杭を分かつ桎梏の解放、天界に追放されたーー」
善子「どうして覚えてるのよ」
ダイヤ「案外気に入っているの、だからつい」
「ううぅ」と唸る堕天使の瞳に清らかな水が滲んだ。
善子ママ「善子。せっかく家に招いたんだから、部屋の前で話してないで入れてあげなさい」
ダイヤが言葉を終え、ふふふと笑みを浮かべていると、リビング側のドアが開き、堕天使の母が現れた。両手でおぼんを持っていたが器用にドアを開いていた。
善子ママ「毎週ありがとうね、ダイヤちゃん。これ東京饅頭。知人から貰ってね、二人で食べて」
ダイヤ「ありがとうございます。ぜひ」
善子「部屋にあげるったって、プリントを貰うだけなんだから」
善子ママ「玄関じゃないのよ。もう靴も脱いでもらって、そこにいるんだから」
善子「そうだけど……ママがあげたんじゃない……」
自身の部屋のドアを掴みながら、堕天使は母へと意見を言いたそうに見つめ、ぼそぼそと誰にも聞こえないように呟いた。
善子ママ「ほら、ママの両手が塞がってるの」
善子「わかったわよ……」
ダイヤ「失礼します」
善子ママ「どうぞどうぞ。ちょっと汚いけど」
母がダイヤの後から部屋に入ろうとすると、堕天使は身体を入れ自身の部屋への進入を制し、そのおぼんを受け取った。
善子「もう! お饅頭ありがとう! いいから。大丈夫だから。あとはこっちでやるから、ママはあっちでのんびりお茶でも飲んでて!」
部屋の外へと母を追い遣った堕天使は安堵した。
ダイヤ「それくらい元気なら風邪じゃないわね」
善子「行くわよ……行けばいいんでしょ」
ダイヤ「それが普通なの」
テーブルの前に正座をして、ダイヤはまるで堕天使よりも上級生のような振る舞いで、彼女を諭した。
善子「……ねぇ」
ダイヤ「はい?」
堕天使はおぼんからテーブルへ、お饅頭とお茶を置いた。
善子「……誰も……気にしてない?」
ダイヤ「何のこと?」
ダイヤはお茶へと手を伸ばし、口へと運んだ。
善子「私のこと……」
ダイヤ「……ふふふ。心配しているわよ、みんな」
善子「最初の笑いは?」
ダイヤ「些細な失敗を気にしている堕天使さんが可愛くて」
善子「ばっ……馬鹿にしてる……」
ダイヤ「去年よりも激しかったけれど」
善子「それはその……闇の呪縛が、我が体を……蝕むから……」
ダイヤ「まぁ」
善子「やっぱり……馬鹿にしてる!」
ダイヤ「いえいえ」