ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜   作:カーテンと手袋

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今までに提示された情報をまとめます。

・浦月高校
浦の星女学院と理事長は同じであり、廃校も数年前から決まっていた。二校は一キロ以内にある。その為、部活や恋愛などをしたい地元の子供たちは、親の意見もあり、沼津の高校へと進学した。在校生は6人。学ランである。

・十勝 貫太 (とかち かんた)
父親の転勤で東京からやってきた二年生。高海家や国木田家、黒澤家などはご近所さんである。高海千歌のファン第一号に任命された。昔、スクールアイドルのLIVEを見たことがある。

・塩並 好伸 (しおなみ こうのり)
登下校合わせて8キロの距離を、自転車かランニングで行う一年生。大仁駅が最寄りで、実家はみかん農場である。"陸と好と海の曜"と子どもたちの間で呼ばれている。

・白代 納希 (しろだ のうき)
とりあえず海月高校生徒会長の三年生。
浦の星女学院の生徒会へ足を運んでいる。
眼鏡。女性と話すときは敬語。

・沼宮 藤介(ぬまみや とうすけ)
「沼さん」と親しまれる三年生。漁師の親を手伝う為、車の免許を持つ。軽トラの傷に敏感。腕が丸太のよう、甘いものが好き。

・小木 春希 (おき はるき)
のんびりでなで肩で華奢な一年生。制服をだらしなく着ているが、意外と似合う。沼津と内浦の間くらいに住む。自転車で通えない事もないがめんどくさいので、バスをつかう。

・京六里 隼 (けむり しゅん)
はーどぼいるどな二年生。几帳面に加え中学まで山梨県の進学校に通うというガリ勉だった一面を見せながら、女性が振り返るような整った顔立ちを持つ。女の為に海月高校に来たらしい。


媒介された人型

「むむむ……怪しいであります。おかしいであります……ふむ」

 

一歳も二歳も、三百六十五日以上の差を感じるのは、お昼ご飯を食べた後の眠気のせいだって、突拍子もない言い訳を愚痴る。私は突っ伏していた身体を机から起こし、ルビィちゃんを見遣った。次の授業は美術室で行われるから、生徒たちが移動を始める。それはルビィちゃんも同じで花丸ちゃんと一緒に向かうようだった。私も準備をしてその後をついていく。堂々と歩く姿勢、会話のジェスチャー、首の傾け方、そのどれもが冷静なお姉さんみたいだ。いつの間にか遠くに行ってしまったような、いつの間にか大人の階段を登ってしまった友人に、悲しさを感じてしまっていた。私とルビィちゃんは、クラスの中ではおてんばで元気っ子が主体のキャラクターだったのに、今では貫禄さえ垣間見れる。先程の授業中も、ごく当たり前のように手を挙げ、堂々とした振る舞いで問題を解いた。教室のみんなも先生も初めは驚いていたが「予習を始めたんです」と、ルビィちゃんが答えれば、それにみんな納得していった。私だけは問題が増えていった気がしていた。

美術の授業は彫刻刀で木版に自由に描くものだった。小学生の時以来に触れる彫刻刀は、とても小さく手に収まり私を驚かせた。それでも私を一番驚かせたのはルビィちゃんだった。黙々と三角刀で形作る私の手を止めた。それは授業が中盤に差し掛かる頃だった。話し声と静寂が均等に混ざる部屋で、クラスメイトがそれを破った。その子は指に傷をつけてしまったのだ。痛そうに指を押さえるその子のもとに早く駆けつけたのはルビィちゃんで、先生は次点。傷口を見て、どうやら浅い事を確認し、蛇口の水でゆすぎ、大切にしていたハンカチを傷口に押し付けた。その子が「ルビィちゃん……これ」と申し訳なさそうに言うと、ルビィちゃんは「そんなことはいいんだよ」と笑いかけた。ーー貫禄だ。神経が昂る予感がした。見て呉れがルビィちゃんで有りながら、ルビィちゃんではない。確信はないけれど、私の中のヨーソローがそう告げていた。

 

千歌「ねぇねぇ、ルビィちゃん。こないだ貸してくれたCDありがとう!」

ルビィ(果南)「え、あ、うん」

千歌「"cocktail plum"の曲良かったな〜 LoveLiveで成績を残せば、CDを出してくれるなんて知らなかったよ〜」

ルビィ(果南)「そうだね〜」

スクールアイドル部の練習が終わって、各自が後片付けをしている時、千歌ちゃんとルビィちゃんの会話が耳に入った。

千歌「"A-RISE"も凄いし、"しゅが〜ポッと"も可愛いよね! でもでもやっぱり千歌は"μ's"が好きだなぁ〜」

ルビィ(果南)「うんうん」

聞き役に徹している。いつもならその溢れ出す知識で千歌ちゃんを圧倒するはずなのに。

千歌「ねぇねぇ! みんなちゅうもーく!!」

突然。千歌ちゃんが立ち上がって声を張り上げた。梨子ちゃんと果南ちゃんは目を丸くしてそれを見る。今回も見学していた花丸ちゃんも同じく。私もそれに準ずる。

千歌「つくっちゃおう!」

曜「なにを?」

千歌「決まってるよ、曜ちゃん! 曲だよ! 新しい曲。私たちの曲だよ!」

果南(ルビィ)「でも、体育祭が近いよぉ」

梨子「うん」

千歌「まぁ、終わってからでも大丈夫だよ。なんとかなるなる」

ルビィ(果南)「曲ってどうやってつくるの?」

千歌「うーん。メロディーと歌詞じゃないかな? メロディーは〜 梨子ちゃんがピアノできるし!」

梨子「えぇ、私!? ピアノは趣味なのに……できないよぉ……」

ルビィ(果南)「よしよし」

曜「歌詞はどうするの?」

千歌「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれたね。それは千歌がやっちゃうよ!」

ルビィ(果南)「ええ」

梨子「千歌ちゃんが?」

千歌「並々ならぬ自信があるのだ」

曜「凄い歌詞が書けそうだね!」

果南(ルビィ)「歌詞が書けるなんて凄いな〜」

千歌「そして花丸ちゃんにもお手伝いしてもらいます!」

花丸「えっ!? まるも!?」


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