ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜   作:カーテンと手袋

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曜さんぽ

「学校探検をしているであります。

渡辺曜ちゃんです。

この度、ちゃんをつけさせていただいたのは、うーん。自分のアイドル像があまり思い付かないことと、お洒落と可愛らしさをあまり持ち得ない自分が、えっと。アイドルを始めるにあたって不甲斐ないということで。せめて女の子らしいことは何だと考えた結果、ちゃんを付けることが適切だと思ったからです。難しいよぉ。よって、つまりヨーソローですっ」

 

いつき「曜ちゃんの絵って可愛いね」

曜「えっ?」

いつき「絵?」

曜「ううん、驚いた」

いつき「うん」

曜「でも、他のみんなと比べると下手だなぁって感じるー」

いつき「たしかに、奇抜な装いだね」

曜「なんでこうなっちゃうんだろう」

有名な絵画のように、水平線を跳ねるイルカを描きたいというのに思い通りにいかない。ただ一直線に伸びた黒い線は、本当にただの黒い線のまま、白い自由帳の上に伸びている。どうして水平線に見えないのだろう。何回だってこの目で見て、頭では理解しているはずなのに。それともまだまだ水平線を知らないのかな。色鉛筆を握った右手は空中で迷子になる。私は工夫を凝らしたが、どうにもじれったい気持ちが抑えられなかった。

 

机の引き出し。教科書の下に押し込んだ自由帳から離れて、私は適当に散歩を始めた。るんるんと鼻唄を歌ったり、覚えたステップを刻んだり、廊下をステージに見立てて歩いていた。こんな風に歩いていると、通りすがりの子に挨拶されたりするから、元気よく応答する。なんだか地球まで元気そうな気がしてきた。

廊下をガンガン進むと、換気のされた室内からほのかなペンキの香りがした。鼻をツンとして、でも、焼肉屋さんに釣られる子どもみたいに引っ張られる。

梨子「うーん」

そこには梨子ちゃんがいた。綺麗に脚を揃えて、キャンバスの真っ正面に座る梨子ちゃんが。

曜「ふむふむ」

私は廊下の影からその光景を眺める。ひょっこりと頭を出して、たまに手でレンズを作って画角を捉えようとする写真家の気持ちになったり、梅雨を迎えそうな風に寒さを感じたりしていた。

梨子「あ、曜ちゃん」

曜「あっ!」

私は簡単に見つかった。

梨子「そこじゃ冷えるから、おいで。中はあったかいよ?」

曜ちゃんこちら手の鳴る方へ。

曜「梨子ちゃんって絵描きさんなの?」

梨子「えっ、絵描き!? そんなっ、そんなことないよぉ」

開口一番に聞いた。

曜「でも、様になってて座り姿がシャンって!」

梨子「そっそうかな〜」

曜「羨ましいなー 羨ましいなー」

私は近くにあった画用紙にそれもまた近くにあったクレヨンでイルカを描いた。

曜「これ、何に見える?」

梨子「えっと……おたまじゃくし?」

がーん。

梨子「あ、あのね、可愛いらしいと思うよっ」

曜「この通り……曜ちゃんは才能がないのでした……」

梨子「すぐには……上達しないと思うけど、ちょっとだけなら教えられると思うよ? 私で良ければ……だけど」

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