ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜   作:カーテンと手袋

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鋼、氷、岩、氷鋼

「ある朝には寝室にいて、その朝には冷え性になる。私の朝にはペットボトルは空になり、明日の朝には左クリックも上手く打てなくなる。次の朝には寝言を言いながら、朝を迎える準備をする」

 

ダイヤ「だから言ったじゃない。酔い止めは飲んだってあれほど」

丁寧に折り畳まれた黒いビニール袋を左手に持ち、でもその存在は主張させず、右側の窓を眺めるように呟いた。ちらちらとその様子を確認しながら。焦りはまだない。

白代「日々成長してるって信じてたんだよ。これもただの試練なんじゃないかと」

腰を低く低く、座席にめり込むのではないかと思わせる折れ曲がった腰。白代は迷い顔を浮かべて目も泳がせた。後部座席は薄暗さを主張し、海風を、その薄く開いた窓から取り込んでいた。

沼宮「吐かないでくれよぉ。シート大変なんだぞ」

本日はドイツ社製の普通自動車を担当していた沼宮も心配した。軽トラよりも長いフロントに抵抗はなく、スムーズにカーブを曲がっていく。これは親の車であった。白いを外見に武装しギラギラと太陽光を反射していた。

白代「このうねったカーブが三半規管を攻撃するんだ……あぁ」

白代の身体が右往左往した後、顔もそれについてきたらしく、まるで実験中の振り子のように関節が軋んだ。

よしみ「いろは坂なんて登った日には、天国への近道かもね」

助手席に座るよしみが後ろを振り返る。

ダイヤ「同感だわ」

もう、しっかりと白代を確認しながら、もしも倒れた場合に受け取れる受け皿を、両手で作っていた。それはシートベルトがあるため意味をなさないのだが、沼宮はルームミラーにて技と遠心力を得ようとも考えた。でもそれは嘔吐に繋がる危険性もあり、その2つの匙加減が難しいとも考えた。

よしみ「本当はさ、ダイヤちゃんにかまって欲しかったんじゃないの?」

振り返って、飴を後部座席の2人に渡した。

白代「そうそう。最近、冷たくてーー」

ダイヤ「バカ言わないで。別に普通よ」

白代「おいおい、先輩だぞぅ」

ダイヤ「なら凛々しくあったら? 先輩らしく」

白代はドアに寄り掛かりながらダイヤを睨みつけた。が、その威勢もカーブによって崩れふにゃふにゃと首を曲げていった。

よしみ「あと少しで着くよ」

窓には沼津を見せ始めた。

沼宮「風はなぁ……結構気持ちいいんだけどな」

全開にした窓から右手を放り出して、沼宮は風を掴もうとした。当たってはすり抜け、ぶつかっては溶け、流れて逃げていく。車はまたカーブへ差し掛かり沼宮はハンドルを回転させた。風はまた避けるように右手を撫でた。

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