ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜   作:カーテンと手袋

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天使だったものたち

「私の不幸が貴女を否定してしまったのなら、この翼を黒く染めても立ち向かおう。悲しくも貴女が人の姿を与えられた天使だと言うのなら、私は貴女を守る人間になろう。貴女を蝕むものが世界だと言うのなら、私は貴女のそばにずっと居よう」

 

奇しくも天界に産まれ落ちたまま、

健やかに育つ二人の天使がいました。

位や階級、身分など渡されていない、

小さな小さな町で生まれたか弱気天使。

ある者はごく当然の名前をつけられ、

もう片っぽはありきたりな名をつけられました。

「手立てはしてくれるな。これでも主人である」

英雄譚と神々しい歴史。

創造主。絶対。愛。

余す事なく伝えられ、

当然のように受け入れます。

二人の天使はすくすくと育つのでした。

一人は人間で言う女として、

そしてもう一人も同じく。

「ねぇ、善子ちゃん。その危ない天使から離れて、こっちに来て? お願い、私は味方よ」

自然が芽吹く天界には大地があります。

温かな光も薄寒い闇もあります。

木も呼吸し動物達も緩やかに暮らし、

虫や魚や鳥もここでの暮らしを、

たいそう気に入っていました。

「随分と馴染んでいるな、リリー なんだか人間のように」

ある日、神が洪水を起こしました。

町の作物は死に生態系は砕けました。

異常な愛情を加速させた結果、

人類の選別と世界改変、

つまり浄化のサイクルを行ったのです。

これによりより良い生物と、

特別視された人類だけが生き残り、

天使の者たちは啓示だと感謝したのでした。

善子「なに……なんなの!? どういうこと!?」

羽が美しく立派になる頃には、

人間界も復興を終え、

新たな国が乱立しました。

天界はそんなことも気にせずに、

平和に暮らしていました。

「其方が唱えれば、我が口も緩りと歯向かうぞ」

「っ、ふふふ。善子ちゃん。この長く伸びた爪を見ていて。《華厳の狐火 双頭の狼 指し示す先にファニーの讃歌を》」

壊れたものを治すのに、

どれだけの労力が必要でしょう。

人間はそれが上手でした。

ある日、湖で水浴びをする天使と、

水を汲みに来た天使が出会いました。

奇遇に危害にそして奇怪に、

二人は恋に落ちてしまうのでした。

善子「きょっ、巨大なひっ、火!!」

神様の誓約は絶対的なものでした。

神様の言葉は素晴らしいものでした。

神様に造られた天使と人間は、

それに歯向かう事など許されませんでした。

いや思いつく事すらあり得ないのですが……

つまり、二人は欠陥品でありました。

「《回転するトロイの木馬

相反する鏡 芽吹かぬ楽園の卵》」

善子「なっ何よ何よ! 頭が整理つかない! いつからファンタジーが現実になったのよ!」

二人は会話を、翼を重ねていました。

それ以外に出来る事など何も無いからです。

見つかれば両親は翼をもがれ、

醜い醜いロバに変えられてしまいます。

二人には生涯刻まれる血の刻印が、

翼を変えられ楽園を追放されてしまいます。

「貴女が邪魔をする筋はどこ? 自由を謳歌しているのに……本当に嫌。こんなに綺麗な世界他にないじゃない。私には観光をする権利すらないのね」

「天使が権利と笑わせる。理由は単純だ。戻るべき場所に戻るだけ、其方を連れてな」

二人は互いに"無い"物同士でした。

天使を増やす過程において受け身。

丸みを帯び、逞しい筋肉は存在を許されず、

胸とお尻は大きいのです。

「人間」

善子「なにっ!?」

「もうすぐお前の友人が下の道を通る。我が交渉を唱えた後、荷物を持ち降れ」

ある日、人間界へ出向いた時でした。

ある者は尋ねることにしたのです。

胸を焦がす程の苦しみを許諾しても良いのかと。

しかし、それは以下なるものでした。

牛使いは鍬を投げ否定しました。

牧師は神の教えを説きました。

銀行家は金を払えば解決すると言いました。

子供達はばっちぃと石を投げました。

娼婦は声を上げて蔑みました。

「《月歩五月雨 梁園の道 三銃士ギブソン》……さぁ、光り輝く弾丸を雨のように降らせる小人よ。あの神の真似をした醜い天使の後ろを見せて」

善子「分かってるけど……とっ、とりあえず。そうだありがとう。というか! あんた、名前は!? さっきの話的に主人がって!」

「よく喋る」

善子「うっさい!!」

「来るぞ……《蛆虫の内職 ゴブリンのイヤホン 錆び付いた条約 夕暮れに銃痕》東に満ちた雨を凌ぐ羅生門の壁よ、鉛を粉へ」

善子「ひぃ! もうっ。頭がおかしくなってきた!! とりあえずあんた! すぐ追いかけてきなさい! 聞きたい事いっぱいあるから!」

「ヨハネーー」

善子「えっ?」

「ーーよくある名前だ」

 

 

後にも先にもこんな人生を夢見る事がある。

堕天使のくせに金切り声をあげるなんて。

まだまだね。

まぁでも、誰かに話したくなる衝動が年に何回かあるから忘れないように書記に残すわ。

みんな「映画の話?」なんて聞き返してくるけどね。私にとっては一人の友人の話なんだけど。

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