ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜 作:カーテンと手袋
「千歌……ストーカーみたいだね」
果南「千歌はしつこいからね〜」
千歌「むぅ。そんなことないよぉ。だって梨子ちゃんってすっごく可愛いんだよ。アイドルをするしかない見た目なんだよ!」
千歌はダンスの振り付けを確認しながら、ブーブーと頬っぺたを膨らませる。腰を折り曲げて、腕を砂浜につければ四つん這いになる体勢で、顔は私と画面を交互に見ている。それが何だか、カマキリみたいに見えて思わず笑ってしまった。
千歌「あー! 馬鹿にしてるでしょ」
果南「ごめんごめん。でもほんと、一生懸命だね」
千歌「だって楽しいんだもん!」
果南「そっか」
クルクルと回って、でも失敗して尻餅をつく。変だなーなんて呟きながら、その場所を何度か確認する。
千歌「ほら、果南ちゃん! 練習練習!」
気がついたら、私もスクールアイドル部に入部していた。それは千歌が私に向かって宣言した日に、勧誘を吹っ飛ばし即入部。初めてしまえばどんどん周りを巻き込んで進んでいくのは昔から変わらないなぁ。
果南「美術室で絵を描いてたの、そういえば見たよ」
千歌「そうそう。梨子ちゃん絵も上手なんだよ」
話を聞いていると、転校生として挨拶をした、その日のその時から千歌の勧誘は始まっているらしい。毎日三回以上、欠かさず話しかけて、事あるごとに勧誘を匂わせているそう。梨子ちゃんも大変な役回りになっちゃったね。まだお話しした事のない、もしかしたら未来のメンバーに思いを馳せる。確か、音ノ木坂という東京の高校から転校して来たって。千歌が言っていたμ'sもそこだよね。運命を感じてしまってもしょうがないのかな。
千歌「仲良くしたいんだけど、梨子ちゃんって何か壁を作ってる気がする」
果南「千歌がガンガン行くからじゃない」
千歌「真面目なはなし!」
果南「ごめんごめん。……うーん、苦手なんじゃないかな」
千歌「苦手?」
果南「友達関係とか。私たちみたいに、仲良いから『はい友達』って、ならないんじゃないの」
千歌「なるほど」
千歌はうーんうーんと唸っていた。
果南「話は変わるんだけど、スクールアイドルってどういう活動をするの?」
千歌「……にしし。それについては、もう手筈は整えているのだ〜 作戦はね〜 ルビィちゃんの」
果南「悪代官みたい」
この可愛い悪役登場に柔らかいツッコミを入れ、水筒を手渡す。
千歌「うむむ……あれ、おーーい!!」
手をぶんぶん振り、ガードレールに沿って歩く学ラン姿の男の子に呼びかける。この辺りじゃ見かけない子だったから、千歌の示す対応に少しだけ驚いた。
「こんばんは」
その男の子は気づいて私たちのところへ。
千歌「また来てくれたのー?」
果南「千歌の知り合い?」
千歌「旅館に宿泊してくれたお客さんで、千歌のファン第一号さん!」
その男の子が苦笑いしながら会釈した時、この人も末っ子千歌の被害者の一人なのだと思った。
果南「その学ランって事は、もしかして噂の転校生?」
「えっ。そんなに話題、ですか?」
果南「田舎の情報網を甘く見ない方がいいよ〜」
自分の思っていた範疇ではない事態を、上手く飲み込めていない千歌は目を丸くしていた。
果南「名前、聞いてもいい?」
十勝「十勝貫太です」
千歌「あれ、私も初めて知った気がする」
果南「私は松浦果南。あの島が見えるかな? あそこのダイビングショップが家なんだよ」
十勝「おぉ。カッコいい。俺はあそこです、山吹色の屋根」
千歌「えっ!? すっごく近い! 御近所さんだね!」