ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜   作:カーテンと手袋

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前回のヨーソロー!

練習終わりにバス停で待っていたら!
色んな人に話しかけられた!
「追いつかなくちゃ」って果南ちゃんが言ってて!
「勉強大丈夫?」って茸田先生に言われて!
一緒にバスで待ってたお婆ちゃんにお煎餅を貰っちゃった!


ちっちゃな罰

「最低限の生活」

 

「帰宅する」

白代は書類を渡した。

「そう。でも外は雨よ」

ダイヤは印鑑を握った手を空中で止めた。

「たまには濡れるのも悪くないよ」

机の上にある筆記用具らを鞄にしまう。

「風邪をひいたらどうするの」

辣腕。一つ印鑑を押した後、呆れたような視線をダイヤは投げかけた。

白代「ラッキー 学校を休もう」

肩に鞄を掛けた。ジャラジャラと文房具と本が鳴る。椅子のガタガタした音と共に。

ダイヤ「……叩き起こしてでも連れて行くから」

両の手を机に開き、そしてまた閉じ、今度は怒り声の色彩で放った。

白代「家に来ても意味ないよ」

ダイヤ「私が行けば意味はあるわ」

白代「他のみんなに移したら迷惑だよ」

ダイヤに向いて言った。

ダイヤ「……真っ当なこと言うなんて、卑怯……」

白代「卑怯ってなにさ」

目を逸らしたダイヤは郷愁に似た遠い目を運ばせながら、いくつか奔走するのではないかと白代に思わせた。

ダイヤ「傘……持って来てはいないの?」

これは、五月雨式に結論を望まない。

白代「天気予報見てなくてさ」

いつの間にか、酩酊した空が窓枠いっぱいに雨を溢していた。

ダイヤ「そう」

白代「あと、どれくらいなの?」

ダイヤ「えっ?」

白代「書類だよ、今日の分」

ダイヤ「あ、あぁ。もう……いや、まだ少しあります」

白代「手伝うよ」

ダイヤ「いえ、大丈夫よ、本当に。嬉しいけれど」

白代「じゃあ、もう少し残ろうかな」

ダイヤ「ど、どうして」

白代「言うと黒澤さんは拗ねるから」

ダイヤ「そんな言われ方をされたら気になるわ。……でも、そうやって誘導してる……」

白代「してないしてない。ただ一緒に居たいのならそう言った方がいいよ」

ダイヤ「ちっ違うわ……貴方が風邪をひいてしまうと思って……心配していただけ。別に、そんなこと……」

白代「寂しがり屋さんは、現役だね」

ダイヤ「も、もう。知らない。私帰りますから、あとお任せします!」

白代「……」

ダイヤ「……誘導されました」

白代「そこのドア開ける時、どんな気分だった?」

ダイヤ「まだ私を虐めるつもり。いい加減怒るわよ」

白代「ごめん。ちょっとからかいすぎた」

ダイヤ「貴方のちょっとは、度が過ぎてるわ」

 

白代「骨壺?」

階段をゆったりと降りながら呟く。

ダイヤ「ええ。別にすぐ使う訳じゃないけど」

雲の向こう側の赤が差し込む。

白代「贔屓な所で良いんじゃないの?」

時折、輪郭がぼやけるほどの熱い光を目にもらう。

ダイヤ「後援、ね。あそこは跡取りがいないでしょ。それに高齢だから」

丁寧に下された黒い髪が、あの夕陽さえも吸収して、更に艶を帯びる。

白代「大変な時代に突入するねぇ」

ダイヤ「人ごとじゃないのよ、あなたもすぐにお爺ちゃんになっちゃうんだから」

ピンセットで細かく仕分けされたような髪が、さらさらと声を出した。

ダイヤ「死ぬ前に一つだけ願うが叶うとしたら、どうしたい?」

白代「やけにロマンチック」

ダイヤ「なに」

白代「それともセンチメンタルかな」

ダイヤ「私は……男の人に生まれたい」

自分の言論を伝える為の質問だなと、白代は感じた。

白代「まぁ、確かに、まぁね」

沈黙は停滞しなかった。

ダイヤ「あなたは?」

白代「面白くないよ」

職員室の灯りはまだある。

ダイヤ「面白さなんて求めてないわ」

昇降口では運動部の生徒が話している。

白代「……僕のことについて名前以外知らないという人たち、もしくは名前も知らない人たちがいる場所に行きたい」

そんな運動部の生徒の笑い声がそこらに響いた。

白代「そんな場所では、僕はこれといった決まり文句も言わずに適当な挨拶を済ませる。僕は東京から来た訳じゃないから誰も気にならなくなるんだ。きっと、森とか病院とか眺めて、静かに暮らせるはずなんだよ。きっとね」

豪語に届かない、非力でたわいもない言論は、子どもが達観したと錯覚してしまった哀れさを滲ませた。

ダイヤ「悲しいことを言うのね……でも、素敵ね」

白代「無理に真似しなくていいんだよ」

ダイヤ「真似だなんて、違うわ。憧れただけよ。そんな生活もあるんじゃないかって」

とんとんと上履きをフィットさせる。太陽は持ち場をすっぽかし、外は雨が降っている。

白代「半分だけでも傘に入れてよ」

ダイヤ「嫌よ、雨に当たるのでしょう? これは……罰なんだから」

ダイヤは、やけに含ませたイタズラっぽい笑顔で笑った。

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