ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜 作:カーテンと手袋
「仔細に語るまでもないし、思惟を伝えることも」
白代「あれ、珍しいね。忘れ物です?」
呈する戯言。反る伍区、八条の荘園。
スクラップは秘戯と立ち往生する黄色。
選考打者に線香と閃光を徴収する。
先生。
我々には、まだ遠い社交室で御座います。
白代「傘持ってないんですね」
彼方へ哀しみを飛ばしましょう。
未確認飛行物体にデリケートな質問。
明日から洗濯物を干せますか?
回答は無休。解答は普及。
白代「あ、でも、濡れてないのはすごい」
黒ずみ、ヤンキー、桜並木。
ネクタイでお尻を叩きます。
通せん坊は意識を遠退かす。
発火、雨、日曜日。
心置きなく。
善子「このグネグネなんとかならないの!」
沼宮「それは地球に文句言ってよ」
善子「この歳で、海と陸を恨むことになるなんてね」
沼宮「忙しないよ。そんな前のめりになってたら、また酔うよ」
善子「そんなこと、言ってるばあ
沼宮「ほら」
善子「とっ……とにかく、いそ……いっ。急いで……」
中間試験の答案を準備する先生が数名残っていた為、鍵を受け取ることができた。夕暮れを持っていた廊下は、今は薄暗く施設の灯りだけが頼りになる。ダイヤはなんとなく端を歩きながら、窓に反射する自分を見た。よく目を凝らさなければ外は見えない。そんなことを生徒会室に辿り着くまで、ぼんやり空想しながら、時折、窓枠に触れてみたり指を眺めてみたりして、暇を潰していた。
見慣れない生徒会室だった。
こんな時間に来ることはないものね……
取っ手に触れた時、
ダイヤ「あら……梨子さん」
そんな気配を感じた。
梨子「こんばんは」
ダイヤ「梨子さんも忘れ物ですか?」
シルクのピンク。彼女はパジャマを着ていた。そういえば、梨子さんは早寝早起きを心掛けていると昔話していたような。
梨子「どうしてこの腕はあるのかしら?」
ダイヤ「はい?」
善子の、ヨハネの忠告とまるで夢のような話。
梨子「幼い子どもの手を引く為? それとも憎い相手の首を絞める為? それとも」
右腕を下から上へと、
梨子「願いを掴む為?」
私はすぐに生徒会室に逃げ込んだ。その手慣れた動作で。危険。身体が勝手に動いた。動かなければならなかった。籠城するしかなかった!
一旦落ち着かなければ、私は次期当主。その片鱗を、頑固たる揺らぎのない信念を。落ち着きなさい。先生もまだいる。
梨子「お願いぃ! だから、ここを開けて!」
ドンドン!
私はビクついた。大丈夫。落ち着いて、ここには鍵がある。閉めた。ちゃんと。
梨子「ダイヤちゃん。私、お話ししたいだけなの? 楽しいお話。いつか幼稚園でしたような愉快な詩。きっと楽しんでもらえると思うの。だって、果南ちゃんと千歌ちゃんは楽しんでくれたよ?」
ダイヤ「かっ、果南と千歌ちゃんに何をしましたの?」
私が逃げ切るルートは助けを求めること。職員室。それまでの最短距離。でもそこに居ないと言い切れるか。
梨子「少しだけ、楽園を魅せてあげたの。レクイエムの届かない溌溂とした世界」
千歌ちゃんと果南のこと。異変。変化。変わったことと言えば、二人とも珍しく風邪をひいて。
ダイヤ「貴女が二人の体調を崩したと?」
梨子「副作用……ううん。鍵が必要でしょ?」
ダイヤ「どっちの話をしているの」
梨子「それはどちらも」
どれくらいの時が経っただろう。私は生徒会室の時計を盗み見る。経過時間三分。そっそれだけ。一刻が過ぎたような疲労感。背中を滴る汗。
梨子「ねぇ……どうして阻むの? 私が何か、悪いことをした? どうして……」
そう言った後、ここまでの沈黙。梨子さんは何処へ。無言のまま、扉の前に立っている? 私は……このままではいけない。密室で安全だけれども、分からない。何故かこの籠城は危険な気がする。未開な不安が私を襲っている。扉を開けて。全力で左へ曲がる。いける。
ダイヤ「はぁはぁ」
思いっきり、今まで力を加えたことのない扉を開け放ち、左右へと首を振り梨子さんの確認。いない。すぐさまその情報を飲み込み、私は駆け出すスピードを緩めない。触れた窓枠、反射した窓。外は暗く、廊下も薄暗い。私の足音だけが反響している。夜の匂い。手すりにつかまって、階段を飛んで、
梨子「ダイヤちゃんは白代君が好きなの?」
階下に梨子さんがいた。
梨子「だったら、私の嘆美も法悦も理解できないかな」
ダイヤ「先回りっ……はぁはぁ」
梨子「痛くないよ、一瞬だから」
その指先と私の瞳が一直線になる。
梨子「《白蟻城壁から七月傀儡のお小言》森厳を見捨てないヤマメの群れ。私の情熱に──」
私は目を閉じた。これ以上は逃げられない。どうなるのかわからないけど、けど。
善子「はぁはぁ……走り込みしてて、正解ね」
何がどうなったのか。甲高い音が鳴った後、善子の声が私の目の前で響いた。今は日常を感じさせる温かい声が私の目の前で。
善子「どう? ダイヤ、はぁ……今からスクールアイドルでも。っげほ、逃げる為に必要でしょ?」
梨子「善子ちゃん……」