ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜   作:カーテンと手袋

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NOTい堕天

「わたしたちはひとつ」

 

沼宮「大丈夫?」

白代「強烈なボディーとアッパーを貰ったよ。カクンって来た。生まれて初めて失神KOされたよ」

沼宮「そりゃ、珍しい体験だね」

白代「スーパーボクサーのでもやだよ」

沼宮「当たりどころってムズイから」

白代「まぁね」

沼宮「ここだ。あざ、青あざ」

白代「まだ痛い」

沼宮「骨折ではないか」

白代「二度としたくないね、こんなの」

沼宮「なんで?」

白代「だって、気がついたら車の中なんだから」

 

梨子「う〜ん。あぁ《弾みなさい 呵責 古刹 讒言」

善子「ダイヤ。伏せて!」

私の名前が呼ばれたのは善子が来たことによって安堵した矢先だった。呼吸と瞳。半歩遅れた反応に私の両手は変に上がった。

梨子「城内シンフォニーに靡く 靴擦れの氾濫》ねぇ。膝をつく世界を踏みつけたことはある?」

膝を折りたたみ、上がった腕を頭に被せて、スカートの中身の危機感や運動音痴なりの奇怪な動きが現れながらも、私は善子の指示に従った。勢いが余って、尻餅をついた。

善子「ヨハネ! 南山のバインダーを呼ぶわ!」

思わず「きゃ」なんて淑女丸出しの悲鳴を出して目を瞑った。どんなに気丈に振る舞っていても、傲然、薙刀の手合わせをしていても私は女なんだということを反芻するように感じた。その一瞬は私の瞳を完全に隠し、開かれた時には閃光が四つ程海鳴りのように瞬いて、槍となりこちらに飛んで来ていた。私はきっと夢を見ているのでしょう。

善子「《正嗣のハミング 間隙の反駁 戯作者は殊更に暗誦を続ける》順応を駆け巡る私の流動よ、象牙細工のような片翼を逃がさないで」

接着剤で厳しく貼り付けられた下半身は、恐怖を上半身へと伝染させる。動くことが難しい。フレキシビリティ。思考はとどまらずに流動し夜へ垂れ流されているというのに。善子はパラパラとあの小説を開き、一節、何処かの詩を読み始めた。それは閃光の槍を木枯らしへと変え、私の首元を通り過ぎていった。

梨子「穢らわしい。随分、混じり合ってるじゃない。善子ちゃん。戻れなくなっても知らないよ?」

きっと善子はもう一人の友人と話している。あの梨子さんの形をした何か、も。締め切られた窓によって密室となる廊下なのに、善子のスカートはひらひらとたなびく。髪も微かに揺れていた。さりげなく抑えている。

ダイヤ「善子。わたし」

精一杯の発声は嗄れた。この緊張感は私の腹綿を刺激する。利発は遮断され、いや、そうならなければ、私は口からランチを出していただろう。

善子「私達は、如何かしらね」

梨子「南方のバインダーなんて使っちゃダメじゃない。知ってる? ダイヤちゃん」

善子「耳を塞いで」

私は言う通りにした。

梨子「この身体は太陽によって支配されているけれど、善子ちゃんは如何かな? 混合した皮膚は白く白く染まっていく。天使とは清いもの」

しかし、それはスルリと脳内に響いていた。善子がそれに気がついて、梨子さんへと駆けていく。

梨子「貴方なんだよ。足手纏いが一人いれば、判断は後退するの。ほら、善子ちゃんの左耳が」

済んでいますとばかりに梨子さんはヒラリと一回転して、善子と私の間に立った。それは見事に直線上。梨子さんは両手を私達へと伸ばし上げ『婦凡』と呟いた。フラフープが飛んで来る。私の目にはそう映っていた。善子は上手く避けたが、私には直撃。そのまま通り過ぎていった。善子は天井に足をつけて、見下ろすのか見上げるのか形容し難い体勢のまま、梨子さんに憤慨しているように見える。異変は、今のところ異変はないように見える。

善子「リリー もう終わりにしましょう。其方は人間に汚染されているのよ」

梨子「《恥じらいの担保 一足飛びの楽壇 狐狸の倅にカルマの反射板 生命の楽園は運転を見合わせます》

善子「ヨハネ。ええ。『スープ眼福 n〇六v21……っ!」

梨リリー「あっはは。ヨハネ。あぁ。愛しい善子ちゃん。駄目じゃない。敵地に乗り込むってそういうことでしょ。貴方達が丸腰じゃないのだから此方だってそう。天使に歯向かうってこういうことでしょ。準備って最善と万全であるから、最良なの」

私は咄嗟だった。動け、動かなきゃ。そんな思いが頭の中を駆け巡る。善子の劣勢が脚を動かした。懸命に走り出して、梨子さんに飛びかかった。タックル。倒れはしなかったけど、攻撃の作動は止めた。

リリー「なぁ〜んだ。良かった。目的がわざわざ抱きついて来ちゃった」

しかし、識見はそなえていなかった。

善子「ダイヤ! 掴まって!」

その言葉が「捕まって」に聞こえてしまったまま霞んでいく視界。善子さんの手を掴み損なった。

リリー「いただきます」

梨子さんの声が気が付けば耳元で囁きに変わり、甘い吐息が首筋を撫で、直後にツンとした痛みが広がった。噛まれた。ドラキュラが血を吸う時みたいに。善子が大声で叫んでいる様をぼんやりと眺めながら、ついには何者も聞こえなくなって、真っ暗闇になった。




よしこのにちじょう。

善子「あんた、桃鉄は?」
ヨハネ「はて?」
善子「ボードゲームみたいなものよ。チェスとか人生ゲームとか」
ヨハネ「知らぬ」
善子「まぁ、適当にやりましょ」
ヨハネ「……」
善子「別段意味なんてないわよ。ただ、辛気臭い話って何かしながら聞きたいのよ。それだけ」
ヨハネ「ルールは?」
善子「ここに説明書があるけど」
ヨハネ「全部読んでくれ」
善子「だるっ!」
ヨハネ「フェアではない」
善子「天使ってのも、説明書読むタイプとかあるのね」
ヨハネ「まずまず分かった」
善子「あんたの分も私がコントローラーで操作するから、まぁいいでしょ。始めるわ」
ヨハネ「こうすることもできる」
善子「なにが、」
善ハネ
善子(ヨハネ)「こうして魂を入れ替えれば、自身で操作できる」
善子「……っは!」
ヨハネ「目が覚めたか、お前の番だぞ。いつまで待たす」
善子「ちょっとあんた! 梨子みたいなことしたの! 怖いんだけど!」
ヨハネ「リリーとは、また少し違う。あれは南方のバインダーだ」
善子「はぁ。何言って……いや、確か本に書かれてたわね、それ。霊獣の……角? 確か、器と水を混濁させていた……って、私にボンビーついてるじゃない」
ヨハネ「特急カードを手に入れている。簡単に言えば、混ぜ合わせるそれだけに使われている、こっちでは」
善子「それで、梨子とかあんたとか、どういうことなの。検討はつきそうな気がしてるけど、ちょっと、千葉回ってんじゃないわよ」
ヨハネ「本から出た。そしてお前の友人は身体を取られた。我が目的、いや、使命は連れ帰ること。我々は産物の一部なのだから」
善子「手段は?」
ヨハネ「詠唱と格闘」
善子「後者は無理ね、私、こう見えてもニート予備軍だから」
ヨハネ「お前の中に私を混ぜ合わせる」
善子「はぁ!?」
ヨハネ「騒ぐな、お前の番だぞ。それに、天使は人間の上位に存在する。損をするのは此方であって、お前にはない。そして拒否権も」
善子「……っはぁ〜 何でかしらね。なんで私ったらこんな不幸な星に生まれたのかしら。きっと神が嫉妬してるんだわ」
ヨハネ「そのようなことがあれば、この辺りは雷鳴と共に砕け散る」
善子「こわっ」
ヨハネ「リリーは人間の性を補給している。血と共に。まだ完全でないのなら多くが犠牲になるだろう」
善子「ちょっと、ただ事じゃない感じ出さないでよ。こっちはまだ詠唱や魔法に興奮してるんだから」
ヨハネ「……高海千歌、松浦果南。二人だな」
善子「待って。風邪……熱、そういうこと。犠牲って」
ヨハネ「親しみから発生している。リリーの行動は。今回はお前だったろう。なら、次に親しい人間は自ずと」
善子「……」
ヨハネ「聞いて──考え事か?」
善子「なんでもないっての」
ヨハネ「……はぁ。嫉妬か。心ある場所は矛盾を孕む」
善子「うっさいわね! いいでしょ! 一番だって思ったって!」
ヨハネ「あぁ、キングボンビーもお前の周辺に雷を落としている」
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