ラブライブサンシャイン 〜if 男子がいたら〜 作:カーテンと手袋
非の打ち所がないと思います。
少し似てしまう。
「親友として一言! 梨子は美麗な少女!」
学院の噂話に、かくれんぼみたいに追う逃げるを繰り返している二人組がいると聞かされたのは、授業を終えた後に佐藤先生が気さくな態度で私に語りかけたからだ。「一年生の教室で何やら」と、私の気弱な様子から心配してくれたのだろうと思う。
この学院の皆んなは本当に優しくてキラキラしている。明るくて人懐っこい、イメージしていた田舎の世界にそのままダイブしたみたい。
「梨子ちゃんって肌白いねー」
「どの辺に住んでたの?」
「髪の毛さらさら〜」
その噂はちゃんと真実で、お陰でと言ったら変だけど、色々な場所を見て回れた。隠れたり逃げたり、あまり大きくない学院でのドタバタ劇。噂を作り出している本人は至って真面目に、私をスクールアイドルへと取り込もうとしている。アイドルって、フリフリな服を着て舞台の上で歌ったり踊ったり……絶対無理だよぉ……
「音ノ木坂!?」
「一緒にμ'sを目指そう!」
「センターの輝きだよ!」
何度も何度もお誘いをする、千歌ちゃん。どうして私なんだろう。私なんて、こんなに暗い。クラスのみんなの方がいいのに。スクールアイドルなんて絶対似合わない。だって音ノ木坂で見た新入生歓迎会のパフォーマンスは、人前に出るのが苦手な私とは正反対だった。遠くで見ているのが精一杯。私が……あの舞台に立ったら……どうして楓と似てること言うのかな。私はアイドルなんて……
「いいじゃん、これ。梨子にぴったりじゃない?」
「私の性格分かって言ってるの?」
「もう膨れないで〜 綺麗な顔が台無しですよ〜」
「むぅ、ほっへたちゅままないでよ〜」
「おりゃおりゃー 新型桜内、高校デビューってやつ。パンパン」
閉じ籠るためにある私の心にズカズカと土足で入り込んでくる千歌ちゃん。窓側の席で座りながら心に潜ると、中庭の木が風に打たれた。「梨子ちゃーん!!」って彼女が呼ぶ日々が今も続いている。ローファーに付着した砂浜の砂が、繊細な私の絨毯を汚していく。耳を澄ますと波の音が少しだけ聞こえてくる。でも不思議と嫌な気はしない。むしろ、心の中に足跡がつかなくなっていくのが恐い。千歌ちゃんがもう私に興味なんて無くしてしまったら、それはそれで……
「ねー ねー 梨子ちゃん」
「どうしたの?」
「千歌のお願い聞いてくれる?」
今日はどんなふうに断ろうと、この状況を楽しんでいる自分がいた。
「あんまり……」
「お願いー もう無理に勧誘とかしないからー これが最後、ね?」