UQ HOLDER!《BLADE JOKER》 作:Million01
統制者「は?」(マジギレ)
ヨルダ「来ないで」
UQホルダーと出会い、あれから数カ月が経つ。剣崎の目の前にいるのは悪い魔法使いを自称する不死の吸血鬼である雪姫だ
白く長い髪に長身の女性。そしてどこか落ち着いた雰囲気を醸し出しながら剣崎を見る
「───来たな、剣崎」
剣崎 一真は訳あってUQホルダーの
そしてまたの名を仮面ライダーブレイドだ
「一応、言っておくが俺も色々と忙しいんだ。あのバサゴとかいうやつに雑用させられてんだ」
剣崎が若干苛立った声で雪姫を睨む
「ブレイド。貴方は口を慎みなさい」
かつてレンゲルに襲われていた少女、UQホルダー
「……。それで俺に何の用だ?」
剣崎が雪姫の机に手を置いて身を乗り出した。雪姫はその様子を見てフッ、と笑みを零すと一枚の写真を取り出した
「!……レンゲル」
「!」
剣崎はその写真に写っている姿を見ると静かに呟く。剣崎の口から発せられた言葉を聞いて夏凜がわずかに体を硬直させた
「最近、こいつが一般人にも危害を加えていてな。不死狩り共も対応しようにもアンデッドを呼び出されては対象しきれなくてな」
54体もの存在しているそれぞれの生物の始祖であるアンデッドはあらゆる方法を使っても殺すことはできない。そしてまた通常の封印で封印することができないのだ
彼らへの対策はただ一つ、ブレイドやレンゲルが持つラウズカードと呼ばれるあのカードだ
弱ったアンデッドにアンデッドが封印されていないラウズカードと接触させることでアンデッドを唯一封印することができるカードだ
つまり、レンゲルが開放したアンデッド達をどうにかするにはブレイドの力が必要なのだ
「……わかりました。元々、仮面ライダーは人々を守る存在だ。あのレンゲルに好き勝手はやらせない」
剣崎が写真をグシャッ、と握りしめた
「よし、ではこの任務はお前に任せる」
「───待ってください、雪姫様」
「珍しいな、夏凜。お前が口を挟むなんて」
夏凜が一歩前に出てくる
「その任務、私も同行させて下さい」
「ほう……?」
興味深そうに雪姫が目を細めて夏凜を見た
「───私もそのレンゲルという仮面ライダーに襲われた身。復讐、とまではいきませんが一発ぶん殴らないと気がすみません」
「なるほどな。だが、お前を同行させるかは私の一任ではない。剣崎だ」
雪姫が剣崎を睨む。その視線はお前が決めろと言わんばかりの目だった
「…………」
剣崎は考えた。これは自分とレンゲルの問題だ、と
そう考えて同行を突き放すのが妥当だ。だが、夏凜の気持ちもなんとなくわかる
チラリ、と剣崎が夏凜の方へと視線を移す。剣崎の目に写るのは相変わらず無愛想な顔の少女だ
「まぁ、だがUQホルダーの新人に一人でこの仕事を任せるのはよくないと私は思う。私からすればもう誰か一人同行させることを推奨する」
そう言われ剣崎が肩の力を抜いて大きく息を吐いた
「勝手にしろ」
カチャカチャ、と剣崎が愛用のバイクのメンテナンスをする
「これ、良いバイクね」
そんな様子を見ながら夏凜はバイクにそっと触りそう呟いた
「…………」
だが、剣崎は喋らない。どこか苛ついたような表情にも見えた
その様子に夏凜は視線を他所に外す。夏凜はこの剣崎という男がよくわからなかった
この男には夢や目標というものがない。あの近衛 刀太でさえ持っている
それに関してはどちらかと言えば甚平衛様や源五郎様に近いほうだろう
だが、この男にはあの二人とは違い。「皆を守る」という意志を持っている
UQホルダーのナンバーズの中でも屈指の意志だと夏凜は思う。故に夏凜は気になった
なぜ、そこまで人間にこだわるのだろうか。元々は人間だったとはいえ、今や化け物に等しい
それは人々に嫌われる存在でもあるのにどうしてそれほどまでの意志を持ってるのか疑問だった
「───い」
それが元からの彼の性格なのだろう。だが、そんな性格では裏切りはつきものなのでは?
この男がそうまでして人々を守るなんて戯言を吐くのだろうか……
「───おい!」
ガッ、と思い切り肩を捕まれ、夏凜は意識を現実に返った
「なんですか」
「なんですか、じゃない。メンテナンス終わったってさっきから言ってるだろ。ほら」
剣崎がそう言って夏凜にヘルメットを差し出した。
「…………」
「なんだよ……行くぞ」
夏凜が剣崎をじっと睨みつける。剣崎は気味悪そうに反応しながらバイクに跨がる
「いえ、なんでもありません。それより、どうやってあのレンゲルを探し出すのですか?」
そう言って夏凜も剣崎の後ろに跨り剣崎の体を掴んだ。
「さぁな」
剣崎が短くそう答えた。どうやら何か策があるわけではないらしい
「なっ、仮に貴方もレンゲルと同じ仮面ライダーでしょう?」
「それがなんだって言うんだ。そもそもアイツの正体を俺は知らない」
「はぁ、使えませんね」
夏凜が短くため息をついて呟いた。直後、剣崎の目が鋭くなる
「じゃあ、夏凜は何ができるんだ!?アンデッドを封印できないお前が!」
「───っ!!」
夏凜が剣崎の言葉に表情を歪ませる。剣崎も自分が口にした言葉の意味を理解した
「…………」
剣崎は視線を落として数秒、バイクを動かし始めた
風を切る音ともに道路を走っていく剣崎のバイク。目的は雪姫から教えてもらった場所だ
バイクでも数時間かかる遠さだ
「…………」
「…………」
お互い、先程の事もあってか黙りながら道を走る
風の音、すれ違う車の音、歩く人の声、バイクのエンジン音、ただただそれが耳に届き時が流れていく
「ねぇ」
そんな刹那の中、夏凜が口を開いた。剣崎が反応し少しだけ視線を後方へと向けた
「貴方はなぜ、仮面ライダーに?」
なぜと聞かれて剣崎が口を開き始める。だが、剣崎自身も答えは出なかった
「…………」
昔は仮面ライダーだった。だが、最近まではどうだ?仮面ライダーとしての役目を終えていたはずだった
ただ一人のアンデッドとして過ごしていたつもりだった
そして今は始を探すために仮面ライダーに……
「それは───」
剣崎が口を開きかけたその時、誰かが何の突拍子もなく剣崎達のバイクの前に飛び出してきた
「「!!」」
二人は目を見張る。飛び出してきた者は恐らく二十代ぐらいの男だろう左目に黒い眼帯をした黒い髪の男がニヤッと微笑みながら二人を見据えた
剣崎はハンドルのブレーキをかけて減速する。そして夏凜は剣崎の体を支えにして体を浮かばせる。剣崎の体をしっかりと掴みこちらに飛び込んでくる男にローキックを食らわせた
「おい、なんだ今のは!!」
バイクを完全に停止させた剣崎は夏凜によって吹き飛ばされた男の方を向ながら叫んだ
「ブレイド、早くバイクを出しなさい!!」
「は?」
「早くしなさい!!!」
夏凜が一層、力強く叫ぶ。その様子に剣崎が再びバイクで走り出す
「さっきのはなんだ!?」
剣崎が走りながら後ろにいる夏凜に叫んだ。
「面倒臭い変態よ!恐らくまたすぐにおそってくるわ!!」
「何を言って───」
剣崎がそんな馬鹿な、と心の中で呟いた直後、剣崎の考えを裏切るかのように先程の男が目の前に現れた
「くっ!───変身!!」
《───Tern Up》
あの夏凜の蹴りを食らって生きている様子を見た剣崎は即座にブレイドバックルを装着しレバーを引いた
「───なっ!?」
剣崎の目の前に青いゲートが出現する。男が迫りくるゲートに目を見開いて防御の体制を取った
バチッ!と男がゲートに弾かれるように吹き飛び剣崎はバイクでゲートを通過した
「チッ!」
男が舌打ちしながら仮面ライダーブレイドへと変身した剣崎と夏凜を睨む
「───!?」
ブレイドはそんな男に気にせずバイクで遠ざかっていく。だが、何かに気付く
「傀儡ね……」
目の前に群がる子供ぐらいの人型の何か。お面で顔を隠し大きいコートを来た何かだった
「クグツ!?なんだそれは!!」
「あの変態の操り人形よ!!」
どうやらどうあっても俺達を止める気らしい。仕方ない、と剣崎が呟いた
「夏凜!俺の武器からカードを出してくれ!!」
「カード?」
夏凜が剣崎の醒剣ブレイラウザーを引き抜くとカードを展開させる
そんな中、目の前の傀儡達は段々と集まっていきこちらに迫ってくる
「───まだか!?」
「───どのカードかちゃんと言いなさい!!」
「───ああ、もう!スペードの6だ!!」
「これね」
夏凜がカードをブレイラウザーから引き抜き目前にいるブレイドに手渡す
そしてブレイドは渡されたラウズカードをバイクのタンク部分にあるカードリーダーにスライドさせた
《───THUNDER》
直後、バイクが稲妻を纏い青い軌跡を描いて傀儡の中を突き抜けた
バキッバキャバキャッ!!と衝突した傀儡達をバラバラに破壊して突き抜けた
「このまま突っ切るぞ!今度はスペードの9を出してくれないか!!」
「───人使いが荒いわね」
夏凜は独り言のように呟きながらブレイラウザーから新たにカードを引き抜いた
《───MACH》
夏凜から受け取ったカードをバイクに読み込ませた。直後、バイクが
ただの加速ではない。それこそ本来のバイクではありえない速度を出して一気にその場を離れていく
「───ったく、何なんだよアイツ」
いつの間にか変身を解いている剣崎がバイクから降りてヘルメットを外して苛つきながら呟いた
「忘れなさい、あんな変態」
夏凜も降りてヘルメットを剣崎に投げた。大体、お前のせいだけどな、と剣崎が心の中で呟いた
そして、剣崎が建物の中へと入っていく
人気のない場所だ。恐らく空き巣なのだろう
「ここは?」
「元BOARDの寮だ。今はもう誰も使ってない」
「BOARDって確か……」
「ああ、俺が仮面ライダーとして戦っていた研究所だ。そしてここはその寮だ」
そう言って廊下を歩いて数ある扉の中、一つの部屋に入る剣崎と夏凜
「そう」
「好きな部屋を使え。どうせこの建物の鍵は全て空いてる」
そう言って剣崎がベッドに体を寝かせた
『───ザキ』
まただ。またあの夢だ。始が俺に語りかけてくる
始、どうしたんだ。なぜ、お前が夢に出てくる
『───剣崎』
やめろ!と思わず叫ぶ。来るな……来るなっ!!
直後、始の後ろで何かがこちらを覗く。白く長い髪の女性。
「アアアアアァァァァァァァッッッ!!」
ガバッ、と剣崎が体を起こす。荒れる呼吸、溢れ出る汗、増える心拍数、痛む頭、震える体、乱れる心。
「───ブレイド!?」
剣崎の叫び声を聞いて寝ていた夏凜が剣崎の部屋の扉を思い切り開ける
「───俺に近づくなっ!!」
両手で頭を抑えながら夏凜に叫ぶ。今の状態かなりヤバイ。
まさか、現状がこんなにまずいとは思わなかった
「馬鹿な事を言ってないで貴方は横になりなさい」
夏凜が剣崎に近づいて横になるように促す。さすがに夏凜も異常だと感じてるようでねかすように剣崎の体をベッド倒す
「か、夏凜……?」
痛む頭を抑えて夏凜を見る。
「さすがに初日にこんな体調でいられると任務に支障がきたします」
「すまない……」
そういって剣崎は瞼を閉じた。今なら安心して寝れそうなそんな気がした
再び剣崎が目を覚ます額に濡れたタオルが簡易タオルが置いてある
「起きたのね」
夏凜が剣崎の顔を覗く。そんな剣崎は体をゆっくりと起こした
「貴方、いつもこうなの?」
夏凜が心配そうにいいながら近くの椅子に座る
「たまにだ」
剣崎が視線を落として、何かを考え始めた
「…………」
夏凜は黙ってそれを見守っていると席を立ち上がった
「───俺は子供の頃、目の前で家族が死んだんだ」
剣崎が突然、口を開き夏凜がピクリと動きを止めた。
「それがきっかけだった。その日から俺は人間の皆を守りたいと願い、仮面ライダーになった。仮面ライダーになれなたのは偶然だった」
「───貴方、何を言って……」
夏凜が剣崎の方へと振り返る。そこで夏凜がここへ向かう前に剣崎に聞いた言葉を思い出した
『貴方はなぜ、仮面ライダーに?』
「最初はただアンデッドを封印するだけが仮面ライダーの仕事だと思っていた。だけど、実際は違ったんだ……」
剣崎の言葉に夏凜は何を言ってるのだ、と眉を寄せた
「アンデッド達は自分の種の繁栄のためにバトルファイトを再開させた」
「前もその言葉を聞いたけどバトルファイトとはなんですか?」
一瞬だけ、剣崎は言葉を詰まらせた。話すかどうか悩んでいるらしい
「バトルファイトは53体のアンデッドが自分らの種の繁栄をかけて戦うバトルロワイヤルだ」
「…………」
夏凜がその言葉を聞いて黙り始めた
「一万二千以上前に行われたバトルファイトの勝利者はヒューマンアンデッド……つまり、人間の始祖だ」
「っ!?」
夏凜は耳を疑った。なにせ、人間はそのバトルファイトによって進化したのだから
「……そして約80前、俺が仮面ライダーになった時にはバトルファイトはもう再開していた」
「……貴方はそのバトルファイトをどうするつもり?」
夏凜が剣崎を睨む。この男も種の繁栄を望んでいるのでは?と考えに至る
「……どうするつもりはない。ただ、このバトルファイトを止めたい」
ギュッ、と拳を握る手が強くなる。ポタリ、と黄緑色の血が床へと落ちた
「バトルファイトの勝利者は世界を思いのままに変える程の万能の力が与えられる。だが、80年前の戦いで勝利者となったのはJOKERと呼ばれるアンデッドだった」
「JOKER……」
夏凜がその名を呟く。ハッとしたかのようにこの間、レンゲルが口にした言葉を思い出した
『これは思わぬ収穫だ。まさかもう一体のJOKERに出会うとはな……』
「まさか、80年前の勝利者って……」
「俺じゃない。まだその時の俺はアンデッドじゃなかった。話を戻すがJOKERはアンデッドの中でも例外だ。どの始祖でもなく、バトルファイトに勝利した場合、地球は滅ぶ」
「───はっ?」
夏凜は剣崎の言ってる事が理解できなかった。なにせ勝利すれば地球が滅ぶJOKERが80年前のバトルファイトの勝利者なのだから
「───馬鹿を言いなさい。さすがにそれは私でも嘘だとわかるわ」
「悪いが事実だ」
「では、なぜ私は生きている!?なぜ!貴方は生きている!?80年前のバトルファイトを見ていたなら貴方は死んでるはずよ!!?」
夏凜が剣崎の胸ぐらを掴んで思い切り叫び、訴えた
「それは……」
剣崎が言いにくそうに呟き、視線を落とす
「───俺がアンデッドになったからだ」
「───」
剣崎の言葉に夏凜は言葉を詰まらせた。そもそも人が不死身になるなどそうそうなれるものではない
夏凜はいつの間にか剣崎を掴んでいた手を離していた
「俺達の持つライダーシステムはアンデッドの力を使うものだ。そしてその強化フォームのキングフォームは元々カテゴリー
「カテゴリー
その言葉も確か前に剣崎が口にしていた事を思い出す。後から聞いたがどうやらアンデッドの中でも特別強い奴の一体らしい
「だが、俺のキングフォームは違うんだ。13体のアンデッドと融合した状態になるためJOKERに近しい存在となる。そしてこのキングフォームを使い続けると……」
「JOKERと同じ存在になる……」
コクリ、と剣崎が静かに頷いた。つまりだ、剣崎がJOKERとなったことでバトルファイトの勝利者が消えたということだ
「つまり、まだバトルファイトは続いている、と?」
「ああ、JOKERは……いや始はお互いのために力を封印していた。だけど、この間のカテゴリー
「誰かわからないのですか?」
「ああ。誰かが始に力を使わせたせいで、俺もだんだん抑えが効かなくなってしまう。統制者が俺に語りかけてくる……」
剣崎がそう呟いた。そんな様子を夏凜は見るとため息をついて剣崎を寝かす
「とりあえず、今はやすみなさい」
「ああ……」
夏凜の言葉を聞いて剣崎が再び瞼を閉じた
「───で?あれこれ一ヶ月経ったけど未だに進展がないってどういうことですか?」
「俺に聞くな」
コーヒーを飲みながら剣崎が嫌々と答える
「BOARD研究所の跡地から持ってきたアンデッドサーチャーが反応しないから仕方ないだろ!」
「そもそも80年以上前の代物を使わないとレンゲルも探せないとはどうなんですか」
剣崎がディスクを取り出して夏凜にヒラヒラと見せる
「じゃあ、なんだ一空にこれを渡して最新型にでもしてもらうか!?」
「むしろそっちの方が信頼性が高い」
「あーあ、わかったよ!じゃあ、渡してこいよ、一空に」
「なぜ、私が渡さないといけないのですか?」
「お前の方がアイツと付き合いが長いだろ!?」
「だからと言って私が渡しにいく理由になりませんが?」
「くっ……この女!?」
三日に一回はあると言っていいほどの剣崎と夏凜の口喧嘩。一時期はお互い別行動をしていた時期もあったが結局、ここに戻ってきたらしい
お互い、レンゲルが見つからずに苛つき始めていることもあった
「はぁ、さすがにこの任務───」
ピピピピピピピッ、と夏凜の言葉を掻き消すようにパソコンのアラーム音が鳴り響く
「───!」
剣崎が急いでパソコンを開く
「この反応はレンゲル!?しかもかなり近いぞ!!」
剣崎が慣れた手付きで操作し、中身を確認した
そしてすぐさま寮を出ていった
「───はぁ、仕方ありません」
夏凜も剣崎の後を追うように寮を出ていく
『───』
レンゲルは何かを待つように静かにその場に立ち尽くした
「レンゲル!!」
ブレイドへと変身した剣崎が思い切りブレイラウザーを振り下ろす
ギィン!と二人の仮面ライダーの間に火花が散った
「ウェイ!」
お互いの武器に弾かれ、一歩後退する。だが、ブレイドはさらに踏み込み突きを放つ
それをレンゲルは避けるように上半身を逸して剣先を躱す。そして手に持つ醒杖レンゲル
ラウザーを横に薙ぐ
レンゲルの攻撃範囲内にいたブレイドはそのまま後ろへ吹き飛ばされる
『───』
その様子を見てレンゲルが腰へと手を伸ばす
(───今っ!!)
直後、レンゲルの背後から夏凜が襲う。
『───!?』
レンゲルは振り向くもハンマーが懐に食い込み、そのまま横へと吹き飛んだ
「夏凜!?」
「これでこの間の借りは返しました」
夏凜がそう呟いた。それはブレイドに言ったのかレンゲルに言ったのかわからない
「立ちなさい、ブレイド。レンゲルはまだ生きてる」
夏凜がブレイドの元まで来て言い放つ。ブレイドは静かに頷いて立ち上がる
《───REMOTE》
レンゲルラウザーの機械音声と共に立ち上がる煙の中から新たにアンデッドが姿を現した
像の始祖でもあるエレファントアンデッドは走りながら鉄球を投げ飛ばす
「───つっ!」
放たれた鉄球は目にも止まらぬ速さで夏凜に直撃する
「夏凜!!」
ブレイドが吹き飛ばされる夏凜を見て叫んだ。だが、ブレイドに助けに行かせる隙を当てえないかのようにレンゲルがブレイドを襲う
振り下ろされたレンゲルラウザーを間一髪のところで剣崎が避けた
「っ!」
お互いが睨み合い武器を構え合う。お互いが攻撃し合う瞬間を狙って待機した
数秒、二人の仮面ライダーが同時に動いた。お互いの武器がどちらも動きを捉えた
「くっ!」
夏凜が迫りくる鉄球を器用に避けながら段々とアンデッドへと近づく。
傷一つつかない不死身の体に対して圧倒的な怪力を持つ像の始祖のアンデッド
お互いが自分の特性を持ってぶつかりあった
「なっ!?バリアっ!?」
迫りくるハンマーを障壁で防ぐアンデッド。夏凜は驚かざるおえなかった
『───』
アンデッドが夏凜を睨むとそのまま右手で彼女の首を掴み、そのまま地面へと叩きつける
「かっ!!」
ひび割れる地面に対して傷一つつかない彼女の体
(どうにかしてこいつを倒さないとっ!!)
彼女は目前のアンデッドを見て対策を考える。バリアをどう破るかそしてこのアンデッドをどうするか、と
『───』
彼女の体を持ち上げ何度も何度も左手で殴り付ける。それも四発や五発ではない。その三、四倍だ
『───っ!』
不意にピクリ、とアンデッドの動きが止まった。まるで強力な力をを察知したかのように彼女を殴る手を止めた
(───今だっ!)
直後、夏凜の体が光に包まれ輝いた。彼女の神聖魔法だ
「この距離ならバリアは張れないわね!!」
夏凜の左手で掴まれたアンデッドの腕を握り潰す。そしてさらに大きく踏み込む
その距離はほぼ零距離だ
───
眩い閃光の一閃がアンデッドの体を貫いた。アンデッドはそのまま遙か後方へと吹き飛ぶ
いくつもの壁を突き破り工場の跡地へと転がった
「…………」
夏凜の体から光が消え、ビシヒシとアンデッドへと近づいた
だが、そこで夏凜も何かに気付いた。
「───っ!」
夏凜が背後へと振り返る。そこには新たな仮面ライダーがいた
赤いハート型の複眼にそこから生えた二本のアンテナ。黒と白の二色の装甲を纏った戦士だ
『…………』
その戦士は腰から一枚のカードを取り出した
『───JOKER……』
「なっ!?」
今まで黙っていた、エレファントアンデッドが始めて口を開く
『…………』
だが戦士は夏凜の背後のエレファントアンデッドを睨みつけたまま近づき、シュッとラウズカードを投げる
カードは吸い込まれるようにアンデッドの体へと刺さり封印に成功した
「これがJOKER……」
エレファントアンデッドを封印したカードをキャッチした戦士を夏凜は見た
『───ブレイドはどこだ……』
戦士は夏凜に聞いたわけでもなくそう呟いた。まるで操られているかのように探しているようにも見えた
「待ちなさい」
夏凜が武器を構えて、戦士へと声をかけた。スッ、とゆっくりと振り向いて夏凜を見る戦士
「───貴方はここで倒します」
そう言って夏凜がジェット機のように吹っ飛んだ。そしてそのままハンマーを戦士へと振り下ろす
『───俺の邪魔をするなぁッ!』
まるで拡声器のように声を発して、右手に刃のついた弓を展開させ攻撃を受け止めた
そして、流れるような動作で夏凜に蹴りを入れた。
「───つ!」
《───BIO》
《───TORNADO》
《───CHOP》
三枚のカードを弓にスライドさせアンデッドの力をラウズさせた
「───なっ!?」
弓から植物が発生し、そのまま夏凜の体へと巻き付き、身動きを封じられる
さらにそれだけではない
戦士が手刀を構え、その手には力が収束される。その手には小さな竜巻を纏い、夏凜を睨みつけた
『───』
そしてそのまま薙ぐかのような横一文字の手刀
が夏凜の体に叩き込まれた
「───がぁッ!!!」
当然、夏凜には傷一つ付かなかっただが彼女はそのまま遙か後方へと吹き飛ばされる
(さすがに厄介ね……!)
夏凜は立ち上がり戦士へと睨みつける。そして新たにカードを取り出した
そして戦士は弓にカードをスライドさせようとした時
『───っ!!?』
戦士の体が横へと吹き飛んだ
「おっし、不意打ち成功!!」
黒い髪の少年が黒い刀を肩に乗せ、拳をグッと握りしめた
「近衛 刀太。なぜここに……」
「夏凜先輩!大丈夫か!?」
夏凜の呟きに答えず刀太は夏凜の方へと駆け寄った
「ええ、私がこの程度で死なないのは貴方も知っているでしょう?それより、あの戦士の方は……」
夏凜と刀太が吹き飛ばされた戦士を目でのおった。
立ち上がる煙の中、人影が見えた。
「生きてる!?」
《───FLOAT》
戦士が新たにアンデッドの力をラウズさせた。そしてその力はすぐに現れた
カリスの体が宙を浮き、そのまま空の彼方を消えていった
「───しまった!?」
夏凜が追いかけるように走り始めた。それを見て刀太も彼女の後を追った
「───夏凜先輩!?」
「近衛 刀太、急ぎなさい。早くアイツを止めないと世界が滅ぶわ!!」
「世界が滅ぶ!?何をいってんだよ!!」
《───ABSORB QUEEN》
《───FUSION JACK》
ブレイドとレンゲルの戦いが終わろうとしていた。ブレイドが左腕に装着したラウズアブソーバーに二枚のカードをラウズさせる
直後、ブレイドの体が光に包まれ一部が黄金の鎧へと変化していった
背には六枚のオリハルコンウイング・フライトと呼ばれる飛行ユニットが装備されており、胸には鷲の紋章が刻印されていた
「はァァァっ!!」
ブレイドが宙に舞い、いくつもの斬撃をレンゲルに食らわせた。だが、彼の攻撃でこれで終わることはなかった
《───THUNDER》
《───SLASH》
二枚のカードがラウズされ、彼のブレイラウザーに力が宿る
《───LIGHTNING SLASH》
バチバチ、と彼のブレイラウザーに稲妻が走り力はより一層なものになる
「───ウェェェェェェェェェイッっ!!!」
雷を纏った斬撃がレンゲルを襲う。高々度からの無慈悲なる斬撃がレンゲルの体を引き裂いてそのまま爆発へと至る
「ハァ、ハァ……ハァ……」
ブレイドが着地するとそのまま変身を解いて本来の姿に戻る
剣崎がレンゲルの正体を確かめた。
だが、そこには何もない。黒い人型の炭が残っているだけだった
「どういうことだ……?」
剣崎が眉を寄せてその場所をよく見た。さすがに変身者まで殺さないように手加減はしたつもりだ。それにレンゲルのベルトもない
───キィィィンッ!!
そんな中、剣崎の頭の中で何かが感じ取る。唐突な出来事に一瞬だけ頭を抑えた
カッ、と目を見開いて剣崎は振り返る。剣崎が見た先にいるのは白いロングコートを着た茶髪の男だった
「───始……」
「───剣崎……」
お互いの名を呼び合う二人。
お互いの視線が交錯する。片方は怒りにもえ、片やまるで生気を失ったかのように
「始、俺はお前のために自分の力を封印してきたつもりだった……お前が封印を破った!」
剣崎が目の前の男、相川 始に向かって叫んだ
「どうしてだ、始!!」
「剣崎、すまない……」
始がそう言って一枚のカードを取り出した。
そしていつの間にか始の腰に出現するハート型の装飾が飾られているベルト
「始……」
剣崎も一枚のカードを取り出した。
剣崎はそのカードをバックルへと挿入し腰へと巻き付きた
お互いが睨みあって一拍子、お互いが口を開いた
「「───変身!!」」
《───Tern Up》
《───Change》
お互いが戦士の姿へと変える。
スペードとカブトムシをモチーフにした剣を持った仮面の戦士『仮面ライダーブレイド』
ハートとカマキリをモチーフにした弓を持つ仮面の戦士『仮面ライダーカリス』
再び出会った宿命の二人は衝突し合った
??「この距離ならバリアは張れないな!!」(零距離射撃)
TQホルダー・
剣崎 一真
不死身歴およそ80年。不死身の元ネタは様々な生物の始祖であるアンデッドの一体とされている
そして80年前に話題となった仮面ライダーの一人でもある
封印したアンデッドの力を使うことができる仮面ライダー
三太より少し後に加入している
13番目という事はそういうこと(13枚のカード
三話以上の話にしたほうがいい?
-
続けてほしい
-
三話でいい