ソードアート・オンライン ── 血盟の剣豪 ── 作:Syncable
失踪気味でしたが戻って来ました。
詳しくは言えませんが、例の感染症絡みでバタバタしてまして、最近ようやく落ち着いたので活動を再開します。
とりあえず書いてる途中だったEp.37を投稿しますが、書き溜めてないので亀更新はご理解くださいm(_ _)m
<サツキside>
──お願い、彼を助けて!
頭に響くのは、初めて聞く女の子の声だ。
「・・・君は、誰だ?」
問いかけても返事はない。当たり前だ。この声はレーヴァ=テインの感応現象、死者の遺した遺志の幻聴なのだから。今までと違うのは、現象が声だけに留まっていることだ。悲痛な声は続ける。
──彼を救って、解放してあげて。悲しみを断ち切って。貴方にしかできない!
さらにもう一つ、知らない男の声。
──アイツを止めてくれ、頼む
この状況から考えるに、ノノが言っていたチグネとカイトの声だろう。二人の遺志が強く干渉している影響か、鈍い頭痛に目を細めながら俺は目前の敵に意識を集中させる。
「・・・」
赤紫色の細剣を無言で構えるラフコフの幹部は、虚ろな翠色の瞳に俺を映していた。俺は警戒しながら口を開く。
「アンタも、なんだろ?」
「・・・」
返事はないが俺は続ける。
「さっきの攻撃、少し掠っただけで麻痺状態になったな。
返答は言葉ではなかった。速く重い突きをレーヴァ=テインの横腹で受け軌道を逸らし、勢い任せに押し返す。それに怯むことなく、好機と見た幹部は体を捩ると再び神速の突きを見舞って来た。副団長の流星にも似たそれに近い速度、常人ならば回避どころか目で追うこともできないだろう。
だが俺の目はその軌跡を正確に捉えていた。
知っているから。
これよりも速く、重く、美しく、そして儚い技を。一番近くで誰よりも見てきたから。
いつかその高みに達するのを夢見て、俺自身何度も何度もその技に打ちのめされた。その度に感じた、遠すぎる道のりに挫折しそうになったのは数え切れない。
それでも、彼女は笑って言った。君ならできる、世界最強の私が保証するよ、と。
その言葉に救われた数もまた、数え切れない。
肉薄する刀身を見据えレーヴァ=テインを構えながら、俺は遠い日の記憶を垣間見ていた。目も眩むような快晴の日。思い出の場所に立つ桜の木の下で、日課となっていた
『いいね!動きは完璧に再現できてるよ!あとは”気持ち”!君の心を剣に込めて、解放してみて!』
システムアシストのない、形だけの俺の剣技をいとも簡単に捌きながら相棒は笑った。息を切らしながらも技を繰り返し、俺は言った。
『気持ちって、言ったって、例えばどんな?』
『なんでもいいの!怒りだったり悲しみだったり憎しみだったり、いろいろあるでしょ?でも、そうだなぁ・・・君が一番強く持っているのはアレだね』
『なんだよ?』
相棒は、慈愛に満ちた表情と声色で告げた。
『仲間を守りたい、その気持ちだよ』
「──ッ!!」
雷に打たれた如き衝撃が全身を貫く。視界が端から色を失い、モノクロームの世界に入った。
その世界で唯一、俺の胸を穿かんとする
「サツキ!」
キリトの切迫した声が響いた。
しかし、細い刀身が無防備に晒された俺の胸を穿くことはなかった。
刀身が捉えたのは実体なき
幹部が驚愕に染めた目を見開き、キリトと副団長が状況を飲み込めずに固まっていた刹那、幹部の右手は細剣を持ったまま肩から切り飛ばせされて床に転がった。幹部の後ろで、俺は漆黒のエフェクトを振り撒きながらレーヴァ=テインを斬り払う。その流麗な刀身は、恐ろしくも懐かしい闇色に染まっていた。
ユニークスキル<暗黒剣>
今は亡き相棒、世界最強を自称した女流剣士が使っていた剣技を、俺はこの瞬間初めて体現した。
無理をした代償か、激しい頭痛が襲ってきてその場にしゃがみ込む。その最中、頑張ったね、と懐かしい声が聞こえた気がした。
「サツキくん!大丈夫!?」
顔を上げれば副団長が心配そうに俺を見つめていた。その後ろではキリトが戦意喪失した幹部を拘束している。俺は安堵で息を一つ吐いて続けた。
「大丈夫、あとは、アニマだけだ」
俺はレーヴァ=テインを頼りに立ち上がった。噴き出した汗が頬を伝る。仮想の身体が限界だと訴えてくるが、こんなところで止まるわけにはいかない。一瞬でも気を抜けば意識を持っていかれる。
暗転しそうな視界、ノノにトドメを刺そうと拳を振り上げるアニマに狙いを定め俺は床を蹴った。同時に懐かしい声。
『この技に限界なんてないの。自分の心が、想いがどこまでも自分を強くする──』
──ああ、知ってるよ。一番近くで見てきたから
俺はレーヴァ=テインを上段に構えた。
「──ッ!ハァァァァッ!」
雷光じみた速度でアニマに接近し、その全身に剣戟を見舞う。いつもより速く重い連撃だと手応えがあった。
驚愕に振り向いたアニマと目が合う。その眼もまた、モノクロームの世界で真っ赤に染まっていた。
「・・・もうやめろ、アニマ」
俺は黒を纏うレーヴァ=テインを構え直す。全身を満たす力に、もはや間違いようのない懐かしさを感じていた。
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