ソードアート・オンライン ── 血盟の剣豪 ──   作:Syncable

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短いです。


Ep.53 再起

♦️

 

 

<アスナside>

 

 

 

 

「散って逝った勇敢な同士たちに、最大の敬意を」

 

死闘となったボス戦から一夜明け、血盟騎士団本部では犠牲者の慰霊式が執り行われていた。慰霊碑に名前が加えられたのは、ラフィン・コフィン討伐作戦以来のことだ。ボス戦での犠牲者は計16名、内7名がKoB所属だった。

 

「今回の件について、君に責任はない。残念な結果だが、気を落とさないでくれたまえ」

 

「・・・はい」

 

凄惨な報せを受けても眉一つ動かさなかったヒースクリフに一礼し、アスナは団長室を後にした。歩き出そうとして目眩に襲われ、思わず壁に手をつく。戦後処理に追われて休めていない影響だとアスナは分かっていた。

 

新着メッセージを報せる音で、アスナは遠くなりかけた意識が呼び戻された。差出人を確認し、アスナは足早に歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・アスナ、大丈夫?」

 

「・・・うん、大丈夫よ。ありがとね、ミト」

 

口ではそう答えるが、アスナの口調は重かった。

 

目立たないようにフードを目深に被ったアスナは、ミトとともに第一層<はじまりの街>外柵広場に来ていた。他のプレイヤーとすれ違うことすらなく、NPCの声だけが虚しく響いているのに違和感を感じつつも今は都合が良かった。

 

いつか、これから更に犠牲者が増え続ければ、どの街もこうなるかもしれないと危惧していたアスナにミトは頭を深々と下げた。

 

「アスナ・・・今更何なのって思うかもしれないけど、ごめん。あの日、アスナを見捨てて逃げて。ボス戦のことも・・・私がもっと早く来てれば、助かったかもしれないのに」

 

アスナは優しい笑みを浮かべて首を振った。

 

「あの日、ミトがいなくなって独りになってから、なんで逃げたのって何回も考えた。・・・攻略組になってから、なんとなく分かった気がする」

 

無限の蒼穹からミトに視線を向けたアスナは続けた。

 

「怖かったんだよね・・・誰かの命を背負うのは、守れなかった時の後悔と絶望が・・・守るべき仲間がいる今なら分かる。今回のボス戦も、その前でも嫌ってほど思い知ってきたから」

 

「アスナ・・・」

 

「ミトはあの日の決断を間違ったと思ってるけど、私は正しかったと思うよ。こんな辛いこと、経験しない方が良いし、ミトにそんな思いして欲しくない」

 

「それは私も同じよ・・・アスナには、そんな思いさせたくなかったのに、私が弱かったから約束を守れなかった・・・本当に、ごめん」

 

「もういいのよ、二人とも今生きてるんだから。とんだ再会になったけどね」

 

アスナはミトをそっと抱きしめた。ミトもアスナの肩に顔を埋めて手を回す。久々に触れた親友の体の震えが止むまで、アスナはミトを抱きしめ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

「決めた。私、KoBに入る」

 

「え?」

 

目元を腫らしたミトの声にアスナは驚いた。

 

「私じゃあ力不足かな?」

 

「そんな事ない、むしろ心強いけど・・・どうして?」

 

ミトは強い意志の宿った瞳でアスナを見つめた。もう後悔と罪悪感に揺れていないと、アスナは感じた。

 

「私は、もう逃げない。挫けそうになったら支えるし、命に代えても守る。必ずアスナをあっちの世界に還すよ。今度こそ約束する」

 

「・・・違うでしょう、ミト」

 

アスナはミトの手を握った。

 

「みんなで生きて還るの。私もミトを守るから、改めてよろしくね」

 

「・・・うん!」

 

握り返された手から伝わる熱が、あの日から凍っていた心を溶かしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、こちらとしても大歓迎だ。これからよろしく頼むよ、ミト君」

 

血盟騎士団本部に戻った二人は、早速ヒースクリフにミトの入団を打診していた。ボス戦での活躍を報告していたからか、ヒースクリフはミトの実力を疑うことなくあっさり承諾した。安堵しつつアスナは続ける。

 

「団長、もう一件よろしいですか?」

 

「なんだね?」

 

「もう一人、勧誘したい人がいます。鬼の仮面を着けた侍、ルナというカタナ使い・・・かなりの手練ですが、本人は攻略に乗り気ではないみたいです。団長の方から直接声を掛けてみてもらえないでしょうか?」

 

昨日のボス戦で大きく貢献した彼は、アスナの話をあっさり流して立ち去ってしまった。本物の侍のような威厳にその場は諦めてしまったが、彼が攻略組に加われば戦力が増すのは明らかだった。

 

「なるほど。しかし残念ながら、彼には前から声を掛けているのだが断られている。どこかの彼のようにね」

 

その返答にアスナは苦笑いした。

 

 

 

 

♦️

 

 

 

「なかなか高い評価、流石と言ったところか」

 

「・・・当然だ・・・」

 

アスナとミトが去った後、団長室を訪れたルナはヒースクリフの言葉に頷いた。

 

「今の攻略組はどうかね?」

 

「・・・悪くは、ない・・・判断力、観察眼、即応性・・・特に最後の連携は、目を見張るものが、あった・・・」

 

「なるほど」

 

「・・・一つ、聞きたい・・・」

 

「なんだね?」

 

ルナは腰に提げた刀に手を添えて言った。

 

「・・・どこまで、想定していた・・・<暗黒剣>・・・あれはもう、ソードスキルの域を・・・霊剣の感応現象も、システムの域を超越、している・・・」

 

ヒースクリフは笑った。一人のプレイヤーとしてではなく、この世界の創造主として。

 

「そうだね、全くの想定外だ。しかし私は嬉しく、そして期待しているのだよ」

 

「・・・」

 

「あれこそが、私が求めていたものだからね」

 

 

 

 

 




ようやく仲直りしましたのでミト本格参戦です。
この世界軸では第一層ボス戦にミトは参加していません。
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