ソードアート・オンライン ── 血盟の剣豪 ──   作:Syncable

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メリークリスマス。


Ex. 聖夜に願う

人は喪って初めて、大切な存在を知る。

 

人は失って初めて、何気ない日常にかけがえのないものがあることを知る。

 

人は喪って初めて、自分の弱さを知る。

 

人は──

 

 

 

 

 

 

♦️

 

 

 

 

 

 

「相変わらず無茶苦茶なレベリングをしているようダナ」

 

語尾が特徴的なその声に顔を上げる。小柄だが俺よりも大人びた雰囲気のそいつは、両頬にヒゲのペイントを施していた。そこから由来した"鼠"の呼び名で有名な情報屋だ。

 

「酷い顔をしてるゾ。しばらく寝てないんダロ?」

 

「そんなことはいい。新しい情報は?」

 

自分でも驚くほど冷たい声が出た。別にこれ以降関わることの無い相手なのでさほど気にせず、心配を無視して要件だけを伝える。一瞬戸惑った様子を見せた情報屋だったが、すぐにいつも通りの振る舞いに戻る。

 

「売り物になるモノはなイナ。どこを探っても今までに売ったモノと同じことしか出てこナイ」

 

空振りか。

俺は無言で立ち上がりその場を離れた。情報屋が何か言っていた気がするが、行き交う人波の喧騒に掻き消された。

 

 

 

 

 

 

 

♦️

 

 

 

 

<アルゴside>

 

 

 

「そのままじゃ死ぬゾ!」

 

無言で去って行く客人に対しアルゴは叫ぶが、おそらく彼に届いてはいない。無意識のうちに拳を握るのは、彼を止めることが出来ない自分の無力さを痛感しているからか。

 

彼は二週間ほど前から接触してきて、とある情報だけを求めてくる。多くを語らない彼だが、少なくても攻略組ではない。しかし、簡素なその装備からは想像できない、歴戦の戦士を彷彿とさせる気配をアルゴは感じていた。そこら辺のプレイヤーとは比べ物にならない実力者であることは確かだ。

 

だからアルゴは困惑した。自分の知らない、こんなプレイヤーがいたことに。

 

そんな彼が求めるのは、クリスマスに現れるイベントボスの出現場所だ。NPCや関連クエストから様々な情報を集めていくつかの目星はついているが、確実と言えるものはまだない。

 

イベントボスなんてソロで倒せるほど甘くない。

 

会う度にそう言い聞かせてきたアルゴだが、それでも彼はソロで倒すことにこだわった。理由は、だいたい察しがつく。

 

イベントボス─背教者ニコラスは蘇生アイテムをドロップする、という噂はアインクラッド中で物議を醸した。ありえない、NPCのバグという意見が大半だが、わずかながらの希望を持つ者もいる。

 

彼もそうなのだろうか?

彼の虚ろな瞳には何が、誰が映っているのだろう。

 

 

 

 

♦️

 

 

 

 

鈍器で殴られたかのような激痛が頭を貫く。

 

堪らず発動しかけたソードスキルをキャンセルし、俺は後方へ大きく飛び退いた。左手で額を抑え痛みが引くのを待つ。

 

「ギシェェェッッ!!」

 

耳障りな鳴き声とともにアリ型モンスターの巨大な顎が迫る。右前方へ転がるように回避して振り向きざまに単発技"スラント"を頚に見舞う。甲殻を砕いて肉を裂き、頭部と胴体が分離されて爆散する。そのまま止まることなく片手斧カテゴリ水平三連撃技"アーデント・レンド"で二体をまとめて屠る。

 

ちらりと視界に入ったタイマーがすでに一時間近く経っているのを確認した俺は、両手剣カテゴリ全方位技"ガストネード"で近くの敵を一掃して猛然とダッシュした。ものの数秒で敵の探知範囲外まで離脱し、張っていた気が緩んでその場に座り込む。回復ポーションを飲み干して残り六割ほどだったHPが徐々に回復するのをぼんやり眺めていると、俺に近付いてくる足音が聞こえた。足音の主は俺の三歩手前で止まり、遠慮がちに声をかけてきた。

 

「なぁ、あんた。本気でニコラスにソロで挑むつもりか?」

 

いつもの迷惑なお節介者だと思って聞き流そうとしていた俺は、予想外の問いに思わず顔を上げた。武士風の防具に日本刀というサムライスタイルの男は憐れむような目で俺を見ていた。長時間の戦闘での疲れか、あるいは怒りからか軋む声で俺は言う。

 

「・・・お前には関係ないだろ」

 

「いやあるね。お前さんほど強いやつをおいそれと死なすわけにはいかねぇし・・・放っておけねぇ」

 

おそらくこの男は面倒みがいいのだろう。悪いやつではないようだが、今の俺にとっては邪魔でしかなかった。

 

「お気遣いどうも」

 

それだけを言い残して俺は歩き出した。男は止める様子もなくただ叫んでいた。

 

「俺は風林火山のクラインってんだ!何かあったらいつでも頼れよ!」

 

男の声はやたらと俺の耳に残った。

 

 

 

 

♦️

 

 

 

<クラインside>

 

 

遠ざかる少年の背中を見つめながら、クラインはアルゴに言われたことを思い出していた。

 

『キー坊に匹敵する実力者のソロがいるんダガ、どうも危なっかしやつでナ。目をかけてやってクレ』

 

いつも世話になっている手前、快く引き受けたが件の少年は思っていたより深刻な事情を抱えているように見える。他人の自分が横から入っても邪魔扱いされるだけだろうが、どうにも放っておけない。

 

「さて、どうしたものかねぇ・・・」

 

その独り言は誰に聞かれることなく闇に消えた。

 

 

 

 

 

♦️

 

 

群がる雑魚共を適当なソードスキルで消し飛ばし、薄暗い道を進む。死角からの不意打ちも難なく返り討ちにして、まだ回収されていない宝箱を片っ端から開けていく。

 

ここは最前線ではないが十分に危険なエリアだ。初見だと様々なギミックや多発するトラップに対処できずに命を落とす可能性が高い。そんな所にクリスマス前の貴重な時間を割いてまで来ている理由は、ここでしか入手が確認されていない希少な素材を集めるためだ。愛剣の強化成功率を飛躍的に上昇させるのでレベル上げと同じくらい重要な事だと思う。トラップ多発エリアなので宝箱があっても安全を優先してスルーしていることが多く一時間でかなりの数の宝箱を開けて目的数の素材を集め終えた。

 

街に戻ってさっそく強化しようと、俺が転移結晶を手にした瞬間だった。

 

「きゃあああっ!」

 

近くから女の悲鳴、さらに複数の焦りの声が聞こえた。それらに被さるようにビィービィーと不気味なアラーム音が大音量で流れる。

 

「・・・」

 

誰かがアラームトラップを引いてしまったことはすぐに分かった。だが俺はこの時でも、愛剣の強化とイベントボス、レベル上げなど自分のことしか考えていなかった。ここで助けに入ったところで貴重な時間が失われるだけで、俺にメリットは何も無いからだ。

 

頭の中はそんな考えで一杯だったのに、気が付いたら俺はアラーム音に導かれる様に走り出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

状況は予想される中でも最悪なものだった。

 

アラーム音が鳴り響く部屋の扉は完全に閉じられ、壁の隙間から見える中は大混戦だ。端っこに固まって陣形を取り、囲まれてリンチにされるのは免れているようだが、モンスターの数が尋常ではない。一体を倒す間に二体三体と湧いてくる。このままでは押し切られて全滅だ。転移結晶を握っている槍使いの少女の様子から察するに、おそらく稀に見る結晶無効化エリアなのだろう。

 

そんな中、一人奮闘する黒衣の剣士がいた。

 

遠くからでも見てわかる片手剣の鋭い輝き。

練り上げられた剣技は、どれも攻略組が使う上位ソードスキルだ。的確で効率的に押し寄せる群れを斬り伏せていく。

 

だが数が多い。

捉えきれない数体が彼の仲間に迫る。レベル的には充分渡り合えるはずだが、恐怖で体が動かないのだろう。何も出来ずに直撃をくらい、HPが減ることで恐怖し、それが他の仲間へ伝染する。

 

「・・・クソが」

 

怒りが込み上げてきた。

 

おそらく後ろの仲間たちは、黒衣の剣士に頼りっぱなしのままここまで上がって来たのだろう。黒衣の剣士の力を自分たちの力と勘違いし、そしてトラップを引いた。相応の実力と経験があるならばあんなに取り乱すことはない。

 

どこか似ている、いやそっくりだ。

 

俺が一番嫌いな、俺自身と。

 

 

愛剣を抜き去り、分厚い扉に単発技を三連続で撃ち込む。止まらず両手剣カテゴリ三連撃突技"テフラ・ディーセント"、二連撃技"リミック・エルプション"で扉を突き破る。

 

突然のことで反射的にこちらを向いた黒衣の剣士に、俺は出せうる限りの声量で叫んだ。

 

「アラームを止めろ!」

 

言うや否や、眼前の四体を四連撃技"ホリゾンタル・スクエア"で両断。爆散したポリゴン片を掻き分けて突進技"ソニックリープ"で道を開ける。ここで黒衣の剣士が喚き散らしていた宝箱を破壊し、モンスターの湧きが止まった。

 

そこからはただの作業だった。

 

片っ端からソードスキルを発動して近付いてくる敵を処理する。未だに動けない奴らは放っておいて黒衣の剣士とともにその作業を続けた。

 

五分もしないうちに大群は消え去り、部屋は久方の静寂に包まれた。わざと音を立てて愛剣を収めると、黒衣の剣士が歩み寄って来た。何か言葉を発する前にこちらが切り出す。

 

「あんた、本当は強いんだろ?」

 

「えっ・・・」

 

固まった彼に構わず続ける。

 

「どんな事情かは知らないし興味もないけど・・・そんなことはやめた方がいい。取り返しのつかないことになる前にな・・・俺みたいになるなよ」

 

返答は聞かず俺はその場を後にした。

 

 

 

 

 

♦️

 

 

 

 

去って行く恩人を見届けながら、言われた言葉の意味を考えていた。彼の虚ろな瞳は、とても大きな悲しみと後悔に染まっていたように見えた。

 

「・・・俺みたいになるな、か」

 

俺と同じなのだろうか。

もし、このまま偽った関係を続けたら俺も彼と同じようになるのだろうか。

そう確信したからこそ忠告してくれたのだろうか。

 

理由はいくら考えても分からない。ただ─

 

「なあ、キリト。さっきのって・・・」

 

「うん、ちゃんと話すから・・・一回戻ろう」

 

俺がすべきことは分かった。

 

 

 

 

 

 

♦️

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ここだな」

 

拓けた森の中にポツンと立つ巨木を見上げた俺は、ここがイベントボスの出現場所であると確信していた。確かな情報があったわけではない。強いて言うならただの直感だ。

 

時刻は二十四時近く。

あと数分もしないうちに件のボスが現れる。

 

近くの木の幹に背を預けてその時を待つ。

ついさっき強化した真新しい片手剣に防具、ありったけ持ってきたポーションと結晶アイテムを一瞥していた俺の耳に、複数の足音が聞こえてきた。

 

「・・・お前」

 

「よぉ、奇遇だな」

 

クラインと風林火山のメンバーだった。さらに、彼らに囲まれるようにして小柄な人影が。

 

「"鼠"・・・」

 

「奇遇ダナ」

 

白々しい態度に腹が立つのをどうにか抑える。

 

「・・・なんのつもりだ?」

 

「誤解するナヨ」

 

いつもと違う、少し怒気を含んだその声色に思わず黙る。

 

「邪魔をするつもりはナイ。ソロでやりたいならやれば良いサ」

 

「ただし、お前さんが死にそうになったらそこで終わりだ。その時は俺たちが加勢する。報酬はドロップしたもんで恨みっこなし、蘇生アイテムもな。それで良いだろう?お前さんはこんなところで死んでいいやつじゃねぇんだよ!」

 

必死の形相でクラインが訴えかけてくる。

 

「お前さんの力はこれから間違いなく必要とされる!だから蘇生アイテムなんて実在するかも分からないやつに命を賭けるのはやめろ!誰のためかは知らないが、そいつも今のお前さんを見たら悲しむんじゃないか?」

 

「・・・」

 

面白いことを言うなと思った。

 

誰のため?決まっている。

 

「俺のためだよ。蘇生アイテムを求めるのは、俺が俺を肯定するための言い訳に過ぎない。今の俺を見たら、あの人だったら悲しむどころか腹を抱えて笑い転げるだろうな・・・」

 

 

たった数ヶ月前の情景が遠い昔のことに思える。

 

思い出すのはあの人の笑顔だけ。

 

今の俺は、ただそれだけを求め、蘇生アイテムなんて幻想に過ぎない物に縋っている。

 

縋るしか、俺にはできないから。

 

クラインも鼠も何も言わない。音もなく雪が降り、不気味なくらいの静寂がこの場を支配する。

 

 

どこからともなく鈴の音が聞こえた。

 

上空を見上げれば、満月に浮かぶ大きな影が徐々に近付いて、いや落ちて来る。

 

地響きを鳴らして着地したソレは、サンタの衣装を着た醜い巨人だった。名は─背教者ニコラス。

 

俺はクラインたちに背を向けて愛剣を構える。

 

後ろで後退する気配。

 

前方のニコラスは、飛び出た眼球で俺を見据えながらイベント用のセリフか何かを発しようとした。

 

「黙れよ」

 

それを遮り、俺は走り出した。

 

 

 

 

 

♦️

 

 

<アルゴside>

 

 

 

まさに死闘だった。

 

トッププレイヤーの戦闘を間近で見るのは初めてではないが、それでも今までに見てきたものとは明らかにレベルが違っていた。全ての動作が洗練されていて無駄と隙が一切なく、まさに戦闘の、剣士の完成型と言えるものだ。到底不可能と言われていたソロ攻略が目前に迫る。だが決して余裕があるわけではない。

 

互いのHPはすでに真っ赤に染まり、次の一撃で勝敗が決まる。当初の計画では風林火山に加勢してもらうはずだったが、この戦いのレベルに付いて行けた者は誰一人としていなかった。

 

どこかの木に降り積もった雪が、音を立てて落雪する。それが最後の合図だった。

 

ニコラスが少年目掛けて跳躍する。

 

少年は真正面からソードスキルの構えを取る。その刀身がライトエフェクトをまとい始めた直後だった。

 

空中で大きく息を吸い込んだニコラスが、歪な口から氷のブレスを放った。土壇場で初めて見せる動きだが少年は流石の反応速度でソードスキルをキャンセルし、それをギリギリで避ける。

 

それを予測していたかのように、ニコラスは巨大な鉤爪を振り下ろした。

 

AIとは思えない高度な攻撃だ。少年の顔にも驚きが見られる。

 

ガギギギィィィンンと耳障りな金属音が響く。少年が片手剣を滑り込ませて鉤爪を防いだ。しかし、その衝撃で体勢を崩し不格好に雪の上を転がる。

 

「行くぞ!」

 

クラインが仲間とともに駆け出す。妥当な判断だろう。少年の負けは目に見えている。

 

両腕を大きく振りかぶり、歓喜の咆哮を上げ少年にトドメを刺そうとしているニコラス。その頚をクライン──

 

「・・・っ!?」

 

─ではない、漆黒に染まった少年の愛剣が斬り飛ばした。

 

 

 

 

 

 

♦️

 

 

 

 

無様に転がった俺は、不思議なことに死の恐怖を微塵も感じなかった。諦めとは違う、これが俺の限界なんだと納得していた。

 

俺の命を刈り取るニコラスの両腕を仰ぐ。

やけに時間経過がゆっくりに感じられた。

 

死を受け入れ、目を閉じた俺は取り戻そうとした過去の情景を思い出す。

 

 

 

『君いいね!センスあるよ!』

 

『これなんてどう?似合うかな?』

 

『ここ行ってみよう!面白そうじゃない?』

 

『これ美味しい!また二人で来ようね』

 

『君はもっと自分に自信を持って』

 

『世界最強の私が言うんだから間違いないよ!』

 

 

あの人はいつも笑顔だった。

いつも振り回されてばっかりだったけど、嫌だとか退屈だと思った日はない。

 

 

『え!?新しいスキルじゃん!私も聞いたことないよそれ!』

 

『君にぴったりのスキルだね!』

 

『君が私を超える日も近いかも、なんてね』

 

『じゃあ私のとっておきを教えてあげる!』

 

 

何も無い俺に、たくさんのことを与えてくれた。

 

 

『いい?これから言うことを忘れないでね』

 

『君は、私みたいにならないでね』

 

『力があっても、誰に分けることも無くただ自分の欲を満たすためだけに使う』

 

『強い人は弱い人を助けてあげないとダメなの』

 

『私はそれができなかった』

 

『だから君は、君を必要とする人たちを助けてあげて』

 

『私にはできなかったことを成し遂げて』

 

これ(・・)はその時にきっと役に立つから』

 

『今は使えなくていい』

 

『大丈夫』

 

『君はこの世界最強の剣士─いや<剣豪>だから』

 

 

 

『どんな時も、絶対諦めないでね!』

 

 

 

その声が、俺を突き動かした。

 

今までに時折感じていたもの、生きてきた中で感じたことの無い激痛が頭を貫く。一瞬で意識を持っていかれそうになるがなんとか耐え、俺は"声"に導かれるまま体を動かす。それに応えるかのように、愛剣が紅から漆黒へとその刀身を変える。

 

かつてないほどの力で満たされた両足で地を蹴る。

 

瞬時に不細工な顔面の高さまで跳躍。

 

飛び出た眼球と目が合い、そこに何が起きているのか分からず困惑しているのを見た。

 

「・・・AI(おまえ)には理解できないだろうな」

 

そして、ニコラスの頚を一閃で斬り飛ばした。

 

 

薄れていく意識の中、ニコラスがポリゴン片へと爆散する様とリザルト表示、そしてあの人の笑顔が見えた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

気を失っていたのはほんの数秒らしく、目が覚めるとまだポリゴンの残影が宙を舞っていた。相当な無茶をした代償か全身が思うように動かせないが、仰向けに寝っ転がったままなんとか右手を持ち上げてウインドウを呼び出す。うんざりするドロップアイテムの中からただ一つ、それを探し出す。

 

「・・・・・・あ」

 

それはあっさり目に飛び込んで来た。

 

《還魂の聖晶石》なるそれの説明は──

 

「・・・はは、そうだよな」

 

 

対象が死亡してからおよそ十秒(・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

取って付けたようなその一文が、過去に死んだプレイヤーの蘇生が不可能であることを物語っていた。

 

「・・・あぁ、あ・・・ああぁぁあああぁ!!!」

 

絶叫し、泣きじゃくり、絶望した。

 

この世界が、自分が憎くて仕方なかった。

 

壊したい、殺したい。

 

でもそんな力も度胸もなくて。

 

ただただ子供のように喚くだけ。

 

そんなことしか、俺にはできないから──。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クリスマスが幸せな日とは限らない。
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