【英雄】になるんだろっ!   作:neunzehn

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1章-迷宮都市オラリオ

 

 「…ねぇウル」

 

 「……何ベル」

 

 ウルと呼ばれた少年。

 名前はウル・クラネル。

 ベルと義兄弟の契りを結んだ少年である。

 

 本名は………今は関係ないので割愛する。

 

 「……気のせいじゃないよね?」

 

 「ああ。ベルが騒いだ後から少ししてからだね」

 

 二人の気配探知に複数人が掛かった。

 ベルはオラリオに着いて早々におのぼりさんよろしく、興奮してしまい目についてしまったのだ。

 

 「このままずっと着いて来られても面倒だ」

 

 「うん」

 

 二人は曲がり角を進み、姿を隠す。

 すると、足音が複数聞こえてきて少年達と同じように道を曲がりほくそ笑む。

 

 「!?」

 

 だが彼等の視線の先には誰もいない。

 -バカな!奴等が曲がると同時にそれほど時間を掛けることなく俺達も行ったんだぞ!

 

 「いねぇ!何処に行きやがったガキ共!!テメェ等捜せ!!」

 

 自分と一緒にいた仲間に命令する。

 

 「いやせん!旦那!」

 

 この道は少し行けば行き止まりだ。

 見失うなどは〈普通〉はあり得ない。

 いつもそうやってきたのだ。何も知らずにやって来るカモから金目の物を奪う為に-

 

 「おじさん達何か私達に用でもあるのかな?」

 

 「ッ!」

 

 いきなり頭上から声が聞こえ、驚愕する。

 

 「な、な、なッ!」

 

 「ど、どうなってやがる!」

 

 「う、浮いてるッ!」

 

 そう彼等が見たのは屹立する壁に脚を付けた二人の少年。

 実際は浮いている訳ではなく〈魔力〉を足裏に練り、壁に張り付け、立っているだけ。

 -だがそんなことは彼等にわかる訳ない。

 〈恩恵〉もないような、来たばかりなカモだと思った少年達が、実はちょっと?凄い少年達等とわかるはずないのだ。

 そんな忍者みたい?なことが出来る者が他にいるかは知らないが…

 

 

 「あの僕達に何か用ですか?」

 

 白髪の少年、ベルは悪意など全く気付かずに質問する。

 もう一人の白髪の少年。ウルは嘆息する

 

 「ベルぅ~。はぁ」

 

 相変わらず、人を疑うことを知らない義弟に思わずため息がでるウル。

 それがベルの長所であり、短所でもある。

 もう少し視る目を養ってほしいと思うが追々で良いかと取り敢えず記憶の端におく。

 

 問題の先送りとも言う

 

 -うるさいよ-

 

 閑話休題

 

 「それで、おじさん達はさしずめ追い剥ぎか何かかな?」

 

 この言葉に目の前の光景を忘れて喚き散らす彼等

 

 「なんだとッ!」「降りてこいッ!」「ぶっ殺してやる」

 

 怒り心頭で剣やナイフを抜く彼等に背後から美声がとんでくる。

 

 「やめなさい」

 

 「「「ッ!」」」

 

 驚き振り返る彼等の目に綺麗なエルフが映る。

 若草色の給仕服に薄緑の髪。

 しかし、今はその眼を細めこちらを見ていた。

 

 「子ども相手に武器を抜くなど、恥を知りなさい」

 

 エルフの女性は袖下に短刀を忍ばせて何時でも動けるようにする。

 

 「うるせぇッ!」「関係ねぇ奴は引っ込んでろッ!」

 「まぁ待てよ。よく視ればいい女じゃねぇか…お前が遊んでくれれば-」

 

 「吠えるな」

 

 ニヤニヤと下卑た男の視線にエルフの女性は底冷えする声で彼等に告げる。

 

 「私はいつもやり過ぎてしまう」

 

 「「「くッ!くそッッ!!」」」

 

 女性の威圧感にあてられ男達は逃げ出した。

 

 「大丈夫ですか?」

 

 先程とはうって代わり、幾分か優しい声で少年達に話し掛ける。

 壁に〈垂直〉に立っていたことは気にしながら思案する。

 

 (彼らは此所に来てまだ間もないように感じる。しかし、魔力を感じたことから先天的に魔法が発現したのでしょう)

 

 稀にあると言えばそれまでなのだが、もしそうなら凄まじい才能だ

 

 (…いえ、それは失礼だ。此所に来るまでに鍛練を積んできたのでしょう)

 

 「あの、助けて頂きありがとうございます」

 

 「いえ、必要なかったと思いましたが余計なことをしました」

 

 「そ、そんなことありません!助けてくれてありがとうございます!!っと、すみません僕はベル・クラネルといいます!よろしくお願いします!!!」

 

 ベルは頬を赤くしながら自己紹介する。

 何故なら、出逢いを求めにオラリオに来たのだから-

 

 「…はぁ。この義弟は~。

 まぁいいです。私はウル・クラネルと申します。一応アレの義兄です。改めて、ありがとうございました」

 

 腰を曲げ、礼をする。

 

 「ご丁寧にありがとうございます。私はリュー・リオンと申します。〈豊饒の女主人〉と云う酒場で働かせて頂いてもらっています」

 

 実際、今も買い物の帰りなのだ。自身の矜持故に見過ごせなかっただけで、それでも-

 

 「礼は不要です。ですがよろしければ売上に貢献して頂ければ嬉しいです」

 

 その言葉にウルは反応し-

 

 「宿は兼業していますかッ!」

 

 店の名前からしてきっと美人さんが多いに違いない!と、それと並んで彼女は〈かなり〉の実力者だ。

 なら相応に治安も良いに違いない!と一瞬で距離を詰め、迷わず〈手〉を握る。握ってしまった。

 

 「!?」

 

 -だが、振り払う様なことはしなかった。

 手を握られたこと、それを振り払わなかったことに二重で驚きながらも

 

 「…あの、手を……」

 

 自身から出た声とは思えない位に〈らしく〉ないものだった。

 しかも異性だ。

 

 -そこだ!リオン!そのまま拐っちゃいなさい!!!-

 

 ブンブンと右手を振り、幻想を祓う。-字は間違っていない-

 

 (…何か聴こえた気がしましたが気のせいでしょう)

 

 「っと、すみません」

 

 「いえ……。その兼業はしていませんが、ミア母さん…店長に確認してみましょう」

 

 ナニか口走ったような気がするが、それは後から考えましょう。

 

 「…えっと、良いんですか?」

 

 「はい。ですがダメと言われればそれまでですが………」

 

 「いえいえ、確認して頂けるだけでも助かります!」

 

 「では、行きましょう」

 

 これから長い付き合いになる。

そんな予感がした。

 

 (まぁ、自分の勘はよくハズレるのですが…)

 

 そして三人は豊饒の女主人を目指して歩きはじめた。

 

 

 

 

 

 

 

 「………僕、最後らへんは空気だったような」

 

 -(っ`・ω・´)っ!クラネル少年!!!-

 

 「うるさいです」

 

 

 

 

 

 

 




 リューさん、可愛いし綺麗だしホント好きです!



 令和コソコソ噂話。
 リューさんは仲間のアドバイスで髪を染めているそうですよ。
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