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誕生、遠征
ハロー!
無事、僕達兄弟は産まれてきたよー!
みんな勢ぞろいしててちょっとビックリしちゃった、でも考えてみれば当然だよね、王の誕生だもん、そりゃあみんな集まるよね。女王の悲鳴もあったし。
でもなんか変な感じだなぁ、自分の足で立ってるっていうのは、なんだか疲れちゃうね!
「余は、空腹じゃ、馳走を用意せい」
「僕もお腹すいたなぁ、ついでに僕の分もお願いね?」
んー、みんなビックリしちゃって動けないのかな?
誰も動く気配がないなー、困った。
お、と思ったら向こうから誰か走ってきた!
ペチ、ペチ、ペチ、ペチ
「女王様ぁ! い、いかん内蔵がかなり損傷しておる!」
へぇー僕らのこと無視するんだぁ
僕はなんとも思わないけど、弟がもう殺すって感じだね
弟くん、尻尾を振りかぶってぇー、ベチン、と容赦ないなぁ
「生まれたてなのにもう身体の使い方覚えたの?早いなぁ」
「貴様が遅過ぎるだけだ、王の器ならばこの位は出来て当然であろう?」
なんか殺したことに対してみんなビックリしてるみたいだけど、弟くんちょー無関心、これは王の中でもそうとうな暴君だね。
「二度言わせるな、馳走を用意せい…ここは薄汚いな」
「ほらほら、そんなグズグズしてるとまた殺されちゃうかもよ?この王サマに、ね?」
「「「……」」」
一同、沈黙…
なんで!?なんでそんなに黙っちゃうのさ?ビックリしてるの?原因は分かるんだけど、そんなに?
「…おい、そこのお前、拭け」
わーお、こんな時でも唯我独尊と言わんばかりの要求を叩きつけていく僕の弟!そこに痺れる!憧れ…はしないかな、うん。
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ、私め丁度ハンカチを持っておりま
ーーーバチャ!
「二度言わすな、お前だ、拭け」
またやっちゃったかぁー
っていうかその子のことすきなの?ほかの子でも良かったじゃん…
んー自分の意見が無視されかけた事にちょっとイラッとしちゃったのかな?
王だし、余の意見を無視するとは何事じゃあ!みたいな感じで。
おっと?
「いくらお腹すいたからってそれ食べるのはちょっとやめといた方がいいんじゃないかな?」
「まずい」
「やっぱり?」
「うむ、やはり見た目どおりの味だな、余の馳走はどこだ?」
「「「…」」」
「こちらでございます」
お!やっとマシなのがきたね!
「お食事のご用意が出来ております」
「これからは私共3人が、王の手足となり」
「王の望むもの全て手に入れ」
「王の望み全て叶えまする」
「なんなりと、お申し付け下さいませ」
おぉ!感動だよ!集まってきた子達を見た時はちょっと失望しちゃったけど、この子達は格が違うね。
「うむ」
「うん!」
いやぁ!楽しみだなぁこれからこの子達にどんなお願い事をしようか!ふふっ、こんなでも僕は王の一人なわけだし、弟くんの邪魔にならなきゃどんなお願いしてもいいよね?
タッ、タッ、タッ、タッ
ん?後ろから誰か追いかけてきてるなぁ
廊下は走っちゃダメなんだぞー
「ネフェルピトー殿!女王のお命が危ない!御力を、貸して頂きたい!あの男を修復した力を!」
ふーん、あの子はネフェルピトーって言うんだ。
んーちょっとフルネームで呼ぶのは長くて不便だから縮めて…ピトーちゃんで!
次呼ぶ時はピトーちゃんって呼んでみよ!
「彼はねぇ、僕にとって必要だからやったことなんだ。王が生まれちゃったらさぁ、彼女は僕らには関係ないんだ…あれはもう、いらない♪」
「っ!」
おー、ピトーちゃんは王への忠誠心が相当に高そうだねぇ、でもそれ以外のことに対しては冷徹で、それは王の利になるのか、とかを考えてるのかな?
これは僕もちゃんと王様ムーブした方がいいのかな?威厳とかがないとお前は王として相応しくない!とか言われて追い出されそう…
ま、今からそんなこと気にしてもしょうがないか!
僕は基本このままで、時々気が向いた時だけ王様ムーブしていこう!
弟くんがガチガチの王様!って感じだから僕みたいなフランクな王様でバランスをとっていった方が、部下たちのストレスも軽減される…はず
そう!これは決してめんどくさいとかじゃなく、部下のことを思っての行動だから!いやぁーこんな部下思いの王様を持ててこの子達は幸せ者だなぁー!
この時前を歩いている王が、密かにため息をついていたとか、いないとか…
「お食事は見晴らしのいい屋上に用意しております」
相変わらずよく気が使える子達だなぁ、偉い!
「では、外から行く方が早かろう」
「そうだね、壁ぶち抜こっか」
「言われずともそうするつもりだ」
ここで罪の無い壁に、理不尽な暴力が襲う…!
ドゴォン!!
「お見事」
「おぉー、やっぱさすが王サマだね〜」
トコトコ、ザクッ、ヒュン
弟くんはそのまま屋上に行っちゃったっぽいね。
「あの…ご質問よろしいでしょうか?」
「なんだいなんだい?金髪細身イケメンくん!」
「そ、その…何故、王が二人もいらっしゃるのでしょう?」
「えっと…二人もいちゃダメかな?」
「そ、そんなことは決して御座いません!で、ですが純粋に疑問に思ったのです。王は基本的には一人、と考えていたものですから、どうか浅学非才な我が身をお許し下さい。」
「ふふっじょーだんだよ、そんなにきんちょーしないでさ、ちょっと肩の力抜いてもいいと思うよ〜
んーそれにしても何故、か。実は僕もあんまりよく分かってないんだよねぇー」
うーん、なんでなのかなー?こんなことを聞いてくるってことはコレは普通じゃないってことだよねぇ…
偶然?たまたま?僕あんまり頭良くないからそんなことしか思い浮かばないや
「恐れながら申し上げます、私に心当たりが御座います。もし宜しければご説明させて頂けませんか?」
おぉ!ナイスピトーちゃん、ちょうど困ってたんだよーってことで
「よし!任せた!ピトーちゃん!」
「おまかせ下さい。
プフ、恐らく王は一卵性双生児だったと思われる」
なんなんだ…その呪文みたいな言葉は…!
「一卵性双生児?」
「ああ、簡潔に言うと偶然途中で二人に分かれ、そのまま卵の中で育っていった、ということさ」
あー、そういう事だったのか。
ピトーちゃんの説明はとっても分かりやすいね!
「何故そうだと判断できる?」
「ほら、御方々は御顔や御身体がよく似ているだろう?これは一卵性双生児の特徴だ。
偶然、という可能性は限りなく低いだろうね、我々キメラアントは皆個性豊かな姿をしているからその中で似るということは、ほぼ確実に一卵性双生児と言っていいだろう」
「へぇー、ピトーちゃんはよく知ってるね〜ありがとう、説明も分かりやすかったしとっても助かったよ」
「ありがとうございます」
「っとそういうことみたいだよ?プフくん」
「はい、とてもよく理解出来ました、お時間を取らせてしまい申し訳ございません」
プフって呼ばれてたから、プフくんって呼んでみたけど大丈夫みたいだね、良かったぁ
あ、そう言えば弟くんを待たせちゃってるや
「気にしないで〜、じゃあお腹も空いたし僕らも屋上行こっか」
「「畏まりました」」
〜♪
ぱくぱく もぐもぐ
…ドゴォン!
いやー、まさかプフくんが楽器を弾けるとはね、とってもいい音色だしリラックスしてくるなぁ
今度時間空いた時にほかの楽器もできるのかとか聞いとこっと。
んー、それにしてもやっぱりあんまし美味しくないね、普通の肉じゃ
「弟くん!これあんまり美味しくなくない?」
「うむ」
そうだよねぇ、まだ胎児だった頃も好き嫌い激しかったもん、弟くんは
「お口に合いませんでしたか?」
「うむ、酷く薄い」
「特に味付けなどはしておりませんので」
「いや、そういうことでは無い。
あの女の腹の中で、極稀に、非常に濃厚芳醇な馳走が送られてきたの だ」
「あぁ!レア物の事でございますね」
「あのえも言えぬ充足感…余の身体が欲しておるわ。
あれを食すぞ」
「かしこまりました、では」
ーーーヒュゥゥ…ドオォン!!
「コホッ、コホッ…弟くん、もうちょっとゆっくり着地できなかったの?砂ぼこりで前がよく見えないよー」
「煩い、そんなもの貴様ならどうとでもなろう。
そんなことより早くあの馳走を探すぞ」
「はーい」
そんなことを言うなり目の前の人達の頭を消し飛ばしていく弟くん
「なんだこいつらは、まるで手応えが無かったぞ」
「人というのはキメラアントより身体が脆いらしいから、きっとそのせいじゃないかな?」
「ふむ、そうなのか」
ーーーービチャ、もぐもぐ…ペッ
「不味い…ハズレだ」
人間って不便だよね〜、身体は脆いし、繁殖能力も低い、その上進化も遅いんだからさー、中にはつよーい人間も居るって知識があるけど…ほんとかなぁ?
一応警戒はしといた方が良いかな、何が起こるかまだわかんないんだし
おっと考え事をしてる間に弟くんが、脳みその方が美味しいよーってピトーちゃんに教えて貰ってるね。
ブォン!
「こうか?」
「お見事!」パチパチパチ
やっぱり流石の身体能力だねぇ〜、弟くんは
さっきの人間を殺した時も、最初に頭を狙ったのは偶然じゃなく、本能的に頭が急所だっていうのが分かってたんだろうね。
タッ、タッ、タ
もぐもぐ
「なるほど、悪くない…だが、食うには値いせぬ、レア物に比べればな」
「恐れながら申し上げます、レア物を見分ける方法が御座います。
それを使えば
ーーーバシィン!
「余を愚弄するか?目を凝らせば体を包むエネルギーが見えることくらい承知しておるわ、その多寡で判断するので有ろうが」
あぁー、ピトーちゃんが弟くんにいじめられてる〜
今のそんなに怒ることかなぁ?そりゃ侮ったともとれる発言だったけど、純粋に役に立ちたかっただけだと思うんだけどなぁ…
ピコン♪閃いた!これに乗じてピトーちゃんの好感度を上げて、仲良くなろう!弟くんをだしにしてるみたいで若干気が引けるけど、これも仲良くなるための致し方ない犠牲なのです。弟よ…許せ…
「…大変失礼致しました」
「まぁまぁ、今のはちゃんとした理由があって進言してくれたんだと思うよ?さっきだって、人間の美味しいとこは脳ってことを早く教えてくれたおかげで、早々にその事に気づけたでしょ?」
「ふむ、一理ある」
「ってことで、これからもこんなの気づいて無さそうだなーって思ったら、早くに言ってくれると、僕も弟くんも助かるから、ピトーちゃんも他の子もどんどん言っていこうね!」
「「「はい!畏まりました!」」」