年に2回行われるタッグトーナメント。今回も当然簪と組むわけだが何と今回は専用機だけのペアとそれ以外を分けると言うのだ。何でも1つの学年にこれだけの専用機持ちが集まるのは異例らしく、急遽こうなった。
「なあ簪。前回派手にやったせいで十中八九対策されてるよな?」
「多分そう。私ならそうする。別の作戦考える?」
「ついでに企業連にいって何かいい装備がないか聞いてみよう。簪もどう?」
「当然一緒に行くよ」
「じゃあ週末にでもまた1泊2日で行こうか」
「おっけー」
しかし彼は忘れていた。簪と付き合って初の企業連訪問。当然企業連中にこの事は広まっている訳で、
週末、企業連本部
「遂に付き合い始めたか。ところで結婚はいt」
ドゴォ!
取り合えずふざけた事を抜かす主任を殴る。おいこら顔を赤らめるんじゃない簪さんや。
「いってて、またかよ。ンンッ ようこそ企業連へ。歓迎しよう。盛大にな」
「さて、次のタッグトーナメントの件なんだが‥‥」
「おいいいい!無視?無視なの?せっかく台詞が決まったのに!」
「最初のが無けりゃあ完璧だったよ」
「ぐぬう。覚えてろよ。ふふっ」
「何か言ったか?」
「いんやあ。何も」
「ならいいが‥‥」
俺達は企業連本部にある会議室に案内された。そこには各企業の研究者達が集まっていた。
「「「ようこそ!ええ、新製品は出来ております。ご覧ください!」」」
全員目がイってやがる。何があったんだ?
「お前ら何があったんだ?目が凄いことになってるぞ?」
「「「束博士のお陰で詰まってた研究が捗るんじゃあああああ!!!」」」
なるほど。どうやら束博士は想像以上にこいつらに馴染んでるようだ。
「あれっ、束博士は?」
「彼女は現在トーラスとコジマ粒子の研究に朝から晩まで没頭してます。彼女曰く「欠陥まみれ!?でもエネルギー源としては最高にいい!?腕が鳴るぜえええ!」と大はしゃぎで研究中です。確か1週間ほど籠りっきりだとか」
「大丈夫なのか?まあそれは置いといてだ、タッグということで何かいいものはないか?」
「既に有澤君の専用機に関してはやり尽くしてます。あえて言うなら、対EN塗装をするくらいでしょうか?」
「その塗装はどれくらい効果がある?」
「毎試合塗り直さないといけませんが、標準的なレーザーライフル程度であれば半減位は出来ます。同じ場所に二度食らうと効果は発揮できませんが、そんなスナイパーはそうそう居ません」
「ならその塗料を積んでおいてくれ。簪、どうやらそれ以外は全てお前さんのらしい。目が血走ってるが相手してやれ」
「怖いよお」
「側にいてやるからさ」
「「「甘ああああああああああい!」」」
「やかましい。さっさとやれ。変態共」
「「「我々の業界では誉め言葉です!」」」
「こいつら罵倒が効かねえ。怖ええよ」
彼らが開発した物の大半はやべー物だった。
GA社
「新開発の大型ミサイルコンテナです。これであなた単騎でも性能を使いきれます!」
「でもこれ積んだら積載量が‥‥私のはタンクじゃ無いんだよ?」
「重さ?ナニソレオイシイノ?」
GAは重量度外視の設計のため不採用。
MSAC及び有澤重工
「新開発のグレネードミサイルです。重さ、サイズそのままに威力、爆発半径が大きくなっています。有澤重工の弾頭は凄いですね。もっと早く使えばよかった」
「爆発範囲が広すぎてタッグじゃ使えなさそう。でも下さい。単騎の時に使えそう」
新型グレネードミサイル、採用。
有澤重工
「我々は気がついたのだ。グレネードだけではやっていけないと。この新開発の薙刀はどうだ?刀身に仕込んだ小型爆薬が切りつけると同時に炸裂。相手は死ぬ」
「使う度に切れ味落ちるし、それ炸裂したら私も巻き込まれるよね?私は有澤君ほど堅くないよ?」
「なんと!?」
有澤重工、自爆仕様のため不採用。
「いいや。まだだ。この盾はどうだ?とても頑丈で並みのグレネードなら完全に防げるぞ!」
「すいません。重すぎて使えません」
重量過多により不採用。
テクノクラート
「新開発のロケットです。ハラショオオオオオオオオオオオ!」
「五月蝿いです。ロケットはそもそも当たりませんしミサイルかグレネードで十分です」
ロケット、ミサイルとグレネードに完全敗北。不採用。
BFF社
「皆さんは簪さんの専用機のコンセプトを忘れてますね。こちら、新開発の軽量スナイパーライフルです。1発辺りの威力を犠牲に発射速度と命中率を上げてあります。どうでしょう?」
「文句無しです。下さい」
スナイパーライフル、文句無しの採用。
インテリオルユニオン
「軽量のレーザーライフルです。内臓バッテリー採用で機体のエネルギーを使わず射撃が出来ます。ただ、弾数制限がありますが」
「最高です。遂に私もレーザーデビュー!下さい!」
レーザーライフル、文句無しの採用。
オーメルサイエンステクノロジー
「新開発のバトルライフルです。既存の物より軽く、火力は高く、集弾性も良好です」
「今までのが今までのだけに地味だけど凄いよこれ!下さい」
地味だが性能がとてもいいバトルライフル。採用。
アルゼブラ社
「こいつが新開発のとっつきじゃ。軽く、反動が小さい代わりにKIKUのような超火力はない。打ち込んだ反動で連射が可能じゃけえうまいこと使ってくれや」
「とっつき!ロマン!下さい!」
とっつき、採用。
「さあこの辺でアリーナに行って試験だ。さあ行こうか」
「えっでももう一人寂しそうにこっちを見てるよ?聞かなくていいの?」
「トーラスだぞ!?マトモなはずがない!」
「トーラスはかっこいいもん!どうぞ紹介してください!」
トーラス社
「こいつが、ヒヒッ試作品のコジマジェネレーター、コジマライフル、コジマグレネード、コジマパイル、コジマミサイルです。どうです?いい色してるでしょう?」
「ねえ、これってトーラスマンの?」
「おおおおお!もしやファンの方ですか!?ええ!こちら、遂に完成したコジマ兵器です!」
「ちなみに汚染は?」
「バリバリします。ちなみに除染機はまだ未完成です。フヒヒッ」
「「「急いでこいつをここから叩き出せ!今すぐ!早急に!」」」
不気味な研究者は会議室に緑色のナニかを漂わせつつつまみ出された。俺達はアリーナに慌てて移動した。
「やっぱりキチガイじゃねえかトーラスはよお。なんかまだ息苦しいぞ」
「その程度で済んでよかったですね。ちなみにあの研究者は数十回吐血と気絶を繰り返し、三回ほど生死の境をさ迷いながらコジマ粒子と戯れていたらなぜかコジマ粒子が効かない体になったらしいです。何事も慣れですね」
「慣れる前に死ぬだろ普通!」
既にコジマ粒子の増殖、制御は完了してます。ただ、あの毒性は未解決です。束博士なら何とかしてくれる‥‥はず。