想像以上の反響に驚いてます。やっぱり皆さん大統領が好きなんやなって。
「軍用ISを投入なさい!」
陸軍と空軍が敗れた事を知った大統領はそう命令をした。軍用ISである銀の福音は暴走事件の後も密かに改良を繰り返していた。同じことは各国も行っており事実上アラスカ条約は形骸化していた。
「改良を重ねたこの子なら負けないだろうけど‥‥‥」
パイロットであるナターシャは命令されたため仕方なく出撃したが乗り気では無かった。
「陸軍と空軍をああも簡単に倒す相手‥‥‥ISでも油断は出来ないわね」
銀の福音は暴走事件の後、装甲の追加と銀の鐘の増設がなされていた。既存のISでは歯が立たない性能のはず‥‥だった。
GA社付近
「ようやく見えてきたわねGA社、あんな壁前まであったかしら?」
GA社の回りには大きな壁があった。大きなGA社のロゴが刻まれたそれは陸軍と空軍が攻めたときには無かった物だった。
「どんな相手か分からない以上油断はしないわ!」
そう意気込んでブースターを吹かした次の瞬間
ゴゴゴゴゴゴ
壁が‥‥‥動いた‥‥‥壁と思ったそれは列車型の機動兵器だったのだ。あまりの長さゆえGA社の回りを囲む壁のように見えたのだ。
「壁が!?でもやることは同じ!」
放たれる銀の鐘、以前より増設されたそれは辺りが光弾で埋め尽くされるほどの弾幕だった。どんな相手でもこれなら倒せる。そう思ってしまった。
シュウウウーーー
「えっ!?」
無傷であった。攻撃に対する返事は大量のミサイルとグレネードであった。
ズゴゴゴゴゴゴゴゴーーン!
「きゃああああああ!!」
吹き飛ばされたナターシャが見たのは視界全てを埋め尽くす千にも届こうかというミサイルとグレネード、それはまさしくアメリカのお家芸である数の暴力であった。
「これは‥‥‥無理ね」
流石の軍用ISといえど規格外の弾幕の前にはなすすべもなくナターシャは静かに意識を手放した。
GA社地下ドック
「作戦を説明します。ホワイトハウスに高速で接近、制圧してください。現大統領は専用のISを所持しているとのことですがあなたの前には大した障害にはならないでしょう。持てる兵器をすべて使いあのクソッタレを倒しましょう。作戦名は‥‥」
ジャラララララララララララジャーーーーーン!
[取り返せ!かつての栄光!皆はあなたを待っている!]
「どうかお気をつけて、大統領」
ホワイトハウスside
「失敗ですって!?寝言は寝て言いなさい!我が国の誇る最新鋭の軍用ISがISですらない兵器に負けたですって!?」
「申し上げにくいのですが事実です。さらにここ、ホワイトハウスに向けて所属不明機が急速接近中との情報も‥‥」
「それを早く言いなさい!私が出るわ!」
この大統領、腐っても大統領な訳で専用のISを持っていた。
「IS反応は無いそうね。なら私の敵では無いわ。あなたたちは下がってなさい」
大統領はホワイトハウスのすぐ外に出て所属不明機を待った。そこに現れたのは‥‥
「オーーーケイィィィ!レッツパーーーーリィィィィィィィィ!!!!!」
絶叫と共に降ってきたのは巨大なコンテナを2つ背負った青いロボットだった。
「待たせたな、大統領」
「その声は‥‥‥マイケル・ウィルソン!?」
「覚えてくれていて何よりだ。なら始めようか、何も言わずともここに私が来た目的と理由は分かっているだろう?」
「もちろんよ!ここで息の根を止めてやるわ!」
ズガガガガガガッ!
最初は互いにアサルトライフルを構え打ち合いが始まった。しかし、お互いに大量の武器を持っているため泥仕合となるのは時間の問題だった。
「なかなかやるわね」
「貴様こそなかなかだ。だがそろそろ終わりにしよう」
そう言った瞬間彼の背中のコンテナが全て開いた。
「見るがいい!これが私の誇るメタルウルフの必殺技、バースト攻撃だああああああ!!!」
バースト攻撃、それは彼が設計しGA社が作成した特殊機動重装甲、メタルウルフが誇る最強の攻撃。コンテナに格納した全ての武器を一斉に放つというもの。シンプルだがそれゆえ強力な攻撃であった。
「何これ!?どうやったらこんな弾幕g‥‥‥」
圧倒的弾幕、それは原点にして頂点、故に対抗手段など無かった。
倒れ伏す大統領のそばでマイケルはこう言った。
「How do you like me now?」
直訳すれば俺のこと好きになってくれた?という意味だがホームパーティの多いアメリカにおいてはこんな意味もある。パーティは終わりだ。つまり
消え失せろ
である。
かろうじて意識のある大統領はこう言った。
「何故‥‥‥あなたはそこまでするの?無理にあなたが出てくる必要も無かったのに。私に復讐したいならGA社に任せればいいのに」
「そう言われればこう言うしかあるまい」
マイケルは沈み行く太陽を背に高らかとこう言った。
「何故なら! 私が! アメリカ合衆国大統領だからだ!」
大統領魂、それこそがマイケルをここまでさせた原動力である。
アメリカ合衆国、降伏
GA社side
「グレートウォールの性能は予想以上だったな。まさか銀の福音に対して圧勝とは」
「つくづく恐ろしいですね。有澤の技術は」
グレートウォールに用いられた有澤重工の技術は装甲板だけでなく主兵装のグレネードもそうであった。
「しかし、ただでさえ凶悪な火力の有澤グレネードをあろうことかガトリングにするとは。奴等は狂ってますよ」
「それだけじゃない。あれは我々に供給するための輸出用、つまり有澤重工が運用するグレネードはあれ以上の火力ということだ。敵じゃなくて本当によかった」
「全くですね。しかしうちでこれなら有澤重工に挑む日本は‥‥‥」
「原型を留めてるといいな」
大鑑巨砲主義も突き詰めると最強である事が証明された瞬間であった。
アメリカ合衆国編これにて終了です。ネクストの出番が‥‥‥